No.14

平成21年第1回定例会
(提出年月日)平成21年2月13日
(提出会派名)市民ネットワーク

ソマリアへの海上自衛隊の護衛艦派遣撤回を求める意見書(案)

政府は1月28日の安全保障会議で、アフリカ・ソマリア沖の海賊対策として、自衛隊法第82条に基づく「海上警備行動」として海上自衛隊の護衛艦2隻の派遣を決定した。2月3日には第8護衛隊(広島県・呉基地)所属の「さざなみ」、「さみだれ」の2隻を派遣することを発表し、あわせてP−3C哨戒機の部隊や自衛隊初の特殊部隊・特別警備隊の派遣も検討中とのことである。さらに、航空自衛隊、陸上自衛隊も派遣し、統合運用を図ることも議論の俎上にあるとの報道がなされている。

しかしながら、自衛隊法第82条に規定する「海上警備行動」は、自衛隊法第3条はもとより、従来の政府見解、また過去2件の発動例にかんがみても「日本国の領海内」のみに適用されるべきものであり、アフリカ・ソマリア沖まで適用されるものとは解釈できないものである。政府は海賊行為対処を定める新法を3月上旬に閣議決定する方針とのことであるが、根拠となる法令と国会での審議なしの3月派遣では、シビリアンコントロールの徹底など期待することはできない。

また「海上警備行動」であるならば、海賊対策で領海外での活動実績のある海上保安庁の巡視船の派遣が妥当のはずであり、事実、自衛隊には逮捕権限がないため、海上保安官が同乗することが決定している。年間300隻を超える保護対象船舶への十分な護送体制が不可能な規模、武器使用基準の規定もあいまいなまま、高い攻撃能力と哨戒ヘリ運用可能な艦の派遣決定は、「自衛艦派遣」それ自体を目的とし、さらには武器使用基準の緩和と陸海空自衛隊の海外での統合運用実績をつくるためのものとみなさざるを得ない。

そもそも、ソマリア沖の海賊行為の原因は1991年以来の無政府・内戦状態であることは明らかである。平和憲法を有する我が国は、強引な法解釈と拙速な準備による戦力としての海上自衛隊の護衛艦派遣ではなく、安定した政権と経済基盤の整備による問題解決へと尽力すべきと考える。

よって、本市議会は国に対し、海賊対策を名目とするソマリアへの海上自衛隊の護衛艦派遣の白紙撤回を強く求めるものである。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成21年  月  日

千 葉 市 議 会

  

■結果■

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