11
平成15年第3回定例会                  
(提出年月日)平成15年9月2日
(提出会派名)市民ネットワーク
 
 
教育基本法「改正」への慎重審議を求める意見書(案
 
 

  中央教育審議会(中教審)は,3月20日,文部科学大臣に答申「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」を提出した。中教審は青少年の規範意識の低下やいじめ,学級崩壊など教育の「危機的状況」の打破を掲げているが,教育の荒廃の原因を教育基本法に原因があるかのような結論付けは極めて短絡的と言わざるを得ない。むしろ教育基本法の定める,教育の民主主義的な理念や原則に背く長年の教育政策のゆがみがもたらした結果である。今こそ,平和で民主的な日本をつくることを定めた憲法と,その理念を実現するために教育の目的や方針を定めた教育基本法の精神を,学校教育や社会にきちんと生かすことが必要である。

 また,答申は「21世紀を切り拓く心豊かでたくましい日本人の育成」を目指す観点から,「公共の精神や道徳心,国を愛する心の涵養」を基本理念に据えているが,これらは本来,国民一人ひとりの見識や自主的な判断にゆだねられるべきもので,法律は人の心を律するものではない。そしてこの基本理念を実現するため,国家戦略としての政策目標を掲げる「教育振興基本計画」の策定根拠を教育基本法に設けることとしていることは,国家による教育への介入にほかならない。

 今回の教育基本法改正の議論は中教審の基本問題部会を中心に進められたものであり,幅広い審議を経たものとは言えない。現在の教育基本法改正の動きに対し,少なくとも全国264の市町村議会で,改正に反対したり,慎重な対応を求めたりする意見書が可決されているとのことである。ようやく全国的に「改正」への関心が高まりつつある現在,教育基本法の目指す理念や内容を再確認し,これまでの教育施策の総点検をし,このような検証の過程で国民的な議論と合意の形成が図られるべきである。

  よって,本市議会は国に対し,教育基本法の拙速な改正ではなく,教育基本法の理念を広く国民に浸透させ,全国的な議論を形成した上での慎重な審議を強く求めるものである。

  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 
 
 

平成15年  月  日

千 葉 市 議 会  

 

■結果■ 議会運営委員会にて審議された結果、本議会に上程されず
close