宸V
平成16年第1回定例会 
(提出年月日)平成16年2月17日
(提出会派名)市民ネットワーク
 
 
国民保護法制の慎重なる審議を求める意見書(案)
 
   政府は,昨年11月,有事の際に国民の生命・財産をどう守るかを定める「国民保護法制」の要旨を明らかにした。さらに12月に井上有事法制担当相は,この適用を日本有事だけでなく原発などをねらった大規模テロにも準用できると閣議後の記者会見で説明しており,同法案は閣議決定のうえ,今国会での成立を目指している。

  この法案は,武力攻撃事態法などが成立した際に政府が先送りし,「1年以内を目標に整備する」と約束し成立を急いでいるもので,国民保護における国と自治体の責務を明確にする一方で,国民の権利制限に踏み込んでいることが特徴である。一般国民を初め医療機関,運送業者,NHKや民放,航空会社なども指定公共機関として,協力義務の対象とされており,さらに平時からの住民を巻き込んだ有事に向けた組織づくり,訓練啓発の実施を義務づけると規定している。

  有事の判断は基準が明確ではなく,情報の多くが防衛機密となり,知事が指示に従わない場合には,首相に代執行権を与えていることから,時の政権の政治的判断に全てを任せてしまうものである。またテロ対策を含む平時からの組織づくりにより多文化,共生のまちづくりが監視の社会へとなる危険性がさらに高くなる。

 国民の保護を目的とする法案であり「関係機関の意見を聴くとともに,十分な国民の理解を得つつ法整備を進める」と国は強調してきたが,国民保護法案の要旨をみると,政府の戦争準備行為に市民は協力を要求されるものの,本来,最も尊重されるべき市民一人一人の安全,そして基本的人権の保障については極めて曖昧である。都道府県知事と関係閣僚が意見交換するなどはされたものの,国民の理解を求めるような説明もなく押し進められようとしているのは問題である。

  よって,本市議会は国に対し,国民生活に多大な影響を与える国民保護法は性急に制定するのでなく,国民へ説明責任を果たし,公聴会などで国民の意見を聞く機会を設けるなど慎重に対応することを強く求めるものである。

  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 
 

平成16年  月  日

千 葉 市 議 会  

 

■結果■議会運営委員会にて審議された結果、本議会に上程されず。
close