No.20
平成20年第2回定例会
(提出年月日)平成20年5月27日
(提出会派名)市民ネットワーク
化学物質は、国民生活におけるさまざまなところで使用されており、こうした化学物質を原因として健康被害や環境汚染といった深刻な問題を引き起こしている。特に、胎児や子供は化学物質の影響を受けやすく、アレルギー疾患、化学物質過敏症、先天性形態形成異常といった健康被害者を大量に生んでいる。
化学物質は、新規製造・輸入を規制する「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化学物質審査規制法)」、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR法)」等により管理されているが、現行法では、化学物質の規制は省庁ごとの縦割りになっているため、一貫性を欠いている。例えば、厚生労働省はシックハウスやシックスクールに対応するため、ホルムアルデヒドなど13物質の指針値を定めているが、法による規制がないことから強制力を持たない。一方、国土交通省は建築基準法で建材から出る濃度を規制しているが、13物質中2物質のみであり、しかもリフォーム工事には適用されないのである。
欧州連合(EU)では、8年かけて既存法令を統合した「化学物質の登録、評価、認可及び制限に関する規則(REACH)」を2006年に制定した。これは、年間の製造または輸入量が1トン以上の化学物質について毒性データなどの届け出、登録を義務づけ、発がん性や残留性などのある物質は用途・期間を限定した許可制にするものである。
これに対し我が国では、化学物質審査規制法で製造・輸入の規制や表示義務づけがあるのは、数万種のうち39物質にとどまっている。多種多様な化学物質を管理するためには共通の理念、戦略のもとに施策を総合的に実施することが不可欠なのである。
よって、本市議会は国に対し、化学物質を一元的に管理するため、基本理念やリスク評価、登録義務づけなどを盛り込んだ化学物質対策基本法の制定を強く要望するものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成20年 月 日
千 葉 市 議 会
■結果■
採択され、国の関係省庁に千葉市議会の意見書として送付されました。