令和4年12月16日(金)
山田京子
令和4年度千葉市一般会計補正予算(第173号) について討論いたします。
■出産子育て応援プラン事業について
国において、出産子育て応援交付金にかかる令和4年度二次補正予算が成立したことから、妊娠や出生の届け出を行った妊婦および養育する者に対し、それぞれ5万円を支給することにより、経済的支援を行うものです。
子どもを安心して産み育てやすい環境を作るために、経済的負担の解消を図ることはとても大切なことの一つですので、この補正予算議案については、賛成します。
ただし、何点か市として考えておいていただきたいことがありますので、意見を申し上げます。
これまで、千葉市は、妊娠の届け出の際に、丁寧に面談をおこなっていること、出産後の訪問も全産婦に対し通知をし、9割程度が実施できていることについては高く評価しています。
この事業が始まると、妊娠後期の妊婦にも、面談を行うようになりますので、より詳しい、子育て施策についての相談があったり、情報を聞かれたりすることになるとおもいます。
その時に提供した情報を、その方が実際に使うときになって、使えないということがないように、受け皿の充実はしっかりとやっておいていただきたいと思います。
たとえば、出産後に必要になってくる一時預かりなど、理由は問わないといわれたのに、定員がいっぱいで使えなかった、とか、子育てリラックス館に行ってみたら狭くて満員で、入れなかったとか、子育ての悩みを打ち明け合えるママ同士の交流がしたくても、開催回数が少なくて、でられなかったとか、などを想像してしまいます。
また、行政の職員だけでは市民グループや民間事業者の子育て関連活動や事業を把握できていないこともあるので、たとえば区の社会福祉協議会などが中心となって、官民を包括した子育て関連団体の交流会を開催し、そこで得られた情報を区の職員が、妊産婦などに提供できるよう準備をしていただきたいと思います。
このようなソフト面の施策は、いくら国からの補助金が当事者に届いても、叶うことではありません。
お金さえ出せば、子育て支援になると考える人は少ないとは思いますが、子どもを産んでよかったと思える環境というものは、地域の中での子育てがいかに、安心感が高く、人とのつながりが確保されているかにかかっていると思います。
増えることになった面談を契機に、課題のある方へのアプローチが開始できるメリットもありますので、この事業を活かした千葉市らしい子育て施策を充実させていただきたいと思います。
また、面談のための人員の確保にあたっては、経験のない人材がいきなり担当することのないように、研修なども充実させながら、配置をおこなってください。
さらに、千葉市として、どんな子育て支援が本当に必要かは常に考えておかなければなりません。今回は受け身的な予算措置でしたが、子育てしやすい千葉市だからと選んで移り住み、ここに長く住もうと思ってもらうためには、子育てのどこの部分に焦点をあてて税金を使ったらいいのか、現役の保護者の声、子どもの声に常に耳を傾けていただくほか、子育て期がほぼ終わった年代の方たちに、ライフステージのどこに支援を厚くしてほしいのかを聞き、実際の施策に活かしていただきたいと思います。
一番お金がかかるのは、生まれるときなのか、それとも、大学や専門学校などの高等教育の時なのか、どの時期の支援を一番必要としているのか、幅広い視野でみた支援策を考えていただきたいと思います。
次に
■こどもの安心・安全対策事業について です
国において創設された、送迎用バスの安全装置導入への支援等を内容とする「こどもの安心・安全対策支援パッケージ」を推進する議案です。
内容の一つ目は、送迎用バスへの安全装置の導入支援、二つ目は登園管理システム等の導入支援、三つ目はこどもの見守りタグ(GPS等)の導入支援です。
対象は、民間保育園、幼稚園型を除く認定こども園、地域型保育事業所、認可外保育施設、障がい児通所支援事業所、特別支援学校です。
補助率ですが、安全装置は国が10分の10、登園管理システムと見守りタグは国が5分の3,市が5分の1,事業者が5分の1とのことです。
送迎バスへの子どもの置き去りは、以前にも起きており、9月の決算審査特別委員会、教育未来分科会において、市民ネットの松井議員が質疑をしています。
そこでは、市が緊急点検をおこなったこと、市内ではこども園など37施設で送迎がおこなわれていること、幼稚園は県が実施のため未把握であること、ケガなどの事故については市に報告があるがバスへの置き去りは昨年度は報告なしとのことでした。
今後すべての送迎バスに安全が確認できる装置をつけられるよう求めていたことから、今回の議案に賛成いたしますが、何点か意見を申しあげておきます。
置き去りに早く気が付いて、無事だった事例は報告がないということを考えると、未遂の案件も相当数あることが推測されます。その原因や背景を検証する必要があるとおもうため、「ヒヤリハット事例の集約と検証」は機器導入が行われたとしても、実施していただきたいと思います。
こどもの見守りタグですが、子どもにどう持たせるのかが課題ではないでしょうか。落としたり、わざとおいてきたりもあるかもしれませんし、例えば、ヒモが首に絡むなど、持っているが故の危険もあるかもしれません。
さらに、就学前の子どもに、安全に持たせることができるのかどうか若干の心配があります。
今後、どのような機器を使うかなどの詳細がわかってきたら、実証実験などを十分行って効果的に使えるかどうか見定めてから、補助を行うようにしていただきたいと思います。
そもそも、子どもを預かっている間の事故は、基本的には、職員不足や、仕事の質の低下などが背景にあると推測され、部分的に機器を使った対策をしても、事故をすべて防げるとはかぎりません。
安全装置を使った対策は、機器の故障もあるでしょうし、警報音がうるさいからスイッチを止めてしまう、などということも考えられ、結局、事故にむすびついてしまうことも考えられます。
やはり、基本は、お互い普段から遠慮なく職員間や保護者とのコミュニケーションが図れるような風通しの良い職場であること、労働時間などの管理、待遇が改善方向にあることが大切ではないでしょうか。
最終的には、子どもにかかわる職場の人員配置基準の改善が基本となることから、市として国に対し、十分な人員配置の基準に引き上げるよう、継続して要請していっていただくことを求め、市民ネットワークの討論をおわります。