昨年末,米国で発生したBSE問題は解決の糸口が見えないまま,2月10日に米農務省の調査打ち切りが発表された。さらに,鳥インフルエンザの発生など食の安全を脅かす状況が立て続けに起きている。
現在の食料生産体制は,自然の生態系を無視した効率優先の大量生産体制であり,抗生物質の濫用が家畜の抵抗力を低下させ,病原体(ウイルス,細菌等)に耐性を持たせてしまうなどの問題が発生している。
一方,今回の問題による食肉輸入禁止措置は外食産業等へ大きな影響を及ぼし,輸入に頼っている日本の食のあり方に警鐘を鳴らしている。
我が国の食料自給率はカロリーベース40%で推移しているが,2010年度の国の計画目標値45%に対し,現状からの趨勢では38%と見込まれている。先進国の中で低いといわれるイギリスでも61%を確保しており,昨年,農水省が実施した意識調査によると9割の人が「食料供給に不安」と答えている。
こうした折,国は昨年6月に「食の安全・安心のための政策大綱」を決定し,政策づくりへの国民の参加,総合的なリスク管理対策,的確な危機管理など消費者の視点に立った安全・安心な食料の安定供給についての取り組み姿勢を示すとともに,2005年の「食料・農業・農村基本計画」の策定に向けての作業が始まり,地域農業の担い手の支援,農地制度の改革,環境保全施策の推進,食料安全保障などが論議されている。
よって,本市議会は国に対し,以下の事項を実施するよう強く求めるものである。
- 米国などからの規制緩和要求に対しては,日本の消費者の信頼と安全を第一に考え,現在の基準を守ること。
- 食の安全確保のためには食料自給率の向上が欠かせないので計画目標を達成させること。
- 輸入農産物や輸入食品の検査体制の充実を図ること。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
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