討 論

2020年6月

市民ネットワーク の岩崎明子です。会派を代表いたしまして、市長提出議案の全てと発議第5号に賛成の立場から、討論を行います。
以下、賛成いたします議案の幾つかについて意見を申し上げます。

はじめに、養育費確保促進事業についてです
新型コロナウイルス感染症拡大の影響による収入減で、養育費の不払いが生じるおそれがあるため、養育費の取り決めを行い、保証会社と養育費保証契約をしている児童扶養手当受給者等に対し、保証会社への年間保証料を助成するものです。
ひとり親世帯へのアンケートによると、離婚後に養育費を受け取っていない世帯は約6割とのことです。こうした世帯の子どもたちが進学をあきらめたり、貧困で苦しんだりしないために、家庭への支援は必須です。
2018年第2回定例会では、会派の松井議員が「子どもの共同養育支援について」一般質問をおこない、子どもの利益を最優先に考えて、離婚後に面会交流や養育費の支払いなどの取り決めができるよう、市が支援することを求めました。
今回のように年間保証料の助成だけでなく、公正証書の作成を支援し、まずは養育費の取り決めができている世帯を増やすことを求めます。子どもの養育費が支払われることは、金銭的だけでなく、精神的にもメリットがあると言われています。金額に関わらず、両親に育てられたという意識は、子どもの育ちにとって大きな意味を持つからです。すべての子どもが健やかに育つ権利が保障されるための取組を進めることを要望いたします。

次に、虐待防止と心のケアについてです。
この間の外出自粛で家族と過ごす時間が長くなるにつれ、DVや虐待の危険性が増すなど、当初から危惧されていたことが問題になってきました。
市民ネットワークちばで実施したアンケートには「外出先もなくずっと子どもと一緒にいるとイライラしてしまう」「家族のスケジュールや学校からの予定変更連絡等、母親として臨機応変な対応が求められ、常に気が休まらない」などの声が届いています。
DVの相談窓口として設置されている「千葉市配偶者暴力相談支援センター」の相談件数は、2020年2月が280件(前年度同月300件)、3月が254件(前年度同月345件)で、3月は前年度より91件減っています。これは、DVが減ったのではなく、配偶者が在宅しているため、相談したくても電話できないのだと推察でき、今回、議案第64号専決処分の中の「心のケア支援事業」において電話相談の時間帯を拡大したことや、新規にSNS相談を始めたことは評価できます。
また潜在化しがちなDVや虐待について、地域で気づき、対応することも必要です。自治会役員や民生委員・児童委員、育成委員会、保護者会、学校、子どもルーム、保育所(園)など、地域の様々な立場の人が見守りや声かけ等を行い、虐待初期のサインに気づくことが重要です。市は各団体への情報提供や、団体同士の連携実現に向け働きかけてください。特に、地域とのつながりが希薄な未就園児を持つ家庭が相談したり、支援を受けられる体制を早急に強化してください。例えば「子ども110番の家」のように、困っている人が駆け込める地域の場所を設けることもご検討いただけるよう求めます。

次に学校給食についてです。
朝日新聞が道府県庁所在市、政令市、東京23区の教育委員会に向けて行ったアンケートによると、新型コロナウイルス感染症の影響による長期休校の間、給食が食べられなくなった子どもたちのために、就学援助を受けている世帯への昼食代の支給をおこなった自治体が32%あったとのことです。
また、神戸市では昼食代の支給では確実に子どもの食事につながるかわからないとの考えから、就学援助の家庭に米などの食材を届けました。宮崎県延岡市のように、登校日に小中学生に学校で給食を提供した例もあります。
感染予防の視点はもちろん大切ですが、給食でしか十分な栄養が摂れない子どもにとって、学校は食のセーフティーネットの役割があることを忘れてはいけません。本市では休校中に学校で受け入れた児童のうち希望者に、弁当を配布した時期もありましたが、今後、もし新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波が来て休校となった時に、子どもの食事の機会が確保される方法を、十分検討し実施することを要望いたします。

次にオンライン学習環境整備とGIGAスクール構想の実現についてです。
児童生徒1人1台端末を実現するためのICT環境整備を、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から前倒しで実施するとのことですが、タブレット端末はあくまでも既存の授業を補うものであり、またコンテンツの充実が不可欠です。どのような内容で子どもたちの興味関心を引き付け、より深い学びにつなげるかは、各教科の先生方の働きかけ次第であり腕の見せ所だと思います。先生方が端末を使いながら、随時教材内容のレベルアップが図れるような取り組みに期待します。
加えて将来的には、配慮が必要な学習障害の子どもが、みんなと一緒の教室でタブレットを使うことや、不登校児童生徒が自宅で皆と同じ授業を受けられるような、多様な学びを実現していただきたいと思います。
2014年に文部科学省が発行した「児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブック」には、ICT機器の子どもの視力への影響やドライアイ、色のバリアフリー、ブルーライトの影響、ヘッドフォンによる難聴などについて、専門家の知見が掲載されています。これらに限らず、新しい技術が導入されるときには、子どもたちの健康にどのような影響があるか十分注視し対策を講じることが必要です。保護者の意見も聞きながら検討することを求めます。

次に新型コロナウイルス感染症の第2波第3波に備えることについてです。
職務を行う上で「3密」を避けるのが難しい障がい児者や高齢者を対象とした施設職員、保育従事者等については、各々の施設から感染者を出さないよう細心の注意を払って仕事にあたってくださっています。そこでこうした施設の職員・従業員については、希望者全員がPCR検査を受けられるような体制をつくることを要望いたします。また心身ともにストレスに晒されていることから、心のケアの専門家を派遣できる体制を整えることもご検討ください。
盲ろう者をはじめとした複合障がい者や、重度心身障がい児者、医療的ケア児者、在宅高齢者などは、外出を自粛する中で家族のケアが当てにされ、負担が重くなる場面が多く見られます。緊急事態宣言下でどのような状況に置かれたかについて、当事者や家族、団体にアンケート調査をしてニーズや課題を把握し、今後必要な支援策を行うために活用することを求めます。
今年5月に「新型コロナウイルス等感染症を踏まえた避難所開設運営方針」が策定されましたが、台風の季節が来る前に、感染症対策を考えた避難所運営を実際に行ってみることが必要と考えます。避難所開設訓練をおこなうよう、各避難所運営委員会や自主防災会に呼びかけることを求めます。また、実際には避難所での感染拡大防止は極めて難しいものです。感染リスクが高いことを市民に説明し「在宅避難」の準備をしておくことを周知してください。また、情報不足は市民を不安にさせます。インターネットが使えない人にも情報が迅速に伝わるよう、ゴミステーションなどに平常時から掲示板を設置することを要望いたします。災害時に停電などにより、通信手段が途絶えた場合にも役立ちます。

この間、新型コロナウイルス感染症拡大により、文化芸術分野は公演中止など深刻な影響を受けました。今後は福岡市のように、活動が期待できる文化芸術関係の新たな試みに対して、支援補助金を設け、文化芸術振興に取り組むことを求めます。

発議第5号は千葉市美術館条例の一部を改正し、25歳以下の者に係る常設展の観覧を無料とするものです。例えば海外では、カナダのオンタリオ美術館は25歳以下無料です。
25歳以下を無料化した場合の収入面の影響額は約245万円と全体の3%ほどであり、この費用を使って芸術に親しむ人の裾野を広げることは、リニューアルした千葉市美術館にとって意義あることと考え、賛成するものです。

最後に諮問第1号についてです。
退職手当の全部を支給しないこととする処分に対し、これを不服として審査請求が出された案件です。本年3月4日付で人事委員会より懲戒免職処分を承認する旨の裁決が出ていること、この懲戒免職処分を踏まえ、慎重に検討しても退職手当の一部を支給する理由は見出しがたいとの主張は理解できます。よって本件の審査請求を棄却するとの市の裁決案について、我が会派は妥当であると判断いたします。ただし、今後同様の事案が発生しないとは限りません。職場体制の見直しを行い、市民からの不当な要求については職員個人ではなく組織的に対応できるようにすることを要望いたします。

以上で市民ネットワークの討論を終わります。

 

 

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