討論

松井 佳代子

会派・市民ネットワークを代表いたしまして、市長から本定例会に提出されました議案第8号・平成28年度千葉市一般会計予算案をはじめ、議案第1号から第64号までの各議案に賛成の立場から討論を行います。

なお、発議第1号・千葉市墓地行政検討委員会設置条例の制定については、提案の趣旨は理解できるものの、現行の法律や条例のもとでは、検討委員会の役割を明確にできないことから反対、議案第8号・平成28年度千葉市一般会計予算等の組み替えを求める動議については組み替えを求める理由及び組み替えの基本方針はおおむね理解できるものの、組み替えの内容については賛同しかねるものもあり反対といたします。

<新年度予算について>
平成28年度一般会計予算規模は、前年度比102億円増の4004億円と3年連続で過去最大規模です。
市長は新年度予算編成に際し、引き続き財政健全化に取り組むとともに、子どもを産み、育てやすい環境をつくる施策、高齢者が健康で心豊かに暮らせる長寿社会を創る施策、本市の特性を活かすまちづくりの推進に資する施策、地域経済の活性化に資する施策、さらに区役所窓口改革の推進について重点的に予算を配分することができたと表明されました。
一方で、新年度予算編成にあたっては、昨年10月の時点では、138億円の収支不足が見込まれ、市税等の確保とともに、市有資産の売却11億円、退職手当債の発行17億円、市債管理基金からの借り入れ15億円、財政調整基金の取り崩し20億円などあらゆる財源対策を講じて収支不足を解消されている状況であり、財政健全化に向けてはまだ予断を許さないところです。
このような状況を踏まえ、新年度予算の審査にあたっては、市長の提案理由説明や予算審査特別委員会での審議などをもとに、会派として慎重な検討を行ってきました。
その結果、地域包括ケアシステム構築の推進、児童養護施設退所児童等のアフターケアといった要援護児童等の支援や生活困窮者対策の充実、区役所の総合窓口の開設、すなわちワンストップ対応など市民生活向上のための各種施策のほか、防災・安全・まちづくりに関する事業においては液状化対策を推進し、橋梁や下水道施設の耐震化を図り、マンホールトイレを設置するなど市の将来に資する事業をバランスよく組み合わせていると認識いたしました。
これらのことを総合的に評価した結果、平成28年度当初予算案に賛成することといたしました。
それでは、行政ごとに評価すべき点、指摘しておきたい点などを申し上げます。

<財政について>
財政健全化プランと行政改革の取り組みについては、今後も着実に推進されるようお願いいたします。平成26年度から29年度の第2期千葉市財政健全化プランについてですが、主要債務総額を平成29年度までに約1000億円程度削減する目標に対し、平成26年度末において495億円削減されているなど、当初の目標の達成に向けて着実に進捗していることについては評価します。
一方で、市の貯金とでもいうべき基金の状況ですが、財政調整基金について、千葉市の予算規模からみるとかなり残高が少ない状況です。平成26年度末残高で36億6600万円、人口一人当たりは4000円です。これは政令指定都市平均、人口一人当たり14000円と比べるとかなり少ない残高です。この残高で、財政調整基金の本来の目的である「年度間の財源の不均衡の調整」が十分に図られるのかどうか不安があります。現状は市債管理基金からの借り入れにより、収支不足への対応をしていますが、財政調整基金の本来の目的が適切に果たせるよう、市民サービスの提供と基金残高とのバランスを注視しながら、財政運営に努めていただけるようお願いします。
平成28年度予算においても、市債管理基金からの借り入れを15億円計上していますが、借入残高は平成28年度末で232億円を見込んでいます。また、そのほかの基金、市庁舎整備基金からは35億円、緑と水辺の基金からは26億円、美術品等取得基金からは4億円、合計で約297億円の借入れをしています。市債管理基金へは平成28年度に20億円を償還する予定となっていますが、他の基金への償還については、現状の収支状況等を踏まえると難しいとのご見解です。
財政健全化判断比率への影響が大きい市債管理基金への返済を優先するとの事情は理解できますが、家計に例えると、表向きは何とか暮らしを成り立たせているものの、住宅取得や水周りの整備のための貯金、教育費のための貯金にも手をつけてしまい、その穴埋めの目処もたっていない状況です。これでは先行きが不安です。将来において、基金本来の目的を踏まえた活用ができるよう、市債管理基金以外の基金からの借入れの返済についてもお考えいただきたいと思います。また、財政健全化された状況とは、基金からの借入れなど緊急避難的な財源対策に頼らずに予算編成を継続的に行える状況との見解を踏まえて、着実に取り組みをしていただけるようお願いします。
また、臨時財政対策債については昨年より減額となっているものの、168億円を計上しています。地方交付税で国から措置された財源によって歳入が増え、臨時財政対策債への依存度が昨年より下がったことについては評価をしますが、臨時財政対策債については、将来にわたって制度の継続性に関して懸念があります。地方の財源不足は臨時財政対策債による対応ではなく、地方交付税の法定率引上げにより解消すべく、今後も国に対応を強く求めていただきたいと思います。

<新庁舎整備について>
新年度については、新庁舎整備に向けて必要となる基本設計書を作成するとともに、事業の適切な進捗管理や事業費を把握するため、アドバイザリー業務や地質調査などを委託するといった新たなステップに進まれます。先に述べたように市庁舎整備基金は、一般会計への貸付が35億円あり、それを除いた残高が約1億円しかないという状況を踏まえ、整備時期について、社会経済情勢はもとより、本市の財政状況を熟慮するなどして慎重な検討をしていただきたいと思います。

 
<総務行政について>
東日本大震災から丸5年となり、防災対策については、避難所運営委員会の設置が進むとともに、防災備蓄品の整備が拡充されるなど危機管理体制への対応が図られてきました。 マンホールトイレの工事もすすんでいます。今後も自主防災組織を活性化し、防災ライセンス講座にさまざまな視点を持った方が参加できるようにするなど、防災のソフト面の充実に市民への働きかけをお願いしたいと思います。

 

<総合政策行政について>
都市アイデンティティの確立について戦略プランを策定中ですが、行政主導ではなく、まずは市民の理解を得ることが、アイデンティティ醸成の鍵になると考えます。「千葉氏」「加曾利貝塚」「オオガハス」「海辺」以外に提案されるさまざまな意見も尊重し、戦略プランに反映させていただきたく思います。

東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた取組みについては、スピード感を持って取り組んでいただきたいと思います。リオデジャネイロでは、オリンピック・パラリンピックに際して大会組織委員会が世界中から7万人のボランティアを集めようとしています。これに対して、24万人の応募が世界中からあったとのこと。通訳ボランティア養成に加えて、市民活動団体と連携しながら、まちなかのボランティアを養成したり、ガイドヘルパーの講座を開催したりするなど、いまから始めておかなければならない取り組みについては、積極的に着手されるようお願いします。
また、市民シンクタンクモデル事業によって、自転車を活用したまちづくりについて政策提言がおこなわれました。新年度はこの提言内容を実現できるよう着実に取り組みをされるようお願いします。

 

<保健福祉行政について>
今年度、地域包括ケア推進課が新設され、さらに10月からは生活支援コーディネーター制度がスタートしました。これは、住み慣れた地域で介護・看護・医療が円滑に受けられるための取り組みですが、あんしんケアセンターと生活支援コーディネーターがどう連携していくのかなどの課題があります。今後も、更なる情報共有など多職種の連携を図られるようお願いします。
 
また、今年4月から障害者差別解消法が施行されることになり、差別解消の推進に向けて啓発活動が予定されています。効果的に広く情報提供ができるよう工夫をお願いいたします。

 

<都市行政について>
地方創生や東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けた取組みを旗印に、地域の活性化の推進が図られています。しかしながら、JR千葉駅周辺の市街地活性化については千葉パルコの撤退という新たな課題が突きつけられ、海辺には新たな施設がオープンしますがその活性化に向けてはさらなる努力が必要とされるなど、今後の事業展開に不安を感じざるを得ません。
先日の会派の一般質問でも紹介させていただきましたが、市民ネットワークちばの空き家プロジェクトメンバーで松戸の視察に行きました。素人の発想でいうと、家賃が安くていい物件があって、それを借りた料理人が、接客も得意で、料理が上手であれば、飲食店はうまくいくのではないかと思ってしまうのですが、地域の人たちがその店を支えてあげられるかどうかが大事です、店はみんなに支えられて育ちます。とのアドバイスがありました。店単独で頑張るのではなく、地域の人たちが客になるなど努力をしていかないと店は残らない、地域の人たちの努力も必要ですとのこと。
行政が牽引役になることも重要ですが、施設整備の背景にある市の施策を市民に周知し、市が地域で暮らす人たちとともにまちづくりや事業の展開を考える必要があります。そして活性化のための施策についても、市民への丁寧な説明や協働に向けての働きかけをしていただけるよう要望いたします。

<市民行政について>
地域の高齢化によりこれまでばらばらに存在していた各組織の運営は今後さらに困難になると思われます。住民同士の助け合い、支えあいによる地域運営を加速化させるため、地域運営委員会の設立および活動支援について、市民に説明をし、理解を得るように努めていただけるようお願いします。

男女共同参画の推進については、DV防止対策として配偶者暴力相談支援センターの専門相談員を増員したり、LGBT当事者への対応も含めた第4次ハーモニープランを推進したりするなどの事業を評価します。ハーモニープラザのあり方についても、2年間かけて検討をされるとのことですが、市民意見を聞きながら、男女共同参画センターの活性化に設置場所の移転検討も含め、新たな方向性を打ち出してくださいますよう要望します。

 

 <環境行政について>
剪定枝等循環システムについて、2地区でのモデル事業に引き続き、新年度からは中央区全域に事業が拡大されるとのこと。剪定枝をチップ化することで、バイオマス発電などへの使用が可能になるとともに、ごみ減量化にも寄与します。モデル事業のさらなる拡大を期待します。また、清掃工場2工場体制づくりに向けて、焼却ごみのさらなる削減を推進するよう市民や事業者に向けて効果的なPR活動を展開してくださるようお願いいたします。

経済行政について>
雇用の安定および促進を図り、就労を支援する各種事業、例えば女性向けの起業セミナー、再就職講座など市民のニーズに応じた事業の拡充を検討していただけますよう要望します。

また、市内産業の育成との観点で、市が試験的に一定の基準を満たす認定製品を試験的に購入、評価するトライアル発注を新規にスタートされることを評価します。

さらに千葉市産品のブランド化と市内外への販路拡大を図る流通・ブランティングについては、経済部と農政部の連携を密にし、農村地域の産品を市街地や幕張メッセ周辺で販売するなど、市民のみならず来訪者へのアピールを強化するなど新たな取り組みを期待しています。

本年8月1日より施行される議案第45号・千葉市土の採取計画の認可に関する条例については、これまで県の認可であったものが、市長の認可を要するとされています。土の採取について、市の責任が重くなりました。採取後に改良土などの産業廃棄物が埋められたり、災害の危険が生じたりすることのないよう、庁内及び関係機関等との連携を密にし、監視体制の強化をお願いいたします。

 

<こども未来行政について>
子ども・子育て支援新制度に対応した幼児教育や保育への事業をはじめとして、子どものための施策に重点を置かれたことが新年度予算にもよくあらわれています。

特に、社会的養護を必要とする子どものケアについて、会派としても様々な機会をとらえ、調査したり発言したりしてきました。新年度予算においては、社会的養護を必要とする児童の地域生活や自立を支援するため、施設などの退所前及び退所後に、児童の生活支援や就業支援など退所児童等アフターケアを県と共同で実施したり、児童相談所の体制を強化する目的で弁護士を配置するなど、着実に事業展開がおこなわれています。また、ひとり親家庭の支援についても、就業促進に向けた、高卒認定試験合格のための講座受講費用などに助成したりと、子育てを社会の仕事と位置づけていることを評価したいと思います。
子どもの将来が生まれ育った環境によって左右されることのないよう、必要な施策を総合的に推進するため、子どもの貧困対策計画を策定するとのことですが、計画策定にあたっては、現在行われている施策を整理するのみならず、庁内関係各課で横連携をとり、成果指標につながる効果的なアンケート調査を行い、指標を含め見える化できるような実効性のある計画策定をお願いいたします。また、子どもの貧困対策として「子ども食堂」などの居場所を運営する団体への支援についてもご検討をお願いします。

そのほか、昨年に引き続き、里親委託の推進を目指し、NPOなどと協働し、里親登録数と里親等委託率向上のための普及啓発を実施する施策を評価します。

さらに、子どもを産み、育てやすい環境をつくる施策として、病児・病後児保育の拡充を評価しますが、今後保育所併設のものもご検討いただけますようお願いします。また、千葉市独自の新規事業として、terrible twoと呼ばれ、一般的に保護者にとって子育てに負担のかかる時期となる2歳児対策にもなる「私立幼稚園等が実施する2歳児の預かり事業に対する助成」をモデル的に実施されることも評価します。しかし、保育所については待機児童ゼロを2年達成するも、生活圏外の保育所・保育園しか入所できないことから入所をあきらめるなど、潜在的な入所希望児が増大しています。

また、保育の現場では、保育士不足により定員を増やせないなどのケースも聞きます。ぎりぎりの人員で運営を行う保育園では、質が確保できるかも疑問です。抜本的な対策として、保育士の処遇改善についてぜひご検討ください。

 

<教育行政について>
新規事業として小学校の空き教室などを、地域活動や生涯学習の場として市民利用に供する「空き教室等の地域開放」がスタートします。まずは小学校3校で実施とのことですが、学校という資産の有効活用の観点から、また、地域コミュニティの形成の観点からもぜひ前向きに事業をすすめ、今後拡大していただけるよう事業の推進を期待しています。

また、今年度はそれぞれの児童・生徒および家庭のニーズに応じた事業が盛り込まれています。平成29年度の開設に向けて、不登校児童生徒を対象に、少人数による集団活動や体験活動を通して学校生活復帰を支援する「適応指導教室」が稲毛区に整備される予定で、これで市内6か所目となります。さらに、小学校に在籍する医療ケアを必要とする児童に対して、必要に応じて看護士をメディカルサポーターとして派遣する事業も始まります。

また、いじめや不登校などの相談に対応するスクールカウンセラーについては、中学校55人拠点小学校3人の配置とともに、地区担当のスーパーバイザーが3人配置され、新たに、統括スーパーバイザーの配置により、教育相談の充実を図られるとのことです。一方、私たちが要望しているスクールソーシャルワーカーの充実及び学校配置についてはまだ実現されておりません。この点についても事業の拡大を要望します。

今後も子どもたち一人ひとりが尊重され、大切にされる施策を推進されるようお願いいたします。

引き続きの要望になりますが、放課後の子どもの過ごし方については、教育委員会所管の放課後子ども教室、こども未来局所管の子どもルームと別々に考えるのではなく、総合的に考える時期に来ています。ぜひ前向きに検討いただけるようお願いします。

<病院事業について>
第3期千葉市立病院改革プランに基づき、地域の中核的な病院として、青葉病院と海浜病院がそれぞれの特徴を活かしながら、市民が必要とする安全・安心な医療を積極的に提供しようとされていることを評価したいと思います。

しかし、新年度予算を見ると支出が前年度比2.5%増、一般会計からの繰入金は約43億円にのぼり、依存体質からの脱却には程遠いといった感があります。

新年度は両市立病院の病院情報システム統合に多額の費用をかけて取り組まれるとのことですので、より一層、業務の改善と効率化を図り、経営改革に取り組まれるよう要望いたします。 また、地域包括ケアもはじまります。両市立病院には、地域の医療機関との連携を一層強化し、在宅医療を積極的に支援していただけるようあわせて要望いたします。

最後に、市当局のみなさまにおかれましては、前議員2名に引き続き、昨年5月より新人議員3名が大変お世話になりました。会派を代表して深くお礼申し上げます。
以上で市民ネットワークの討論を終わります。

 

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