決算討論

2020年10月7日

市民ネットワークの松井佳代子です。会派を代表して、令和元年度決算議案について「認定」の立場から討論を行います。

昨年秋の台風被害や今年に入ってからの新型コロナウイルス感染症の広がりは、市民生活が一変するほどの影響を及ぼしました。令和元年度は、「災害復旧費」が補正予算で51億9700万円計上され、インフラや公共施設の復旧等に迅速に対応されています。また、新型コロナウイルス感染症対策として、電話相談窓口を開設したり、医薬品やマスクなどを購入したり、市政だより臨時号を発行して情報提供や啓発活動を行うなど、市民の命と健康を守るための緊急的な取り組みが行われました。これらに加えて、子育てや教育をはじめ、将来に向けての事業にも積極的に取り組んでいます。扶助費の増額が続く中でも、工夫をしながら施策を推進したことを評価し、適切な財政運営がおこなわれたと判断いたしました。

それでは、決算についての意見と要望を申し上げます。

はじめに、決算全般についてです。令和元年度の一般会計歳出決算額は4510億円となりました。第3期財政健全化プランに掲げた主要債務総額の削減に向け、効率的な予算執行に努められ、また、個人市民税や固定資産税が増額になったことにより、58億円の実質収支黒字を確保しています。高洲市民プール跡地の売却による財産収入も、黒字の増額に資する結果となりました。

主要債務総額は、前年度と比較して83億円の減少となり、4673億円まで削減されました。将来負担比率は対前年度比7.2ポイント減の138.3%へと縮小し、実質公債費比率も対前年度比0.9ポイント減の12.9%へと改善がみられました。歳入確保と歳出抑制の取り組みを着実に進めてきたことを評価します。

市債残高は令和元年度も1兆円以下を維持し、9732億円となりました。財政調整基金の残高も、平成30年度の76億2100万円から令和元年度には89憶2900万円と、着実な積み上げを評価します。

課題もあります。実質公債費比率の12.9%は政令市20市中最下位で、依然、公債費の割合が高い状況です。市債発行額については、令和元年度は建設事業債の発行が310億3200万円となり、前年度に比べて123億900万円増加しています。小中学校の普通教室へのエアコン整備や美術館のリニューアル工事への歳出が増加したとのことですが、今後、新庁舎や清掃工場の整備、さらには公共施設の老朽化対策など、増額となる要因があることから、事業の精査をしながら、適正な発行を求めます。

市債残高の内訳についてみると、臨時財政対策債の割合が年々増えており、令和元年度は9732億円のうち2341億円と高止まり状態です。本市として市債残高の適正化に取り組んでいるだけに、いつまでも減らない借金であることは問題です。今後は税収の落ち込みを臨時財政対策債で補填する可能性も高くなりますが、引き続き国に対して、すみやかな交付税措置を行うよう要望してください。

基金について、一般会計への貸付残高は、市債管理基金等の4基金で247億4000万円となっています。令和元年度は、市庁舎整備基金へ10億円の返済に留まりました。それぞれの基金本来の目的が果たせるよう、適正な残高の維持と着実な返済を求めます。
病院事業会計については、病床稼働率の改善や外来患者の診療単価が前年度を上回ったことなどにより、事業収益が増収となったものの、給与費や材料費などの事業費用が増となったことで、5850万円の純損失を計上し、累積欠損金は85億9050万円となりました。一般会計からの繰入金は64億円に上ります。新型コロナウイルスの感染拡大で、青葉病院、海浜病院とも入院患者の受け入れを行っており、診療の制限や受診控えにより令和2年度の収支は悪化することが予想されています。第4期千葉市立病院改革プランに沿って、引き続き改善への取り組みを求めます。

次に令和元年度の各事業について、評価や意見、要望を申し上げます。

はじめに、防災対策です。
昨年秋の台風被害を受けて、千葉市地域防災計画及び千葉市水防計画の修正がおこなわれました。また、地震ハザードマップに加えて、新たに風水害ハザードマップが作成されました。さらに、避難所運営委員会の活動支援として、避難所の開設・運営の手順をわかりやすく解説する動画も制作されています。これらを活用して、それぞれの地域が学校・公民館・コミュニティセンター・町内自治会館などで防災備蓄品を試しながら訓練を行い、いざという時にできるだけ混乱が生じない体制づくりを要望します。また、通学路などに設置されている危険なブロック塀について、撤去やフェンスなどの設置に費用の一部が助成されています。危険個所を減らす取り組みを評価するとともに、今後は個人のみならず地域からの申請にも対応できるよう拡充を求めます。また、家具転倒防止対策については、市営住宅やUR賃貸住宅をはじめ、本市にあるすべての賃貸住宅で原状復帰の必要なく転倒防止金具等を取り付けられるよう、市が団体や事業者と協定を結ぶことを提案します。

今後の課題として、障がいのある方や高齢者が避難する拠点的福祉避難所については、指定のみならず、受け入れ準備体制について市と施設との協議をさらに前に進める必要があります。特に重い障がいを抱えた方やご家族が「どこに避難したらよいのか」と不安に思う気持ちを軽減するような対応策に取り組んでください。さらに、昨年の台風被害の際に初めておこなった、ペットとの同伴避難も、今後のあり方について詳細を詰め、市民への啓発活動を進めることを求めます。

つぎに、外国人生活相談です。
国際交流推進の枠組みで実施されたものですが、多文化コンシェルジュを配置し、日本語学習に関する相談、法律相談、習慣や暮らし全般の相談など、問題解決に結びつくような支援を年間1281件実施しました。今後の国の方針によっては労働問題や災害対応に関する相談を含めて、さらに広範囲にわたる支援が必要になってくると思われます。多文化共生の観点から、分野横断的な施策展開を求めます。

続いて、地域ポイント制度です。
市民公益活動や健康維持・増進活動をさらに促進するため、「ちばシティポイント」の実証実験が拡大しました。対象事業、参加者数ともに増えています。ウオーキングなどの健康づくりへのポイントに加えて、今後は地域の清掃活動などにも対象事業を拡げて、より多くの人が参加できるような仕組みを要望します。

つぎに、パラスポーツの推進です。
東京2020パラリンピック競技大会を見据えて、パラスポーツの普及や振興に向けた取り組みがおこなわれました。アスリートの学校訪問や各種イベント、市内各地域でパラスポーツの体験会がおこなわれ、障がいのある方を含め、多世代の交流の場ともなっています。大会は延期となりましたが、広く市民が参加できる取り組みとなったことを評価します。

続いて、男女共同参画推進事業です。
パートナーシップ宣誓制度の周知・啓発をはじめ、本市のダイバーシティ推進の取り組みがすすんでいます。LGBT電話相談事業も開始されました。誰もが個人として尊重され、暮らしやすい社会になるよう、当事者の声も聞きながら今後も市として取り組みを続けるよう要望します。

つぎに、生活困窮者対策です。
生活自立・仕事相談センターの自立相談支援員を14人から20人に、家計相談支援員を1人から4人へと増員し、相談の増加に対応しました。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、お金や仕事、住まいに関する相談がさらに増え続けています。個別の相談および解決には時間がかかります。今後も当事者の気持ちにより添いながら、きめ細やかで迅速な対応ができるよう、事業の拡充を求めます。

続いて、妊娠・出産包括支援についてです。
母子健康包括支援センターの支援相談員の増員や産後ケア事業の拡充について、評価いたします。今年度は対面による相談が難しくなっていますが、新型コロナウイルス感染症拡大の中でも妊産婦に寄り添った支援が継続できるよう、さまざまな工夫をするよう求めます。

さらに、障害者の日常や就労に対する支援についてです。
新たに市内の盲ろう者の実態調査を行い、課題を明らかにすることができました。サービスを受けていない人に対して、説明や申請手続きの支援をおこなったことも評価します。今後はこの調査で得られた課題をどのように施策につなげていくか、検討するよう求めます。また、本市の職員採用試験について、障害者枠の拡充を評価しますが、年齢制限の撤廃も今後検討いただけるよう求めます。ひきこもりサポート事業については、「居場所」を運営する1団体への支援で得られた課題をどのように解決していくか、しっかりと事業評価し今後の施策を検討するよう願います。1つ1つの相談支援は時間がかかる場合が多く、すぐに成果が出せるものではありませんが、当事者や活動団体から寄せられる声を聴いて、施策に反映できるよう要望します。

つぎに、児童相談所での歯科検診・口腔衛生指導の開始です。
一時保護児童の口腔の健康保持及び自己管理意識向上のため、月1回、歯科検診及び口腔衛生指導を実施しました。歯科へ行く機会がなかった児童にとっては、この機会に自分自身の歯と、健康管理を自分で行うことについて関心をもつことができるようになります。新たな取り組みを評価し、今後も継続することを要望します。

続いて、子どもの放課後の居場所に対する支援です。
放課後子ども教室・子どもルーム一体型モデル事業については、令和元年度には各区1校計6校が整備され、待機児童の解消につながりました。子どもルームについても、緊急3か年アクションプランに基づき、9か所整備し、398人の受け入れ枠の拡大がおこなわれました。今後も待機児童の解消と保育の質の確保に取り組むとともに、家庭の事情に左右されることなくすべての子どもたちが安全に過ごせる放課後の居場所となるよう、着実な取り組みを求めます。

つぎに、学校内での支援体制の充実についてです。
児童生徒へのカウンセリングなどに対応するスクールカウンセラーが小中特別支援学校全校に配置されました。また、教育と福祉の両面に関して支援ができるスクールソーシャルワーカーが6人から8人へと増員されました。医療的ケアを必要とする児童に対して、スクールメディカルサポーターの派遣も拡充されています。他にも外国人児童生徒指導協力員が増員されるなど、支援が必要な子どもたちに関する事業が着実に進んでいます。今年度は、新型コロナウイルス感染症対策で学校が一斉休校になり、再開後は学習指導員やスクールサポートスタッフが配置されていますが、引き続き、不登校児童生徒も含めた、子どもたちへの心のケアなどきめ細やかな支援ができるよう予算措置を要望します。

教育委員会は、今年1月、有識者による「子どもへの性暴力防止対策検討会」を立ち上げ、学校での性暴力事件について問題の検証と、再発防止策について検討を進めています。再発防止策は一部先行して実施しており、児童生徒を対象に体罰、セクハラの相談窓口を、6月から「子どもにこにこサポート」と親しみやすい名称とし、電話のほか、郵送料無料の手紙による相談ができます。用紙は学校で配布されるほか、公民館にも置かれています。学校での性暴力は絶対にあってはならないことです。新型コロナウイルスの影響で、今後、さまざまな相談が寄せられることと思いますが、子どもたちの声をしっかりと受け止め、二度と不幸な事件が起きないよう取り組むことを求めます。

さらに、地産地消の推進についてです。
「半分田舎、半分都会」で、生産地と消費地が近接する本市の特性を活かして、千葉市産品を市民に供給したり、農業体験を通じた食育を推進したりする地産地消の推進がおこなわれました。今後も小規模生産者への支援を拡充するとともに、キッチンカーなどを活用して、密にならないあらゆる機会を生かし、地場産品を消費者に届ける取り組みを推進するよう要望します。

つぎに、ごみ削減の取り組みついてです。
食品ロスの削減普及啓発やミニ・キエーロサポーターの拡充など、生ごみの減量に関する取り組みが進みました。引き続き、食べ物をごみにしないことに加え、ワンウェイプラスチックの利用を削減するなど「ごみの発生抑制」に積極的に取り組まれることを要望いたします。今年は買い物袋有料化がスタートし、一部店舗での家庭ごみ指定袋のばら売りに加え、新たに5リットルの袋を設けるなどで、さらなる減量化を期待するところですが、引き続き、本市でできることを工夫しながら取り組んでいただけるよう求めます。さらに、学校給食残渣再資源化モデルについても、まずは学校で給食残渣の発生抑制を子どもたちに丁寧に教えることから始め、再資源化される生ごみの量を減らすことを目指すよう求めます。

続いて、地球温暖化対策実行計画の推進についてです。
温室効果ガスの排出量を減らす取り組みとして、「COOL CHOICE」の推進等をされていますが、気候変動への対応は待ったなしです。気候非常事態宣言を発出し、対策に取り組む自治体は全国で40を数えます。本市でも宣言を発出することを要望します。

さらに、粉じん対策についてです。
臨海部の粉じん問題について、環境審議会環境保全推進計画部会に大気環境保全専門委員会が設置されています。令和元年度は、粉じんの主要な発生源を明らかにするため、過去の降下ばいじん調査結果の解析がおこなわれ、12月に「臨海部における粉じん対策について」の提言が市長に提出されました。今年度は、この提言に基づいた取り組みが始まっています。新たな調査地点でのデータ収集など、粉じん被害を軽減するため今後もしっかりと取り組むよう求めます。

最後に、有害鳥獣対策についてです。
農業被害を防ぐため、農業関係団体や地域の農家等と一体となった箱わな・電気柵設置の拡充やイノシシ棲み処撲滅対策事業、罠通知システムの設置などの事業について評価いたします。ただし、有害鳥獣にとっては、住宅地も農地も同じ棲み処であるため、市民にとっても利便性が高い一体的な窓口の設置検討を求めておきます。

今年度も引き続き、地方創生臨時交付金を活用して、感染症対策を行いながら、市民生活を維持するための事業が行われています。新型コロナウイルスの影響や市民生活の変化を見据え、新たな事業をすすめるとともに、いま市民が必要としている支援をきめ細やかに、着実に推進していただけるよう求め、市民ネットワークの討論といたします。

 

 

close