我が国の2003年度の経済成長率は3%を上回り、完全失業率も高水準ながら13年ぶりに前年を下回った。日本経済はバブル崩壊後続いた長期停滞から脱出しつつあり、景気回復も着実に進んでいる。しかし、日本経済の回復により、リストラが一服した一方で、パートタイム・アルバイト労働者が増加し、正社員との賃金格差が広がるなど、賃金システム等にまだ遅れがみられている。
こうした中、若者の完全失業率は約9.5%と相変わらず高く、とりわけ学卒未就業者の増加、20歳〜24歳の完全失業率の増加傾向は憂慮すべきものがある。若者の失業やフリーター化が問題化されて久しい。「平成15年版国民生活白書」では、フリーターが417万人と急増していることが示され、さらには、働きもせず学校にも行かず職業訓練にもついていないニートという若者の存在も指摘されている。フリーターの若者のうち正社員を希望する者は7割もおり、ニートも決して働きたくないわけではなく、将来の夢が描けないから働けないという調査結果が示されている。若者の雇用問題は彼らの就業意識の問題のほかに、受け入れる企業側が新規学卒採用を抑制する一方、即戦力となる中途採用従業員を増加させ、若者を長期的に雇用して人材育成を行わないという問題も大きいことが明らかになってきた。若者を積極的に雇用して職業能力を高めていくことが企業の生産性の向上につながり、ひいては日本経済の活性化に資するものである。
また、正社員になれない若者は経済基盤が弱く、年齢を重ねても収入増は見込めないため年金制度の支え手が減少し、さらに、将来が不安なために晩婚化となり、少子化に拍車をかける状況にもつながり、日本社会全体の活力の低下等の重大な問題が顕在化しているのである。
よって、本市議会は国に対し、若者の雇用対策をに強化するよう以下の項目について強く要望するものである。
- 企業に対し、積極的に若者を雇用するよう強く働きかけること。
- 若者への雇用・就業機会が十分に確保されるようにすること。
- 派遣労働者を常用雇用にする労働者派遣法上の努力義務を厳守させること。
- 職業紹介や職業訓練制度のさらなる充実を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
|