令和3年第3回定例会 議案質疑

令和3年年9月9日

松井 佳代子

市民ネットワークの松井佳代子です。会派を代表して議案質疑を行います。

はじめに、
議案第82号・専決処分について(令和3年度千葉市一般会計補正予算(第6号))のうち、自宅療養者健康観察センター運営事業について
伺います。

本事業は、新型コロナウイルス感染症患者の増加に伴い、自宅療養者が増加していることから、自宅療養者の健康観察や、オンライン診療による投薬等を行う健康観察センターを設置・運営する新規事業として、本年7月30日に専決処分されたものです。

ワクチン接種が高齢者を中心に進んでいるものの、変異ウイルスの拡大による感染の広がりは収まらず、若年層への感染拡大が続いています。本市においても7月下旬以降患者が急増し、8月2日には千葉県に緊急事態宣言が発令されました。市ホームページで発表されている「市民の感染症患者の発生状況」によると、9月8日時点の感染者数は2287で、入院中は211(うち重症が7)、ホテル療養25、自宅療養2041、入院・ホテル療養等調整中10となっています。医療体制は逼迫し、患者の約1割しか入院できない状況です。

このような中、昨日、9月8日に痛ましい情報が飛び込んできました。新型コロナウイルスに感染し、自宅療養中の50代男性がお亡くなりになられたとのことです。

報道によると、男性は9月3日に発熱し、翌日陽性が判明。自宅療養可能と判断され、保健所は9月4日と5日、電話で健康観察を行い、体調不良などがないことを確認したそうです。6日に、男性の職場から「連絡が取れない」と保健所に連絡があり、自宅で亡くなっている男性が発見されたとのこと。男性は基礎疾患があり、ワクチンの接種歴はなかったとのことです。

亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、自宅療養に伴うさまざまな不安を市民1人1人が抱えることがないようにする必要があると考えます。

自宅療養者健康観察センターの設置については、保健所業務の軽減を図るとの目的で、当初は8月開始予定でした。感染症が拡大する局面においては、専決処分をおこない、事業費を確保して、一刻も早く開始することに異論はなく、市民ネットワークでもその必要性を認めていました。ところが、現時点においても

1 開始時期が未定と聞いております。その理由についてお聞きします。

これ以降は、質問席にて議案質疑を続けます。

<答弁>

保健福祉局医療衛生部医療政策課

保健福祉局長答弁

全国的な看護師不足の影響で、委託予定先の採用が不調であることが原因であります

健康観察センターが開始できない理由として、看護師の確保が一番の課題となっていることはわかりました。それでは、

2 看護師の確保は事業者に委ねているのか、それとも、本市でも確保にあたっているのか、伺います。

<答弁>

保健福祉局医療衛生部医療政策課

保健福祉局長答弁

本事業は、健康観察センターの運営を委託するものであり、看護師の確保は委託業者の業務の範囲となりますが、看護師が全国的に不足している事態については、本市の宿泊療養施設事業やワクチン接種事業等を通じて承知しており、本市でも看護師派遣会社等に直接アプローチしております。

ワクチン接種を拡大するには、多大なマンパワーを必要とするため、潜在看護師などへの呼びかけもされていると聞いています。一方、健康観察センターでの採用が難しいのは、陽性患者との接触など、勤務条件が厳しいなどのことがあるのでしょうか。そこでお聞きします。

3 看護師は自宅療養者を訪問するのでしょうか

<答弁>

保健福祉局医療衛生部医療政策課

保健福祉局長答弁

健康観察センターの看護師の業務は、電話等を利用した自宅療養者の健康観察であり、異変を察知した場合はセンター常駐の医師に相談の上、オンライン診療や往診できる医師、看護師を手配することを想定しているため、自宅療養者への訪問は考えておりません。

看護師が自宅療養者の訪問をしないのであれば、保健所業務のどの部分が軽減されるのか明らかにしたいと考えます。

4 この健康観察センターの業務内容はどのようになりますか

<答弁>

保健福祉局医療衛生部医療政策課

保健福祉局長答弁

保健所の依頼によって、軽症や中等症の自宅療養者の日々の健康観察を行う他、体調不良時に提携する医療機関に、オンライン診療や訪問診療の手配を行う内容となります。

健康観察や医療機関への手配について、すでに自治体との連携ができているのか、実績があるかどうかについて伺います。
5 他の自治体で同様の事業を委託しているところはありますか

<答弁>

保健福祉局医療衛生部医療政策課

保健福祉局長答弁

神奈川県や世田谷区が本年2月から同様の事業を委託していると承知しております。

電話等による業務であれば、健康観察センターの所在地は市外であっても業務に支障はなく、開始へのハードルは低いと考えますが、開始にあたって、十分な予算が確保されているのか伺います。

6 事業費4億4800万円の内訳はどのようになっていますか

<答弁>

保健福祉局医療衛生部医療政策課

保健福祉局長答弁

健康観察センターの委託業務として、200万円が電話の開設やシステム構築にかかる初期費用であり、残りが8カ月分の医師、看護師の人件費等の運営経費であります。

先に述べたように、新型コロナウイルスで亡くなられる方が出ないようにするためにも、自宅療養者の不安を解消するためにも、今後は初期段階での投薬など、訪問診療が重要になってきます。そこで、

7 本事業について、医師会との連携はあるのかお聞きします。

<答弁>

保健福祉局医療衛生部医療政策課

保健福祉局長答弁

健康観察事業につきましては、医師会とも協議しながら進めております。健康観察の結果、不調を訴える自宅療養者へのオンライン診療や投薬配送等医療提供については、市医師会や市薬剤師会と提携しております。

次に、
議案第83号・令和3年度千葉市一般会計補正予算(第7号)のうち家族面会室整備支援事業について
お聞きします。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止しつつ家族との面会を実施するため、介護施設等が行う家族面会室の整備に要する経費を助成する事業です。

補助対象は広く、市内の高齢者施設491施設に本助成事業の意向を打診したとのことですが、希望があったのが6施設とのこと。判断に迷った施設もあり、希望が少なかったのではないかと考えます。そこで、意向調査の期間はどのくらいあったのか、また、どのように調査をやったのか伺います。

<答弁>

保健福祉局介護保険事業課

保健福祉局長答弁

意向調査の期間については、実施希望の有無についてのみ、照会日を含めて7日間の回答期限で行っており、補助対象となる491の介護施設等のうち、結果として6施設の応募があったものです。
6施設となった理由としては、既に家族面会室が整備済みであったこと、補助の要件となっている面会室設置スペースや出入口が確保できないこと、民間会社の施設は賃貸物件も多いため、改修等が困難であったこと等が考えられます。

改修について、工事費の一部を施設が負担しなければならない場合は、希望を出しづらいと考えられます。そこで、お聞きします。

2補助上限が1施設あたり350万円となっていますが、工事の平均費用はどのようになっていますか

<答弁>

保健福祉局介護保険事業課

保健福祉局長答弁

1施設あたり約299万1千円となっております。

補助上限350万円以内で工事が可能であると理解いたしました。次に、家族面会ができる施設はどのくらいあるのかについてお聞きします。昨年春、最初の緊急事態宣言が発令された際には、施設に入所している家族に会えないとの苦情が多数寄せられました。その後、それぞれの施設で工夫をされたと考えますが、

現時点で、すでに家族面会が可能な施設の把握状況を伺います。

<答弁>

保健福祉局介護保険事業課

保健福祉局長答弁

本市の施設も含む一般社団法人千葉県高齢者福祉施設協会が令和3年6月に行ったアンケートによると、感染対策を講じながら普段どおりの面会を実施している施設が約8%となっており、特定の場所での直接面会や遮蔽物越しの面会を行っている施設が約57%との調査結果となっております。

本年6月の調査では、約65%の施設が工夫しながら面会を行っているとのことですが、入所者や家族の立場からすると、もう少し面会可能な施設が増えればと思います。ほかにもさまざまな声を拾い上げて頂きたいと考えますが、面会の1つの手段として、オンラインの活用について伺います。

オンライン面会は本事業では対象ではないとのことですが、これまでにもオンライン面会の助成制度はなかったと把握しています。新型コロナウイルス感染症が拡大している状況においては、オンライン面会も重要と考えますが、本市として事業者の支援をどのようにしていますか

<答弁>

保健福祉局介護保険事業課

保健福祉局長答弁

事業所に対し、スマートフォンアプリLINEを活用したオンライン面会等の実施方法について通知する等、実施方法の周知や技術的な支援を行っております。

引き続き、
議案第88号・千葉市客引き行為等の防止に関する条例の制定について
伺います。

本条例は、客引き行為等を防止するための市や市民等の責務を定めるとともに、繁華街等の指定された区域内での客引き行為等を禁止するほか、必要な事項を定めるものです。はじめに、

1 本条例制定の背景について、お聞かせください。

<答弁>

市民局市民自治推進部地域安全課

市民局長答弁

市民の方から客引き行為への対策を求める要望が増加する中、昨年度に条例制定に向けた客引きの実態調査を実施した結果、中央区富士見地区で最大90人程度、海浜幕張駅周辺で10人程度の客引き行為者を確認しており、この中には、千葉県の「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」による規制が難しい居酒屋等への客引き行為者も多く存在しておりました。
県条例では、接待飲食店や性風俗店への客引き行為等と、人の身体若しくは衣服を捕らえたり、所持品を取り上げたり、身辺に立ち塞がる等の執ような客引き行為等に対してのみが規制対象となっていることから、実態調査の結果等を踏まえ、本市として居酒屋等の客引き行為等への対策も行うこととし、条例を制定しようとするものです。

富士見地区、海浜幕張駅周辺での実情を踏まえてとのことですが、市民の方からも「客引きがいるので、まちの印象が悪くなる。ぜひ取り締まりを」などの声を頂いています。本年実施された客引きに関するウェブアンケートでも、「客引き行為等について、規制すべきと思う、どちらかといえば規制すべきと思う」と回答した者が、1047人中969人、約93%になったことからも、何らかのルールは必要です。ところで、

船橋市、柏市、市川市等がすでに同様の条例を制定していると聞いています。本条例について、千葉県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(いわゆる、迷惑防止条例)との整合性はどうでしょうか

<答弁>

市民局市民自治推進部地域安全課

市民局長答弁

本市の禁止区域内においては、接待飲食店や性風俗店への客引き行為等及び業種に関わらず執ような客引き行為等は、県市双方の条例において禁止行為となります。
この場合は、県条例の方が罰則が重いことなども踏まえ、千葉県警察と情報共有等連携を図りながら対応して参ります。

県内他都市でも、独自の条例を制定して、同様の客引き行為等を規制しています。悪質なものは県の条例を適用し、そこまでの行為ではないにしても、規制すべき対象となるものは、市の条例を適用していると理解しました。さらに伺います。

3 他政令市での制定状況はどうか、罰則を設けているところはありますか

<答弁>

市民局市民自治推進部地域安全課

市民局長答弁

政令市のうち8市が本市と同様の条例を制定しており、その内5市が平成30年度以降に施行しております。
罰則につきましては、全ての市が5万円以下の過料を規定しております。

他政令市では、ここ数年の間に同様の条例が次々と制定され、居酒屋や接待飲食店への客引きを規制する動きとなっています。全国的に見ても、また、県内を見ても、このような行為が急に活発になってきたのではないかと考えられます。ところで視点を変えて、

千葉市路上喫煙等及び空き缶等の散乱の防止に関する条例(いわゆる、路上喫煙・ポイ捨て防止条例)については平成23年7月の罰則導入以降、平成24年度には年間2814の過料件数が令和2年度には293件と10分の1に減少しました。この条例は、屋外の公共の場所でのポイ捨てについて、2000円の過料を科すものですが、年を追うごとに効果が出ています。本条例についても、制定後の効果に期待していますが、そのために、どのように実効性を高めていくのでしょうか、お聞きします。

<答弁>

市民局市民自治推進部地域安全課

市民局長答弁

地元の地域団体や千葉県警察などと連携し、街頭での周知活動を行うとともに、禁止区域内で営業している店舗等が、違反行為をしない旨を市に申し出た場合に、協力店であることを証するステッカーを店舗に貼っていただくことなど、客引き行為等をしない、させないという機運を醸成して参ります。

また、条例の違反行為罰則等の規制が適用される令和4年4月から、過料処分に携わる指導員に警察OBを配置する予定としており、必要な限度において立入調査等も実施して参ります。
さらに、禁止区域内に所在する土地又は建物を店舗等として使用する契約締結に際し、土地等の提供者に対し違反行為をしない旨を約させることを努力義務とし、違反行為を公表したときに提供者へ違反内容を通知できることとしております。
これらの取組みにより実効性の確保に努めて参ります

最後に、
議案第94号・訴えの提起について
お聞きします。

本市小学校で発生した元教諭による児童への強制性交等事件について、国家賠償法第1条第1項に基づき、学校の設置管理者である市に対して訴訟が提起されました。令和3年3月に損害賠償を命じる判決が確定したことから、同年4月30日に市は賠償金等を支払いました。その後、原因行為者である元教諭に対し、国家賠償法第1条第2項の規定に基づき、原告らに支払った賠償金等の全額に相当する額の求償金の支払いを求めました。しかし、元教諭がこれに応じないため、その支払いを求める訴えを提起するものです。はじめに、

1この訴えを提起する必要性について伺います。

<答弁>

教育委員会教育総務部教育職員課

教育次長答弁

求償金は本市が保有する債権であり、債務者が支払いに応じない場合、地方自治法の規定により、督促、強制執行等の必要な措置をとらなければならないこととされております。
また過去の裁判例においても、最高裁判決で「客観的に存在する債権を理由なく放置・免除することは許されない」とする判断が示されております。
本件については、債務者である元教諭に対し求償金の支払いを求め、その後督促、催告をしておりますが、元教諭がこれに応じないため、訴訟手続きにより履行を請求するものです。

これまでに、国や自治体において、本件のような事例について同様の訴えが行われたことは把握していないとのことですが、国家賠償法第1条第2項には「公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する」と定められており、求償権に基づき、元教諭に支払いを求めることと理解しました。しかしながら、求償金の支払いは、家族などに求めることはできず、本人のみへの請求となっています。その場合、

被告は懲役14年の実刑判決を受け、服役中のため、現時点での請求は難しいのではないかと考えますが、求償金について、請求期限はあるのでしょうか

<答弁>

教育委員会教育総務部教育職員課

教育次長答弁

債権には時効があり、求償債権の時効は5年となっておりますが、今回訴えを提起し、判決が確定することにより、時効期間を10年とすることができます。
今後は、少額での一部支払いや刑期を終え出所した後の支払いを約束させる等、債務を承認させ、時効を更新することにより、改めて時効期間を10年とし、債権を回収できるよう、粘り強く求めて参ります。

以上で市民ネットワークの議案質疑を終わります。ご清聴ありがとうございました。