令和5年3月8日
岩﨑明子
市民ネットワークの岩﨑明子です。会派を代表し、本定例会に提案されました議案第11号・令和5年度千葉市一般会計予算をはじめ、第12号から議案第28号までの予算議案、議案第１号から第10号、及び議案第29号から第51号の各議案に賛成し、発議第１号並びに「議案第11号令和5年度 千葉市一般会計予算」等の組み替えを求める動議に反対の立場から、討論を行います。
発議第1号千葉市市民自治によるまちづくり条例の一部改正に関しては、多様な市民意見を審議会での話し合いに反映したいとの趣旨は理解するものの、現在の規定においても十分多様な主体の参加が可能であると解釈でき、また文言を加えることで、対象範囲の限定と読み取られる可能性があることから、本発議には賛成しかねると判断いたしました。
また、「議案第11号令和5年度千葉市一般会計予算」等の組み替えを求める動議については、提案理由に理解できる部分はあるものの、全面的に同意できるものではないと判断するため賛成いたしかねます。
それでは新年度予算について申し上げます。
令和5年度の一般会計の歳入歳出予算は4830億円で、企業会計を含む特別会計と合わせると9190億6300万円で前年度と比較して1．1％の減となりました。
令和3年度まで11年連続で削減されてきた市債残高ですが、新庁舎整備や千葉公園の再整備などにより建設事業債発行額が増えたことなどから、令和4年度の決算では9916億円と、前年度より290億円増える見込みであります。さらに財政調整基金を取り崩して財政需要に対応せざるをえない状況があります。また病院事業における累積欠損金や、基金借入残高などの債務は依然として多額であるなど、本市の財政はいまだ予断を許さない状況にあり、引き続き財政健全性の維持に向けた取組が必要です。また、新型コロナウイルス感染症に関しては、今年5月8日から5類への移行が決定されたとはいえ、今なお収束時期が見通せず、地域経済も完全には回復していない状況の中、国や県と連携しつつ対策に取り組む必要があります。
こうした状況の中、提案された新年度予算は、千葉市基本計画 第1次実施計画の初年度の予算となります。10年後の未来の千葉市の姿である「みんなが輝く 都市と自然が織りなす・千葉市」の実現に向けた第一歩です。人口減少・少子高齢化、地球温暖化に伴う気候変動や、テクノロジーの進展等、社会情勢が変化する中においても、地域コミュニティや経済の活性化を図るための取り組みを積極的に計画事業に位置付け、予算化されたと伺っております。
予算編成にあたっての収支見通しでは、市税収入の回復が見込まれたものの、国庫補助負担金や地方交付税等については国の予算編成の動向を見極めつつ、健全化判断比率への影響も考慮しながらの市債を活用した歳入の確保が必要であり、歳出ではコロナや物価高騰への対応などの財政需要が見込まれ、加えて新清掃工場、新病院の整備、老朽化した市有施設の更新などへの対応もあり、予算編成は難航したことと推察します。
そうした状況を踏まえ、新年度予算案を審査するに当たっては、市長による提案理由説明や、予算審査特別委員会の審査などを通じ、財政の健全性の維持、脱炭素や生物多様性など環境への配慮と持続可能性に重点を置いた取組がされているか、市民福祉向上のため、マイノリティであっても市民の意見を反映した施策展開がなされているか、情報公開と市民との協働が十分であるか、周知方法は適切であるかなどについて、慎重に審査してまいりました。
その結果、国の補正予算を活用しつつ、新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、防災・減災対策の強化や脱炭素社会の実現など持続可能な社会に向けた取組、重層的・包括的な支援体制の構築と医療、健康づくりに向けての施策、子育て支援施策の推進、教育環境の充実など、市民生活向上への施策が進められていること、あわせて、地域経済の活性化や都市の魅力づくり、市民自治を進める取り組みなど、まちづくり施策も展開され、人口減少の局面においても個人や事業者から選ばれる都市となるための事業に予算が配分されていることが確認できました。さらに、市民との意見交換を基に要望を集約した市民ネットワークの令和5年度予算編成に関しての要望に対し、一定の取組がなされていることから、新年度予算案を評価すべきものと判断いたしました。
以下、主な施策に対して意見と要望を交えながら、評価を申し上げます。
はじめに、財政運営についてです。
財政調整基金を取り崩すことについて。扶助費や光熱費高騰などの財政需要増に対応するため、令和５年度当初予算で６０億円の取崩しが行われます。残高は約72億円となる見込みで、平成28年度時点とほぼ同額となります。一般会計の収支不足に対応するために実施した基金借入の残高については、前年度に引き続き、２０億円を返済し、着実に削減されています。「千葉市中期財政運営方針」において、令和４～７年度に、８０億円程度の返済を目指すとされているため、引き続き着実な返済をお願いいたします。今後他の基金からの借入れなどを防ぐため、財源の着実な確保や事業内容の精査等に取り組まれることを求めます。
総務行政についてです。
多文化共生の街づくり推進指針が改定され、「多文化共生アクションプラン」も策定されます。外国人のお困りごとに寄り添える相談窓口の充実や、新規事業のLINE相談を評価します。日常生活に必要な文化の違いを学べる機会の創出、地域住民との相互理解を進める取り組み、学校教育現場と連携して学習言語としての日本語の習得支援に一層の注力を求めます。
災害発生時に自ら避難することが難しい「避難行動要支援者」に対し、福祉事業者との連携強化で個別避難計画の作成に取り組むことを評価します。しかし、支援が必要な度合いによって優先順位をつけて取り組むことから、優先順位が低い方へも、前もって避難計画をたて近隣住民との連携体制をつくっておくことの重要性について周知啓発するよう求めます。
「あなたが使える制度お知らせサービス」は、市民へのプッシュ型の情報提供手段としてさらに活用を進めるべきです。通知できるサービスの充実に今後も取り組むことと、登録者を増やせるよう周知に工夫することを要望いたします。
次に総合政策行政についてです。
千葉市基本計画を推進するに当たりベースとなる考え方として、まずは環境があっての社会であり経済であるという「ＳＤＧｓウェディングケーキモデル 」を基にされたことを評価します。人口減少社会への対応として、個人や事業者に選ばれる都市をめざすための施策が展開されます。人口減少抑制のための調査分析とともに作成される本市のPR動画については、内容の十分な検討と活用方法の工夫を求めます。できるだけ多くの人の目に触れ、共感が得られるような取り組みに期待します。
スマートシティーの推進については、デジタルデバイド対策事業が重要と考えます。スマートフォンやタブレットなどの操作について、自治会や公民館、区役所などを核として地域で助け合える体制づくりを求めます。担い手不足に悩む自治会のデジタル化なども進めようとしているなか、必要なサポートを身近な場所で受けられるような工夫をお願いいたします。
市民行政についてです。
戦後80年となる令和7年度を目途に、「デジタルを活用した平和資料館」の開設準備が進められます。市民ネットワークが要望してきた「常設の平和資料展示」に応える施策と評価いたします。しかし、展示資料の充実が課題と考えます。戦争体験を語れる人を募って映像資料の充実を図ることを求めます。また、どのように展示を見ることができるのか、市民に存在を認知され活用されるための十分な周知をお願いいたします。
町内自治会において、デジタル化とＮＰＯとの連携が進められます。現状では現役世代が自治会に参画しにくく、高齢化の中でいかに地域コミュニティを活性化するかが喫緊の課題です。デジタル化で若い世代の参加を促せると期待しております。すべての地域に区役所職員を地域担当職員として配置することや、若葉区で始まった地域支援プラットフォームの全区展開にも注目しております。地域の中での世代間交流を促すための核として地域担当職員が動けるよう、十分な研修を行うことを求めます。
広報広聴についてです。情報提供の充実を図ることで、市政への市民参画を促せると考えます。市の公式LINEやちばレポの登録者を増やすよう、登録時のスマホの操作から学べる体験講座の開催など、積極的な広報活動を求めます。コロナ禍でなかなか実施のできていなかった、ちばレポサポーター活動の充実も要望いたします。
文化芸術振興についてです。障害の有無にかかわらず楽しめる「チバリアフリーアートプロジェクト」のさらなる活性化を求めます。障害当事者や保護者等の声を広く聴取し、アイディアを活かす仕組みづくりに取り組んでいただきたいと思います。街全体を使って芸術作品の展示などを行い、本市の魅力を感じられるイベント「千の葉の芸術祭」については、今後定期的に開催されることを期待しております。基本構想案に対しては、相反する市民意見もあったため、企画を進めるにあたっては適時市民意見を聴取しながら、実りあるイベントにすることを要望します。
スポーツ振興については、パラスポーツコンシェルジュの一層の活用で、障害の有無にかかわらず普段スポーツに親しむ機会が少ない方へのアプローチを積極的に進め、身体を動かすきっかけ作りに取り組むことを求めます。
男女共同参画推進については、社会に根強くある固定的な性別役割分担意識の解消を図ることが重要です。男性にも女性にも、性別役割分担意識にとらわれることで感じている生きづらさがあると考えます。性別に関わらずその人らしく生きることを選べるよう、講演会やワークショップなどの啓発事業の拡充を要望いたします。
保健福祉行政についてです。
まずは、この3年間のコロナ禍で大変忙しい対応を迫られた、保健福祉局関係職員の方々に厚く御礼を申し上げます。
生活困窮者への支援についてです。困窮の影に発達障害などがある場合、当事者は申請窓口でのコミュニケーションに不安を抱えているケースがあります。障害の特性を理解して窓口と当事者を繋ぐ、よりそい支援ができる体制整備を求めます。
生活保護世帯等に対する学習・生活支援についてです。参加した生徒の高校進学率が高いという成果の反面、生活保護家庭の生徒の参加が少ないことが課題であり、中学1年生への家庭訪問を行う新規事業を評価します。現在、学習する部屋では飲食ができませんが、学習支援へ行く動機付けとして、軽食の提供に向けた検討を求めます。また、多くの生徒が県立高校に進学する中、進学後の退学を防ぐ支援も県市間連携でできるとよいと思います。貧困の連鎖を止める重要な施策であると考えますので、より一層の内容の充実を求めます。
「仮称福祉まるごとサポートセンター」についてです。市民ネットワークでは以前から、県の中核地域生活支援センターと同様の施設を千葉市にも、と要望しており、ようやく実現に近づいたと評価しております。新たなサポートセンターの特徴は、県にはない、専任の市職員を配置することです。関係機関との連携やコーディネートを担う職員の資質向上を図り、後発であることのメリットを生かした、体制作りに万全を期していただきたいと思います。
次期「健やか未来都市ちばプラン」と「食育推進計画」の策定がおこなわれます。計画に位置づけられた事業により、自身の健康に関心を持つ市民が増え、医療費の抑制にも資することを期待しております。食事・運動・睡眠が健康な生活の基本です。ライフステージによって必要な栄養量が分かるように、普段からできる食事の工夫などを、動画を活用して伝えることを要望します。自己管理が難しい方への健康指導の充実も求めておきます。
妊娠・出産包括支援についてです。出生数は減少傾向ですが多胎児出産の比率は微増と聞いています。多胎児育児中の母親は特に社会との繋がりを作りにくく、本人の体調不良や子どもへの虐待にもつながりかねません。情報提供や同じ境遇にある人どうしの繋がりを作る事業に注力することを求めます。今後は、保育システムの利用や、家事育児支援を受けやすくするための予算化もぜひご検討ください。また、保育部門と連携し、すべての母親が産後に身近な保育施設に相談できる体制整備を要望いたします。
がんの集団検診時の子どもの見守りについてです。保育士派遣業者への委託で見守りが実施されることを評価します。どのような障がいのある子どもでも受け入れられる体制づくりを求めます。また、シングルファーザーや家事を主として担う男性のお子さんにも対応していただきたいと思います。
新型コロナウイルス感染症対策については、感染拡大防止には変わらず取り組むことと、５類への移行後も市民生活に混乱がないよう、十分な周知と対策を求めます。
昨年からHPVワクチンの積極的勧奨が再開され、副反応疑いの報告が1件あったと聞いております。全国では、未解決の重い副反応被害もあります。今後ワクチン接種を検討する人へは、副反応の実態を正しく知らせること、ワクチン接種後も定期的な検診は必要であることなど十分な情報提供を行い、接種するかどうかを本人が判断できるようにすることが重要です。新型コロナワクチンにおいても同様で、本人や家族が接種にむけての判断材料にできるだけの、メリット・デメリットの情報を正しく十分に伝えることを求めます。
動物愛護については、収容動物の治療体制の拡充を評価します。動物行政のあり方、今後のセンターのあり方に関する検討については、動物愛護に関係する多様な主体が意見を交換できる機会を継続して議論を重ね、方向性を定めることを要望いたします。
高齢化社会において、介護の担い手不足解消が喫緊の課題ですが、国から支給される処遇改善加算が、現場の介護職員に届かないケースがあると聞いております。市は、疑義が生じれば事業者に対し確認・指導を行っているとのことなので、現場から声を上げやすくなるよう、情報発信や積極的な呼びかけを行っていただきたいと思います。
第６次千葉市障害者計画・第７期障害福祉計画・第３期障害児福祉計画が策定されます。策定過程においては当事者や家族、支援者の声が十分反映されることが重要です。ワークショップなどで市民意見を聴取し、療育支援や移動支援、障害者雇用の促進や親亡き後の居住場所の確保などが行われ、障がいがあっても自分らしく生きられる地域をめざす計画とするよう求めます。
仮称こども発達相談室開設準備についてです。近年、発達障害の相談が増え、療育相談所の予約が数か月先までいっぱいだと伺っています。新しい相談窓口の開設は、早期から発達への積極的な働きかけができることから評価しますが、人材の確保と育成が課題です。市自らが人材育成に力を入れていることを示し、優れた人材の確保につなげていただく事を求めます。
次に子ども未来行政についてです。
こども基本条例の制定については、子どもの基本的人権が尊重され、どのような境遇にあっても、健康な生活が担保され、本人が望む教育が受けられるようになることが期待されます。公募委員も参加する条例検討委員会で活発な議論が行われるよう、話しやすい雰囲気づくりや判断に必要な情報提供に適宜取り組まれ、子どもの健全育成と明るい未来に資する条例とすることを求めます。
こども医療費助成について、保険調剤の保護者負担がなくなることと、多子世帯への対応については評価します。しかし、他自治体との間で制度の違いがあることが課題です。今後も子育て世帯のニーズに合う制度となるよう検討を求めます。
子どもルーム整備・運営についてです。アフタースクールについては、親の就労状況に関わらず、すべての子どもが放課後の居場所として利用できることを評価します。ただし、子どもルームからの移行に関しては、これまでの経験から得られた良さを引き継いで運営されるよう、教育委員会とも連携を図っていただく事を求めます。新たに配置される子どもルーム巡回アドバイザーについては、保育の質の確保に資すると共に、配慮の必要な子どもへの対応について、支援が行き届くことが期待されます。子どもが放課後、安心して過ごせるように、指導員、保護者、学校、アドバイザーが連携をして、子どもの居場所のあるべき姿について考えられるような体制づくりを要望いたします。
児童生徒のヤングケアラー認知度向上については、ヤングケアラー当事者に自覚を促すパンフレットを作成するとのことですが、自覚を促した後のケア体制に課題があります。支援を受けるため必要な機関に繋ぐことはもちろん、ピアサポートや時には家族と離れて過ごせる居場所づくりなどに取り組むことを要望します。
子どもナビゲーターの全区配置を評価します。課題を抱える子どもと家庭に直接アプローチできる子どもナビゲーターが、課題解決のため関係機関との連携体制を強化していくことを期待します。ナビゲーターのスキルアップのための研修の充実も求めておきます。
児童相談所管理運営については、東部と西部の２所体制により、きめ細やかな対応ができるものと期待しております。一時保護所の環境改善については未だ課題もありますが、今回のタブレットを使った学習環境の整備は評価します。職員のスキルアップのための研修の充実を要望します。
働き方が多様化する中、保育需要の多様化へも対応することが必要です。一時預かりの受け入れ枠が不足していることから、引き続き、拡充をご検討ください。保育の質の確保策としては、幼児教育・保育人材支援センターの令和6年開設に向けた準備に期待しています。保育現場の課題把握を的確に行い、多様な保育ニーズに対応できる体制を整えることを求めます。
次に、環境行政についてです。
地球温暖化対策について。2050年のカーボンニュートラルを目標に、バックキャスティングで施策に取り組む「千葉市地球温暖化対策実行計画」が令和5年度からスタートします。目標達成のためには多様な主体がそれぞれに取り組む必要がありますが、市役所が率先して行動することも大切です。「仮称ゼロカーボンアクション推進指針」を策定し職員が脱炭素に取り組むと聞いておりますので、部局横断的に環境配慮行動を意識し実行することを求めます。また、市民の約6割が居住している集合住宅でいかに合意形成を図りながら脱炭素化を進めるかが肝要です。新規事業である脱炭素アドバイザー派遣制度の周知と効果的な活用を働きかけてください。市民意識醸成のための環境学習のPR動画は共感を得やすいよう内容を十分検討し、できるだけ様々な立場の市民の目に触れる方法で公開することを求めます。国の脱炭素先行地域に選定された取り組みも、進捗を公開していくことで、市民の共感と行動変容につなげていただきたいと思います。
水環境・生物多様性保全計画も、令和5年度から始まります。水環境と生物多様性を一体として考え保全を進める、他市にはない取り組みです。策定過程での市民アンケートでは「生物多様性」という言葉自体の認知度が低いという結果でした。ちばレポを使った調査活動に加え、谷津田やビオトープ等での体験活動の機会を充実させれば、生物多様性の認知度も高まり、さらに保全の担い手育成にもつなげられると考えます。イベント開催時は周知を工夫し、多様な世代からの参加者が集められるようにすることを要望いたします。
計画期間10年間の次期「一般廃棄物（ごみ）処理基本計画」も新年度からスタートします。スローガンである「減らそう1人1日100ｇ！止めよう地球温暖化！」の実現に向け、市民がイメージしやすいような具体的な啓発を求めます。可燃ごみの約30％を占める生ごみの減量がすすむよう、食品ロスの削減に向けた取り組みを広げることはもちろん、ミニキエーロや生ごみ処理機への助成制度の積極的な周知に取り組むことを求めます。また事業者にも生ごみ処理機導入が進むよう働きかけていただきたいと思います。生ごみ堆肥化に取り組むグループの実践例を広く共有できるような機会をつくり、地域に取り組みを広げることも要望します。
ビーチクリーンを行う市民団体などを中心に、プラスチックごみ削減の気運が高まっています。ワンウェイプラスチックの削減を引き続き啓発すると共に、新たに行うマイクロプラスチックの河川での調査結果等も周知啓発に活用し、市民の行動変容を促すことを求めます。
経済農政についてです。
「千葉市経済成長・雇用創出ビジョン」の計画期間が新年度から始まります。企業の集積と新規事業の創出については、企業を直接訪ねるなどで信頼関係を築き、企業から選ばれる千葉市になるよう積極的な活動を期待しております。しかし企業立地の際には貴重な自然環境との共存が図れるよう、十分な配慮を求めます。また計画推進にあたっては産官学金民連携や広域自治体連携、コンソーシアムへの参加など様々な主体と積極的に連携・情報交換をおこなうことを求めます。
先ほども述べましたが、令和5年度は本市の千葉市地球温暖化対策実行計画初年度であり、脱炭素元年とも呼ぶべき重要な年に当たります。経済活動と脱炭素をいかに同時進行していくかが課題でもあります。観光MICE企画課で誘致する音楽フェスなどの大規模イベントや、市民花火大会などの市の主催行事では、脱炭素対応を行うことを強く求めます。
食のブランド「千」や、「つくたべ」の取り組みは、本市の都市アイデンティティとしても活用できる資源であると考えます。動画活用や販売会の開催で生産者の思いが消費者に伝わる工夫をするとともに、買いたいと思った時に手に取れる常設の販売場所を設けるよう要望いたします。
次に都市行政についてです。
インクルーシブな公園づくりとして会派の一般質問でも取り上げたことが、今回「だれもが遊べる広場づくり」として予算計上されたことを評価します。どのような広場が欲しいのか、利用する側の考えを丁寧に聞き取ることが大切です。ワークショップの開催で市民の関心と理解を深め、多様な子どもたちが、一緒に楽しめる広場づくりを進めていただきたいと思います。他市の先進事例も調査研究し事業に活かすことを要望します。
千葉駅周辺におけるウォーカブル推進事業については、エリア限定ではあるものの、今ある「車中心」社会の中に「ひと中心」の空間を創っていくという取り組みを評価します。新年度は道路改修に向けた基本設計が行われますが、近隣住民や関係団体の声を聞きながら、人に優しいまちづくりに取り組まれること、またこれらの取り組みを他のエリアにも広げていく方法を検討することを求めます。
市有建築物の計画的保全については、全庁的に改修や修繕を一元化するもので、新年度の実施施設数は72、市債の発行額は35億円以上に及びます。政令指定都市移行時の建築物の老朽化対策が急務である事など、市有建築物の現状を市民に周知し、理解を図っていくことを求めます。
空き家対策については、管理不全の空き家になる前の予防策に注力していくべきと考えます。空き家が増えることと地域に活気がなくなることはつながっているため、地域の活性化をどう図っていくかという視点で、市民団体や事業者の力も借りながら空き家対策を考えることを要望します。
次に建設行政です。
自転車を活用したまちづくり条例が施行されてから、6年になります。かつて、市民ネットワークが発議した時には成立がかないませんでしたが、この条例施行により私たちの思いがほぼ反映されたと評価しております。この4月から改正道路交通法によりヘルメットの着用が努力義務化されます。今まで以上に積極的な周知啓発に努めること、またヘルメットを購入しやすい環境作りを販売者に働きかけることを求めます。安全な自転車運転の啓発や、保険の加入促進なども道半ばであると感じます。自転車の安全確保は期間と目標を定め、早急に対策を講じるよう要望いたします。
次は消防行政です。
まずは、コロナ禍で救急体制のひっ迫にあっても懸命に努力してくださっている職員の方々に敬意を表します。
消防局における女性の活躍についてです。昨年4月1日現在、全消防吏員912人中、女性消防吏員は39人で4.3％と伺っています。目標値は5％ですが、ここ5年間の応募状況は若干減少傾向にあるとのこと。消防局ではかつて不祥事もあり、その後職場研修やラインケア・セルフケアなども実施されていると聞いていますが、すべて職場の中で解決することは難しいと考えます。職場を離れた場所で、ストレスケアができる方法について、専門家の意見も聞きながら検討し、環境整備も行いながら女性が働きたくなる職場を実現するよう要望いたします。
新年度から、機能別消防団員制度が始まります。年額報酬は3分の１で、退職した消防団員や消防吏員を活用しようとするものです。団員充足率が80.２％という現状を打破するためには、退職者以外の人材確保も必要と考えます。例えば防災ライセンス講座の受講者などへも情報提供を行い、人材確保に努めるよう求めます。
次に病院行政についてです。
高齢化に伴い、入院前後の暮らしの支えがより必要になってきているため、市立病院と、患者の住む地域の社会資源を結ぶ地域連携室の存在は重要性を増していますが、人員不足が課題と考えます。地域医療連携は収益の増加にもつながることから、医療の現場と同様に地域連携室への人材確保もされることを要望いたします。
コロナ禍前まで両市立病院で行われていたボランティア活動が、現在は低迷しているとのことです。新病院の開院にあたっては、地元の病院として長く地域に親しまれるよう、事前にボランティアの募集を行ったり、病院の一部にギャラリーを設けて、地元の方の作品を掲示するなど、地域の病院としてその存在感を発揮できるよう工夫をすることを求めます。
勤務医の時間外労働縮減について。時間外労働が多くなる要因の一つに、入院患者家族への説明が、夜間に行われることが多いということがあります。説明を受ける家族も夜、病院に行くことが負担になる場合もあります。今後はオンラインでの説明もできるよう前向きにご検討をお願いいたします。
次に教育行政についてです。
令和5年度は第3次学校教育推進計画、第2次特別支援教育推進基本計画、第2期放課後子どもプラン、第6次生涯学習推進計画の初年度に当たります。先日まで行われていたパブリックコメントをはじめ、計画策定過程においては様々な市民意見が寄せられたと思います。学校においては子ども達の、生涯学習においてはあらゆる世代の市民の、一人ひとりの状況に寄り添った豊かな学びの場が確保されるよう、放課後においては安心できる居場所が確保されるよう、それぞれの計画が推進されることを求めます。
公立夜間中学について。4月の開校が目前に迫りましたが、給食を実施するかどうかなど、開校後にも対処すべき課題が出てくると思われます。関係各所の方々のご協力を得ながら、本市の夜間中学が必要とされる学びの場となるよう、今後も着実な取り組みを続けていただけるよう求めます。
児童生徒性暴力等防止対策検討委員会についてです。本委員会の設置目的は性暴力に特化したものであると理解いたしましたが、セクハラと、体罰などのようなパワハラは結びついており、セクハラ部分だけ切り取って対処することが難しい場面もありえます。また、調査や提言は第3者機関によるものでなければ不十分と考える市民もいます。性暴力防止対策検討委員会が形ばかりとならないよう、また再発防止に向けて有効な提言ができるよう、事務局として最大限のサポートを行うことを求めます。
校則・制服の見直しについてです。現状では、性自認が生まれた性とは異なる生徒が、制服を選べる環境が十分に整っているとは言えない状況です。たかが制服と思われがちですが、当事者にとっては自身の存在価値を問われるような苦痛を毎日味わっているのです。生徒会などが中心となり生徒主体で制服のあり方を考える機会を作れるよう、教育委員会から制服見直し事例をまとめて各学校へ紹介するなどの働きかけを要望します。
稲毛国際中等教育学校英語教育支援についてです。海外との交流は、相互理解を深めるよい機会です。オンラインの活用でさらに進めていただきたいと思います。学校がある高洲・高浜地区は外国人が多く、英語と母語ができるが、日本語が不得意という方もいらっしゃいます。こうした方々と繋がれば、生きた英語を学べる機会が作れると考えます。外国人との相互理解が進まないという地域の課題に、中等教育学校が主体的に関わって、解決にも一役買っていただくことを求めます。
不登校対策について。別室登校児童生徒へ専任の支援員を配置する、ステップルームティーチャーの取り組みに期待します。ただし支援員以外の教職員が不登校に対する理解を深める機会も確保することを求めます。また、不登校の子どもの状況は一人ひとり違います。学びだけでなく休めるような配慮など、個々に合わせた取り組みも充実させ、子どもが行きたくなる学校づくりに取り組まれることをまた、オルタナティブスクールや不登校特例校の設置検討を要望します。
学校給食運営についてです。小学校1校で実施した有機栽培野菜を給食に取り入れることについて、今後も継続することを評価します。生産者が増えないと提供できる学校も増やせないという事情については理解いたしましたが、農政センターとの協働で、取り組みを拡大する方法を検討していただくことを要望します。
医療的ケアが必要なこどもへの看護師配置については、今後も安定的に派遣ができるよう、また受け入れる子どもの人数が増えても対応できるよう、訪問看護ステーションとの連携を求めます。
放課後の子どもの居場所について。第2期放課後子どもプランには「月2回の地域参画プログラム」をおこなうと掲げられています。しかしこれまで、アフタースクールへの地域人材の参画は、必ずしも十分ではなかったと思います。公民館、ちば生涯学習ボランティアセンター等との連携による地域人材の発掘・マッチングなどの取組みに着手したと伺っておりますので、今後もこれまでの放課後子ども教室の経験を十分活かせるよう連携を図っていただく事を求めます。
以上、評価する点や要望などを様々述べてまいりましたが、会派市民ネットワークといたしましては、令和5年度予算案に対し、賛意を表明いたします。財政状況が厳しい中でも、持続可能な市政運営に向け、新規、拡充を含め、必要な事業が盛り込まれていると評価いたしました。
議決後は市長をはじめ職員の皆さまが、事業の目的や得られる成果をイメージしながら予算の執行に当たられることと思います。今後も誰一人取り残さず市民の命と暮らしを守ることを第一に、千葉市らしさをアピールしながらさらなる発展を目指し、誰もが生まれてきてよかったと思える千葉市をめざして取り組まれるよう要望いたしまして、会派市民ネットワークの賛成討論といたします。