決算討論

令和3年10月5日
松井佳代子

 

市民ネットワークの松井佳代子です。会派を代表して、令和2年度決算議案について「認定」の立場から討論を行います。

昨年度は年度当初から新型コロナウイルス感染症対策に追われる1年となりました。市民のいのちと健康を守るため、医療体制を確保し、PCR検査をすすめ、ワクチン接種に向けての準備をするなど、保健福祉局を中心にさまざまな施策が展開されました。保健所が運営する「新型コロナウイルス感染症相談センター」での相談件数は約89000件にのぼりました。

また、日常の暮らしを支え、事業を継続させるために、学校や施設、事業所などにおいて、マスクや消毒用エタノールなどの確保をすすめました。市内事業者に対しては、臨時相談窓口を設け、国や県の支援メニューを紹介するとともに、市独自の経済対策も導入しました。宿泊施設におけるテレワークプランの販売促進、飲食店のデリバリー対応支援、テナント支援、理美容店利用促進、ひとづくり応援講座等利用促進など、積極的な施策を展開しました。

特に支援が必要な人たちのために、5月から平日夜間および休日に電話やLINEの心のケア相談を実施したり、濃厚接触者となった在宅サービスを利用する高齢者が、継続してサービスが受けられるよう支援をおこなったりするなど、さまざまな事業を臨機応変に提案し、迅速に対応しました。

これらの緊急事業をもってしても、支援が行き届かず取り残されてしまった方、今後も継続的な支援が必要な方がいることは否定できません。市民からはさまざまなお怒りの声も頂きました。しかし、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金をはじめ、国の補助金を活用し、本市財政への影響が少ない方法で、最大限の効果があがるよう事業展開をおこなったことについては評価します。

このほか、子育てや教育に関連する新規・拡充事業を積極的におこない、さらには「災害に強いまちづくり 政策パッケージ」の各種施策を推進するなど、足元の課題に着実に取り組みました。多大な財政需要の中でも、市民に身近な事業については積極的に取り組み、全体として適切な財政運営がおこなわれたと判断しました。

それでは、決算についての意見と要望を申し上げます。

令和2年度の決算のポイントとして、大きく2点、1つに「実質収支の確保」、もう1つに「将来負担の着実な低減」をあげています。

1つめの「実質収支の確保」については、新型コロナウイルス感染症の拡大兆候を見据えながら、猶予特例債や減収補てん債などの発行、補助金の活用によって、大幅な減収の影響を緩和することができています。当初予算の編成の後、11回の補正予算編成を経て、一般会計歳入決算額は過去最大規模の5767億7200万円、歳出決算額は5701億8900万円となり、57億2400万円の黒字を確保しました。この結果、財政調整基金の残高も、令和元年度の89億2900万円から令和2年度には128億1,100万円となる見込みです。財政需要が高まる中で、感染症対策を進めながらの歳入確保と効率的な予算執行の取り組みを評価します。今後、必要に応じて財政調整基金を積極的に活用し、市民に迅速に届く施策をおこなうよう求めます。

2つめの「将来負担の着実な低減」については、厳しい財政状況にも関わらず、主要債務総額は4682億円となり、第3期財政健全化プランに掲げた主要債務総額の削減目標「令和3年度までに4800億円程度まで削減」を超える結果となっています。将来負担比率は対前年度比9.5ポイント減の128.8%へと縮小し、実質公債費比率も対前年度比1.1ポイント減の11.8%へと改善がみられました。市債残高については、令和2年度も1兆円以下を維持し、9700億8400万円となりました。令和元年度と比較すると31億5100万円の減少となっています。

課題もあります。実質公債費比率は、政令市20市中最下位が続いており、将来負担比率も下から6番目と、公債費や将来負担に係る比率が高い状態です。着実に改善されてはいますが、今後も新庁舎や清掃工場、千葉公園体育館の整備、さらには公共施設の老朽化対策など、増額となる要因があることから、事業の精査をしながら、緊張感を持って財政運営をおこなう必要があります。また、資産経営の取り組みについては、「公共施設等総合管理計画」に基づき、長期的視点で考え、令和2年度から11年度までに約18万平方メートル(約7%)の所有床面積縮減に取り組む必要があるとされていますが、地域ごとに市民との対話を丁寧に行い、市民の合意を得ながらすすめることを求めます。

また、基金について、一般会計への貸付残高は、市債管理基金等の4基金で237億4000万円となっています。令和2年度は前年度に引き続き、市庁舎整備基金へ10億円の返済に留まりました。それぞれの基金本来の目的が果たせるよう、着実な返済を求めます。

病院事業会計については、新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、両市立病院とも前年度に比較して病床利用率が低下し、外来患者数も減りました。医業収支は悪化したものの、千葉県新型コロナウイルス感染症対策事業補助金を受け入れたことにより、医業外収益は大きく増加しました。支出についてみると、患者数が減ったことで医業費用が減少しましたが、病院事業会計は11億5600万円の黒字を確保し、累積欠損金は74億3400万円へと前年度から改善しました。

新型コロナウイルス対応では、青葉病院、海浜病院とも、感染症対策をしながら入院患者の受け入れを行っており、公立病院としての機能を十分発揮していると考えます。医療関係者お一人お一人のご努力に感謝を申し上げるとともに、新病院の整備も始まる今こそ、第4期千葉市立病院改革プランに沿って、足元からの経営改善に取り組み、地域の期待に応える病院づくりを求めます。

次に令和2年度の各事業について、評価や意見、要望を申し上げます。

はじめに、防災対策です。
「災害に強いまちづくり 政策パッケージ」の取り組みなど、災害時における電力確保や避難所へのスポットクーラーの設置、さらには、多言語防災メール配信サービス、地域防災無線の更新など、令和元年度の台風被害の教訓に基づき、各種事業を積極的にすすめました。また、防災備蓄品も拡充されました。備蓄品については、今後、更新計画を策定されるとのことですが、有効な再利用方法や保管状況の確認など、きめ細やかな観点での計画策定を求めます。

土砂災害危険箇所等のハザードマップについては、作成や配布にとどまらず、活用しての訓練を行い、いざという時に混乱が生じない体制づくりを要望します。また、まちなかにある危険なブロック塀について、撤去費用の助成制度があるものの、申請数が伸び悩んでいます。今後は地域からの申請にも対応できるよう拡充を求めます。家具転倒防止対策については、市営住宅やUR賃貸住宅をはじめ、本市にあるすべての賃貸住宅で原状復帰の必要なく転倒防止金具等を取り付けられるよう、市が団体や事業者と協定を結ぶことを改めて提案します。

防災リーダーの養成について、防災ライセンス講座、防災ライセンススキルアップ講座の受講者については、講座終了後にも参加者同士で情報交換をおこない、スキルを高め合い、地域防災に活かす仕組みをご検討ください。

今後の課題として、感染症拡大のリスクを抱えながらの避難所のあり方について、障がいのある人、高齢の人、外国語での対応が必要な人、ペットを連れている人など、それぞれのケースについて詳細を分析し、分散避難や在宅避難のための備えなど、市民への啓発活動を進め、できる範囲で防災訓練・避難所開設訓練を再開することを求めます。

つぎに、地域日本語教育の推進です。
新型コロナウイルス感染症の拡大にも関わらず、外国人登録数は28,530人と前年度に比べても減っていません。日本語の教育を必要とする人が約2,000人いること、また、学習意欲はあるものの学ぶ場を得られていない人が35%いることがわかりました。令和5年4月に開校する夜間中学も含めて、学びの場の整備は喫緊の課題です。外国人介護職員のための日本語教室も介護人材の確保の観点から始まっていますが、さまざまな部局が連携して、横断的に事業を進めることを求めます。

つぎに、オリンピック・パラリンピックについてです。
アスリートの学校訪問や各種イベント、市内各地域でのパラスポーツの体験会、都市ボランティアの活動などが企画されましたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、縮小せざるを得ない事業もありました。今後も、本市のレガシーとなるよう、引き続き、パラスポーツの推進とボランティア体制の充実に取り組むよう求めます。

続いて、男女共同参画推進事業についてです。
パートナーシップ宣誓制度の宣誓組数が1年で29組、延べ89組になるなど、本市のダイバーシティ推進の取り組みがすすんでいます。誰もが個人として尊重され、暮らしやすい社会になるよう、引き続き、市としての取り組みを要望します。また、本市男性職員の育児休業取得率は、92.2%と全国的に見ても高いことがわかりました。取得環境が整っていることを、職員採用などでアピールしてください。

つぎに、生活困窮者対策です。
花見川区に生活自立・仕事相談センターを新設するとともに、自立相談支援員を20人から26人に、アウトリーチ支援員を3人配置し、相談急増に対応しました。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、住宅確保給付金の支給が前年度の20倍にもなっています。困難を抱える人たちの相談および支援には時間も労力も必要です。今後も当事者の気持ちにより添いながら、きめ細やかで迅速な対応ができるよう、事業の拡充を求めます。

続いて、妊娠・出産包括支援についてです。
母子健康包括支援センターの支援相談員の増員について、評価いたします。対面による相談が難しくなっていますが、新型コロナウイルス感染症の状況を見ながら、妊産婦の悩みに寄り添った支援が継続できるよう、オンラインの活用など工夫をするよう求めます。

子育て中の保護者への支援についてです。
コロナ禍でなお一層、子育ての孤立化がすすんでいるなか、一時預かりは子育てをする人の大切なセーフティネットとなります。一時預かりを断った率が、平均で1割以上あり、最大のところは、8割以上と聞いておりますので、早急に一時預かりの受け入れ枠の拡充を求めます。

つぎに、高齢者・障害者の移動支援についてです。
福祉有償運送事業者の立ち上げ及び運営経費に対する助成事業ですが、立ち上げ補助は0、運営補助は2法人となりました。買い物や通院など市内全域で必要とされる事業ですが、対象法人が少なく、また、立ち上げの難しさも明らかになったと考えます。今後については、制度の周知が行き届くよう工夫するとともに活動団体から寄せられる声をよく聞き、市として必要な支援をおこなうことができるよう、内容の見直しを求めます。

自殺対策についてです。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、生活困窮に陥る方、心の健康を損なう方、引きこもりがちになる方が増えています。普及啓発の充実やゲートキーパーの養成を進めることとあわせて、じっくりと話を聞いてもらえるボランティアの養成など、自殺に追い込まれることがない社会づくりを推進するよう求めます。

続いて、子どもの放課後の居場所に対する支援です。
アフタースクール事業については、令和2年度には各区2校計12校と拡充され、待機児童の解消につながりました。提供されるプログラムのあり方については、利用する子どもや保護者の意見を聞きながら改良していくことを求めます。子どもルームについても、緊急3か年アクションプランに基づき、16か所を整備し、920人の受け入れ枠の拡大がおこなわれました。今後も子どもたちが安全に過ごせる放課後の居場所となるよう求めます。とくに、新型コロナウイルス感染症の拡大局面にあっても、保護者の生活を支えるセーフティネットとして、安定して施設運営ができるような仕組みを求めます。

つぎに、学校内での支援体制の充実についてです。
スクールカウンセラーが小学校大規模校で拡充され、高等学校2校にも新たに配置されました。また、スクールソーシャルワーカーが8人から10人へと増員され、年間配置時間数も増えました。スクールロイヤーに法律相談ができる体制も整えられました。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大後、国費によるスクール・サポート・スタッフが増員配置されていますが、教員の働き方改革の観点からも、引き続き活用できるよう、国に対しての予算要望を求めます。

続いて、不登校児童生徒の学習支援とフリースクールとの連携についてです。
学校以外の学びの場を確保し、子どもたちの学ぶ権利を守ることは行政の責務です。フリースクールに通う児童生徒に対して、学習支援モデル事業を取り入れ、経済的な支援が必要な児童生徒に交通費や実習費の助成をおこなったことについて、教育機会確保の観点から評価するとともに、助成対象の拡充を求めます。また今後も、不登校当事者・保護者・フリースクール等との意見交換を行い、必要な支援を拡充することを要望します。

つぎに、公民館についてです。
令和2年度は、コロナ禍で、公共施設を使っての社会教育の主催事業が激減しました。初期には感染症対策のノウハウもなく、動きづらかったことは理解しますが、後半には市民の活動を牽引する立場として、オンライン講座等に積極的に取り組むべきだったと考えます。また、サークル活動や市民活動が、制約を受ける中、活動をどう継続していくか、親身になって相談できる公民館であってほしかったと思います。毎年社会教育主事も増えていることから、是非とも市民の自主的な活動に寄り添い、地域課題の解決などをサポートできる公民館になることを求めます。

つぎに、地産地消の推進についてです。
食のブランド化推進で、市内産農作物も含めたプロモーションと販路拡大支援を行ったことは評価します。今後は小規模な農業者であってもブランド化を目指せるような生産支援の仕組みづくりや、販路拡大支援を行い、地産地消を進めることを求めます。

続いて、大気汚染対策についてです。
市民の健康的な生活を守るため、環境調査等が行われていますが、臨海部を中心に、降下ばいじんによる生活被害を訴える市民がいます。臨海部の製鉄工場に対し、粉じんの飛散対策を徹底するよう指導を強化することを求めます。また、継続して取り組まれている降下ばいじん調査ですが、今後環境目標値が見直された際には、被害地域の状況を的確に把握し、改善が図られるようにすることを求めます。

気候変動への対応についてです。
昨年11月に、気候危機行動宣言を発出しましたが、市民への啓発が不十分です。市が率先してCO2削減のための具体的な行動に取り組むとともに、市民や事業者が取り組むべき行動を周知し、世界規模の気候危機への対策に、積極的な関与を求めます。

最後に、令和2年度から引き続き作業がすすめられている次期基本計画を市民参加で策定すること、県市間の連携を一層すすめることを求めます。新型コロナウイルス感染症の影響を的確に把握し、その都度、市民に寄り添った新たな事業展開をきめ細やかに、着実に推進することを要望し、市民ネットワークの討論といたします。

 

 

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