討 論 (決算審査)

2018年10月4日

松井 かよ子

会派を代表して平成29年度決算議案について認定の立場から討論をおこないます。

決算審査にあたっては、2つの観点から評価を行いました。1つに、第2期千葉市財政健全化プランの取り組み結果を検証する観点から。2つに、各事業が市民生活の向上に資する内容と効果を有していたかの観点です。それぞれの事業の中には、まだ十分評価できるレベルに達していないものもありますが、財政健全化の取り組みと平成29年度の歳入歳出に関して、おおむね均衡のとれた財政運営がおこなわれたと判断し、決算を認定することとしました。

2つの観点のうち、はじめに、第2期千葉市財政健全化プランの取り組み結果について申し上げます。平成26年度からスタートした第2期プランでは、第1期プランに引き続き市税などの歳入確保や事務事業の見直しによる歳出削減、さらに、本市の財政運営や財政健全化に大きな影響をあたえる主要債務総額の削減に取り組みました。最終年度である平成29年度には、主要債務総額は、平成24年度と比較して1299億円の減少となり、目標である1000億円の削減を超えました。また、主要債務総額の残高は平成26年度の5767億円から平成29年度は4963億円へと、市民1人あたりの借金に換算すると平成26年度の60万円から平成29年度は51万円へと減少しています。結果、将来負担比率は平成26年度の231.8%から平成29年度は159.4%へと縮小し、実質公債費比率も平成26年度の18.4%から平成29年度は15.8%へと改善がみられました。平成29年9月には実質公債費比率が18%を下回ったことにより、市債の発行に国の許可が必要な団体から脱し、脱財政危機宣言を解除するにいたりました。

市税徴収率の数値目標については、当初の目標96.2%を平成27年に達成し、平成28年3月の中間見直しにおいて引き上げた目標97.3%をも達成して97.4%となりました。ほかにも、介護保険料、保育料、住宅使用料、下水道使用料において目標を達成し、徴収率の向上に着実に取り組んだことが明らかになりました。また4項目ある主要債務総額の1つである国民健康保険事業の累積赤字が平成29年度に解消されました。平成24年からの千葉市国民健康保険事業財政健全化に向けたアクションプランに基づき、収支の改善に努めるなど、取り組みの成果が着実にあらわれたこととして評価します。

第2期プランにおいて、そのほか注目すべき点としては、平成26年度に1兆314億円あった市債残高が平成29年度には9941億円となり、平成16年以来、13年ぶりに1兆円を切ったことです。当初の目標は平成26年度から29年度の4年間で400億円の削減、1兆53億円以下であったことから、前倒しで目標を達成することができました。市債発行額についても、平成29年度は建設事業債の発行が179億円となり、前年度に比べて53億円の削減です。また、財政調整基金の残高が平成26年度の37億円から平成29年度には76億円となり、経済環境の変化による税収減などへの対応について重要な役割を果たす財政調整基金への返済の残高が着実に回復していることも評価します。

しかしながら、課題も見られました。各種基金からの借入金の返済については、平成26年度から29年度の目標値、4年間で80億円削減が、実績として4年間で45億円の返済に留まりました。平成29年度においては、基金への返済は20億円となったものの、平成26年度から平成28年度においては、年度途中に増大する財政需要等への対応のため、一定程度の実質収支を確保する必要があったことから、目標達成には至らなかったとのこと。基金については、健全化判断比率に影響を及ぼさないことから、自由に出し入れすることができる便利なお財布と考えているのではないかとの印象を拭うことができません。それぞれの基金は、特定の目的のために設置されたものであり、基金本来の目的に鑑み、適正な残高の維持と着実な返済をすべきと考えます。また、国民健康保険料の徴収率についても、平成28年3月の中間見直しにおいて引きあげた数値目標78.8%を達成することができず、平成29年度の実績は76.8%に留まりました。徴収対策としては、納付相談員を雇用したり、滞納処分を行う職員を集約化したりするなどの対策を講じられたとのことですが、滞納世帯への働きかけが十分できなかったことなどの理由から目標達成にはいたりませんでした。保険料負担の公平性を考え、現年度分は90.8%、滞納繰越分は20.3%である収納率を一層高めることが必要と考えます。具体的には、滞納となって、すぐの現年の段階から、迅速な対応を図っていただきたいと思います。さらに、市債残高の内訳についてみると、臨時財政対策債が年々に増えており、平成26年度は1兆314億円のうち1813億円、平成29年度は9941億円のうち2153億円となっています。臨時財政対策債は後に交付税措置されるとなっていますが、国も多額の借金を抱え、いつ交付税として措置されるのか、いつまで市の借金のままであるのか定かではありません。臨時財政対策債を使わずに財政運営をしている団体もあることから、今後の利用方法について検討するとともに、国に対して、すみやかに交付税措置を行うことを強く要望するよう求めます。

つぎに、平成29年度の決算および各事業について、市民生活の向上に資する内容と効果を有していたかの観点から申し上げます。予算執行の基本的な考え方としては、主要債務総額の削減に向け、歳入確保に万全を期すことはもとより、歳出においても、最小の経費で最大の効果をあげるよう、効果的な執行に務められたとのこと。結果、実質収支は31億5200万円を確保することができました。また、先ほども第2期プランの取り組み結果において述べましたが、平成19年度から発生していた国民健康保険事業の累積赤字を11年ぶりに解消するに至りました。累積赤字額は最大で約120億円でしたが、高齢化が進み、医療費の増大が続く厳しい環境に対峙しつつ、広域化を見据え、歳入確保と歳出抑制の取り組みを着実に進めてきたことを評価します。平成29年度は法定外繰り入れを増やしたことなどでこの結果を得ることができましたが、今後も適切な事業運営をされるよう要望します。

病院事業会計においては、資金不足比率が、平成28年度の0.1%に続き、平成29年度も0.9%となり、引き続き資金不足が生じました。前年度より入院患者数、外来患者数共に増加し、医業収益は増加したものの、給与費等の医業費用の増加により医業収支が悪化しました。平成29年度の実質収支は11億6110万円の赤字です。一般会計からの繰入金は平成28年度と比べて7億2379万円増加し、総額40億5658万円となっています。一般会計からの繰入金に過度に依存する状態を続けるのではなく、医業収支の改善を軸とした抜本的な経営の見直しが必要です。地域医療支援病院としての役割や青葉病院の救命救急、海浜病院のNICUの増設等、地域の子育て環境の向上に資する事業にも政策的に取り組んでいるだけに、今後の建て直しに期待します。

平成29年度は当初予算編成において「子育て・教育」「医療・介護」「リサイクルの推進」を中心に予算を重点配分されていましたが、以下、個別事業についての評価や意見、要望を申し上げます。

はじめに、母子健康包括支援センターの新規設置です。
妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を行う「母子健康包括支援センター」が、各区保健福祉センターに新設されました。妊娠届出時には、保健師又は助産師がすべての妊婦と面談し、それぞれの母親のニーズに応じた支援プランを作成します。平成29年度の支援プラン策定数は7067件となりましたが、ケアプラン作成後のきめ細やかなフォローアップ体制についても、今後、子どもたちの成長に合わせて充実されるよう求めます。
ぎに、エンゼルヘルパー派遣の初回利用料の無料化です。
妊娠中及び産後ケアの充実策として会派で要望し、実現した事業ですが、母子健康手帳の交付時に無料券を渡し、利用料1650円分の家事・育児援助が、初回は利用者負担なしで受けられるものです。妊娠中もしくは産後6ヶ月以内で介助者のいない世帯の家事や育児を援助し、負担の軽減をはかることができますが、平成29年度の初回利用人数は273人となっており、さらなる周知が必要であると考えます。対象者が「利用してみよう」と思えるようなタイムリーな働きかけを要望します。

続いて、スクールソーシャルワーカーの拡充です。
教育および福祉の専門的な知識を用いて、児童生徒が抱えるさまざまな困難な状況に働きかけて支援をおこなうスクールソーシャルワーカーですが、平成29年度は前年度の4人から6人へと増員になり、各区あたり1人の人員配置となりました。しかしながら、スクールソーシャルワーカーは現場である学校配置にはなっておらず、スクールソーシャルワーカー相互の連携体制も未だ不十分であると考えます。子どもの環境改善に向けて、各学校へのアウトリーチや子どもへの働きかけがしやすくなるよう、事業体制の充実を求めます。

つぎに、地域包括ケアシステムの構築です。
あんしんケアセンターを市内24カ所から30ヵ所へと増設するとともに、認知症初期集中支援チームを1チーム増設し、3チーム体制としました。高齢人口の増加に伴い、支援を必要とする市民も増加します。地域に密着したきめこまやかな支援体制の構築を評価するとともに、今後は相談から課題の解決まで全庁横断的にできるようさらなる地域包括ケアシステムの体制強化が図られるよう要望します。

つぎに、地産地消の推進事業です。
「千葉市でつくって千葉市でたべる」を合言葉に「千葉市つくたべプロジェクト」が平成28年度にスタートしましたが、平成29年度には、地産地消に積極的に取り組む店舗を登録する制度が始まりました。登録店舗数は27店、市内産の農産物を取り扱っている店舗は82か所となり、身近な場所で地域の産品を購入できるようになりました。学校給食の生産者による出張授業は小学校で6回開催されましたが、農産物の供給時期と重なるため、回数を増やすことは難しいと聞いています。子どもと生産者が交流する機会を工夫するなど、市内産農産物や食と農に対する理解を推進し、今後の事業の充実を求めます。

続いて、空家等実態調査です。
「千葉市空家等対策計画」策定の基礎資料とするため、平成29年度に市内全域で空家などの実態調査が行われました。この調査は会派でも実施を求めてきたことですが、空き家を活用することで若年層の定住化を促進したり、NPOなどの市民団体の活動に貸し出すことによって地域の活性化をはかったりすることができると考えています。空家の所有者と空家を活用したい利用者の橋渡しをする、「空家等情報提供制度」が平成31年度から始まる予定ですが、できるだけ多くの情報が集まるよう、制度の周知を図られるよう要望します。

最後に、剪定枝等再資源化の全市展開です。
平成29年4月からは中央区が、9月からは若葉区と緑区が、そして平成30年2月からは花見川区と稲毛区と美浜区が収集対象となり、月2回、家庭から排出される剪定枝等の再資源化が実施されました。平成29年度からは2清掃工場体制となり、さらなる焼却ごみの削減が課題となっていますが、本事業はこの課題の一部解決に寄与するものと考えられます。収集した木の枝などは、燃料チップや家畜の寝床に敷く敷料にリサイクルされるとのことですが、市内でも使われることによって、リサイクルの行方が見えるようになります。市民にもわかりやすいリサイクル事業の周知と啓発を求めます。 

ほかにも、
・ 生活困窮者対策として、生活自立・仕事相談センターの窓口の増設
・ 子どもナビゲーターの配置
・ ちばレポ(域課題解決ソリューション)の管理運営
・ 自転車を活用したまちづくりの推進
などの事業について評価いたします。

次年度予算編成につきましては、市議会各会派からの要望書やさまざまな団体からの要望も検討しながら、その反映に努められることと思います。予算編成の考え方や事業に関する情報の公開をすすめ、本市の財政状況を市民にわかりやすく示すよう要望します。最後に、市民の参画を保障しながら、市民生活の向上に資する事業のさらなる推進を求め、市民ネットワークの討論といたします。

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