令和4年12月16日(金)
松井 佳代子
市民ネットワークの松井佳代子です。会派を代表して、市長提案議案に賛成の立場から、意見・要望を述べます。
なお、発議第11号「千葉市適正な再生可能エネルギーの導入等の促進に関する条例の制定について」ですが、市は事業者に対し、指導や勧告、命令や公表をおこなうとの規定はあるものの、それに対する強制力が不十分であり、本条例で市民が望む効果を得られるか、今の段階では懸念があることから賛成しかねるとの結論に達しました。
はじめに、議案第139号 令和4年度千葉市一般会計補正予算(第6号)のうち、民間保育園等運営費についてです。
補正予算の内訳として、保育士等の「処遇改善等加算I」の加算率増などによる3億7000万円の増額が挙げられています。本年4月時点での対象人数は約5000人で、加算については評価しますが、子どもの保育をめぐる環境は、保育士の処遇改善だけにはとどまらない課題が明らかになっています。
静岡県裾野市の認可保育園で園児への暴行容疑で保育士が逮捕される事件がありました。コロナ禍でおもちゃや保育室の消毒など、保育士のやるべき仕事は増えていますが、国の配置基準は改善されず、現場は常に人手が足りず、ぎりぎりの状況です。忙しければ、保育士の気持ちに余裕がなくなり、園全体で改善すべきことも先送りとなり、どの園で事件が起きても不思議ではありません。今回の保育士は1歳児の担任とのことでしたが、自宅で1歳の子ども1人の面倒をみるだけでも大変です。国基準では1歳児6名に対し保育士1名となっており、まさに想像を絶する状況です。国が全国の状況調査に乗り出す方針との報道がありましたが、市も現場目線で保育の状況を確認し、不適切な保育が起こらないよう、保育士が疲弊しないよう、市民が安心してこどもを預けることができるよう、国に対して配置基準の見直しなど、より一層の働きかけをお願いします。
次に、議案第139号 令和4年度千葉市一般会計補正予算(第6号)のうち、ナラ枯れ被害木対策事業についてです。
カシノナガキクイムシが、ナラ・シイ・クヌギなど、どんぐりのなる木の幹に侵入することによって起こる「ナラ枯れ」について、被害木の対策をおこなう事業です。本市の公園緑地においては、2019年に花見川区で初めて被害が確認されましたが、現在、市内全域に被害が拡大しており、被害木の伐採処理や切株の薬剤処理など早急な対策が必要な状況です。
街路樹については、被害木が少ないことから、日常の維持管理経費で伐採処理等を実施する予定と伺っておりますが、他にもマンション等の民間の敷地内にある対象樹種についても注意が必要になると考えます。ナラ枯れについての情報を、被害木を発見した時の対処方法も含め、広く自治会や市民に周知することを求めます。
次に、議案第139号 令和4年度千葉市一般会計補正予算(第6号)のうち、産業用地整備支援事業についてです。
中央区生実町外の地域において、民間による産業用地整備に必要な周辺インフラ整備に係る費用について、建設負担金による支援を実施するものです。産業誘致および雇用の創出の点においては評価するものの、開発行為は大規模であり、山林や希少生物の減少など、近隣の自然環境に多大な影響を与えます。ゲリラ豪雨などで災害が多発する昨今、樹木の伐採で水の流れが変わり、大規模な被害が起きる可能性もあります。動植物の成育状況も含め現地の状況を十分調査し、適切に対処するよう求めます。
続いて、議案第146号 千葉市個人情報の保護に関する法律施行条例の制定について、議案第148号 千葉市情報公開条例及び千葉市情報公開・個人情報保護審議会設置条例の一部改正についてです。
1980年代以降、全国の自治体で個人情報の保護に関する条例が制定され、条例への信頼のもと膨大な個人情報が自治体に集められてきました。本市でも個人の権利利益を保護することを目的とし、1996年4月に「千葉市個人情報保護条例」が施行され、2005年4月に利用停止請求などを盛り込んだ全部改正が行われました。
本年4月1日に3つの法律が統合され、個人情報保護法として改正・施行されました。自治体の個人情報保護条例も、来年4月の施行に向けて各自治体で見直しが行われており、本市では、法の施行のために必要な事項を定める「千葉市個人情報の保護に関する法律施行条例」を制定するとの提案です。
条例案の特徴ですが、1つに「開示請求に係る手数料」を無料とし、これまで同様、写しの作成に必要なコピー代等の実費の負担のみを求めること、2つに個人情報取扱事務目録に関しては、法により個人情報ファイル簿の作成・公表が義務付けられていない1,000人未満の事務、全体の約75%についても、引き続き現行と同様の目録を作成・公表すること、3つに制度の運用状況や、漏えい等の事案に関しては、毎年度、千葉市情報公開・個人情報保護審議会に報告し、個人情報の適正な取扱いを確保するため、意見を聴取する機会を設けることなど、これまでの千葉市の条例の目的や内容を踏まえて、新たな条例に移行することになっています。引き続き、新条例のもとでも個人の権利や利益の保護に努められるよう求めます。また、本市の個人情報保護の概要について、市民にわかりやすく周知いただけるよう要望しておきます。
次に、議案第150号 千葉市こども基本条例検討委員会設置条例の制定についてです。
こども基本条例の制定に向けて、今年度から2024年度まで検討委員会を設置するとの提案です。児童虐待や不登校、こどもの貧困などへの対策に的確に対応するには、行政だけでなく、社会全体で取り組むことが不可欠であることから、こどもに関する施策を総合的に推進するため、こども基本条例の制定を目指すとのことです。
こどもの権利や育成に関する条例を制定している政令市は9市で、それら全ての市において、条例内容を検討するための委員会や既存の附属機関などで審議がおこなわれています。公募市民をはじめ、こどもに関わる事業者など、様々な関係者が条例の制定過程に関わる取組みが行われているそうです。条例の名称に「権利」が入っている条例は、川崎市の「子どもの権利に関する条例」、名古屋市の「子どもの権利条例」、札幌市の「子どもの最善の利益を実現するための権利条例」、相模原市の「子どもの権利条例」となっていて、特に名古屋市は2008年に制定された「なごや子ども条例」を改正し、2020年に「なごや子どもの権利条例」を制定しています。
ちなみに、東京都小金井市の「子どもの権利に関する条例」ですが、こどもにもわかりやすい条文の表記で、ルビがふられています。また、条例に基づいて、本年9月、こどもの権利侵害について相談や救済に取り組む第三者機関「子どもオンブズパーソン」が設置されました。
さらに、最近では、国内各地の社会的養護の現場で、こどもの声を聴き、こどもが意見表明するのをサポートする「子どもアドボケイト」を設置する、子どもアドボカシーの仕組みも始まっています。
「千葉市こども基本条例」については、条例の名称を含め検討委員会で検討され、最終的には条例議案として、市議会で審議することになるとのことです。こどもは権利の主体です。生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利など、1994年に政府が批准した「子どもの権利条約」において保障されている基本的人権を本市でも実現し、現時点における最先端の知見を取り入れた条例にしていく必要があります。こどもの声を聴き、こどもの声を基に条文を検討できるようすすめてください。また、こどもの権利条約に詳しい専門家も委員に委嘱いただけるよう要望します。
こどもが生きやすい社会は、誰にとっても生きやすい社会であり、すべての人を大切にする社会づくりの第一歩となります。「千葉市こどもの権利条例」の名称も念頭に置いて、検討委員会での審議が活発におこなわれるよう希望します。
続いて、議案第153号 千葉市都市公園条例の一部改正についてです。
稲毛海浜公園ですが、民間事業者によって再整備が進められています。新たな施設がつくられるほか、既存の施設も継続して活用されています。今議会での提案は、花の美術館、稲毛記念館、海星庵、野外音楽堂の4つの教養施設を有料公園施設及び指定管理施設から外し、管理許可制度に変更するものです。
管理許可制度は、事業者が主体的に管理運営を行う制度であり、市としても、指定管理委託料の歳出がなくなり、事業者から管理許可使用料の歳入が得られるようになるなどのメリットがあるとのことですが、建物など施設は改修が行われたり、新たなサービスが提供されたりするなどの予定があるとのことですが、市民の意識は「市の施設」のまま変わらないと考えます。市民からの提案や意見、苦情については事業者が対応するとのことですが、それを受けて、事業者に方針を出したり、改善を求めたりする必要もでてきます。その都度、事業者と協議を行うとのことですが、市民の声を真摯に受け止めて、市の施設として適切な管理運営ができるよう対応を求めます。また、サウナの整備など、新たな計画の詳細が明らかになった際には、すみやかに住民への周知を図るようお願いします。
次に、議案第162号 指定管理者の指定について(千葉市中央コミュニティセンター)についてです。
非公募でこれまでと同じ事業者に3年間の指定管理を行うとの提案です。中央コミュニティセンターは2025年度から建物の減築・大規模改修を実施するため、松波分室を除いて2024年度末を持って休館となります。また、他のコミュニティセンターの指定期間は2025年度までとなっているため、全体の指定期間に合わせるとのこと。市民サービスの低下を招くことなく管理運営を継続するため、非公募としたとのことです。
2025年度から管理施設が松波分室のみとなり、管理条件が大きく変わりますが、雇用の継続を希望する職員に対しては近隣の類似施設を紹介するなど、適切に対応することを求めます。また、松波分室については、稼働率が70%近い中央コミュニティセンターと違って、約35%にとどまっています。西千葉駅に近く、日本家屋の特性を活かした集いの場所として、さらなる施設利用促進に向けた創意工夫をお願いします。
続いて、議案第166号 指定管理者の指定について(花園公民館ほか46施設)についてです。
非公募でこれまでの5年間と同じ事業者である千葉市教育振興財団が指定管理を行うとの提案ですが、今回は3年間とし、次の指定期間は生涯学習センターと合わせて再び5年間になることを想定しているとのことです。
現時点では、公民館の管理運営にあたっては、公正性や安定性、教育の専門性、市民に多様で専門的な講座を提供する必要があることから、可能な団体は千葉市教育振興財団とのことですが、将来、地域ごとに指定管理できる団体が出てくることも想定できます。社会情勢も公民館に求められる機能も変化することを踏まえ、継続的に非公募で教育振興財団が管理運営をすると考えるのではなく、指定期間ごとに、詳細な評価と検討を求めます。その際には、各区の公民館運営審議会や社会教育委員会議でも、指定管理者総合評価シートを共有するなど管理運営について取り上げていただき、市民や団体の声を聴いて、判断材料の1つとしていただければと思います。
また、2018年度の指定管理者制度導入以降、図書室の書籍の入れ替え、机や椅子の更新、畳の表替え、Wi−Fiの導入、社会教育主事を直営時の4人から25人に増員するなど、市民サービスの向上に努められたことは理解しました。今後とも事業をすすめる人材の資質の向上や、処遇の改善について要望します。
特に、公民館のミッションである「地域のニーズに対応した社会教育事業の実施」、「幅広い市民の多様な利用に供する地域の総合交流拠点として充実を図る」については、主催講座の充実が必要です。2017年度の787講座から、昨年度は1065講座へと大幅に増加したそうです。これまでの趣味や教養に関するものに加え、子育てや介護制度、デジタルデバイド対策のスマートフォン講座など、現代的な課題の解決につながる講座も増えてきているとのこと。自主サークルについては、昨年度、生ごみリサイクル講座をはじめ、英会話や体操教室などの参加者が、新たに16のクラブ・サークルを設立し、公民館での継続した活動につながっているとのことでした。これをどのように地域課題の解決に結びつけていくのかが今後の課題です。
地域課題と公民館の連携について、打瀬公民館の事例紹介がありました。地域に大規模修繕を目前に控えたマンションが多くあることから、幕張ベイタウンニュースとの連携事業として、「マンション管理入門講座 〜上手な大規模修繕工事〜」と題して、住民目線の大規模修繕基礎知識の習得と、それぞれのマンションが抱えている課題・疑問についての講座を開催したとのこと。打瀬公民館では、他にも、一般社団法人 飼い主防災と連携して、地域の防災講座を実施したり、動物ボランティア団体に協力して、ねこの譲渡会を開催したりするなど、地域課題に積極的に取り組んでいる様子がよくわかります。
利用者数や満足度だけではなく、このような好事例を広く紹介し、市民が公民館に親しみを持ち、地域の課題解決の拠点として最大限活用されるよう、今後も公民館の果敢な挑戦に期待しております。
今議会では公民館や中央コミュニティセンターの他、指定管理者の指定についての議案が、「亥鼻公園集会所」「下田都市農業交流センター」「栄町立体駐車場」「千葉公園総合体育館および第1駐車場」「千葉市休日救急診療所」「千葉市霊園(桜木霊園・平和公園)」において提案されました。それぞれについて、今ある施設の特性を活かしてさらなる施設の利用促進が図られるよう、自主事業の充実や市民サービスの向上について、利便性を良くするための工夫について、指定管理者とも協議してすすめていくよう要望します。
また、昨今の原油価格の上昇で、電気料金やガス料金の値上げ等の影響が多方面で出ています。本定例会にも光熱費の増額や物価高騰への対応など、複数の議案が上程されました。新型コロナウイルス感染症の動向もまだ予断を許しません。困難な立場に置かれる市民に寄り添い、市民生活に資する対策を着実に進めていただけるよう求めつつ、市民ネットワークの討論を終わります。
ご清聴ありがとうございました。