No.15

平成22年第2回定例会
(提出年月日)平成22年6月1日
(提出会派名)市民ネットワーク

労働者派遣法の抜本改正を求める意見書(案)

労働者派遣法改正法案が2010年4月6日、衆議院に提出された。1986年に施行されてから、改正のたびに規制緩和されてきた労働者派遣法であるが、今回の改正案で、雇用期間に定めがなく仕事があるときに契約して働く「登録型派遣」が専門26業務を除いて原則禁止となったこと、派遣会社と長期契約した「常用雇用」以外の製造業派遣が原則禁止となったこと、偽装請負や派遣期限の超過など違法派遣のケースでは、派遣社員に対し派遣先の企業が雇用を申し込んだものとみなされ、直接雇用が義務づけられる「みなし雇用」規定などが盛り込まれたことなど労働者保護の観点から規制強化に転換した点では評価できるものである。
しかしながら、いくつか問題点も残されたままとなっている。 まず、専門26業務の中には「事務用機器操作(5号業務)」、「ファイリング(8号業務)」のように、現在では専門性のある業務とは言えなくなっているものが含まれており、一般事務との違いがはっきりせず、定義があいまいなままとなっている。実際、「専門26業務」の名のもとに、実質は一般事務の従業員を「登録型」と偽って期限を超えて雇う違法派遣が後を絶たない。 また、厚生労働省職業安定局の「労働者派遣事業関係業務取扱要領」では、「常用雇用」の製造業派遣は認められているが、「常用雇用される労働者」には「期間の定めなく雇用されている者」のみならず、「有期雇用」でも「過去1年を超える期間について引き続き雇用されると見込まれる者、または採用の時から1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる者」もこれに該当すると解釈し、そのように取り扱っている。
このような解釈を許せば、派遣元が「1年以上雇用する見込みであった」と主張すれば「常用雇用」となり、「見込み違い」として途中解約するという抜け穴を残してしまう。 さらに、違法派遣に対する「みなし雇用」義務については、派遣先に違法性の認識があることが条件となっており、これでは派遣先が違法であることを「知らなかった」という言い逃れを許すおそれがある。
よって、本市議会は国に対し、労働者派遣法を抜本改正し下記の事項を実施するよう強く要望するものである。

  1. 登録型派遣の例外とされる「専門26業務」については、労働者保護の観点からその範囲をさらに厳格に見直しをすること。
  2. 「常用雇用」について明確な定義規定を置き、期間の定めのない雇用契約に限定すること。
  3. 「みなし雇用」規定の適用に当たって、違法であることについての派遣先の認識を要件としないこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成22年  月  日

千 葉 市 議 会

  

■結果■

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