令和2年第4回定例会 一般質問

2020年12月9日(水)

松井佳代子

市民ネットワークの松井佳代子です。一般質問をおこないます。

はじめに 「介護保険について」 です。
介護保険制度が始まってから今年で20年になります。この間、国は2005年、2008年、2011年、2014年、2017年、そして2020年と介護保険法の改正を断続的に行ってきました。特に2005年の改正からは、地域包括ケアシステムの構築をすすめ、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自立した生活を送れるよう、医療、介護、予防、住まい及び生活支援サービスを切れ目なく提供する体制をつくってきました。
3年毎に見直しが行われる本市の介護保険事業計画も、現在、第7期となっており、計画に基づき保険料の設定、サービスの整備や提供が行われています。しかし全国的に見ても、高齢化の急速な進展に伴い、支援や介護が必要な高齢者が増えています。介護費用は右肩上がりに増えており、40歳以上が負担する保険料も年々増えています。そこで、本市における

(1)介護保険制度の現状と課題についてどう捉えていますか、お伺いします。

(保健福祉局高齢障害部介護保険管理課) 
(保健福祉局長答弁)
介護保険についてお答えします。
介護保険制度の現状と課題についてですが、
介護保険につきましては、3年を計画期間とする介護保険 事業計画に基づき運営しており、今年度は第7期計画の最終 年度となります。
第6期計画の最終年度である平成29年度と今年度の9月分実績で比較しますと、
要支援・要介護認定者数が
平成29年度 4万  592人から
令和 2年度 4万4,790人へ、
保険給付費が
平成29年度 48億  400万円から
令和 2年度 52億7,400万円へと増加しております。
 今後も、高齢化の進展に伴い給付費の増加が見込まれていることから、本制度を維持し、安定的にサービスを提供するため、自立支援・重度化防止に向けた取組みを進めて参ります。
以上でございます。

次に 「災害対策について」 です。
昨年9月の房総半島台風、10月の東日本台風、そして10月25日の大雨では、本市でも貴重な人命が失われ、屋根の破損など住宅の被害が相次ぎました。今年7月には九州地方で大規模豪雨災害が発生し、熊本県球磨川をはじめ、国が管理する6水系6河川で浸水被害が発生しました。特に、球磨川では、2カ所で決壊、11カ所で氾濫するなど、浸水面積が約1060ヘクタールにも及びました。今後も、地球温暖化に伴う気候変動により、局地的な集中豪雨を原因とする洪水や土砂災害などの被害が頻発することが予想されます。
本市では、11月20日に「千葉市気候危機行動宣言」を発出しました。地球規模で直面している気候危機を、市民、団体、企業、大学、行政などの様々な主体が共有し、これに立ち向かう行動を進めていくことを目的としています。宣言内容は、1つに、消費エネルギーの削減や再生可能エネルギーの創出に加え、再生可能エネルギー由来電力の活用を進めることにより、2050年の二酸化炭素排出量実質ゼロを目指すこと。2つに、気候変動による自然災害や健康被害などの影響への適応策に取り組み、市民の生命・生活・安全がおびやかされることのないまちを目指すこと。3つに、気候変動への危機意識を共有し、自ら行動を起こすことにより、将来世代も安心して暮らせる持続可能なまちを目指すこと、としています。
今回はとくに、「市民の生命・生活・安全がおびやかされることのないまちを目指す」ことに注目しています。本市では、浸水想定区域や土砂災害警戒区域、防災情報を盛り込んだ「千葉市地震・風水害ハザードマップ」を作成しています。いざという時すぐに行動できるよう、あらかじめ土砂災害や洪水などの危険を知り、指定緊急避難場所や避難経路等の防災情報を把握できる仕組みです。そこで、

(1)洪水浸水想定区域、土砂災害警戒区域について、本市で指定されている区域とその世帯数について、お聞かせください。

(総務局防災対策課)

(総務局長答弁)

 災害対策についてお答えします。
洪水浸水想定区域及び土砂災害警戒区域の本市における指定区域と世帯数についてですが、
洪水浸水想定区域については、水防法に基づき、県が水位周知河川として指定した都川、小中川、村田川、鹿島川が想定最大規模の雨量で氾濫した場合の浸水区域が、令和元年12月から本年5月末にかけて順次、指定・公表されておりますが、世帯数については未集計となっております。
また、土砂災害警戒区域については、土砂災害防止法に基づき、地形図等で調査対象とされている市内の280箇所中、271箇所が区域指定されており、約3,300世帯が居住しております。
以上でございます。

続いて 「市立稲毛高等学校・附属中学校について」 伺います。美浜区高浜にある稲毛高等学校ですが、1979年に開校し、昨年、創立40周年を迎えました。1990年に国際教養科が設置され、2007年に併設型の附属中学校が開校し、長期にわたって、児童生徒の進学先として高い人気を保ち、地域になくてはならない学校として定着しています。特に、中学校卒業段階で進路選択をする際、将来は英語を活かした仕事をしたい、海外で活躍したいなどの希望を持つ中学生は、国際教養科を有力な選択肢としています。
2018年度に開催された学校教育審議会では、1年をかけて「市立高等学校改革の方向性」を審議しました。その答申を受け、昨年、稲毛高等学校・附属中学校について、中等教育学校へ移行することを方針案としました。現在、学校が抱える課題への対応も踏まえてとのことですが、はじめに、学校の

(1)現状と課題について伺います。

(教育委員会学校教育部教育改革推進課)

(教育次長答弁)

市立稲毛高等学校・附属中学校についてお答えします。
現状と課題についてですが、
市立稲毛高等学校・附属中学校は、併設型中高一貫教育校として、「確かな学力」「豊かな心」「調和のとれた体力」を培い、国際社会の一員として、自ら発信し、行動できるグローバル・リーダーの育成を目指しております。
学校では、生徒の興味や関心、能力に応じた多様な学びが展開されておりますが、一方で、附属中学校から入学した生徒用、高等学校から普通科に入学した生徒用、国際教養科の生徒用の3つの教育課程が編成されており、教育課程が複雑となっていることが課題として挙げられます。
以上でございます。

以上で1回目の質問を終わります。ご答弁をよろしくお願いいたします。

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ご答弁ありがとうございます。引き続き、介護保険について質問いたします。

2000年に介護保険制度がスタートしてから、断続的に見直しが続けられ、被保険者にとってはサービス内容がますます理解しづらいものとなっています。通常、保険の加入に際しては、加入時に保険内容、保険料、給付金の説明がありますが、介護保険については「40歳になって、知らないうちに第2号被保険者として保険料をとられるようになっていた」との方が多く、実際に自分や家族がサービスを受ける段階になって、その詳細を知るのが現状です。そこで伺います。まずは、65歳以上の

(2)第1号被保険者になった段階でどの様な通知をしていますか。

(保健福祉局高齢障害部介護保険管理課)
(保健福祉局長答弁)
65歳の誕生月の前月に、介護保険被保険者証、介護保険  制度のリーフレット、あんしんケアセンターのリーフレット 及びチェックリストを郵送し、制度の御案内を行っております。

65歳の時点では、介護保険のサービスを利用する人の割合は少なく、自分事として考えられる制度ではありません。時には「病院で見せる健康保険証と同じように、介護保険の保険証を施設に見せるだけで介護サービスが受けられればよいのに」との声を聞くこともあります。サービス利用者にとっては、制度が複雑で手続きに手間がかかるので使いづらいのが実情です。介護保険についても、通常の保険と同様に、情報の公開とわかりやすさが必要です。そこで、

(3)介護保険パンフレット「みんなで支え合う介護保険」の配布や活用状況 について伺います。

(保健福祉局高齢障害部介護保険管理課)
(保健福祉局長答弁)
 「みんなで支え合う介護保険」は、原則、毎年度作成し、市役所及び区保健福祉センターでの配架に加え、あんしんケアセンター、市立病院及び図書館等へ配布し、周知を行っております。
 区やあんしんケアセンターへ市民の皆様が相談に訪れた場合に制度を説明するために使用するほか、退院時の円滑なサービス利用につなげるため、病院にも配布をしております。

「みんなで支え合う介護保険」には、制度の説明がわかりやすく掲載されていますが、細かい部分や、自分に当てはまるかどうか、他に利用可能なサービスはないかなどといったことは、専門家の説明を受けながらでないと、理解することができません。介護サービスが必要になってから慌てて制度を知るのではなく、日常的に保険制度について学ぶ機会が必要ではないでしょうか。そこで伺います。

(4)介護保険制度について、出前講座等、市民や民生委員などの当事者に近い人たちが学ぶ機会はありますか。

(保健福祉局高齢障害部介護保険管理課)
(保健福祉局高齢障害部介護保険事業課)
(保健福祉局健康福祉部地域包括ケア推進課)
(保健福祉局長答弁)
 特定の業種の方を対象とした介護保険制度についての研修や学ぶ機会を設定してはおりませんが、市政出前講座や類似の 講座において包括的に対応しているところです。
 介護保険制度に関する講座としては、
平成30年度は9件
令和 元年度は8件の申込みがあり、開催しておりますが、その中には町内自治会や民生委員などからの申込みもあり、 広く対応できているものと判断しております。

市の出前講座は市民が広く利用することができますが、市全体で年間1桁の申し込み数は、少ないと言わざるを得ません。介護保険制度について、特に40歳以上の被保険者が広く学ぶ機会が各地にあればと思います。そこで、

(5)公民館や生涯学習センターなど、社会教育施設の主催講座で介護保険について取り上げられたことはあるか、お聞きします。

(教育委員会生涯学習部生涯学習振興課)
(教育次長答弁)
 地域に密着した社会教育施設である公民館において、千葉市成年後見支援センターや千葉市あんしんケアセンターなどとの連携により、認知症や成年後見制度など、介護をテーマとした主催講座を実施し、介護保険の内容についても取り上げております。

聞くところによると、「介護保険制度について」とのテーマでは、参加者にアピールができない、人が集まらないとのこと。「認知症」や「成年後見制度」といった関心の高いテーマで講座をやる際に、介護保険にも触れているとのことでした。しかしながら、介護保険制度は、介護だけでなく、生活の支援や医療にも関わる重要な仕組みです。テーマを「高齢でも快適な生活を送るには?」「健康長寿の秘訣」など工夫し、介護保険の理解につながるような講座の開催を要望します。
次に、介護予防・日常生活支援総合事業、いわゆる総合事業について伺います。現在、総合事業は要支援者向けの訪問サービスと通所サービスがあり、自治体の裁量で行われています。そこで、本市における

(6)介護予防・日常生活支援総合事業の現状はどうか お聞きします。

(保健福祉局高齢障害部介護保険事業課)
(保健福祉局高齢障害部高齢福祉課)
(保健福祉局長答弁)
 本年11月1日時点での事業所数は、訪問系サービスでは 「訪問介護相当サービス」及び「生活援助型訪問サービス」の合計で365か所あり、事業開始の平成30年4月と比べて 約18パーセント増加しております。
 通所系サービスでは「通所介護相当サービス」及び「ミニ  デイ型通所サービス」の合計で211か所あり、30年4月と比べて横ばいとなっております。
 また、住民主体によるサービスでは、令和元年度末時点での登録団体数は、「地域支え合い型訪問支援」が3団体、「地域支え合い型通所支援」が6団体と少ないため、今年度から、 運営費の助成単価を引き上げるとともに、新たに定額助成と して基本費を追加するなど、地域を支える団体の活動の促進を図っております。
 なお、今年度は、11月末時点で「訪問支援」は1団体、 「通所支援」は2団体が新たに登録しております。

総合事業については、住民主体型サービスのある自治体は少なく、全国で約15%とのこと。そのような状況の中でも、本市で新たな団体の登録があったことは、評価できると考えます。今後も市が登録団体の支援を継続してくださるよう求めます。また、今年10月に厚生労働省の省令の改正が行われ、総合事業のルールの緩和が決まりました。来年4月から施行されます。現在は総合事業のサービスを使えるのは要支援であることが原則で、要介護以上は使えないことになっていますが、今後は、これまで住民主体型サービスを利用していた人が、要介護になっても引き続きサービスの利用を希望し、市が認める場合は使えるようにするというものです。
これについては、要介護者へ総合事業の対象を拡大するようになれば、必要な介護サービスの利用ができなくなるのではなどの反対意見が寄せられています。そこで、お聞きします。

(7)制度改正による総合事業のルール緩和について、その考え方と本市の対応はどのようになりますか。

(保健福祉局高齢障害部介護保険管理課) 
(保健福祉局長答弁)
 現在、国において、「第8期介護保険事業計画」の策定にあたっての基本的な記載事項を定める「介護保険事業に係る 保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針」の案が示されており、その中で、「市町村の判断により、希望する要介護者が総合事業の対象となり得ることに留意する」との記載がされております。
 要介護認定が要支援から要介護に変わった利用者が、引き続き受け慣れたサービスを希望する場合に、市町村の判断により、総合事業を利用することが可能になるものとされておりますが、本制度改正については、詳細が明らかになっておらず、他都市の検討状況等も含め、注視して参ります。

総合事業のルール緩和によって、要介護者のサービスを介護保険の給付から外すことになるのではとの懸念が広がっています。保険料を払っていても、将来、介護保険のサービスを受けられなくなる状況になるのであれば、保険とは言えません。制度の改正について、市の対応を検討し、その後、丁寧な説明を求めます。続いて、

(8)あんしんケアセンター及び生活支援コーディネーターによる総合事業の支援体制はどのようになっていますか、また、介護保険外の「すきまの支援」について、本市の考え方と対応について伺います。

(保健福祉局健康福祉部地域包括ケア推進課)
(保健福祉局長答弁)
 あんしんケアセンターでは、生活支援コーディネーターと連携し広く社会資源情報を収集しており、要支援認定を受けた方等のケアプランを検討する際には、これらの情報を基に利用者の意向や心身の状況等を勘案し、地域支え合い型や生活援助型のサービスも積極的に取り入れるようにしております。
また、介護保険外の「すきまの支援」については、地域に暮らす高齢者の日常生活上の課題を的確に把握するとともに、自治会、民生委員、市社会福祉協議会地区部会、民間団体等の多様な関係者が、我が事として解決策を検討するなどして、その地域に必要な具体的な取組みに繋げていくことが重要であると考えます。
そこで、この取組みを一層推進するため、あんしんケアセンター圏域を活動範囲とする、第2層生活支援コーディネーターを段階的に増やし、高齢者が住み慣れた地域で生きがいを持って生活していくための支援体制を強化しております。

あんしんケアセンターや生活支援コーディネーターが、住民主体の居場所や支援サービスの情報を収集するとともに、必要な方に情報提供すること、さらに踏み込んで、地域住民とともに、居場所やサービスづくりを積極的に進めていくことも必要です。各区にあるいきいきプラザやいきいきセンターですが、居住地域によっては「そこまでは行けない」との声も聞かれます。そこで、生活圏の中に、できるだけ多くの居場所や支援サービスがつくられるような取り組みを求めます。
なお、あんしんケアセンターも生活支援コーディネーターも国の介護保険事業の中で整備されている仕組みです。本市が市民向けの介護保険学習会を主体的に提供することによって、身近なケアマネージャーさんがどのような制度のもとで配置されているのか、地域包括ケアシステムとは何か、介護保険でできること・できないことは何か、保険料はどのような仕組みで集められ、使われているのかなど、多くの人が介護保険について知り、制度への理解を深めることができます。持続可能な保険制度および安定的なサービスが提供できるよう、さまざまな取り組みを工夫していただけるよう要望します。

次に 災害対策について 伺います。
先ほどのご答弁によると、東京湾に注ぐ都川・村田川、印旛沼に流入する鹿島川などが想定最大規模の雨量で氾濫した場合の浸水区域が、千葉県から順次指定・公表されています。通常は川幅が狭く、水量も乏しい箇所もありますが、内陸部の都市化に伴い、自然が持つ保水機能が著しく低下しています。そのため、集中豪雨などに対する治水が十分にできず、河川沿いの地域では浸水や冠水の危険が生じます。新たに指定・公表された区域については、順次、世帯数、さらには高齢者人口の集計を行うよう求めます。
また、本市は2019年3月、立地適正化計画を策定しています。将来の人口減少を見据え、居住や都市機能の立地を、駅などの公共交通沿線や大規模団地などの日常生活拠点へ緩やかに誘導していくための計画です。ちなみに、この計画では、浸水や土砂災害の危険性について考慮されているのでしょうか。そこで伺います。

(2)洪水浸水想定区域、土砂災害警戒区域について、立地適正化計画の居住促進区域となっている場所はありますか。

(都市局都市総務課)
(都市局長答弁)
立地適正化計画作成時点において、洪水浸水想定区域は都川流域の中央区中央や神明町など、本市の中心市街地を含む人口密度が高い区域が指定されていたことから、これらの区域を居住促進区域から除くことは現実的ではないため、居住促進区域に含めております。
土砂災害警戒区域につきましては、土砂災害特別警戒区域も含め、同計画作成時点では居住促進区域から除外しております。
一方、洪水浸水想定区域、土砂災害警戒区域ともに、当計画策定後に、随時、県により追加指定が行われており、そのうち一部は居住促進区域内となっております。

洪水浸水想定区域と計画策定後に県により追加指定された土砂災害警戒区域は、現在は立地適正化計画の居住促進区域に含まれるとのことですが、都市機能を誘導するのではなく、できれば回避する方向へ計画を変更すべきではないでしょうか。人口減少時代の土地利用適正化に向けて、都市計画、土地利用計画に反映することが考えられます。そこで伺います。

(3)両区域での追加指定に対し、立地適正化計画の見直しについてどう考えますか。

(都市局都市総務課)
(都市局長答弁)
 洪水浸水想定区域のうち、市内の河川においては、概ね50年に1回程度の確率で起こり得る「計画規模」に対する洪水浸水想定区域が指定されておりましたが、それに加え、平成27年の水防法改正により、概ね1,000年に1回程度の確率で起こり得る「想定最大規模」の浸水想定区域を、県が令和元年12月より順次、指定・公表しております。
 この想定最大規模の洪水浸水想定区域については、例えば、都川では美浜区幸町から中央区蘇我、中央区出洲港から若葉区高根町に至るなど広範囲となっており、居住促進区域から除くことは現実的ではないため、災害時の避難経路やハザードマップの周知などの防災分野との連携も含めた検討が必要と考えております。
一方、土砂災害警戒区域につきましては、追加指定された区域についても居住促進区域から除外することを原則として、まちづくりへの影響を見極めつつ検討して参ります。

50年に1回の確率で発生する「計画規模」の浸水被害については、下水道施設を整備したり、土地のかさ上げをしたりするなど主にハード面の対策を行うことになりますが、1000年に1回の確率で発生する「想定最大規模」の浸水被害については、ハード面の対策だけでは難しいため、避難計画などのソフト面での対策も講ずる必要があると言われています。本市は海に面しており、高潮の想定最大規模の被害は、美浜区全域及び中心市街地をも含む大規模なものになるとされています。そこで、今後は、どの地域であっても、避難計画などソフト面の対策が必要となります。そこで、まずは計画作成の前提となる、現状について伺います。

(4)洪水浸水想定区域、土砂災害警戒区域、高潮浸水想定区域に指定されている箇所の高齢者や障がい者の福祉施設を把握していますか。

(総務局防災対策課)
(総務局長答弁)
概ね50年に1回程度の確率で起こり得る、洪水浸水想定区域内及び本年4月1日時点までに指定された土砂災害警戒区域内の施設については、それぞれ3施設と7施設であり、地域防災計画に掲載しております。
また、概ね1,000年に1回程度の確率で起こり得る想定最大規模の洪水及び高潮の浸水想定区域や、本年4月1日以降指定した土砂災害警戒区域内にある福祉施設等については、現在、県が年内を目途に抽出作業を行っており、その後、市が精査する予定としています。

想定最大規模の洪水及び高潮の想定区域や今年度、県が新たに指定したに土砂災害警戒区域については、県の区域指定・公表を待って、福祉施設が何か所あるのかを確認してください。
なお、今年7月に発生した熊本県の水害ですが、県内の犠牲者は65名、そのうち、球磨川流域の犠牲者は50名とされています。流域の犠牲者の大多数が溺死で、65歳以上の方が86%にのぼります。特に特別養護老人ホームの千寿園では1階にいた高齢者14名が亡くなっています。洪水浸水想定区域、土砂災害警戒区域、高潮浸水想定区域に指定されている箇所では、避難確保計画を作成するなどして、移動困難な高齢者が避難できるよう支援する仕組みを考える必要があります。そこで伺います。

(5)避難確保計画について、市が、作成指導をする必要がありますが、どのようにしていきますか。

(総務局防災対策課)
(総務局長答弁)
土砂災害警戒区域内、想定最大規模の洪水浸水想定区域内の対象施設については、施設の精査を行った後、地域防災計画に施設名称と住所を定めるとともに、施設を所管する関係課や関係機関による避難確保計画の作成指導を行い、令和3年度当初から、施設による作成を進められるよう取り組んで参ります。
 また、高潮については、県による高潮浸水想定区域の指定が済んでおりませんので、指定され次第、洪水等と同様の手続きを行って参ります。
併せて、これらの施設に対し、今年度作成した千葉市地震・風水害ハザードマップを活用し、各種災害のリスクを周知して、防災意識を高めていきたいと考えております。

避難確保計画は、被害を最小化するため、福祉施設や住宅を建設する時の指導要綱に盛り込むことも考えられますが、できれば浸水想定地域には住宅や福祉施設をつくらないことが望まれます。そこで、

(6)洪水浸水想定区域、土砂災害警戒区域での、新規の施設建設について、どのように考えますか。

(都市局建築部宅地課)
(都市局長答弁)
洪水浸水想定区域に福祉施設を新規に建設することについて、都市計画法上の制限はありません。
土砂災害警戒区域のうち、土砂災害特別警戒区域に指定されている区域において建設する場合には、「土砂災害警戒区域等における土砂防災対策の推進に関する法律」に基づき、土砂災害防止のために必要な技術基準に従った擁壁の設置などの対策工事がなされる計画であれば、県知事により許可されることとなっております。
また、近年、毎年のように自然災害が頻発し、甚大な被害が発生していることから、自然災害に対応した安全なまちづくりを推進するため、都市計画法が改正され、令和4年4月からは、福祉施設や病院などを建設するための開発行為は、土砂災害特別警戒区域を原則含めないこととなります。
ただし、建物に安全上の対策が講じられている場合や、利用者の安全な避難が可能である場合、または、土砂災害特別警戒区域内に建物を建設せず、立入禁止などの措置を講じている場合などは、土砂災害特別警戒区域を開発区域に含めることができ、本市において開発許可を行うこととなります。
このため、新規の福祉施設を建設する場合には、これらの  安全性の確認などを行うことで、適切に開発行為の指導を行って参ります。

法的に施設建設は問題がなく、土砂災害警戒区域においても、安全対策が講じてあれば、建設ができるとのことですが、できればハザードマップで3メートル以上浸水する場所に施設はつくらない、やむをえずつくる場合は、かさ上げをするなどの対応が必要と考えます。また、本市でも今後、人口が減っていきます。土地利用の見直しを行い、できるだけ危険を回避するような働きかけが必要です。なお、すでにある施設については、安全を守るための取り組みが必要です。例えば、その施設について、避難確保計画がつくられているか、入居者に対して説明が行われているのか、行政が把握できる取り組みが求められます。そこで伺います。

(7)洪水浸水想定区域、土砂災害警戒区域にある既存の福祉施設において、どのような対応をしていますか。

(保健福祉局高齢障害部介護保険事業課)
(保健福祉局長答弁)
特別養護老人ホームなどの福祉施設が定めている運営規程では、「非常時の対応方法」、「非常災害対策」などを定めることとなっており、本市職員が施設に出向いて実地指導を行う際に、各施設の被災リスクに応じた適切な記載がなされているか確認を行うとともに、不備等があれば助言・指導を行っております。
また、利用者に対して、入所時に運営規程の概要を説明することとなっていることから、十分な説明が行われているか、という点についても確認を行っているところです。

既存の福祉施設については、人命被害をなくす取り組みを行う必要がありますが、行政が助言・指導するだけでなく、施設管理者、利用者、住民の間で情報を共有する必要があります。また、徹底的な避難体制づくりが必要です。球磨川の水害で14名が犠牲となった特別養護老人ホーム千寿園では、近所の人が2階に避難しそびれてしまった入所者を救助したそうです。
また、今年4月以降、県はウェブ版ハザードマップを順次公開しており、本市で想定される被害規模を明らかにしています。さらに、本年8月の法改正により、不動産取引時に水防法に基づく洪水・内水・高潮ハザードマップを活用した説明が義務化され、本市でも不動産団体と不動産取引時に、防災情報の周知に関する協力協定を締結しました。
昨年度、地域防災計画や水防計画を修正し、内水氾濫などの情報を施策に活かす取り組みをされていますが、今年度も新たな区域指定・公表に伴い、

(8)地域防災計画や水防計画の見直しは行うのか、お聞きします。

(総務局危機管理課)
(総務局長答弁)
 本市「地域防災計画」及び「水防計画」については、毎年検討を加えることとなっており、修正の必要がある場合は、「千葉市防災会議」を開催し、内容を審議のうえ、決定して参ります。
なお、要配慮者利用施設については、「地域防災計画の資料編」に定めるものであり、「千葉市防災会議」の審議を必要としないことから、県の抽出結果を精査した後に、速やかに計画に反映して参ります。

高度経済成長以前の昭和の時代は、防災施設が不十分で、河川の流域では小さな洪水を少しずつ体験し、災いをやり過ごす知恵を持っていました。洪水後も自費で住宅のかさ上げなどの修理を行い、災害に見舞われても地域が継続できるような災害文化、すなわち災害から立ち直る「レジリエンス」が存在していました。ところが、防災施設が整備されるようになると、水害の頻度が減少するとともに、都市化が進行し、災害文化の伝承が途絶えてしまいました。人為的に作られた安全神話や行政への依存意識が高まり、水害に脆弱な住民が増え、設計基準を超える洪水や治水対策はすべて公費で賄うことになりました。しかしながら、どれだけ堤防を高くしても、下水道施設などハード面の整備をしても、想定外の洪水がおこります。
滋賀県では嘉田由紀子知事の頃に流域治水条例を定め、どのような洪水であっても、最優先は人命が失われることを避けること、そして、生活再建が困難となる床上浸水などの被害を避けることを目的として、川の中の対策に加えて、川の外の対策を総合的に進めていく治水を行いました。例えば、雨水貯留浸透機能を確保し、農地だけでなく、建物、公園、運動場などの管理者等が雨水を貯めたり浸透させたりすることを努力義務化しています。また、家づくりにおいても治水を取り入れ、従来からの住宅のかさ上げのほか、水害リスクの高い浸水警戒区域において、住居建築の際、想定水位以上で避難上有効な床面や屋上があることや想定水位以下の構造が耐水性のものでなければならないといった構造チェックをおこなうとしています。さらには行政が主体的に、浸水被害を回避・軽減するための調査研究、教育等に努めることとし、水害に強い地域づくり協議会を開催したり、出前講座や水害履歴調査を行ったり、周知啓発活動を行っています。
ほかにも、河川の氾濫で大規模水害が予想されている東京都葛飾区では、昨年6月に「浸水対応型市街地構想」をまとめ、浸水につよいまちづくりを目指しています。平常時は水に親しむ「親水」の観点から、ライフジャケットを装着してのレクリエーションを行い、水に浸る「浸水」の際には命や暮らしを守るしくみを確保することが目標です。「浸水対応型市街地」のあり方とは、1つに、大規模水害発生時、誰もが安全な避難空間に待避できること、2つに、大規模水害浸水発生時、長期的な避難にも耐えられる生活機能・基盤が確保されること、3つに、都市-河川空間一体で動線が確保されることとなっています。
このように浸水をやり過ごす発想は海外でも取り入れられており、ニューヨーク市の沿岸部では100年に1度の高潮浸水被害を想定した再開発計画が進行しています。住民を災害から守るアイデアを広く募集し、例えば、水辺が見えないほど堤防を高くして防災対策をするのではなく、普段はショッピングセンターの壁になっている箇所が、水害時には可動式堤防として活用されることで、まちから水辺へのアクセスを可能にするなどの構想が提示されています。水に親しむ「親水」と水に浸る「浸水」とが近い存在となり、昭和の時代のように、水とともに生きることが見直されています。
最後に、本市でも災害弱者の避難を支えるために、避難行動要支援者名簿が作成されていますが、その活用状況は地域によって差があり、地域で支援する人を確保できるのか、有効な支援ができるのか、全市的に体制整備ができているとはいえません。東京都杉並区では、避難行動要支援者名簿とは別に、自力での避難に不安を持つ住民を希望制で登録する「地域のたすけあいネットワーク」を展開し、この登録者台帳をもとに、「個別避難支援プラン」を作成しているそうです。また、大分県別府市では、ケアマネージャーなどが高齢者や障がい者のケアプランを作成する際、災害時の避難方法も考えて個別計画を作る取り組みをおこない、避難訓練で計画の実効性も確認しているとのこと。本市でも2021年度から始まる次期「千葉市高齢者保健福祉推進計画」の災害・感染症対策の項目に「避難行動要支援者名簿にハザードマップ情報を追加することにより、支援体制の強化を図る」ことが盛り込まれる予定です。洪水浸水想定区域に居住する要支援者や福祉施設の入所者についても、それぞれの状態に応じて個別避難計画を作成すること、随時見直しを行って、当事者のニーズに即したものにすること、できる限り近所の人が支援に関わることができるような仕組みを構築していくこと、日常的に訓練を行って計画を検証していくことなど、実効性あるものとする工夫が必要です。日頃から防災情報を市民に対して広く発信し、水に親しみながら自然災害への不安をできるだけ軽減することができるよう、さらなる取り組みを要望いたします。

続いて 「市立稲毛高等学校・附属中学校について」お聞きします。先ほどのご答弁では、市立稲毛高等学校・附属中学校は、国際社会の一員として、自ら発信し、行動できるグローバル・リーダーの育成を目指しているとのことでした。これは生徒の将来の姿であると考えられますが、日々の教育において「確かな学力」「豊かな心」「調和のとれた体力」を培うために、どのような工夫をされていますか。特色ある教育活動として

(2)探究活動を行っているとのことですが、この概要について伺います。

(教育委員会学校教育部教育改革推進課)
(教育次長答弁) 
市立稲毛高等学校では、総合的な探究の時間において、発達段階に応じた探究活動に取り組んでいます。
1学年では「千葉市創生プロジェクト」として、生徒の興味や関心に基づき、班ごとに「千葉市の観光」「安全に暮らせる町づくり」「人と環境にやさしい校舎」等のテーマを設定し、市内の企業の協力も得て、千葉市の課題を発見し、解決策を探究する活動を行っています。
2学年から3学年では、「SDGsリサーチプロジェクト」として、「地球温暖化による生態系のくずれ」「国内外のスーパーの販売戦略」など個人で課題を設定し、海外での研修や修学旅行での仮説検証を経て、論文執筆や発表へつなげます。
生徒からは「疑問を解決することの大切さを知った」「進路について真剣に考えるようになった」等の声が寄せられており、今後も探究活動の充実を目指して参ります。

生徒たちが千葉市や国内外の課題を設定し、その解決策を探る取り組みは今後もぜひ進めて頂きたいと考えます。同時に、生徒たちの足元にある課題にも学校全体で取り組んでいただけるよう要望します。例えば、校内の自動販売機横のごみ箱がペットボトルであふれていたり、部活動で使用した運動靴がごみとして一カ所に集められていたりする状況についても、探究活動が必要です。どのようにしたらプラスチックごみを減らすことができるか、学校でのごみの捨て方をどうすればよいかなど、生徒の身近なことから環境問題について考えるよい機会になります。

さて、現在は6学年で30学級、1200名の生徒が学ぶ学校ですが、2022年4月から中等教育学校を開校し、中学からの入学枠は現在から2学級増えて4学級・定員160名に、高校からの入学枠は現在から2学級減って4学級・定員160名とし、普通科3学級、国際教養科1学級になります。3年間この形が続き、2025年から高校募集は停止、2027年にすべての学年が中高一貫となり、24学級、960名となります。また、高等学校の課程はすべて普通科とすることが予定されています。
以前、2018年第4回定例会の一般質問で、市立高等学校改革と国際バカロレア課程導入について取り上げました。日本語が不自由であっても、安心して学び、海外の大学へ進学できる場、公立学校でありながら日本人が海外大学へチャレンジできる場、地域の外国人の子どもたちが進学先として目指すことができる場として、国際バカロレア課程(IB)を提案しました。もともとは国をまたいで保護者が転勤をするインターナショナルスクールにおいて、国や言語が変わっても、一定レベルの教育が受けられるようにとの考えではじまった教育課程で、日本の高校段階に当たるディプロマ・プログラム(DP)の修了者には、世界各国の大学への入学資格が認められています。認定を受けている学校は、2020年6月時点で世界158以上の国・地域において約5000校あり、日本国内の認定校などは、159校です。政令市でも、札幌市立開成中等教育学校、大阪市立水都国際中学校・高等学校が認定されており、さいたま市立大宮国際中等教育学校でも、認定に向けての動きがあります。残念ながら千葉県内には、公立、私立含めて認定校がありません。そこで、海外大学への進学、幕張インターナショナルスクールの卒業生を含めた外国人児童や帰国生の受け入れ、他自治体の中等教育学校との違いも視野に入れて、

(3)中等教育学校の特色と内容について 伺います。

(教育委員会学校教育部教育改革推進課)
(教育次長答弁)
中等教育学校では、6年間の中高一貫教育を一つの学校として一体的に行うことで、これまでの実績を踏まえ、「地域・世界・未来を切り拓くグローバル・リーダーの育成」を図って参ります。
特色ある教育活動としては、「中高一貫教育の特性を生かした国際教育」、「地域や世界の視点に立ち様々な課題を探究する課題発見・解決型学習」、「次世代の社会を支える資質・能力を育成する幅広い教養」の充実に努めます。
これらを通じて、千葉市に誇りを持ち、地域社会や国際社会で貢献できる人材の育成を推進することを考えております。
また、多様な選択科目を開設する等、生徒一人一人のニーズに対応し、海外の大学も含め、様々な進路希望の実現が可能となる教育活動を展開していく予定です。

海外大学への進学にも対応できる教育活動とのことですが、あくまでも進路選択の1つであると理解しました。全体として、中高一貫教育による先取り学習を行い、途中からの入学を無くして学習進度を妨げられないようにする「進学重点校」を目指している印象を受けます。日本語ができなければ入れない、帰国生や外国人生徒も入ってこない、6年間同じ顔触れの教育環境で学習することが、「グローバル・リーダーの育成」になるのか疑問です。むしろ、1979年の創立当時に戻って、学校全体で公立中学校から公立高校へ進学する道をしっかり確保することが、経済格差が拡がり、支援が必要な家庭が増えている今こそ求められる公立学校の役割ではないでしょうか。高校入試がなくなることにより、海外で活躍したいと考え始めた中学生の選択肢を奪ってしまうこと、家庭の経済面から市内の公立高校に進学したいとの選択肢を奪ってしまうことについて、その責任の重さを痛感する必要があります。高校入試をやらないデメリットを上回るメリットがなければ、中等教育学校に市民や生徒の理解が得られるとは思えません。それでも、グローバル・リーダーを育成する中高一貫校を志向するならば、千葉市に必要なのは、多様性のある、世界に開かれた学びの場ではないでしょうか。
次に、広く呼びかけがあった新しい

(4)中等教育学校の校名募集、応募状況、結果について お聞きします。

(教育委員会学校教育部教育改革推進課)
(教育委員会教育総務部企画課)
(教育次長答弁) 
中等教育学校の校名については、教育委員会に設置した校名検討委員会で選定し、今後制定する条例によって決定します。
校名選定の参考とするため、本年8月19日から9月25日まで、生徒・保護者・職員・同窓生・市内在住者を対象にアンケート調査を行ったところ、163件の応募がありました。
この結果を参考に、現在検討を進めているところです。

新たな校名ですが、この時点では、生徒、保護者、同窓生、市民には中等教育学校の詳細な説明がなく、学校の内容がはっきりわからないので、応募しづらかったとの声を聞きました。

さて、国際バカロレア(IB)課程ですが、10の学習者像が掲げられています。探究する人、知識のある人、考える人、コミュニケーションができる人、信念をもつ人、心を開く人、思いやりのある人、挑戦する人、バランスのとれた人、振り返りができる人です。この学習者像を中心に、さらに、指導と学習の方法が述べられています。学習者がIBの学習を通して身につけられるスキルは、思考スキル、コミュニケーションスキル、社会性スキル、自己管理スキル、探究スキルとなっていますが、一方、指導者に求められるスキルは、探究を基盤とした指導、概念理解に重点を置いた指導、 地域的な文脈とグローバルな文脈において展開される指導、効果的なチームワークと協働を重視する指導、すべての学習者のニーズを満たすために個に応じた指導、形成的評価および総括的評価を取り入れた指導となっています。
中等教育学校で、グローバル・リーダーの育成を目指すのであれば、この教育に対応できる教員も必要です。外国人教員が英語を教えるだけではなく、日本人教員がグローバルな文脈で教科指導をしたり、論理的に考えて説明できるスキルが必要です。
さいたま市では、大宮国際中等教育学校のホームページで「さいたま市立高等学校・中等教育学校人事応募制度実施要領」を公表し、異動希望の教員を募っています。そこで伺います。

(5)教員の公募について はどのように考えていますか。

(教育委員会学校教育部教育改革推進課)
(教育委員会教育総務部教育職員課)
(教育次長答弁)
 本市の教職員に対し、中等教育学校への異動希望等を募る方法について、検討を進めています。
 また、中等教育学校には、千葉県の教職員も配置されることとなりますので、県教育委員会に対し、意欲や能力のある教員の配置等を要望しているところです。

次に施設の整備について伺います。昨年度、校舎の劣化度調査を行いました。建て替えではなく、改修とする方針が決まり、今年度、基本計画を策定しているとのこと。すでに耐震化工事は終了しており、今年度の補正予算にトイレ改修も含まれていますが、現状で校舎内の床は剥がれており、車いすなどでは対応できない段差もあり、あらゆる箇所で工事が必要と考えます。そこで

(6)大規模改修について 概要をお聞きします。

(教育委員会学校教育部教育改革推進課)
(教育次長答弁)
稲毛高等学校・附属中学校の大規模改修については、生徒が学びやすく、教職員が働きやすい校舎となるよう検討を行っております。
現在、具体的な工期や工事方法について検討しているところですが、令和4年度から8年度の間に工事を実施する予定です。

工期は2年から3年を想定しているとのことですが、現在の校舎を使いながらの工事は、教育活動のさまざまな場面に影響を及ぼし、グラウンドが使えない、学校行事ができないなどのことが予想されます。その時たまたま学校生活を送ることになった生徒たちにとって、不利益にならないよう、できる限りの策を講ずる必要があると考えます。そこで伺います。

(7)大規模改修時の部活動や行事の制限などについて お考えはありますか。

(教育委員会学校教育部教育改革推進課)         
(教育次長答弁)
大規模改修の間、稲毛高等学校・附属中学校の敷地に仮設校舎を建設することになった場合には、部活動や学校行事の実施に影響が出ることが考えられますが、その場合には、代替施設を確保するなど、できるだけ支障がないよう対策を取っていきたいと考えております。

大規模改修工事については、言うまでもなく地元をはじめ、関係者への説明が必要ですが、同時に、中等教育学校に関する疑問や要望にも応えていく必要があると考えます。「高校の募集はいつなくなるのか?」「国際教養科はどうなるのか?」「英語教育はどうするのか?」などの個々の疑問についても、市として丁寧に説明をし、対応する必要があると考えます。そこで伺います。

(8)地域や生徒及び保護者を対象とした説明や意見交換についてはどのようにする予定ですか。

(教育委員会学校教育部教育改革推進課)
(教育次長答弁)
 中等教育学校の教育内容については、リーフレットを作成し、周知して参ります。
また、大規模改修工事についても、具体的な方針が決定した後、今年度中を目途に、生徒及び保護者、地域の皆様を対象に、説明等の機会を設けて参ります。

教育内容についても、リーフレットの作成と周知だけでなく、丁寧な説明や意見交換が必要と考えます。地域の理解・協力がなくては、「地域・世界・未来を切り拓くグローバル・リーダーの育成」は難しいと考えるからです。
また、学校のある美浜区高洲・高浜地区には多くの外国人住民がいます。地域に目を向ければ、英語学習だけでは解決できない千葉市の課題が見えてきます。今議会でも、本市在住の外国につながる児童生徒は、現在25の言語での対応が必要との答弁がありました。また、先日の代表質問で、公立夜間中学設置の方向性が示されましたが、高知県では、来年4月から県立高知国際中学校に夜間学級が設置されます。高知国際中学校は今年11月に国際バカロレア認定校となっており、夜間中学という多様な学びの場の1つがここに加わることになります。本市の中等教育学校が地域に住む外国の人たちともつながり、課題解決に生徒たちが積極的に関わることになれば、まちづくりの観点からも評価される学校になります。将来の千葉市の姿を見据え、市長部局も交えながら総合教育会議の場などで引き続き、中等教育学校の方向性を議論していただけるよう求めます。

以上で一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。