No.12
平成21年第2回定例会
(提出年月日)平成21年6月22日
(提出会派名)市民ネットワーク
本年6月17日、「所有から利用へ」をキャッチフレーズに農地法が改正された。第1条が「農地を耕作者みずから所有することが最も適当である」から「農地の効率的な利用を促進する」といった内容へと変更されたが、これは、耕作放棄地対策や食料自給率を高めること、農業振興を図ることを目的として大企業の農地所有に道を開こうとするものである。審議の中で一部修正が加えられたとはいえ、農業に携わらない大企業や外資系企業を含む一般企業が農地を利用できることになったことは戦後農政の大転換である。
また、小作地(貸地)の所有制限や標準小作料制度を廃止し、賃貸借の期間を20年から50年にするなど、賃貸借に関する規制を緩め競争力のある企業が参入しやすくするための条項も設けられた。大企業が、その資本を投入し農業へ参入しても、利潤が上がらなければ撤退して、荒地だけがそこに残ることになる。まして大型機械の入らない中山間耕作地は、さらに取り残されたままとなることが懸念される。
しかし、農村・農業の諸問題は、戦後農業が食糧貿易自由化の波にさらされ、農業で生活できなくなった人が農村から都市部へ流出することによって担い手が不足、高齢化し、産業としての育成や支援が後回しにされてきたことが原因であり、農地を耕作者が所有してきたことが原因ではないのである。千葉県においても、農地に不適切残土を搬入する違反転用が頻発し、ずさんな経営方針しか持たない「農業法人」が、甘い言葉で農地を残土処分場にしようとする動きもあった。今回の法改正により、違反転用に対する罰則が強化され参入の許可に市町村長が関与すること、周辺農業に支障が生じた場合農業委員会が是正を勧告するなどの要件が付加されたことは評価するものの、農地の権利移動規制が緩やかになることで新たな問題が生じることへの不安も払拭できない。
国は、懸命に努力し豊かな農村を維持している農業者の努力に報いる価格保障や、農村に移り住むことを目指す新規営農者支援などの政策こそ強化すべきである。
よって、本市議会は国に対し、安易に外資系等の企業に農業をゆだねることにつながりかねない今回の農地法改正について、再度の法改正を議論することを強く求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成21年 月 日
千 葉 市 議 会
■結果■