平成20年第3回千葉市議会定例会の速報

 

平成20年度第3回定例会が9月8日から10月3日まで開催され38件の議案が審査されました。そのうち市民ネットワークは平成19年度一般会計、国民健康保険特別会計、市街地再開発特別会計、水道事業会計の各決算、および一般会計補正予算(小規模保育所等整備蘇我スポーツ公園用地取得)に反対しました。

市民サービスの低下は見過ごせない、事業の「選択と集中」を! 

夕張ショック以降、国が法制化を急ぎ、19年度決算より公表することとなった「健全化判断比率」。千葉市は、いわゆる早期健全化団体となる数値ではなかったものの、大変厳しい財政状況であることが明らかになりました。実質公債費比率(標準財政規模のうち、どれだけを公債費(借金の返済)に充てているかを見る指標)は19.6%で政令市中ワースト2位、将来負担比率(将来負担しなければならない負債の標準財政規模に対する割合)は311.6%と、何とワースト1位。

市民ネットワークでは、すでに何年も前より市債や債務負担行為の残高の多いことを指摘し、早急に財政非常事態宣言をし、財政再建をすることを求めてきました。そのつど市長は「非常事態なんかじゃない。苦しい状態ではあるが問題はない」と発言してきました。今回の数値が発表されても、「都市基盤整備を、金利が安いこの時期を好機ととらえ、市債を活用しつつ行ってきた結果」との弁明です。しかし、他都市との比較でも成績が悪かったのです。首長として将来への見通しが甘かったのではないでしょうか。

そして、ここにきての急ブレーキ。「不名誉な早期健全化団体入りはどうしても免れたい」という意識が見え見えで、この1年は、あれもこれも切り捨て。公債費を抑えるための第2次5カ年計画の大幅ダウン、住宅供給公社への20億円に上る債権放棄、病院会計への繰り入れの見直し、等々。もちろん無駄を見直すことに反対はしません。しかし身近な公民館の費用や図書館の資料費、公園の管理費など、どんどん削られています。これまでの財政運営の失敗を(すなわち、健全化団体入りを免れる数値をはじき出すため)市民サービス低下で補うことは見過ごせません。事業の「選択と集中」への市民目線が重要です。(湯浅美和子)

園庭なし、株式会社ありの緊急待機児童対策に「待った!」

千葉市は保育所の待機児童解消に向けて、今年7月緊急3カ年整備計画を立てました。そのうちの定員増対策として株式会社等も含めた事業者に補助金を出し、3年間で駅周辺13か所に「園庭なし」でも小規模民間保育園を認可保育園として整備していくことを示しました。今議会では、今年度分の補助額1億3,500万円が補正予算議案となりましたが、以下の点から反対いたしました。

1点めに、議会への提案が突然で、審議に必要な情報がきわめて不十分だったこと。説明があったのは9月議会直前で募集要項もできておらず、責任ある判断ができませんでした。その後、なんと議案の採決も終わった議会最終日に要項は議員に示されたのです。これではわざと遅らせたのかと勘ぐりたくなります。

2点めに、保育の質の確保の点で疑問を払拭できないこと。初めて千葉市が運営主体に株式会社などの参入を認めたことは大きな転換点です。他市で悪質な株式会社も出ていることから、かなり慎重に保育の質の確保について見極める必要があります。また、今回の小規模保育園は駅周辺ビル内でもよく、周辺の公園を園庭に置き換えられることが大きな特徴ですが、親には便利でもこれらの環境は子どもにとっては問題があります。

3点めに、本来の保育園の整備を従来の5カ年計画のみでなく、次の5カ年計画の前倒しで増設すべきであること。つぎはぎの緊急対策だけで良好な保育環境が維持できるわけはありません。(山田京子)

今後は計画の縮小を!蘇我スポーツ公園

蘇我スポーツ公園は、フクダ電子アリーナや多目的広場、テニスコートなどの整備が進んでいる総合防災公園です。今議会では、補正で5億3,200万円の起債を追加して、用地の一部を取得するという提案がされました。

ここはそもそもJFEの工場跡地で46haあります。そのうちの約33haをUR(都市再生機構)が一括購入して整備を進め、千葉市は何回かに分けてURから買い戻すという計画です。当初の予定では、平成23年度までに事業は終了するはずでしたが、財政難による5カ年計画の縮小で遅れています。今回の取得で16.6ha、用地費だけで71億円、施設整備費を含むと106億円の事業が終了し、今後さらに115億円の事業が計画され、千葉市の負担は70億円と見込まれます。

総合防災公園といっても、災害時に臨海部のこのエリアが防災拠点として機能するかどうかは疑わしく、このエリアに巨費を投じるのは税の無駄遣いです。それよりも地域の身近な場所で気軽にスポーツを楽しめる施設整備と空地の確保を進めることのほうが、市民生活の実態に即し、いざというときにも有効であると考えます。したがって、蘇我スポーツ公園整備については計画の縮小を求めます。(福谷章子)

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