討論

山 田 京 子

会派を代表し、今定例会に市長より提出されました、平成27年度千葉市一般会計予算案をはじめとする議案のうち、議案第18号、市街地再開発事業特別会計予算については反対の立場から、その他すべての議案については、賛成の立場から討論を行います。
また、発議第1号千葉市放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部改正については、子どもルームの指導員については、資格がなくても素晴らしい方もいらっしゃいますが、全体として子どもルームの指導員の質の向上が大きな課題であるとのご指摘も、現場からお聞きしており、発議には賛同するものです。
また、「議案8号平成27年度千葉市一般会計予算等の組み換えを求める動議」については納得できる部分もあるものの、意見を異にする内容もあり、賛成することはできません。

新年度予算について

一般会計予算規模は3,902億円と過去最大規模です。市長は新年度予算に関して「今年度が種まきの予算としたら新年度は芽生えの予算」との表現を使われています。
昨年の予算審査において市民ネットは「26年度予算案は、都市アイデンティティ調査やJR千葉駅周辺の活性化、海辺の活性化など、新しい施策展開に向けた調査・研究が多数盛り込まれており、いわゆる種まき的な予算が多い。具体に事業に着手するとなると、多額の費用が想定され、これまで進めてきた財政健全化との両立ができるのか、危惧するところ」として、見解を伺いましたが「財政に与える影響を十分配慮しつつ、事業内容や経費の精査を行う」とのことでしたので、26年度予算には賛成いたしました。
26年度の種まき予算から、27年度は芽生えの予算というなら、芽生えたものから何を残し、何を間引くのか、財政状況を鑑みて精査していく必要があります。
26年予算で問題とした「都市アイデンティティ調査・JR千葉駅周辺の活性化・海辺の活性化」はこの1年で、素案作りに向けての基礎的な調査等がおこなわれています。具体の取り組みはこれから、とのことですので、今後の動きを注意深く見守って行きたいと思います。
過去最大となった新年度予算の中身を見ると、子ども・子育て支援給付費をはじめとする扶助費など義務的経費の増加もありますが、真砂・蘇我コミュニティセンターや高洲市民プールの再整備など、投資的経費の単独事業費が増加しています。また病院事業会計への繰り出しも増加です。
コミニティセンターの再整備などは予定されていたものとはいえ、単独事業費がかなり増加しており、積極投資か、と、取れる向きもあります。積極投資も必要ではありますが、千葉駅周辺・海辺など今後の長期的展望の中で必要となる事業とのバランスも考え、一時に巨額な支出とならないよう配慮下さい。
昨年10月の時点では、138億円の収支不足が見込まれましたが、市税等の確保とともに、市有資産の売却30億円、退職手当債の発行31億円、市債管理基金よりの借り入れ15億円を充てるなどのやりくりで何とか解消です。
臨時財政対策債は昨年より減額となっているものの、発行限度額の195億円を計上しています。また退職手当債の発行が許可されるのは27年度までとのことですので、それらを含め、これだけ増大してしまった予算規模が今後どうなるのか、1市民としては不安を感じます。
ただし、財政健全化プランで示された主要債務総額をプラン期間中に約1,000億円程度削減する目標に向けては、新年度予算案において約232億円の削減が見込まれ、また市債残高では全会計で85億円の削減が見込まれるなど、プラン目標達成にむけ健全化路線の上を着実に走っていると判断し、評価するものです。

新庁舎整備について

新年度については民間事業者活用を含めた事業手法などの検討や執務環境などの実態調査を行うとのことですが、ここ最近の建築費の高騰が、市庁舎建設にも影響する懸念もあり、今後市民への情報開示とそれを持っての議論をつくし、実施時期を含め、慎重に検討していただきたいと思います。

それでは、行政ごとに評価すべき点、指摘しておきたい点など申し上げます。

総務行政について

東日本大震災から丸4年となり、防災対策については、避難所運営委員会の設置も進んできている一方、市民の防災に対する関心が薄れてきているようにも感じています。しかし、昨年12月に発表された政府の地震調査研究推進本部による全国地震予測地図改訂版によると、今後30年以内の震度6弱以上の地震に襲われる確率は千葉市が73%となっており、予断を許さない状況で、防災の取り組みは着実に進めていかなければなりません。
また、阪神淡路大震災や東日本大震災の経験から女性の視点の重要性が認識され、市では、25年9月に千葉市防災会議 男女共同参画の視点を取り入れる部会が設置され、昨年12月に検討報告書がとりまとめられました。新年度にはそれを十分に生かした取り組みをお願いしたいと思います。

総合政策行政について

都市アイデンティティの確立について

都市アイデンティティ、と聞いて「ピン!」とくる方は、どれほどいるでしょうか?
「アイデンティティ」そのものが、日本語にはなりにくい、と言われていますが「都市の個性」とか「都市らしさ」といった言葉でおきかえられています。
「都市間競争」というものの中で、他と差別化し、ひと・もの・かねを引き寄せるために必要なもの、と言われて、ここのところガゼン脚光を浴びるようになった言葉ではないでしょうか。
平たく言うと、「姫路城―行ってみたいね、じゃあ姫路へ」、「善光寺参りしようかーじゃあ長野へ行かなくっちゃ」みたいなものでしょうか。
26年度、千葉市固有の都市アイデンティティ(千葉市らしさ)の確立を目指すとしてそれに向けての基礎調査がおこなわれました。その結果は市HPに詳しく乗っています。
そういったイメージ戦略にたけた専門のコンサルさんが知恵を絞って行われた基礎調査でしょうからそれなりに信頼性はあると思うのですが、千葉市のイメージとして7つの素案をあげ、アンケートを取られています。
そのうち「古いものと新しいもの、都会と田舎、様々な融合が魅力を生む街」と「海と緑に囲まれながら、本格的な文化・芸術・スポーツを楽しめる街」という2つの素案が上位を得た、というのですが、だれが見てもあとの5つの素案、例えば「どこにも人を和ます空間がある、市全体がひとつの大きな公園と言える街」や「飾らない、素朴な住民の多い穏やかな都市」より、頭の中にイメージがわきやすく、上位に来るのは当たり前です。
「都会と田舎」や「海と緑」は、市長のマニフェストにもあるし、それはいいと思いますし「古いものと新しもの」と聞くと「大賀はす」や「幕張メッセ」は頭に浮かぶでしょうから、当然といえます。
ここで大切なのは、こういったイメージをどう戦略として作り上げていくか、ということです。これが27年度予算で行う「戦略プラン」策定や内外に向けての発信です。
そこで少し気になる点があります。
一つは「加曽利貝塚」という本来ならだれもが知っているべき大切な千葉市の「宝」が、知名度はともかくとして、好感度がかなり低かったーあまり行ってみようとは思われていないということです。これまで千葉市がこれを「宝」ともせず、ほぼ放置してきたことに起因していると思われますが、今それから脱却すべく議論が始まっており、その行方を私たちも関心をもって見守っていきたいと思っています。
もう1点が「千葉氏」キャンペーンです。市内外での知名度・好感度も大変低かったのに、2016年の開府890年、そして900年に向けてキャンペーンを始める、というものです。他市をみても、その土地にゆかりの方や一族がその土地を代表する人物として、長らく地元のほとんどの人たちに、愛着と尊敬を受け続けている例はたくさんあります。
そうではない「千葉氏」で打って出ることに無理はないのか一抹の不安はあります。
しかしまぎれもなく千葉の街の始まりであることに違いはありません。今後いかに皆さんに愛着をもっていただくかでしょうから、戦略づくりには市民の方にも入っていただき成功させていただきたく思います。

保健福祉行政について

今後ますます、少子化で孤立する親子が増えると予想され、育児支援、虐待予防の観点から乳幼児家庭全戸訪問員の配置、および、乳幼児健診未受診者家庭への訪問体制の強化がされることについては、評価するものです。
地域包括ケアシステムの推進がいよいよ実施段階に入ります。
新年度から地域包括ケア推進課が新設されることになったことは評価するものですが、他の自治体はすでに前を走っています。やや遅きに失したという感もありますが、住み慣れた地域での介護・看護・医療が円滑にすすむよう、市として頑張っていただきたいと思います。
発達障害等に関する保育所等への巡回相談員の配置については、現場から要望がつよかったことでもあり、予算が付いたことを評価し期待するものです。
ひきこもり地域支援センターがこころの健康センター内に開設されると聞きました。
ひきこもりに特化した相談窓口が開設されることは大きな前進ですが、ひきこもりの解決に当たっては、その家庭ごとに解決方法は違うので、腰を据えて取り組む担当者が必要なこと、本人を家から引っ張りだしたとしても、その後の受け皿が必要なことが、大変大きな課題です。
家族の会にも参加してみましたが、悩みを話し合うことは解決の第1歩とはいえ、次の手立てがない人がほとんどです。
信頼できるNPOなどの団体を育成、支援することがまずは重要ではないでしょうか。

市民行政について

防犯街灯がLED化されることは評価したいと思います。電気料金の削減と共に原発にたよらない社会に向け、省エネはどんどん進めていくべきです。
これまで、頼るところもなかった性暴力被害者のために、支援センターの活動助成のための予算が付いたことは大いに評価するものです。実施団体のご努力に敬意を表するとともに、今後の活動の充実に向け、県へも資金援助の働ききかけを行っていただきたいと思います。

環境行政について

再生可能エネルギー等導入推進のための事業用太陽熱使用給湯システム設置費助成がおこなわれます。たとえば高齢者施設など給湯設備のあるところが対象とのことですが、今後もこうした取り組みは推進していただきたいものです。

 *生物多様性戦略について

生物多様性地域戦略の策定については、平成27年度から始まる新基本計画の第2期実施計画において検討する、と伺っていましたが、27年度予算への計上がなかったことは大変残念です。
千葉県では他県に先駆け2008年『生物多様性ちば県戦略』を県民参加で策定し、県内では流山市、柏市、市川市、いすみ市が策定を終え、さらに船橋市、市原市でも策定を検討中と聞いています。政令市では13市で策定済み、5市が検討中で、未着手は千葉市と広島市のみです。
本市では、都市化が進む中にあっても谷津田や里山といった豊かな自然が残り、これらによる生態系サービスが私たちの暮らしを支えており、こうした環境を次世代に引き継いでいくためにも、生物多様性地域戦略の速やかな策定が望まれます。新年度予算では自然環境調査に100万円が計上され過去のデータの整理をすると聞いておりますが、この間の保全活動の成果を計画に反映させることはもちろん、農業を含む暮らしや文化といった総合的な視点を持って策定されることを望みます。

*粉じんについて

臨海部に多く発生している黒い粉じんの対策については、担当課のご努力で実態調査が進みましたが、今後は、測定個所を市内全域に広げるとお聞きしています。
若葉区のマンションでも、粉じん被害の訴えがあったことから、風により思った以上に遠くまで運ばれているようですので、今後の調査に期待しています。この粉じん問題をきっかけに始まった、市民、事業者、行政による地域パートナーシップによる課題解決の手法は日本の中でも先進的な取り組みであり、注目しています。ぜひ継続していただきたいと思います。

*※剪定枝循環システムモデル事業について

剪定枝循環システムモデル事業がはじまります。剪定枝については、放射能の影響がいまだあることから、たい肥化に向かうことができず大変残念です。しかし、チップ化することで、ごみにしない活用が図れることは大いに評価できるものです、しっかりモデル事業を進めてください。

 経済行政について

プレミアム商品券について

地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策にもとづき、地域住民生活等緊急支援のための交付金が創設されたことから、新年度において、プレミアム商品券を発行するとのことです。
今年度については、消費税アップによる消費低迷を懸念し、市内商業者への支援の意味がありました。新年度に関しては、国のばらまきともいえる交付金を活用するわけですが、本当にこれが、千葉市民のために一番良い方法なのか、一過性に終わってしまうのではないか、と疑問に思うところもあります。
今年度の反省を生かし、1枚の単位を1,000円から500円券に変えるところはよいと思いますが、中小事業者と大型店を分けずに発行するとのことで、大型店に集中してしまうのではないかとの心配もあります。
昨年は、当初加盟の店舗が少なく、使える店が近くになかったことで、市民の評判が今一つというところもありました。新年度執行に当たっては、身近な商店でも使えるように、十分な働かきかけをしていただきたいと思います。

こども未来行政について

社会的養護を必要とするこどもが増えていることについては、近年大きな課題であり、会派としても、様々な機会をとらえ、里親に関し調査したり発言してきました。新年度予算において、里親委託の推進のためNPOなどと協働し、里親委託の向上を図るとともに、里親支援関係団体を育成すること、ファミリーホームへの支援が進むことについては、評価し、期待するものです。

*放課後の子どもの過ごしかたについて

地域住民生活支援のための交付金を活用し放課後学習支援事業がモデル的に始まります。
児童の学びに対するきっかけつくりや学習意欲の向上を目指すとのことです。
放課後と言えば平岩国泰さんという方が実施している「放課後NPOアフタースクール」の活動は参考になります。放課後の学校を使って、市民や企業の協力を得ながら、放課後子ども教室と子どもルームをドッキングさせたような活動をおこなっており、2008年にはグッドデザイン賞、キッズデザイン賞をもらったとのことです。
こんな活動だったらいいなという思いはありますが、千葉市の事業は放課後子ども事業とも、子どもルームとも違う新たな試みです。
教育委員会と子ども未来局の連携での新たなチャレンジを見守りたいとおもいますが、単なる塾への部屋貸しにならないようにしていただくとともに、放課後の子どもの過ごし方については、あれこれバラバラに考えるのではなく総合的に考える時期に来ていると思います。ぜひご検討ください。

病院事業について

平成26年度で終了する新千葉市立病院改革プランの評価を踏まえ病院の一部病床集約を全面的に再開するとともに地域の医療機関との連携を強めるという方針で新年度は望むとのことです。
特に病床集約の原因だった看護師不足が深刻だったことから、精力的に看護師の確保に奔走されたことについては評価するものです。
しかし、新年度予算を見ると支出の部分が2.5%増となっており、一般会計からの繰り出し金も、昨年度より9億6,900万増える見込みで、依存体質からの脱却には程遠いといった感があります。
地域包括ケアもはじまりますので両市立病院には、在宅医療を進めるうえでの牽引役になっていただきたいものです。
また、院内保育所における夜間保育の日数も増えるとのことですが、さらに職員の働きやすい環境も整えながら、収支の改善に向けて努力していただきたいと思います。
そして、海浜病院の老朽化も近づいていることから、両病院の将来について真剣に考える時期に来ていると思います。300床レベルの病院を二つ持つというのはかなり経営が難しいという話も聞きます。「残す」も「なくす」も痛みを伴いますので、十分市民とも議論し研究しながら、将来に向けての方向性を見つけていってほしいと思います。

教育行政について

*スクールソーシャルワーカーの増員について

今年度からスクールソーシャルワーカー2名の配置が始まりました。
課題のある児童・生徒とその家庭を支えて、解決に結びつける大切な仕事として、以前から速やかな配置を求めており、ようやく・・といった感があります。
先日、活動の様子をお聞きする機会がありましたが、スクールソーシャルワーカーがいたからこそ解決に向けて動き出した事例もあり、成果があらわれ始めていることがわかりました。全市でたった2人ではとても足りないと感じています。新年度予算では、2人増員するということですが、今後ぜひ、せめて各区1名の配置にむけて努力していただきたいとおもいます。

フッ化物洗口について

新年度に、学校でモデル的にフッ化物洗口を行うという予算が示されました。
フッ化物洗口を強力に推しすすめている方たちもいる一方、日本弁護士連合会が、平成23年に国に対し「集団フッ素洗口・塗布の中止を求める意見書」を出したように、いまだに、効果や影響について意見が分かれており、保護者の中にも疑問を持つ人がいます。
薬剤を使って個人の身体にかかわることを集団で行う際には、十分で公正な情報提供と、個人の意思の尊重、選択の自由が必要です。
仮に選択できたとしても、少数派の子どもが肩身の狭い思いをするかもしれず、配慮が必要です。
薬剤を使わずとも、歯磨き指導が行き届くことで虫歯の発生が防げるかどうかを十分検証してからでも遅くはありません。また、日ごろとても忙しい、教員の皆さんの負担が大きくならないかがとても心配です。
次の展開にむけてはあわてることなく、十分、現場教職員の声、保護者の声も受け止めるためのモデル事業としていただきたいと思います。

都市行政について

*西口市街地再開発事業について

千葉駅西口地区市街地再開発に関しては、26年度予算に関して、そこに市民が求めるサービスとは何か、にぎわいとは何か、再考を求め反対をいたしました。
その話のつづきで、先日「ネットさんは空き地にしておけって言うのですよね」と言われましたが、私たちは「空き地」ではなく「広場」の提案をいたしました。
今、全国をつないで「まちなか広場研究会」が発足するなど「まちなか広場」への関心は高まっています。前回もご紹介した休日稼働率100%近くを誇る富山市総曲輪(そうがわ)のグランドプラザもそうですが、まちなか広場で、たとえ消費行動を伴わなくても、「人と人との多様な交流による広場文化の醸成とソーシャルキャピタルすなわち社会資本の向上を図る」というものです。
千葉駅西口には待ち合わせなどに利用できる修景広場が用意されています、と言われるのですが、先日通りがかっても、人影はほとんどありませんでした。
63億円という莫大な費用をかけ取得したB棟建設予定地で、借地料を取り固定資産税をあげてもその回収には何十年もかかります。そういった回収の仕方を考えるのではなく、その財産をいかに使うのか、駅前という貴重な土地を、どういった使い方をすれば周囲全体にとって有効なのか、市民にとって有益なのかをもっと検討すべきではないでしょうか。
現在の事業協力者からの提案は、回遊性も含んだ西口の賑わいづくりへの貢献が可能とは考えがたく、現状でのB棟建設には反対です。

最後になりましたが、この8年間、この議場にいらっしゃる市長・管理職の方々をはじめ、たくさんの職員の皆様に大変お世話になりました。厚くお礼申し上げます。
また、各会派の先輩同僚議員の皆様にもたくさんのことを学ばせていただきました。心から感謝申し上げます。
以上で市民ネットワークの討論を終わります。
ご清聴ありがとうございました。

 

 

 

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