市民ネットワーク 2008年度予算編成に対する要望書

重点政策7項目

(1)自誰もが元気に安心して働ける地域に

8月に公表されたジニ係数が0.5263となり、所得格差は過去最大となりました。正規雇用者は減少の一途で、いまや労働者の3人に1人は不安定な非正規雇用です。労働を取巻く規制緩和の影響は、働いても生活保護以下の収入しか得られないワーキングプアを生み出すなど社会問題化しています。市民生活を守るためにも千葉市は、不安定な雇用を生み出している労働法制の見直しなど国に求めるべきです。

自治体としても市民生活を守る上から、政策転換を国に要望してほしいものです。同時に市としても、雇用の確保や、多様化する問題への相談体制の強化を図るなど、働くものとしての権利を守っていくことが必要です。

また育児や介護のために仕事を断念する女性が多く、働くことと家庭生活の両立のためにも、特に子育て支援をさらに拡大していくことを求めます。

次に公務部門においても非常勤職員や業務委託、また新たに導入されている指定管理者制度など、非公務員が増大しています。これらの職員の待遇は、身分や労働条件が不安定で特に正職員との賃金格差が大きいのは問題で、是正に向けての検討をするべきです。またコスト削減を目的としたこれらアウトソーシングは公共サービスの低下につながりかねず慎重に実施するべきです。

また入札においても、発注者として業者に公正な労働基準を守らせるとともに、価格のみの競争ではなく、環境や福祉などを推進する総合評価入札制度を拡大することを求めます。

(2)福祉コミュニティづくり

               

たびたび行われる福祉分野の国の制度改定は、国民に大きな困惑と、混乱を招いています。改正介護保険法では、介護予防に重点を置いた認定基準の見直しや、新たな予防事業が始まりましたが、家事援助を頼める時間数が減ったり、用具の貸し出しを受けられなかったりなど、困惑の声が聞こえてきます。また、手のかかる手続きを経て介護予防のプログラムを受ける人は、本当に少数で、市民のニーズにあった事業なのか、まだ、周知が足りないのか、至急検証が必要です。一方、自立支援法の施行により、利用者負担の増加や施設経営が財政的に圧迫されるなど抗議の声が上がっています。こうした住民の声を受け止め、自治体から国に意見を出す一方、独自の補助制度を充実させるべきです。

また、弱い立場の人々の地域での暮らしを充実したものにするためには、身近に見守りの仕組みがあり、居場所があり、わかりやすい情報が手に入ることが大切です。そのためにも各区ごとに市民参加でつくった地域福祉計画の実現は不可欠です。しかし、計画はすばらしくとも、実行段階になり、いったい誰がどういうふうに推進するのか各区とも見えてきていません。地域福祉計画推進協議会が実施主体となるよう要綱を見直し、さらに千葉市地域福祉計画推進協議会の設置を求めます。

(3)安心・安全を確保するために

                     

文部科学省の専門会議の推計によると、全国の公立小中学校の校舎や屋内運動場のうち、震度6強で倒壊する危険性の高い施設が、1万1659棟に上ることが明らかになり、今年度中に「公立学校施設耐震化推進化計画」を策定し、危険性の高い施設をなくすことを目指すとしています。

千葉市では、学校施設の耐震診断で、Is0.3未満の校舎が11棟あり、屋内運動場も131棟の耐震補強が必要とされました。さらに学校以外の公共施設においても、保育所7箇所などで耐震性が極めて悪く改築または大規模な補強が必要である事がわかりました。

学校施設は1995年から耐震診断が実施され、順次耐震化してきたとのことですが未だに耐震化率47%で全国平均59%をかなり下回っています。一方保育所は1996年から耐震診断が実施され7箇所が「倒壊する危険性が高い」という結果であったにもかかわらず、今までなんら対策がとられていなかったことは危機意識の欠如といわざるを得ません。

学校や保育所は、日常的に子どもたちが過ごす施設であり、災害時には避難所として多数の市民が利用する施設でもあります。千葉市は、保護者や市民に対し、耐震化が遅れた理由を明確に説明し、学校名などの公表や今後の耐震化計画など、速やかに情報を公開すべきでした。耐震診断結果の公表や今後の耐震化計画など、速やかに情報を公表すべきです。

市内公共施設の耐震化については、2007年度中に策定される「千葉市耐震改修促進計画」に基づき、早急に対処されることを求めます。

また財政状況が厳しい中、学校施設をはじめ公共施設の耐震診断や改修工事が一刻も早く実施されるよう、国に対し十分な予算措置を求めることを要望します。

(4)循環型社会の構築に向けて

                      

千葉市では、一般ゴミの排出量の8割の約30万トンが焼却されています。ごみの焼却の処理費用も財政の大きな負担です。市民がライフスタイルを見直すことも大切ですが、生産者、流通・販売事業者には拡大生産者責任を求め、市としてもゴミの資源化、循環型社会づくりを進めていくことが必要です。

大気環境では、近年光化学オキシダントが高濃度となる頻度が増加しています。事業所などから排出されるVOC(揮発性有機化学物質)の削減が大きな課題です。排出量規制や監視に加え、近隣自治体を含めた広域な対策が求められます。地球温暖化対策ではエコドライブの推進や、モーダルシフトへの取り組みも求められるところです。

また、住宅が密集する都市部ではヒートアイランド現象も深刻です。街路樹のみどりの質を充実させたり、市民緑地制度を活用して街のみどりを守る、水辺とも連続性をもたせ、みどりのもつ機能をより効果的に発揮させることが期待されます。

多様な生物の生息空間である谷津田や里山の保全に向けての取り組みは少しずつ進んできましたが、今後はさらに都川多目的遊水地や谷津田において、埋土種子の発芽を促し絶滅が危惧される植物を復活させる取り組みも期待されるところです。

食の安全確保と農林業の振興のためには、地産地消をすすめ、農地・水・環境保全向上対策事業の推進や遊休農地の活用も積極的にすすめていくことが大切です。

(5)交通政策

                            

千葉市では駅前広場や駐輪場など駅周辺の整備を進め、鉄道駅への人口集積を図るコンパクトシティを目指しています。しかしながら、通勤通学時間帯における鉄道の混雑、駅周辺の放置自転車数は増すばかりです。

一方、生活の足の確保もままならない交通不便地域も広く存在し、これらの地域においては、地域特性にあったコミュニティバスの新規路線を、住民参加で創設するなど、身近な交通手段を充実させることが強く求められています。

また、温暖化対策が喫緊の課題となっているにも拘らず自動車交通は相変わらず増え続け、道路整備とのいたちごっこを続けています。千葉、幕張、蘇我の三都心周辺においては、渋滞緩和のために、中心市街地への乗り入れ規制や交通需要調整によって自動車利用者の交通行動の変更を促す努力が必要です。

財政状況が厳しく、将来にわたって諸施設の維持管理や更新費に膨大な支出を要することが明らかな現状を考えれば、モノレールの延伸は見合わせ、バス路線の充実や道路のバリアフリー化、自転車走行環境の整備に力と財源を投入するべきであると考えます。

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