市民ネットワーク 2008年度予算編成に対する要望書

はじめに

総務省が8月30日に公表した2008年度の地方財政収支の仮試算では、地方自治体の一般歳出は前年度比、0.4%の減、65兆5000億円になる見込みとのことです。政府が「基本方針2006」で策定した「歳出・歳入一体改革」に基づき、地方財政は圧縮され、地域の公共サービスを支える財源が年々削減されている現状が映し出されています。多くの自治体が債務超過による財政苦に陥っている原因は、それを誘導してきた国の施策にもあるのです。市民の生活を守る最前線である自治体は、その責任を明らかにし、適正な分担を国に求めていくべきです。

本年6月、新たに成立した財政健全化法により、2008年度決算から自治体は4つの「財政健全化比率」の指標を公表することが義務付けられました。すでに公表されている実質公債費比率がかなり高い千葉市は、第2次5か年計画の大幅な見直しと、2008年度予算編成にむけ、大変厳しい判断が求められています。とはいえ、財政健全化の努力目標を、指標の達成や市債の減少のみに重きをおいたのでは、市民生活を阻害するものとなりかねません。まさに「予算の選択と集中」が必要です。

「三位一体改革」や「規制改革」によって行財政改革を余儀なくされた自治体では、指定管理者制度、民間委託、民営化、などアウトソーシングによる効率化がすすめられています。しかし、コスト削減と同時に、サービスの低下や市民や利用者へのしわ寄せはないか、劣悪な労働条件の押し付けはないか、と、自治体はその責任を問われています。

「ばらまき公共工事」による財政再建はもはや通用せず、いかに地域の産業を育てていくのかが、国を挙げての課題です。農業県・千葉県の中にあって、野菜の生産高県内8位、生乳については第1位である千葉市の農業をどう守り育てるのか、また、地域の活性化のあり方、そして格差社会の進行の中、地域としてのセーフティネットをいかに構築していくのかが大切な課題です。

明らかにされた小学校や保育所の耐震診断問題は、何年にもわたって「倒壊の危険性がある」とされた建物を放置し、耐震診断に対する認識の不足と危機管理意識の欠如のあらわれであって、看過できません。

市民へのわかりやすい財政状況の公表は、少しずつ進んできましたが、現在の財政の危機的状況を市民と共に乗り切るためにも、予算の編成の過程におけるさらなる市民の参加・市民自治を求めたいと思います。 市民ネットワークでは、2008年度予算編成にむけた要望を取りまとめ、提出いたします。市民の生活の感覚に、さらに寄り添った市政運営となるよう、来年度予算へ反映させていただくことを求めます。

2007年10月
市民ネットワーク
山口晴美  高野晴美
常賀かづ子  長谷川弘美
湯浅美和子  福谷章子
小西由希子

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