討論

2018年6月21日

岩ア 明子

市民ネットワークの岩崎明子です。それでは、会派を代表いたしまして、
市当局より提出された議案第61号・平成30年度千葉市一般会計補正予算をはじめ、議案第65号、議案第67号及び発議第5号については賛成の立場から、発議第4号については反対の立場から討論を行います。

はじめに 議案第61号 「平成30年度千葉市一般会計補正予算について」のうち、広域連携推進事業費 について です

 国庫支出金1,100万円を使って、広域連携を行う上での現状や課題整理などの基礎調査等を行う議案です。人口減少を食い止めるため広域連携で都市機能の充実を図る目的であり、基礎調査の結果をもとに今後連携自治体である東金市・茂原市・大網白里市・市原市、また企業や大学等による広域連携協議会を設置し、具体的な施策の検討を行っていくと伺いました。
今回の広域連携はおもに産業分野で「人を育てる」「人を呼び込む」「人をとどめる」ための施策を圏域全体で検討するもので、地域の若年人口が他の地域に流出することを防ぎ、域内の人口を維持していくことを目的としています。
今までも本市は、住環境が恵まれていることや、職場と住まいが近接していることでワークライフバランスが良いことなどをPRするほか、都市機能の向上や企業誘致などに取り組み、「人をとどめる」ことに取り組んできたところですが、今後、人口減少や少子高齢化が進むことで、労働力や産業人材が足りなくなることが懸念されます。
平成28年4月からは子ども・子育て支援環境の整備や観光分野について、市原市・四街道市と広域連携を進めてきたところであり、
今回また新たな広域連携によって、人材育成のためのキャリア教育や職業教育などの課題解決に向けた取り組みが展開されることを期待しております。
現時点においても、たとえば住所は千葉市でも最寄り駅は他市にある、文化ホールは隣の市の方が近いなど、市境の住民にとっては生活圏が必ずしも市内で完結することはなく、すでに市域をまたがっています。保育所や夜間救急診療、文化施設等を相互利用するなどのさらなる連携が進むことで住みやすい地域となり、広域で人口流出を食い止めることにつなげていただくよう求めます。
また、今後は今回の調査対象とする自治体だけではなく、さらに周辺自治体との連携を広げ、共通する行政課題の解決を広域的に解決していただくことを要望いたします。

次に 議案第61号 「平成30年度千葉市一般会計補正予算について」のうち、新清掃工場建設関係費 について です。

旧北谷津清掃工場用地内に新清掃工場を建設するにあたり、土壌概況調査を実施したところ、基準値を超えた鉛及びその化合物、またフッ素及びその化合物が確認されたことから、汚染を除去するための詳細調査及び処理計画の作成を行うための補正予算です。
平成28年度に実施した、土地の履歴調査によって汚染の恐れが確認されたため、概況調査を行った結果、環境基準値の超過が判明し、汚染原因は自然由来なのか、清掃工場稼働によるものか現時点では特定できないとのことです。
また現状では観測井戸での月1回の水質検査と、鉛及びその化合物の含有量が基準を超えている地点での飛散防止対策をおこなっていると伺いましたが、旧北谷津清掃工場の近隣には民家や公共施設等があり、井戸水を飲用しているため、汚染物質の環境影響、周辺住民の健康への影響が大変心配されます。詳細調査を早急に行うことで汚染原因を究明することはもちろんですが、観測井戸での水質の定期的な検査を継続し、状況を逐一近隣自治会や住民に報告すること。また、もし異常が発見された場合は速やかに井戸水の飲用を停止し、給水車を配備するなど、迅速かつ的確な対応を求めます。
旧北谷津清掃工場周辺の住民の皆様は、大変長きにわたり、清掃工場といういわば迷惑施設を受け入れてくださっています。今後も、何よりも住民の安心・安全を第一に対処していくことを強く要望いたします。

次に 議案第65号 「千葉市病院事業のあり方検討委員会設置条例の制定について」です。

病院事業のあり方を検討するにあたり、学識経験者等の意見を聴取するため、新たに附属機関を設置する議案です。
本市では平成22年より千葉市立病院改革プランを策定し、青葉病院・海浜病院、2つの市立病院の健全な経営に向けて取り組んできました。本年4月からは平成32年度までの「第4期市立病院改革プラン」がスタートしています。短期的な経営改善策として、新規入院患者数の増加などにより医業収益の増加を目指すとともに業務の効率化などにより医業費用の削減をし、収支の改善を図ること、また、長期的な経営改善として今後の病院事業のあり方に付いて検討を行うものです。
今後も安定的に市民に必要な医療を提供していくために、市立病院として必要な医療機能や病床の規模、経営形態について専門的な見地から検討する「千葉市病院事業のあり方検討委員会」を設置すると伺いました。
長年市立病院改革プランを進める中で、現在の体制に関する様々な課題が出てきていることと思います。それらの課題は、新たに設置する委員会で共有し、審議の検討材料とするべきと考えます。病院改革プランに基づく経営改善を行う中で、現在の体制を前提とした経営改善の限界や課題等について報告を受けるとのことでしたので、その内容をふまえながら新たな委員会で病院事業のあり方を審議していただくことを要望いたします。
また今回、委員会の審議は公開され、透明性は確保されると伺いましたが、専門的な視点で審議することから、委員会構成メンバーには公募市民が入らないとのことです。
しかし、市民に必要な医療を提供していく上では、病院利用者である市民の視点を、今後の市立病院のあり方を検討する中に入れることは必須であり、それ無くしては市民が利用しやすい病院は実現できないと考えます。結論が出てしまってから市民に報告するのではなく、市立病院のあり方を検討していく過程で、必ず何らかの形で市民意見を入れる方法を考えることを要望いたします。

次に、議案第67号 「千葉市放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部改正について」です。

放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準の一部を、改正する「省令」により、放課後児童支援員の資格要件の拡大と、放課後児童支援員の基礎資格に係る規定が明確化されたことに伴い、規定の整備を図るため条例の一部を改正する議案です。
これは、国の省令によって、放課後児童支援員の資格要件の緩和がなされた形であり、子どもルームの人員不足解消や、補助員から放課後児童支援員へのキャリアアップに役立つことは理解できます。しかしこれが、指導の質の低下につながらないか心配です。現状でも、発達障害のお子さんに対する接し方などに改善の余地があると、現場を知る方からお話を伺っているところです。新1年生の半数近くが、子どもルームの利用を希望する学校もあるという現在、人手不足と放課後児童支援員・補助員の知識不足、子どもルームの過密状態という課題を解決しなければ、こどもの健全育成の場としての子どもルームの質の向上は図れないと考えます。
放課後児童支援員や補助員の質の向上については、例えばアレルギーや発達障害、LGBTなど、こどもたちが抱えている課題の最新情報について適時研修を行い、大人の不用意な言動で子どもたちに悲しい思いをさせることがないように、万全の対策を取るべきです。
子どもルームは放課後の児童の健全育成の場であり、放課後児童支援員や補助員は、単なるこどもの遊び相手ではなく、人間を育てる大切な人材であることを、雇う側が自覚していただき、人材育成に取り組んでいただくよう、強く要望するものです。

次に発議第5号 「千葉市の農業振興における地産地消の推進に関する条例の制定について」 です

千葉市の地産地消の推進に向けては、現在でも、子どもたちに地元産の野菜についての理解を深めてもらうための、小学校における生産者による出張授業や、生産者と消費者をつなぐ「千葉市つくたべプロジェクト」など、さまざまな施策が展開されており評価しているところです。しかし、農業の担い手不足と高齢化問題を改善するため新規就農者を増やし、支援を厚くすること、現状ではあまり進んでいない農業と福祉の連携に今後積極的に取り組んでいくことなどがさらに必要であると考えます。これらを条文に盛り込んだ条例を制定することで持続可能な農業の育成がはかれるとともに、市民の安全な食生活の実現にもつながると考えることから、本発議には賛成いたします。

最後に 発議第4号 「千葉市土砂等の埋立て等による土壌の汚染及び災害の発生の防止に関する条例の一部改正について」 です。

私たち市民ネットワークも、前回の議会の一般質問で再生土問題を取り上げ、周辺への配慮がなされていない、再生土埋め立てによる環境破壊を許さないよう、迅速に条例化することを切に望んでいました。市内での再生土の埋め立て件数が増加しているなか、本市独自の条例を制定し不適切な埋め立てを早急に規制しようとする本発議の趣旨は理解いたします。しかしこの内容ですと罰則が適用除外となっており、違反した事業者への対応が十分とは言えません。罰則のためにまた条例改正しなければならなくなるよりも、より実効性のある条例の制定が必要であると考えることから、大変残念ですが賛成しかねるという結論に至りました。
以上で市民ネットワークの討論を終わります。

 

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