令和1年第2回定例会 一般質問

2019年6月20日

松井かよ子

おはようございます。市民ネットワークの松井かよ子です。通告に従い、一般質問をおこないます。はじめに、
1. 24時間365日対応できるしくみの構築に向けて 
1)シェアサイクルについて 伺います。
本市では、自転車を活用したまちづくりを推進してとして、シェアサイクルの効果や課題を明らかにするための実証実験を2018年3月末から始めています。千葉都心と幕張新都心エリアを中心に、貸出や返却のステーションも徐々に増え始め、利用者も伸びていると聞いています。私も実験開始当初から便利に利用していますが、一方で何度かトラブルに遭遇しました。自転車を返そうと思ってもパネルにエラーが表示され操作できなかったり、バッテリーの充電量がゼロになってしまい、重い電動アシスト自転車を押しながら坂を上ったり、借りた自転車がパンクしていたりと、途方に暮れてしまったことがあります。しかし、24時間365日対応の電話番号がステーションに表示されており、その場で連絡をとり、9割方は何とか解決することができました。どうしても解決できなかった問題ですが、自宅周辺のステーションが満車で返却場所が見つからず、結局、一晩自転車を自宅で保管することになってしまいました。このようにいろいろなことがありましたが、今でも経験に学びながら利用し続けています。そこで、シェアサイクルについて伺います。

@ これまでの問い合わせ件数、内容にはどのようなものがありますか、また、緊急性の高いものはありますか

以上で1回目の質問をおわります。2回目からは自席にておこないます。ご答弁よろしくお願いいたします。

<答弁>
(総合政策局総合政策部国家戦略特区推進課)
(国家戦略特区担当局長答弁)
 昨年度中、事業者のコールセンターに対し、本市全体で726件の問合せがありました。
 主な内容としては、操作方法などの利用方法に関する問合せが358件で全体の49%、バッテリーの充電不足などの自転車の不具合に関してが105件で14%、予約方法や今後の展開予定エリアなどのサービス内容に関してが82件で11%あり、そのほかに、満車による返却不能や、返却忘れに関する問合せがありました。
 なお、緊急性の高い事故や盗難等の場合には、警察とコールセンターへの連絡を求めておりますが、該当はありませんでした。

本市全体で1年間に726件の問合せがあったとのことですが、コールセンターが24時間365日対応することにより、シェアサイクルはこれまでのところ大きなトラブルもなく、持続的に利用できるしくみになっています。それでは、今後のことについて伺います。

A 現在実証実験中ですが、本格実施になった場合でも、同様の体制を継続する必要性があると考えていますか

<答弁>
(総合政策局総合政策部国家戦略特区推進課)
(国家戦略特区担当局長答弁)
 いつでも利用可能なシェアサイクルでは、事故等への迅速な対応を行うコールセンター機能は必須であるものと考えております。

このようなコールセンターが、社会のさまざまな場面で機能すれば、市民生活の質の向上のみならず、本市の事業を効果的に運営することにもつながるのではないかと考えます。そこで、次に視点を変えて

2)夜間・休日診療について 伺います。
急な病気や怪我など、突発的な病気に見舞われたとき、夜間・休日診療は心強い存在です。本市では千葉市夜間応急診療(夜急診)として、平日は夜7時から、土日・祝日・年末年始は夜6時から翌朝の6時まで、海浜病院で内科及び小児科の急病患者に対する初期診療を行っています。

@ 千葉市夜間応急診療(夜急診)の患者数はどのようになっていますか? また、緊急ではない診療も含まれているでしょうか

<答弁>
(保健福祉局健康部健康企画課)
(病院局海浜病院事務局)
(保健福祉局次長答弁)
昨年度の実績では、内科及び小児科の年間の患者数は、2万3,622人でした。そのうち、来院の必要性について、疾病の状態から翌日の受診でも可能であったと医師が判断した患者の割合は、全体の約5割となっております。

結果として約半数の患者のみが、緊急性があったと判断されています。それでは、美浜区幸町の総合保健医療センターに開設されている休日救急診療所について伺います。休日の朝9時から夕方5時までの開設ですが、内科・小児科・外科・整形外科・眼科・耳鼻咽喉科・歯科と診療科目は夜急診よりも整っています。

A 休日救急診療所の患者数はどのようになっていますか? また、緊急ではない診療も含まれているでしょうか

<答弁>
(保健福祉局健康部健康企画課)
(保健福祉局次長答弁)
昨年度の実績では、日曜・祝日・年末年始など73日間の診療で、内科・小児科・外科等7つの診療科の患者数は、1万8,114人でした。そのうち、来院の必要性について、疾病の状態から翌日の受診でも可能であったと医師が判断した患者の割合は、全体の約3割となっております。

休日救急診療所では結果として約7割の患者が、来院の必要性があり、3割は緊急でなかったことになります。病状について、素人判断は難しい面がありますが、コールセンターの活用によって、救急車を要請したり、医療機関の受診を迷ったりする人の手助けになるのではと考えます。そこで伺います。

B #7009、#8000 の電話相談の活用状況はどうでしょうか? 緊急でない受診を抑えるのに役立っていますか

<答弁>
(保健福祉局健康部健康企画課)
(保健福祉局次長答弁)
「千葉県救急安心電話相談(♯(シャープ)7009(ナナセンキュウ))」及び「こども急病電話相談(♯(シャープ)8000(ハッセン))」は、すぐに受診した方が良いか、様子をみても大丈夫か迷った時の相談窓口で、いずれも千葉県が行う事業であり、本市では、市政だより、市ホームページ等により周知し、市民の利用促進を図っております。
昨年度の利用件数をみると、
「♯7009」は、2万2,208件、
そのうち、千葉市内からの相談は、6,683件で、全体の約3割、
「♯8000」は、4万1,916件、
そのうち、市内からの相談は、8,107件で、全体の約2割となっております。
相談への対応では、翌日の受診を勧めたり、応急処置のアドバイスなどで済んだものの割合が、県全体で、「♯7009」が56.6パーセント、「♯8000」が76.8パーセントとなっており、市民が、夜間などの急な病気やけがですぐに受診すべきかどうかの判断の一助となっているものと認識しております。

千葉県の電話相談 #7009は、現在、平日・土曜日の午後6時から11時と、日曜・祝日などの午前9時から午後11時に限られており、深夜や早朝は対象外となっています。また、15歳未満を対象とした #8000は、毎日午後7時から翌朝の午前6時までとなっています。しかし、すでに多くの相談がこの番号に寄せられていることから、24時間365日対応できる体制があればさらに多くの方が利用できるのではと考えます。ちなみに、2018年10月の時点で、東京、埼玉、茨城、大阪など9都府県や一部地域では、24時間対応の救急電話相談が導入されているそうです。電話相談の機能が強化されることによって、現時点での課題が解決できるのでしょうか。そこで

C 夜急診や休日救急診療所の課題は何でしょうか

<答弁>
(保健福祉局健康部健康企画課)
(病院局海浜病院事務局)
(保健福祉局次長答弁)
夜間応急診療、いわゆる「夜急診」や休日救急診療所は、医師会、歯科医師会、薬剤師会等の医療関係団体、市内医療機関や大学病院などの協力により初期の応急診療を行っているもので、翌日にかかりつけ医等を受診していただくことや、処方薬は1日分とすることを原則としております。
 課題としては、受診の必要性の判断が自分では難しいことに加え、いわゆるコンビニ受診などにより、緊急性の低い患者も実際には多く、本来必要とされる患者の診療に影響が出ることや、医師などの負担が大きくなること、また、医師をはじめとするスタッフの確保も厳しい状況となっていることなどとなります。
夜急診や休日救急診療所は、限られた人員、設備により応急診療を行っているということを市民の皆様に誤解のないよう伝えていく必要があると考えております。

夜急診や休日救急診療所は、当番のスタッフが海浜病院や総合保健医療センターの設備を使って応急診療に当たっていますが、市政だよりなどに掲載されていても、このことは市民の間では広く知られてはいません。「海浜病院は夜も開いているから便利」「だから海浜病院の存続を」などの声もあります。急な病気やけがで不安を感じたりパニックになったりする市民の気持ちを受けとめると同時に、医療スタッフの負担軽減のためにも、コールセンターの充実が不可欠と考えます。そこで続いて、

3)救急車の対応について 伺います。病気やけがでまず考えるのは119番への通報ですが、
@ 現在の救急車の稼働及び搬送の状況等はどのようになっているのかについて お聞かせください。

<答弁>
(消防局警防部救急課)
(消防局長答弁) 
昨年の本市における救急出動件数は、5万8,370件と過去最多を更新しており、その稼働状況は年々高まっております。
また、救急車で搬送された傷病者のうち、搬送先の医療機関の医師が初診時に、入院の必要があると診断した「中等症以上」の傷病者が45パーセントで、入院の必要がないと診断した「軽症」の傷病者が55パーセント
を占めている状況です。

救急事態が発生したとき、重症の場合は迷わず119番をしますが、素人では判断が難しい場合もあります。千葉市のホームページでも「119番は問い合わせ窓口ではありません」として、「最近、本来の119番として異なる使い方をしている方が増えています。限りある119番回線が本当に必要としている人が使えるように適正な利用をお願いします。」と呼びかけています。消防指令センターに「どこの病院があいているのか」や「何科にかかればよいのか」などの問合せがあるそうです。しかし、いくらホームページで呼びかけても、不安を抑えきれず、何度も119番通報をしてしまう「頻回利用者」がいることも事実です。そこで、

A 頻回利用者の現状及び特徴について 伺います。

<答弁>
(消防局警防部救急課)
(消防局長答弁)
消防局では、年間に7回以上救急車を要請した者を「頻回利用者」と定義付けています。
本年4月現在市内に133人の頻回利用者がおり、年間2,194件の要請があります。
その特徴としては、精神的な疾患を抱えている方が80パーセントを占めており、救急要請は夜間に多く、特に18時から20時に集中しています。

 

通報をされる方にとっては、119番は24時間365日対応の便利な窓口です。しかし同時に、救急車の適正利用の観点からは、救急車を本当に必要としている人が、生命の危機に晒されかねない事態も生じます。そこで、

B 稲毛区と美浜区で行われている頻回利用者向けの事業の効果、課題や今後の方針について お聞きします。

<答弁>
(消防局警防部救急課)
(消防局長答弁)
頻回利用者に対しては、稲毛区、美浜区をモデル地域として、救急車の適正利用を指導する「救急車の適正利用促進事業」を平成27年度から実施しています。
具体的には、頻回利用者を個別訪問した後、電話相談やメンタルクリニックの紹介などを実施しました。
その結果、昨年度は、モデル地域内の頻回利用者が半数以下に減少しました。
課題としては、本事業で対応した頻回利用者からの要請は減少しますが、翌年には新たな頻回利用者が現れしまうことです。消防局としては、真に救急車を必要としている人からの要請に応えるためにも、引き続き頻回利用者対策を進めて参ります。

この事業の対象者のほとんどは、何らかの精神的な疾患を抱えており、地域でも家庭でも孤立している傾向にあるそうです。対象者からは「話を聞いてもらえて救われた」との声も届いているそうですが、当事者が自立して、住みなれた地域で生活を続けていくには、この事業以外にも、何らかの支援体制が必要であると考えます。
それでは、次に高齢者およびその家族のための総合相談窓口である

4)あんしんケアセンターでの相談体制について お聞きします。市内に30か所、そのうち美浜区には4か所あるあんしんケアセンターですが、業務時間は月曜日から土曜日までの朝9時から夕方5時までとなっています。それぞれのセンターは本市から社会福祉法人や医療法人に業務委託されていますが、市のホームページには「緊急の場合は、時間外でも電話に応じます」と記載されています。そこで伺います。

@ 朝9時から夕方5時以外の相談体制はどのようになっていますか

<答弁>
(保健福祉局地域包括ケア推進課)
(保健福祉局次長答弁)
あんしんケアセンターでは、業務時間外においても、一般に周知されている同センターの電話番号に連絡すれば、担当者と相談できる体制をとっております。
具体的には、担当者の電話に転送されるか、あるいは、緊急時の電話番号がアナウンスされるなどして、必ず連絡がとれるようになっております。
なお、相談内容によって、業務時間外での対応が必要でないと考えられる場合には、ご理解いただき、あらためて業務時間内に連絡をとり、来所相談や訪問などを行っております。

あんしんケアセンターをよく利用している人にとっては、時間外に電話をするほど、センターやスタッフに親しみを感じている方も多いと考えられます。しかし、医療的なケアが必要な場合もあり、すべての課題が解決できるとは限りません。そこで、

A あんしんケアセンターで対応できない場合、どの窓口につないでいるのでしょうか

<答弁>
(保健福祉局地域包括ケア推進課)
(保健福祉局次長答弁)
相談内容によって緊急性があると考えられる場合には、例えば、警察、消防などへの至急の連絡を促すとともに、必要に応じ、訪問などを行い適切に対応しております。

これまで「シェアサイクルで問題が発生して途方に暮れたとき」「夜間や休日に急病やけがで困ったとき」「日常生活で不安になったとき」「高齢者が相談をしたくなったとき」など、24時間365日対応が必要なケースについてみてきました。「突然のことでどこへ連絡すればよいかわからなかった」とか「頭が混乱して、知っている番号に電話をしてしまった」などの課題について、当事者に悪意はなくても、不適切な行動をとってしまうことがあります。地域や家族との関係が希薄であれば、尚のことそのような行動に出てしまいます。そこで、いつでも連絡ができ、相談できるしくみを構築することは行政サービスとして必要ではないかと考えます。「助けて!」といえる相談窓口が、社会のさまざまな場面を網羅することによって、市民生活の向上のみならず、本市の事業を効果的に運営することにもつながると考えます。スライドをご覧ください。千葉県のホームページに「中核地域生活支援センター事業」が載っています。「24時間365日体制で総合的な対応を行う地域福祉のセーフティネット」との趣旨です。センターのニュースレターには、保護する人がいない犬や猫の救護活動を行う団体が紹介されていて、そのまわりに、医療、教育、雇用、司法、住居、消費、国際の文字が横につながっているイラストがあるなど、幅広い分野での包括的な相談支援、複合的な課題に対処するための関係機関のコーディネート、市町村等のバックアップなど、制度の隙間を埋めるような事業が展開されています。政令市である千葉市は残念ながらこの事業の対象外となっていますが、本市独自で分野横断的な寄り添い支援ができるよう、事業間の連携やワンストップ窓口の設置によって「24時間365日対応できるしくみの構築」ができるよう求めます。それでは、次の質問にうつります。

2.こどもの健康を守るために 
として、はじめに
1)中2自然教室に関する情報公開について 伺います。
昨年12月の定例会において、高原千葉村の閉所後、今年度から新たにスタートする中学2年生の自然教室について一般質問をしました。2019年度については、各学校の希望どおり、群馬県の国立赤城青少年交流の家30校、福島県の国立那須甲子青少年自然の家25校と2つの施設を利用することになっています。赤城青少年交流の家は、概ね10月下旬から12月上旬の利用であり、ハイキング、飯盒炊飯、グループで課題を解決する赤城アドベンチャープログラムなどが用意されているとのこと。また、那須甲子青少年自然の家は、1月から2月の利用であり、スキー体験のほか、スノーシューハイキングや雪像づくり、プレイホールでのキャンプファイヤーなどのプログラムが用意されているとのことです。福島の原発事故の際、放射線量が高い地域であったことから保護者の心配も懸念されるとして、教育委員会職員が空間放射線量を測定しました。結果、基準値を下回っていることが確認されています。市民ネットワークでも、昨年11月と今年1月に現地に行き、空間放射線量を測定してきましたが、教育委員会の測定結果と同様、基準値以下であることがわかりました。この結果をはじめ、自然教室の概要について、昨年度の学校ごとの説明会では十分に情報提供がされていないところもあったことから、今年度の保護者説明会では教育委員会の情報をすべての学校で提供できるよう要望しました。そこで伺います。
@ 新年度に入り、中学2年生の保護者にはどのような説明をされていますか

<答弁>
(教育委員会学校教育部保健体育課)
(教育次長答弁)
教育委員会において、「利用施設の概要」、「自然教室での活動例」、「施設周辺の空間放射線量」等をまとめた保護者向け資料を作成し、本年3月に全市立中学校に配布しました。 
各中学校からは、4月以降、自然教室に係る保護者説明会を順次開催し、資料を活用して、十分に説明していると聞いております。

中学2年生の保護者については、丁寧に説明をされているとの理解をいたしました。同時に、近い将来自然教室に参加する小学生の保護者や高原千葉村が閉所されたことを聞いて、次はどうなるのかと疑問を持つ市民への周知は不十分です。

A 教育委員会のホームページには、空間放射線量をはじめ、自然教室の詳細については公開されていません。一般市民向けの情報提供をどのように考えているか 伺います。

<答弁>
(教育委員会学校教育部保健体育課)
(教育次長答弁)
自然教室の利用施設における空間放射線量については、原子力規制委員会の「放射線モニタリング情報」にアクセスすることにより、最新の測定結果を確認することができます。
今後、自然教室の目的や実施状況等を、教育委員会のホームページにおいて情報提供する中で、「放射線モニタリング情報」のアクセス先についても掲載して参ります。

新たな自然教室について、教育委員会のホームページに掲載されるとのこと。情報を探す市民にとって、わかりやすいページになるよう期待しております。また、保護者説明会などで出された質問や意見についても、できるだけ反映してくださるよう要望いたします。続いて、

2)放射線副読本について お聞きします。
2011年10月に文部科学省が作成した「放射線等に関する副読本」ですが、昨年秋、2度目の改訂がおこなわれ、小学生版および中学生・高校生版の「放射線副読本」が文部科学省から直接各学校へ送付されました。内容は放射線に関する基礎的なことから、福島の原発事故のこと、風評被害やいじめの対策にいたるまで多岐にわたっています。そこで伺います。本市における

@ 放射線副読本の取扱いはどのようになっていますか。また、放射線についてはどのような場面、内容で指導していますか

<答弁>
(教育委員会学校教育部教育指導課)
(教育次長答弁)
放射線については、学習指導要領に基づき、中学校の理科「地球の明るい未来のために」の単元などで取り扱うとともに、生徒に配付した副読本や放射線医学総合研究所の出前授業などを活用して学習し、放射線の種類や性質、放射線による影響について理解を深めています。
また、昨年8月に、中学校理科教員を対象とした研修会において、副読本を授業に活用しながら、より深い知識を身に付けさせるよう、周知しております。
なお、小学校においては、児童に副読本の趣旨を説明し、配布しております。

この副読本ですが、滋賀県の野洲市教育委員会では「福島第1原発事故の被災者の心情に配慮せず、安全性ばかりを強調している」として回収したそうです。私も副読本を読んでみましたが、身の回りにある自然界からの放射線被ばくと事故による被ばくとを同じように扱っていることや、「原爆被爆生存者や小児がん治療生存者から生まれた子供たちを対象とした調査においては、人が放射線を受けた影響が、その人の子供に伝わるという遺伝性影響を示す根拠はこれまで報告されていません」として、未だ科学的に明らかになっていないことについて、「報告はない」との記述となっていることが気になりました。さらに、100ミリから200ミリシーベルトの放射線を人体が受けた場合、発がんリスクの増加は、野菜不足や高塩分の食品を食べ続けたときと同じ程度としています。放射線と生活習慣によってがんになるリスクはまったく別物であり、比較できないことを比較しようとしていることに疑問を感じます。先ほどのご答弁によると、この副読本を中学校の理科教育で活用するとのことですが、いじめの防止や風評被害のページについては、理科というよりもモラルの範疇です。このような副読本については、教科書検定のようなシステムがないだけに、教育委員会でしっかりと内容を精査する必要があると考えます。今後の使用中止など、検討を求めます。続いて

3)甲状腺健診と安定ヨウ素剤について お聞きします。
チェルノブイリの原発事故では、5年後から小児甲状腺がんの患者が増え始め、10年後に、放射性ヨウ素を原因とする疾患として、IAEA(国際原子力機関)などが事故由来であると唯一認めた疾患となっています。先ほどの放射線副読本にデータとして挙げられていた被ばくのリスクですが、出典元である国立がん研究センターウェブサイトを見ると、チェルノブイリで被ばくした18歳以下の子どもは、50ミリから140ミリシーベルトの少ない放射線量であっても、10から15年後に、大人が500から1000ミリシーベルトの放射線を受けたときと同じだけのがんのリスクがあることも記載されています。このことは、放射線副読本には取り上げられておらず、子どもにとってリスクがかなり高くなることが意図的に隠されたのではないかとの疑念があります。このような状況下、千葉市を含め、各地で小児甲状腺検診が自主的におこなわれています。医師や臨床検査技師がエコー検査を行い、その場で画像をみながら甲状腺の状態を説明しています。千葉県内では柏、松戸、白井、野田、我孫子、鎌ヶ谷の6市において、

@ 甲状腺超音波検査についての公費助成が行われていますが、千葉市でも検討してはいかがでしょうか

<答弁>
(保健福祉局健康部健康支援課)
(保健福祉局次長答弁)
千葉県内において甲状腺超音波検査を公費助成している自治体は、全て放射性物質汚染対処特別措置法により汚染状況重点調査地域に指定されています。
本市は当該地域の指定を受けていないこと、また、放射線による健康への影響に関する調査等は、国が対象者など統一的な基準を作成して実施するべき施策であることから、本市単独で甲状腺超音波検査への公費助成を実施することは考えておりませんが、今後、国の動向を注視して参ります。

千葉市のこどもの健康を守る観点からは、国の動向に関わらず、前向きにお考えいただきたいと思います。がん検診などと同様、希望者が指定の医療機関で検診を受けられるよう、検討を求めます。さて、次に、小児甲状腺検診に加えて、各地で自主的に安定ヨウ素剤を配布する取り組みが始まっています。安定ヨウ素剤は放射性ヨウ素による被ばくから甲状腺を守るための薬です。原発事故が起こると放射性物質のうちの1つ放射性ヨウ素がとんできて、身体の中に入り、甲状腺に集まって被ばくを起こしてしまいます。安定ヨウ素剤を飲んでおけば、甲状腺に入ることを防ぎます。原発の稼動は容認できませんが、国が東海第二原発の再稼動を認可した以上、備える必要があります。そこで、

A 本市でも公費で安定ヨウ素剤を事前配布してはどうでしょうか

<答弁>
(保健福祉局健康部健康企画課)
(保健福祉局次長答弁)
安定ヨウ素剤の住民への事前配布については、原子力規制庁が原子力施設から概ね5キロメートルを事前配布地域、概ね30キロメートルの地域については、避難時等に配布できる体制を整備するとしています。
 本市は、一番近い東海第二発電所から90キロメートル以上離れているため、現在のところヨウ素剤の配布については考えておりません。

兵庫県にある丹波篠山市ですが、令和になった日から市の名称を変更したことで有名になりました。ここでは、2016年1月から市民を対象に安定ヨウ素剤の事前配布を行っています。福井の原発群からは50キロメートルの距離にあります。福島の原発事故では、首都圏を含む東日本の広い範囲で放射性ヨウ素による被ばくがありました。その教訓から、距離の如何に関わらず、子どもを守るのは大人の責任と認識し、施策をすすめてきたそうです。また、原発事故に備えて、「原子力災害対策検討委員会」を設けてさまざまな観点から災害対策に取り組んでいます。「原発災害にたくましく備えよう」と題する防災ハンドブックも作成しています。そこで、
4)原子力防災への取り組みについて 伺います。原発は稼動させないことが前提ですが、仮に稼動した場合、今のままでは何の備えもありません。福島の教訓が生かされないことになります。また、原発の原子炉は停止していても、使用済燃料がプールにあるため、緊急時防護対策の対象になります。そこで、

@ 本市も原子力防災に取り組む必要があるのでは と考えますが、いかがでしょうか

<答弁>
(総務局危機管理課)
(総務局長答弁)
 平成23年3月11日に発生した東日本大震災による、原発事故に起因する放射性物質等により、市民の生活や社会経済 活動に様々な影響が及んだことを受け、本市においても、25年4月に、「放射性物質事故対策」について、「千葉市地域防災計画」の中に追加しました。
 具体的には、関係機関との連携、放射線モニタリング、市民の避難対策など、放射性物資事故に対する予防対策や応急対策を規定しているところです。
 なお、放射性物質事故については、国、県等においても各種の対策を定めるとともに、さらなる対策の検討を行っているところでありますので、今後も動向を注視し、必要に応じて計画を見直すなど的確な対応を図って参ります。

千葉市地域防災計画について、見直しが行われる際には、原子力防災の視点もぜひとも取り入れていただけるよう要望します。ちなみに、丹波篠山市の原子力防災の要点は3つ。1つ、とっとと逃げる。2つ、心のバリア、すなわち大丈夫といった思い込みをとる 3つ、放射線による被ばくなど、被害を少しでも減らす、すなわち減災 だそうです。国の「原子力災害対策指針」では、2017年の改定によって事故想定を福島第一原発事故の100分の1のセシウムの放出量に引き下げたり、30km圏内では緊急事態でも避難せず屋内退避を原則としたりするなど「できるだけ住民を避難させない」、言いかえれば被曝のリスクが高まる方向に変化してきました。しかしながら、丹波篠山市の「原子力災害対策検討委員会」では、医師、専門家、市民が委員となって熱心に議論をして、避難の計画や安定ヨウ素剤の事前配布などを決めたとのこと。公募市民も4人います。最後に市長に答申をおこないました。そこで、このような取り組みを参考に、本市でも

A 計画の修正に当たっては、専門家や医師、広く市民の参加および市民意見の尊重ができるようにしてはいかがでしょうか

<答弁>
(総務局危機管理課)
(総務局長答弁)
 本市地域防災計画の修正については、「防災会議」を開催し、内容の審議や決定をすることとなっております。
 防災会議の構成は、市長を会長として、学識経験者や千葉市医師会等の医療関係者、千葉市町内自治会連絡協議会等、幅広く意見を得られる委員構成となっているところです。
 また、会議において意見を反映した地域防災計画を、パブリックコメントにより、広く市民の皆様からもご意見を聴く機会を設け、地域防災計画の修正を行っているところです。
 今後は、これらの取り組みに加え、地域の方々からのヒアリングを検討するなど、本市の災害対策のさらなる推進を図って参ります。

防災会議ですが、市長を筆頭に大人数で構成されており「じっくり議論をする」形式ではなく、それぞれの団体からの意見聴取をもとに、計画をとりまとめる形で進められているとの認識です。災害から身を守ることを「我が事」としてじっくり考えられなければ、実効性のある取り組みにはなりません。日々の暮らしの視点から、起こりうる被害を想定し、市民の誰もが取り組みやすく、被害を最小限にくいとめられる対策を防災計画に盛り込んでいただけるよう求めます。

それでは次に、
3.SDGs(持続可能な開発目標)を推進するために 
環境関連の目標を達成するための取り組みについて伺います。SDGs(持続可能な開発目標)とは、2015年9月25日の国連サミットで掲げられた国際社会共通の目標です。2016年から2030年までの長期的な開発の指針として、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。17の目標の中には「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」「気候変動に具体的な対策を」「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」などの項目が含まれています。
「陸の豊かさも守ろう」の観点から、はじめに
1)森林環境譲与税について 伺います。
今年度から森林環境整備に係る新たな財源が計上されています。この

@ 森林環境譲与税について、その背景、概要、今後5年間の歳入見込みについて お聞かせください。

<答弁>
(財政局税務部税制課)
(財政局長答弁)
 森林整備は、持続的な成長に向けて地球温暖化防止はもちろんのこと、国土の保全や水源の涵養、地方創生や快適な生活環境の創出等につながるものです。
しかしながら、現在、森林所有者の経営意欲の低下や所有者不明の森林の増加、担い手の不足等が大きな課題となっています。
そこで、本年4月から森林経営管理法により、自然的条件が悪く採算ベースに乗らない森林を市町村が自ら管理をする制度が導入されるとともに、その財源に充てるため森林環境税及び森林環境譲与税が創設されました。
森林環境税は、東日本大震災からの復興のための市県民税均等割の上乗せ終了後の令和6年度から、国が課税します。
森林環境譲与税は、森林環境税による収入の9割を市町村分、1割を都道府県分として、各自治体に対し私有林人工林面積、林業従事者数等を基準に按分して譲与し、森林整備等に活用するものです。
 今年度から譲与が、譲与税特別会計における借入金により前倒しして開始され、市町村への譲与割合は、6年度までは8割とされ、その後、段階的に9割まで増加していくこととされています。
今後5年間の本市の森林環境譲与税の歳入見込みですが、元年度から3年度までが毎年度、約3,900万円、4年度と5年度が、それぞれ約5,800万円となっています。

 

昨今の夏の高温化など、地球温暖化に起因する現象については、その防止に向けて何らかのアクションが必要です。森林整備について、国から毎年度財源が移譲され、自治体の裁量で事業を行うことができるとのことですが、2024年度から個人住民税に上乗せして1人当たり1000円が森林環境税として徴収される予定です。森林面積が他の自治体に比べて大きくない本市において、貴重な税収を有効に活用していくには工夫が必要です。それでは、

A 本市としてはどのような使途を考えているか お聞かせください。

<答弁>
(経済農政局農政部農政課)
(経済農政局農政部農業経営支援課)
(経済農政局長答弁)
 「千葉市地域環境保全基金」に全額積み立てた上で、まずは、その一部を財源として、森林の状況及び森林所有者の 意識調査や森林施策に関連する団体への聞き取り調査を行う「森林環境基礎調査」等を実施することとしております。
 なお、「森林環境基礎調査」に加え、市内在住・在勤・在学の方を対象に、森林環境譲与税の活用にふさわしい利用方法などについて「WEBアンケート」を行うほか、庁内各部局に対して活用事業の調査を行い、これらの結果をもとに次年度以降の使途について検討して参ります。

まずは森林環境基礎調査を実施し、その後、使途について検討されるとのことですが、横浜市では山間部の森林整備で生み出された国内産木材を、消費地として購入・利用するために使用するとのことで、木材利用の推進を図るほか、学校建替事業の財源として活用していくそうです。本市でも、市の魅力づくりにつながるグリーンエリアの環境整備や木材利用の推進に活用できるよう要望します。

次に、17の目標のうち「陸の豊かさも守ろう」「気候変動に具体的な対策を」の観点から、
2)街路樹のあり方について 伺います。
温室効果ガスの削減や大気の浄化の観点からは、交通量の多い道路沿いに植えられている街路樹の整備も有効です。街路樹は都市の景観を潤し、歩行者に木陰を提供し、ヒートアイランド現象を緩和し、そして防災面の役割もあります。本市では、道路延長約420kmにおよそ130種の街路樹を管理しており、樹木の成長と共に緑豊かなまちづくりに貢献しています。市内の代表的な街路樹として、「あすみ大通り」のクスノキ、中心市街地のシンボルとなっている「千葉駅前大通り」のケヤキ、海辺らしさを演出する「海浜松風通り」のクロマツ、「こじま公園通り」のイチョウなど、四季を通してその魅力を感じることのできる街路樹が多くあります。そして、今年3月から4月にかけて、本市では、街路樹について広く市民への意見募集をおこないました。この

@ 「千葉市街路樹のあり方」には、どのような意見が寄せられていましたか 概要をお聞かせください。

<答弁>
(都市局公園緑地部公園管理課)
(都市局長答弁)
 市民意見募集は、本年3月25日から4月26日までの1か月間実施し、19人の方から80件のご意見が寄せられました。
 最も多かったのは、今後の管理の体制等に関する提案が、12件あり、具体的には、維持管理への市民参加の促進や、花木の管理における有識者の知見や意見の活用のほか、樹木医による街路樹の点検などがありました。
 また、街路樹そのものに関しては、街路樹の伐採を望む意見があった一方、夏場の緑陰を確保するため、過度の剪定は行わないよう、求める意見などがありました。

「千葉市街路樹のあり方」では、街路樹が親しみと誇りを持たれる存在となるよう、今後の整備や維持管理の方向性を示すこととされています。市民意見にあったように、有識者と市民がともに街路樹の整備や維持管理に関わることで、緑の豊かさを守り、良好な街並みを形成し、環境保全や地域の特色づくりにも資する目標を達成できるのではと考えます。それでは、

A 「街路樹のあり方」に基づく取組みを進めていく上での課題について 伺います。

<答弁>
(都市局公園緑地部公園管理課)
(都市局長答弁)
 「街路樹のあり方」の策定後は、路線ごとに実態調査や事業計画の作成、対策を行って参りますが、街路樹が     4万6,000本と多いことから、調査や計画の作成に時間を要するとともに、事業の実施に当たっては多くの予算が必要となることなどが課題であると認識しております。

街路樹はそれぞれの環境が異なることから、1つの計画ですべてを網羅することが難しい事業です。樹木の種類の選定から植樹、維持管理まであらかじめ調査が必要であることと、周辺住民の意見を聴いたり、それぞれに市民が関わるしくみをつくったりするなど、時間と手間と予算がかかる取り組みとなります。課題はたくさんありますが、沿道の住民をはじめ、街路樹に対して愛着を持つ市民は多いと思われます。このような市民に街路樹の管理や維持にかかわっていただくのは、これからのまちづくりの中でも重要です。 これまで市民ネットワークでも、街路樹ウオッチングやマップの作成等を通じて、街路樹に対する市民の関心を高め、維持管理への参加を呼びかけてきました。そこで、

B 市民が関わる道路環境を守る取り組みについて 現状や考えを伺います。

<答弁>
(建設局土木部中央・美浜土木事務所管理課)
(建設局長答弁)
市民と本市が協働で道路環境を守る取組みとして、「ちばし道路サポート制度」があります。
この制度は、平成26年度から取り組んでおり、市民団体に歩道の清掃や除草、植樹桝への草花の植栽や管理などを行っていただくことにより、地域にふさわしい道路環境づくりを推進するとともに、市民意識の向上を図ることを目的としております。

身近な道路において、市と市民団体が協働して維持管理に関わる制度が整えられてきました。親しみやすく愛着のある街路樹をめざすためにも「ちばし道路サポート制度」の活動に今後注目していく必要があると考えます。それでは、

C ちばし道路サポート制度に登録している団体数の直近3年間の推移について 伺います。

<答弁>
(建設局土木部中央・美浜土木事務所管理課)
(建設局長答弁)
サポート団体数は、平成28年度末で、160団体、29年度末で、179団体、30年度末で、195団体となっております。

団体数は少しずつ増えており、この制度についての周知が図られていると理解しています。しかし、制度に関心があって趣旨に賛同はしていても、「体力的に厳しく実質的な活動は難しい」とか、「もっと地域の人たちが関わってくれれば活動が拡がるのに」とか、「市民団体ではなく、自分のやれる範囲で個人として自由に活動をしたい」などの声も聞こえてきます。花壇への水やりなどは、最寄りの水道を使わせていただく必要もあります。市民からの相談がある場合には、ていねいに意見を聞き、市民と一緒に制度の活用に取り組んでいただけるよう要望します。

続いて、「気候変動に具体的な対策を」「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の観点から
3)蘇我エコロジーパークについて 伺います。
市民ネットワークが2年にわたって反対を表明してきた石炭火力発電所の新設計画ですが昨年末、突然中止となりました。計画地は「蘇我エコロジーパーク構想」のエリアであり、市民に親しまれる都市型環境拠点づくりが行われると宣伝されてきました。平成15年7月1日発行の「ちば市政だより」には、ページの半分を使って「蘇我エコロジーパーク構想」を策定とあり、目標年次は平成28年度となっています。環境関連産業の整備、集積を図るとともに、リサイクル技術の研究開発や環境学習などの諸機能を導入することにより、都市型環境拠点の整備を進めることとし、これまで民間主導によるリサイクル施設等の立地を推進しておりました。「蘇我エコロジーパーク構想」の策定の後、その趣旨に則った事業展開がおこなわれるよう平成18年3月には「蘇我エコロジーパーク構想推進のためのルール」が策定されました。市として長い時間をかけて検討し、千葉市を資源循環型都市にするためのルールづくりにも力を入れてきた地区です。現在も千葉市のホームページにこのことが掲載されています。そこで伺います。

@ 石炭火力発電所の計画がなくなりましたが、蘇我エコロジーパークの整備計画はどのようになりますか

<答弁>
(環境局資源循環部廃棄物対策課)
(環境局長答弁)
蘇我エコロジーパーク構想は、構想の策定から既に10年以上が経過し、社会経済情勢や環境関連産業を取り巻く状況に変化が生じていることから、今後、構想自体の見直しについて検討して参ります。

構想自体の見直しがされるとはいえ、当初の「市民に親しまれる都市型環境拠点づくり」は今でも決して否定されるべきものではありません。持続可能な開発目標を推進するための新たな拠点にすることも十分考えられます。しかしながら、石炭火力にかわって

A現在、液化天然ガス火力発電所開発の事業実現性について検討されているようです。液化天然ガスの発電所を認めることは、石炭火力同様、エコロジーパークの方向性に反するものと考えますがいかがでしょうか

<答弁>
(環境局資源循環部廃棄物対策課)
(環境局長答弁)
蘇我エコロジーパーク内に環境関連以外の施設の設置について、規制すべき根拠がないことから、天然ガス火力発電所開発事業の動向を注視して参ります。

石炭火力も液化天然ガスも大量の温室効果ガスを排出する発電方法です。持続可能な開発目標にある「気候変動に具体的な対策を」「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」に反するものです。発電分野で排出される温室効果ガスは通常、その自治体の排出量とはならず、消費する自治体がエネルギーを排出する際にカウントするとされています。しかし最近、Well to Wheel(油田からタイヤを動かすまで)見方が広がっています。消費する場面だけをもって、温室効果ガスは一切出ていないと結論づけるのは間違いであるとの考え方です。電気自動車の場合、電気を作る手段が原油・石炭・天然ガスの燃焼によるものであれば、発電時に温室効果ガスが発生しています。また、燃料電池車の燃料である水素を水の電気分解で作る限り、同様に電気を作る際に温室効果ガスが出ていることになります。
4月下旬、市長・議長の姉妹都市公式訪問に同行し、パラグアイへ行ってきました。パラグアイとブラジルの国境を流れるパラナ川に「イタイプダム」があり、大規模な水力発電がおこなわれています。会社のシンボルマークですが、パラグアイの国旗の赤色と青色、ブラジルの国旗の黄色と緑色で構成されています。巨大な筒1つ1に発電用の羽根車が設置されていて、全部で20機あります。発電出力は1,400万キロワットで、世界第2位の水力発電用ダムです。手前がパラグアイ、川の向こう側がブラジルとなっていますが、発電した電力はブラジルとパラグアイで分けることになっています。人口の少ないパラグアイにとってはその何割かで国内需要を全て満たせるので、残りはブラジルに売電しているそうです。このダムの敷地内で電気自動車を何台も目にしました。ヨーロッパの会社と共同で、電気自動車の技術開発や技術移転を支援しているそうです。フィアットと開発した電気自動車ですが、8時間の充電で、走行距離100キロメートルからスタートし、2017年式は150キロメートル、2018年式は340キロメートルを達成したとのこと。温室効果ガスを出さない発電所において、環境負荷の少ない次世代の移動手段を実現可能なレベルにまで持っていく取り組みがおこなわれていました。まさに、蘇我エコロジーパーク構想のような「市民に親しまれる環境拠点」となっています。

最後に、次世代の移動手段を考える上で、最小のエネルギーで、地域内の移動が可能になる
4)MaaS(サービスとしての移動)の導入と交通弱者対策について 伺います。
MaaSはマイカー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を1 つのサービスとしてとらえ、横断的につなぐ 新たな「移動」の概念であるとされています。例えば自宅から目的地まで、バス・電車・飛行機・レンタカーなどを乗り継いで行くとします。現在は各交通機関にそれぞれ予約を入れて決済をしていますが、MaaSが実現することにより、一括して最適な交通手段の検索・予約・決済まで行うことができるようになります。効率的な移動を考える観点から、交通問題だけでなく、環境問題への対応としてもMaaSが注目されています。そこで、

@ 今後、本市で策定する計画にはMaaSの考え方なども取り入れるのでしょうか

<答弁>
(都市局都市部交通政策課)
(都市局長答弁)
 インターネットやモバイル機器の普及などにより、多様な交通情報を提供する総合ナビゲーションサービス、自動車・自転車のシェアリングサービスの普及など、交通サービスも著しく変化してきております。
 そのため、今年度から着手しております地域公共交通網形成計画の策定においては、幕張新都心で実施している自動運転やシェアサイクル等の実証実験の結果や評価なども加味し、有識者の意見を聞きながら、MaaSの視点も加味して検討して参りたいと考えております。

MaaSでは、都市部における移動の利便性だけでなく、免許返納後の高齢者をはじめ、交通弱者の移動手段を確保する視点も必要です。従来の公共交通機関に加え、福祉タクシー、福祉有償運送、地域の買い物バスなど社会資本としての交通網の観点から、さまざまな組み合わせが想定されます。まずは

A MaaSの最初の段階である「情報の統合」が必要で、これによる複数交通経路の提案などは、交通弱者対策にもなると考えられますが、現時点での千葉市内の交通機関の取り組みはどのような状況でしょうか

<答弁>
(都市局都市部交通政策課)
(都市局長答弁)
 MaaSの最初の段階は乗換案内などの総合ナビゲーションサービスの運用ですが、現在、市内の一部の交通機関においては、経路や運賃などの交通情報が反映されていない状況です。
 MaaSの実現のためには、今後、交通事業者に対してサービス運用に適したデータの整理や一元管理への取組みを 促すとともに、本市としてもデータの収集に努め、総合ナビゲーションサービスの運用を促進したいと考えております。

現時点ではまだレベル1に移行する段階ですが、フィンランドのWhimはすでにレベル3を実現しており、電車やバスだけではなく、マイカーの相乗り・タクシー・レンタカー・自転車シェアなども組み合わせられ、最適な移動手段を利用できます。ヘルシンキではこのサービスの実証実験が2016年に始まり、すでに正式に導入されているとのこと。移動手段を問わない、料金定額制を導入することで、マイカーを主な移動手段として利用する人たちの割合が実験前の40%から20%へと減り、公共交通機関を利用する人たちの割合は48%から74%へと増えたそうです。

日本では公共交通機関の運賃や料金の設定について、その公共性の高さから認可申請または届出が必要であり、また、ウーバーに代表されるライドシェアやマイカーによる相乗りも白タクとして認められていないなど、法律の規制が厳しいのが実情です。まずは民間事業者の乗り合いバスも含め、市内の交通網情報を調査・統合しながら、交通弱者の足の確保に向けて、きめ細やかな交通網の整備を検討いただけますよう要望します。

これで一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。