討 論

2019年6月25日

市民ネットワークの岩崎明子です。会派を代表いたしまして、今定例会に市長より提案されました議案については委員長報告に賛成の立場から、また発議第6号「千葉市介護保険条例の一部改正について」は反対の立場から、討論を行います。
はじめに、発議第6号は、「千葉市介護保険苦情調整委員会」を設置することにより、介護保険事務に係る苦情を迅速に処理し、適正な介護保険事務の執行を図るための条例改正案です。市民や介護サービス事業に従事する方の苦情を、できるだけ早く解消する必要があることは理解できます。しかし現在ある事業所ごとの相談窓口や市の担当部署、国民健康保険団体連合会での苦情受け付け体制が実態に即して機能していること、委員会を招集して審議することにより、かえって即時性がなくなるという懸念があることから、条例改正の提案をされた背景は理解できるものの、残念ながら本発議には賛成しかねると判断いたしました。
次に、会派で熟考のうえ賛成といたしましたが、当局には十分検討していただきたい議案について意見をもうしあげます。
議案第85号 令和元年度千葉市一般会計補正予算(第2号)のうち「消防団設備整備事業」についてです。国費294万6千円、一般財源589万2千円を使い、チェーンソー17機、トランシーバー427機を整備するものです。
今回、新たに作られた国の「消防団設備整備費補助金」制度を使い、トランシーバーは、今まで伝令員が走って伝えていた情報をより円滑かつ迅速に伝えられるようにするため、チェーンソーは災害時に道をふさぐ倒木を除去する時や、倒壊した家屋の柱などを切断して人名救助する時などのために整備されると伺いました。
特にチェーンソーは配備したら誰でもすぐ使えるという性質のものではないため、消防学校や消防署等で操作訓練を行いますが、女性のみで構成される消防団は、整備の対象とせず、男性団員が操作することを想定しているとのことです。
しかし、災害時など、消防団員が出動すべき場面で、現場に男性消防団員がすぐに参集できるとは限りません。女性が即戦力として活動できるようにしておく必要があると考えます。例えば林業の現場などでは、チェーンソーを扱う女性がたくさんいます。消防団員であれば男女を問わず希望に応じて、操作講習が受けられるようにすることを要望いたします。

次に、
議案第86号 千葉市会計年度任用職員の給与その他の給付に関する条例の制定について です。地方公務員法及び地方自治法の一部改正により、「会計年度任用職員制度」が導入されることに伴い、当該職員にかかる給与その他の給付に関し、必要な事項を条例で定める議案です。
非常勤職員等は、地方行政の重要な担い手となっており、本市でも平成31年4月1日現在で4,435人が働いています。それら職員の適正な任用や勤務条件を確保するため、関係法令の改正がされたものです。
会計年度任用職員制度の導入によりまして、給料や報酬の水準について、職務の内容や責任等の要素を考慮して定めるべきとされていることから、給料表を規定し適用することとなります。また、正規職員に準じ、期末手当などが支給されるようになります。
しかし給料表が適用されるからと言って、継続雇用が保障されているわけではなく、面接等による能力実証を経れば、継続雇用の回数に制限はないものの、年度ごとの任期満了に伴い、継続任用されるのかとの不安が付きまとうことには変わりがありません。また、扶養手当や住居手当など、正規職員には支給されるが、会計年度任用職員には支給されない手当があります。会計年度任用職員が主たる生計者になりうることが想定されていないからではないでしょうか。
非常勤職員等4,435人のうち、女性は3,700人。全体の83.4%を占めています。これらの方々が、例えば離婚や配偶者の死別などで、急に主たる生計者になることも考えられるのです。
いまは、夫婦で同じ程度の収入を得て家計を担う共働き家庭もふえてきています。
「女性は被扶養者だから非常勤職員で良い」という考え方は時代に合っていません。
男女関係なく、仕事の内容や質に応じた待遇にすべきです。
また、保育の現場で正規の保育士とフルタイム会計年度任用職員の保育士という、職責の異なる職員が一緒に働いている状況を考えますと、人手が足りない早朝保育などが正規職員の負担になるなど、職場内の不都合が生じないか懸念されます。
会計年度任用職員となった方のキャリアアップについてですが、本市の正規職員となることを希望した際には、これまでのキャリアを生かし、民間企業等職務経験者として採用試験を受けられるようにすべきです。現行の受験資格で「民間企業等での職務経験」としてみなされるのは、「週あたり30時間以上の勤務を1年以上継続した期間」のみとなっております。
非常勤職員等4,435人のうち、この条件に該当する方は保育士が367人、事務が40人、看護師等が28人、医療技術が17人、特別職の嘱託職員が222人、その他の職種を含めると717人のみです。例えば週当たり29時間勤務の方は、何年働いて経験を積み重ねたとしても、民間企業等職務経験者試験の受験資格が得られないというのは問題です。
週当たり30時間に満たない方でも受験できるよう、受験資格の緩和を要望いたします。
非常勤職員等は、いわば雇用の調整弁として、正規職員が行うべき恒常的業務を担うなど、本来のあるべき姿とは違う運用がされてきたのではないでしょうか。こうした臨時的な雇用に、法的根拠を与えるだけの制度では、格差を広げてしまうことになりかねません。そうしたことも含め、働く人の側の立場に十分配慮された制度になるよう、また、経験豊かな職員の正規職員への採用により、市民サービスの継続や向上が図れるよう強く要望するものです。

次に
議案第94号 千葉市病院事業の設置等に関する条例の一部改正について です。
市立海浜病院の診療体制の拡充のため、救急科指導医1名他スタッフ8名をもって、診療科目に「救急科」が追加されます。
救急科の追加により、近年増加している救急搬送に対応し、搬送困難事例を解消できること、また救急に携わる研修医など人材確保に寄与できるものであることと理解いたしました。
また、今後安定的に救急科を続けていくため、救急科指導医による臨床指導や救急に関する教育を行うこと、救急認定看護師を育成するための研修に看護師を派遣するなど、人材育成に努めることで、救急医療体制の整備を進めると伺いました。
現在本市では長期的な病院事業のあり方を、専門的な知識を持つ委員の意見を伺いながら検討中でありますが、これから海浜病院で育成していく救急科人材のキャリアが、今後も市立病院のなかで充分生かせること、地域医療の発展に貢献できるような取り組みをすすめることを要望いたします。

次に
議案第95号 千葉市市民参加及び協働に関する条例の全部改正について です。
私たち市民ネットワークは、平成20年3月議会において、千葉市市民参加及び協働に関する条例案に対し、日本共産党千葉市議会議員団とともに議案の修正案を提出いたしました。その時には、まず条例制定の過程において、市民参加が図られていないことを問題点とし、また市民が「市民参加してみよう」と思えるような文章にするべきであること、単なる理念を語るだけの条例にならないよう、市民参加と協働を具体的に保障する手続きや仕組みが明記されることなどを求めておりました。
今回全部改正される千葉市市民参加及び協働に関する条例を見てみますと、まず改正に至るまでにインターネットモニターアンケートや無作為抽出の市民ワークショップ、市民100人大ワークショップ、市民プロジェクトチームで条例の概要(案)を検討する「市民主役のまちづくりの実現に向けた検討会」をへて、改正案に対するパブリックコメントの後、今回の条例の全部改正に至っており、改正過程での市民参加は、ある程度図られていました。また、前文や条文を見ますと、市民が親しみを感じられる前文への変更、ですます調への書き換えなどされており、一歩前進です。また、私たちが求めていた協働事業提案制度については、すでに制度として整えられております。11年前と比べると、市の市民参加と協働に対する意識が変わってきていると感じています。
条文の中では、市民がまちづくりにかかわる第一歩として、町内自治会や地域運営委員会に参加するということがうたわれておりますが、条例にかかれているだけではそのハードルが下がったことにはなりません。町内自治会や地域運営委員会など既存の団体も、自身のあり方が今後どうあるべきか、どうすれば若年層にかかわってもらえるのか検討することが必要です。
特に町内自治会の活動に関し、適切にアドバイスをしたり、相談できる人材は市の中に乏しい状況です。町内自治会は、色々な意見を持つ市民の集合体であり、役員になる人にとって運営は簡単ではありません。毎年度役員が入れ替わる自治会においては、会計書類の書き方ひとつとってもわからないことばかりで、実際に役員として関わってみると、会の運営は想像以上に大変なことが多いのです。また、役員以外の会員が不適切な運営について悩んでいるケースもあります。市はそのような悩みを抱えた団体に対し、具体的な支援の手を差し伸べる役割を果たすべきです。
相談があってからではなく、常に活動の支援や充実に結びつくような研修事業も必要です。区の単位でいつでも相談できる体制の充実・強化を速やかに図られるよう要望いたします。

条例の第9条「市の責務」という条文の中で、市民自治の活動に対し、市は「適切に支援するよう努める」こととされていますので、ぜひ積極的に市民と町内自治会などの団体の間に入り、具体的な動きをしていただくことを要望します。
これから街づくりに関わろうとする市民にとっては、相談窓口としての市民活動支援センターも大切な役割を担います。中央区にあるセンターのさらなる周知と利用促進を市民に働きかけていただくことを求めます。また将来的には、各区に同等の機能を整備し、市民がまちづくりにより関わりやすい仕組みとすることを要望いたします。
「(仮称)私のまちづくり条例」の検討時から、大勢の市民が関わって、形になろうとしている条例です。条例の意義が大勢の市民に伝わり、まちづくりを自分ごととしてとらえ、できる事から関わろうと思える人が増えるよう、できる限りの周知啓発を、様々な機会をとらえて行うことを強く要望いたします。また、この条例が、絵に描いた餅にならないよう、市の方から積極的に協働を進めていただきたいと思います。

次に、
議案第96号 千葉市美術館条例の一部改正について です。
このたび千葉市美術館が拡張することに伴い、新たに「美術に関する市民の創作活動等の支援に関すること」が事業内容に追加されます。この事業を行う場として、今回新しく作られる市民アトリエ・子どもアトリエ・図書室・ワークショップルームなどは、それぞれ市民が芸術に親しめる空間として活用されることがわかりました。ますます市民の文化活動の拠点としての役割が大きくなり、どのような企画が展開されるのかと期待をしております。
そのなかでも「子どもアトリエ」は、利用料金の設定がなく、主にアーティストと子どもの創作活動に利用すると想定されているとのことです。せっかくある部屋なのですから、アーティストが来館する以外の時間も有効活用するべきでありますし、また、例えば平日の日中に未就学児とその親が来館した時などにも利用できるようにするべきと考えます。
昨年度、熊本市現代美術館に環境経済委員会の視察で伺った際、美術館の中にある親子で集えるスペースが、震災時に地域の避難所では居づらさを感じていた乳幼児のいる親子の居場所として、大変役に立ったという話を聞きました。美術館は単に美術品を収集・展示するためだけにあるのではなく、地域住民の心休まる場所として機能することもできるのだと認識を新たにいたしました。
また、例えば水戸市の水戸芸術館現代美術センターのように、教育プログラムコーディネーターという人材を置き、地域連携も含めた特色あふれる教育プログラムを実践されている美術館もあります。
「市民アトリエ」「子どもアトリエ」「図書室」「ワークショップルーム」という、新しい部屋を、具体的にどのように活用していくかは、指定管理者からの提案をふまえ協議していくとのことですが、こうしたスペースが地域住民にとってどのように役立つ施設となりうるのか、その可能性を狭めることなく、他市の事例等も参考にしながら、利用方針を考えることを求めます。新しいスペースの有効活用で、今よりさらに地域に愛される美術館を目指していただきたいと思います。

次に
議案第85号 令和元年度千葉市一般会計補正予算(第2号)のうち「乳牛育成牧場跡地整備事業費」及び議案第97号 「千葉市乳牛育成牧場設置管理条例の廃止について」 です。
酪農の健全な発展を図るとともに市民の休養に資するための公の施設として昭和43年度から運営されてきた、乳牛育成牧場ですが、公の施設としての必要性の低下や、市の財政的負担の増大などの理由から、今回廃止するとの決断に至ったとのことです。
しかし、千葉市内では現在、酪農家が28戸あり、そのうち本市に牛を預託しているのは13戸で69頭であります。千葉市で酪農を続けている農家の皆さまにとっては、公の施設としての乳牛育成牧場が廃止になってしまうことは大きな痛手ではないかと考えます。乳牛の預託事業については、民間事業者に引き継がれた後、制度の変更や料金の上昇などの可能性があります。市は、既存の酪農家が従来通り事業を続けられるよう、必要な対策を講じるとのことですが、きちんと支援していただくことを要望いたします。
また、乳牛育成牧場廃止後の跡地に、民間活力導入による乳牛の預託施設とともに、グリーンツーリズム推進のための集客核施設を整備するとのこと。若葉区の活性化に寄与するものと期待しております。
山梨県北杜市高根町に「高根クラインガルテン」いう施設があります。ここは施設の整備は町が行い、4つの集落の住民が企業組合を作って運営しています。
ログハウスの簡易宿泊所をもち、来場者は泊りがけでの農作業体験や手作り体験教室に参加することができます。
市民ネットワークでは以前から、予算編成に対する要望書の中に「宿泊ができる農業体験施設を若葉区に作ること」を提案しておりました。乳牛育成牧場に隣接する「富田さとにわ耕園」と組み合わせれば、宿泊付き農業体験施設「クラインガルテン」が実現可能なのではないかと考えます。
施設の詳細については、事業者からの提案内容を見て検討することになりますが、地域の特色を生かしてグリーンツーリズムの一角を担う魅力ある施設として整備されること、交通渋滞などにも配慮して、地元住民にも歓迎される施設とすることを要望いたします。

次に
議案第98号 千葉市少年自然の家設置管理条例の一部改正について です。
千葉市少年自然の家は設立からこれまで15年間、PFI事業として管理運営されてきましたが、契約期間終了にあわせ、今後も効率的な管理運営を行うため、指定管理者制度の導入や利用対象者の拡大、日帰り利用の追加、施設使用料金の改定などを行うものです。
現在の当施設の稼働率は、平成30年度実績で最高が8月の59.7%、最低が4月の14.7%と、月によってばらつきがあり、年間平均は36.1%でありました。今回、施設の使用者の範囲を拡大し、各種団体や企業・大学等も使用できるようにすることで、稼働率が上がり、事業収支比率を今までの3%から14%程度にまであげられると見込んでいるとのことです。現地を見せていただきますと、とてもよくできた施設であり、プログラム等も充実していることから、できるだけ多くの人に使ってもらいたいという考えは理解できます。
しかし、使用者の範囲を拡大することにより、営利を目的とした人や団体に施設が悪用されないかとの懸念があります。条例には営利目的の利用はできないと定めてありますが、その事業が営利であるかどうかのチェック体制が整っていなければなりません。
どのような団体がどんな目的でこの施設を利用しようとするのか、活動計画書を提出させるとのことですが、できれば市の名義の後援申請を受け付けるときのように、事業終了後に収支報告書の提出を義務付けるなど、チェック体制を万全にしていただくことを要望いたします。
また、児童生徒の活動と、一般団体の活動が一緒になることが考えられます。そのようなとき、例えば一般団体の参加者が撮影した写真に児童生徒が写りこみ、SNS等で本人が知らないうちに拡散されるようなことがないよう、充分配慮していただくことも要望します。
当施設は今後も児童生徒の健全育成に資することを再優先として運営されるよう、指定管理者と十分に協議されることを強く要望するものです。

最後に
議案第108号 財産の処分について です。
かつて市のビジネス支援センター富士見分館として使われていた、中央区富士見2丁目の「富士見ハイネスビル」の区分所有権を処分する議案です。
そもそもこの富士見ハイネスビルが建設される前に市が所有していた土地は、富士見の共同墓地として使っていた場所を寄附されたものでした。平成14年には当該土地と東京電力の関連会社が持っていた土地を合わせてビルが建設され、1階と10階が本市の持ち分となりました。その後、平成14年度から「中心市街地活性化対策」の一環として、インキュベート施設となり活用されてきましたが、平成29年9月末でインキュベート施設は廃止となりました。今回富士見ハイネスビルの区分所有権を売却することにより、本市がこの場所を使って、中心市街地活性化に取り組むことはできなくなります。しかし、今回の売却先である(株)日進プランニングは、中央公園・通町公園の連結強化事業用地の地権者であり、本市が所有する富士見ハイネスビルと、お互いの財産を売買し合う方向で交渉を進めてきているところです。通町公園と中央公園で連続的な空間を形成し、千葉らしさを感じさせる公園とし、将来的には、中央公園側を街、千葉神社や通町公園側を杜と捉え、街と杜、未来と歴史をつなぐにぎわいと憩いの公園とする計画です。
今後は、土地の購入金額の上昇や、購入時期が遅れることなどをできる限り避けつつ、地域住民の意見も聞きながら、中央公園・通町公園を中心としたエリアの活性化に取り組んでいただけるよう要望いたします。

以上で、市民ネットワークの討論を終わります。

 

 

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