決 算 討 論

2019年10月4日

市民ネットワークの松井かよ子です。

9月9日早朝の台風15号による被害は、千葉市内にも大きな爪痕を残しました。木が倒れ、電柱や電線を直撃し、緑区や若葉区をはじめ、各地で停電が続きました。水が出ず、エアコンが使えず、病院や施設など、多くの市民の健康に影響を及ぼす事態となりました。被災地の実情に鑑み、生活を再建するために、議会としてもできるだけ速やかに復旧事業に取り組むことができるよう、力を尽くしていきたいと考えています。

それでは、会派を代表して、平成30年度決算議案について、認定の立場から討論をおこないます。

決算の審査にあたっては、2つの観点から評価を行いました。1つに、第3期千葉市財政健全化プランの取り組み結果を検証する観点から、2つに、各々の事業が市民生活の向上に資する内容と効果を有していたかの観点です。高齢化の進展により、扶助費の増大が続き、投資的経費の割合が下がる中でも、まちづくりや子育て・教育など将来に向けての施策に取り組んでおり、平成30年度の歳入歳出については、おおむね均衡のとれた財政運営がおこなわれたと判断いたしました。

2つの観点のうち、はじめに、第3期千葉市財政健全化プランの取り組み結果の検証について申し上げます。第3期プランの初年度である平成30年度の決算は、市税や地方消費税交付金の増収などの歳入確保により、第2期プランに引き続き改善がみられました。予算執行の基本的な考え方としては、財政健全化プラン及び行政改革の取り組みを着実に推進するとともに、既存の事務事業については、適宜、事業効果や必要性について検証を行い、状況に応じて見直しを図るというものでした。結果、一般会計では実質収支を24億円確保することができ、収支改善の取り組みを進めてきたことを評価します。

主要債務総額は、前年度と比較して207億円の減少となり、令和3年度までの削減目標4800億円を上回る4756億円まで削減されました。残高を市民1人あたりの借金に換算すると、平成29年度の51万円から平成30年度は49万円へと減少しています。結果、将来負担比率は対前年度比13.9ポイントマイナスの145.5%へと縮小し、実質公債費比率も対前年度比2.0ポイントの13.8%へと改善がみられました。県費負担教職員の給与負担等の移譲による影響を除いても、取り組みの成果が着実に現れています。

主要債務総額の1つである国民健康保険事業の累積赤字が前年度に解消され、平成30年度も実質収支を確保しました。事業の広域化がスタートし、あわせて公費の拡充等もあり、一般会計からの収支不足分の法定外繰入金がなくなったことも評価する点です。歳入確保と歳出抑制の取り組みを着実に進めてきたことを評価します。第3期千葉市国民健康保険事業財政健全化に向けたアクションプランに基づき、収支の改善に努めるなど、今後も適切な事業運営をされるよう要望します。

市税の収納状況については、平成29年の収納率97.4%から平成30年度は97.9%となり、徴収率の向上に取り組んだ成果が明らかになりました。国民健康保険料、介護保険料、保育料、住宅使用料、の収入済額については、予算目標を下回ったものの、下水道使用料においては、上下水道徴収一元化の影響により、5月末の収入済額は対予算108.2%となり、大幅な改善が見られました。

また、平成26年度に1兆314億円あった市債残高が平成29年度には9941億円となり、平成16年以来、13年ぶりに1兆円を切りました。建設事業債などの伸びにより、平成30年度は再び1兆円を越えるのではないかと危惧されましたが、結果は対前年度比150億円の削減9791億円となり、前年度に続いて1兆円以下に抑えることができました。8年連続で100億円以上の削減を達成できたことを評価します。

さらに、経済環境の変化による税収減などへの対応について重要な役割を果たす財政調整基金の残高も、平成29年度の75億5000万円から平成30年度には76憶2000万円と微増ではありますが、着実に回復していることも評価します。

しかしながら、課題もあります。市債発行額については、平成30年度は建設事業債の発行が187億円となり、前年度に比べて23億円増加しています。今後、新庁舎や清掃工場の整備、さらには公共施設の老朽化対策など、上昇圧力があることから、より一層の事業の精査を求めます。

さらに、市債残高の内訳についてみると、臨時財政対策債が年々増えており、平成29年度は9941億円のうち2153億円、平成30年度は9791億円のうち2270億円とその割合も上昇しています。臨時財政対策債は後に交付税措置されるとなっていますが、国も多額の借金を抱え、いつ交付税として措置されるのか、いつまで市の借金のままであるのか定かではありません。市債残高の適正化に取り組んでいるだけに、このような借金が拡大していくことは問題です。臨時財政対策債を使わずに財政運営をしている団体もあることから、今後の利用方法について検討するとともに、国に対して、すみやかに交付税措置を行うことを要望するよう求めます。

基金についてですが、一般会計への貸付残高は、市債管理基金等の4基金で約257億円となっています。借入金の返済は、対前年度費で10億円にとどまりました。それぞれの基金は、特定の目的のために設置されたものであり、基金本来の目的に鑑み、適正な残高の維持と着実な返済をすべきと考えます。特に、市庁舎整備基金については、令和3年度までに35億円の返済が完了予定とのことですが、新庁舎整備が本格化しつつあることから早期の返済が必要です。

国民健康保険事業についても、高齢化が進み、医療費の増大が続く厳しい環境に対峙せざるをえないことから、収納率の向上など更なる歳入確保と、健康づくりの施策やジェネリック医薬品の利用を促進するなど、歳出抑制を進める必要があります。収納率については、前年度の76.8%と比較すると0.7ポイントの改善がみられるものの、平成28年3月の中間見直しにおいて引きあげた数値目標78.8%を平成30年度も達成することができず、77.5%の実績に留まりました。保険料負担の公平性を考慮しつつ、第3期千葉市国民健康保険事業財政健全化に向けたアクションプランに基づき、着実な取り組みを求めます。

病院事業会計については、医業収支の改善などにより、3年ぶりに資金不足が解消されるなどの結果が出ています。前年度より入院患者数、外来患者数共に増加し、医業収益は増加したものの、給与費等の医業費用の増加により平成30年度は4億3800万円の赤字です。一般会計からの繰入金は前年度と同レベルの64億円に上ります。持続可能な病院経営のためにも、市民の理解を得ながら、第4期千葉市立病院改革プランに沿って、改善への取り組みを求めます。
次に、平成30年度の決算および各事業について、市民生活の向上に資する内容と効果を有していたかの観点から申し上げます。平成30年度は当初予算編成において、第3次実施計画の初年度として、事業の着実な推進を図るとともに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催などを見据え、本市のさらなる発展に向けた取り組みを推進するとされていました。以下、個別事業についての評価や意見、要望を申し上げます。

はじめに、危険ブロック塀等改善補助事業です。
通学路などに設置されている危険なブロック塀について、撤去やフェンスなどの設置に費用の一部が助成されました。平成30年度に新規事業として開始され、撤去は25件、軽量フェンス設置が14件となりましたが、今年度も引き続き、補助件数が伸びています。危険個所を1つでも減らす取り組みを評価するとともに、今後は補助対象地域外の空き家のブロック塀などについても補助の検討を求めます。

つぎに、市民参加によるパラスポーツの推進です。
東京2020パラリンピック競技大会を見据えて、パラスポーツの普及や振興に向けた取り組みがおこなわれました。各種イベントのほか、市内の各地域でボッチャをはじめ、パラスポーツの体験会がおこなわれ、多世代の交流の場ともなっています。広く市民が参加できる取り組みを評価します。

続いて、LGBTの周知啓発活動です。
パートナーシップ宣誓制度をはじめ、「LGBT を知りサポートするためのガイドライン」の策定など本市のダイバーシティ推進の取り組みは、先進事例として全国的にも注目されています。誰もが個人として尊重され、暮らしやすい社会になるよう、今後も周知啓発活動をすすめてくださるよう要望します。

つぎに、障害者の日常生活や就労に向けての支援です。
東京2020パラリンピック競技大会を見据えて、障害者理解の促進や、各種施設のバリアフリー化を着実に推進されました。同時に相談事業を拡充し、1人1人の状況に合った助言や支援ができる体制を整備しました。特にひきこもりの相談支援は時間がかかるケースが多く、すぐに成果が出せるものではありませんが、長いスパンで着実に取り組みをされるよう求めます。また、当事者や親の会から寄せられる声を聴いて、施策に反映できるよう要望します。

 

つぎに、歯周病検診・口腔がん検診の拡充です。
お口の健康を保ち、年を取っても自分の歯で食事ができるようにすることは、健康寿命を延ばし、結果的に医療費を抑制することにつながります。40代から増えてくる歯周病の検診について、対象年齢が10歳刻みから40〜70歳の5歳刻みと拡充されました。また、口腔がん検診の定員も増えました。早期発見、早期治療がすすむよう、検診の受診について、さらなる周知啓発を要望します。

続いて、子どもの放課後の居場所に対する支援です。
教育や子育て全般に関する施策が充実しました。とくに、放課後子どもプランが策定され、多様化する放課後のあり方に応じて、新たな方向性へと動きはじめています。平成29年度にスタートした放課後子ども教室・子どもルーム一体型モデル事業については、昨年度までの検証を踏まえて、今年度もさらに拡充されています。子どもルームについても、緊急3か年アクションプランなどに基づき、15か所、662人の受け入れ枠の拡大がおこなわれました。今後も待機児童の解消と保育の質の確保に取り組むとともに、すべての子どもたちが安全に過ごせる放課後の居場所を確保できるよう、着実な取り組みを求めます。

最後に、救急体制の整備についてです。
高齢化の進展にともない、救急体制の充実が求められています。多様な世代に向けた救命救急講習をおこない、子どもから大人までバイスタンダーを養成すること、救急車の適正利用を呼びかけることなど、広く市民全体に協力を求めることも体制の充実につながります。情報公開をすすめ、市民の安心に応えられる救急体制を引き続き整備されるよう求めます。

ほかにも、
•      市民の健康を守るための、受動喫煙防止の推進と禁煙の支援
•      地域で安心して暮らし続けるための、在宅医療・介護連携の推進    
•      施設巡回や研修の充実などによる保育の質の確保
•      食品ロス削減普及啓発や剪定枝の再資源化など、ごみ削減に向けての取り組み
•      箱わな・電気柵設置の拡充やイノシシ棲み家撲滅対策事業など、農業被害を防ぐための有害鳥獣対策

などの事業について評価いたします。                         

次年度予算編成につきましては、予算編成の考え方や各々の事業についての情報公開をすすめること、本市の財政状況を市民にわかりやすく示して理解を得ること、そして、市民の参画を保障しながら、市民生活の向上に資する事業を着実に推進することを求め、市民ネットワークの討論といたします。

 

 

close