討論

湯浅美和子

「発議13号 千葉市議会議員定数及び各選挙区選出議員数に関する条例の一部改正」に反対し、共産党千葉市議会議員団と市民ネットワークが共同で提案する「発議13号に対する修正案」について賛成の立場から討論を行います。 

地方分権推進委員会が1996年、何と今から18年も前に出した中間報告「分権型社会の創造」では、中央集権型行政システムから地方分権型行政システムに移行したときには、地方公共団体の『自ら治める』責任の範囲は飛躍的に拡大することになる。条例制定権の範囲が拡大し、自主課税権を行使する余地が広がることに伴い、地域住民の代表機関として地方公共団体の最終意思の決定に与かる地位にある地方議会と首長の責任は現在に比べ格段に重くなる」とされました。
しかしながら、地方議会は「地方公共団体の『自ら治める』責任」を十全に分担しうる存在になりえているでしょうか。また、「条例制定権の範囲」や「自主課税権を行使する余地」はどこまで広がり、地方議会に課せられた責任をどこまで果たしえているのでしょうか。
という反省の中、地方議会においても自ら改革していこうという大きなうねりが起きつつあるのが現状です。
わたしたち千葉市議会の中においても、「議会のあり方検討協議会」引き続き「議会改革推進協議会」を設置し、地方分権の究極的な目的である市民福祉の向上に向けた取り組みとして、二元代表制の一翼を担う議会がどうあるべきかを協議・検討してきています。議員定数の問題も、我々議会が自ら求めるこの究極的な目的を達成することを視野に入れながら検討すべきです。
私たち市民ネットワークは、議会の機能は「二元代表制の一翼を担い行政の監視」「多様な民意の吸収」「民意に基づいての政策立案」であり、そうであるならば、市民には多種多様な方たちが存在していることから、議会には少数精鋭ではなく、多種多様な人たちが議員として関わっていく必要がある、様々なニーズを持つ多様な民意をより多くすくいあげることが、議会にとってはもっとも必要なことだと考え、幹事長会議においてその議論が始まった当初から「市民の中の多様な意見をすくいあげるために最低限、現在の定数を維持すること、その中で、人口の変化に伴う行政区間の格差の是正には取り組むべきと考え、花見川区の定数を1名減とし、緑区の定数を1名増とする」ことを提案してきました。

それに対して定数削減を是とする主な意見が、この議論が公開の「議会改革推進協議会」の中ではじめて取り上げられた第10回協議会の協議概要の中で示されています。
すなわち
・厳しい財政状況の中、議員も身を削り、議会費に占める人件費の割合を減らす
・定数削減により、恒久的に市の財政へ貢献できる。
・議員1人当たり人口は20,000人程度が妥当。
・政令指定都市の状況を比較すると、議員1人当たり人口をもっと増やしてよい
・議会の行政改革として、議員定数削減に取り組むべき。
・市は将来の人口減少、財政状況を見据えスリムな組織体制にする必要があるため、議会も率先するべき。
というものです。
まず、一つ目が、厳しい財政状況の中で議員も実を削る、
議会費に占める人件費を減らし、恒久的に市の財政に貢献する、というものですが
市の当初予算に占める議会費の割合そのものが、0.4%であり、恒久的に市の財政に貢献する、と言えるのか、ということもありますが、それよりも「議会」ではなく「議員」も身を削る、と言うなら議員報酬の削減を提案すべきでしょう。
報酬削減は市民ネットワークでも当初より提案していました。先ほど共産党よりの提案理由説明でもありましたが、議論されるべきであったと思います。
報酬に関しては、それを5%カットすることすら、合意することが難しかった、というこれまでの経緯もあってか、今回の定数削減の議論とは完全に切り離された感があり残念です。
今後当選する議員には全く痛みはないことですし、また定数削減の方が、議員報酬削減より、議員一人としては痛みを感じないのだ、という痛い指摘が世論にあることをご承知おき下さい。

二つ目
議会の行政改革として、議員定数削減に取り組む、将来の人口減に備え、スリムな組織体制に、というもの。
議会の機能より、行政改革を優先する考え方には問題があります。
議会は「地方公共団体の最終意思の決定に与かる地位にある」ということを、まず第1義的に考えるべきです。
最終意思の決定に至るまでの審議においては、討議性・専門性・市民性が大切と言われます。
それを常任委員会の審査にあてはめて考えてみます。
現在千葉市には5つの常任委員会があります
これからの分権時代、地方への権限移譲は増え、また市民ニーズも多様化していきます。そんな中で常任委員会が5つでいいのか、といった議論から、その中で専門性を保ちつつ、討議するのに適正な人数とは、といった丁寧な議論が必要ではなかったか。
我々の判断としては、現在の5常任委員会を考えた場合でも、会派構成・区の構成をもある程度考慮し、現状委員長を含み10から11名というのはその審査のボリュームから見て、適正だと判断しています。

三つ目
議員一人あたり人口2万人程度が妥当、他政令市と比較するともっと多くてもよい、
これに関しては、2万人をして妥当、ということを示す根拠は議論の中でも明確には示されていません。他政令市とのバランスや、時代の流れ、といって抽象的な意見ばかりでした。2万人を妥当とする知見を捜しましたが、見つかりませんでした。
自治法の改正で、人口割りで定められていた定数上限が撤廃され、議会の条例によって定めることなったことをみても、議員定数に正解はなく、まさにそれぞれの地域で考えるものです。
人口のみでなく、住民分布、産業構造や地域性、自治体の規模と特性によって検討されるべきであり、だからこそ、有識者を含めて広く徹底的に議論する必要があったわけです。

「議会のあり方検討協議会」での勉強会に講師をお願いした法政大学・廣瀬克哉氏からは、定数は第3者機関の答申を受けて客観性のある場で協議すべき、大幅に定数を変更する場合は市民意見をしっかり聴取し検討する必要がある、また、明治大学・廣瀬和彦氏からは、様々な市民意見をくみ取ることができる定数をさだめるべきである、議員の役割を勘案すると、現状の定数は下げすぎである。定数を下げる際には、その根拠を明確にする必要がある、などのご意見がありました。
部会長は講師の意見を参考に協議を進めていくとの確認をされたと理解していましたが、第3者機関の答申を受けることや市民意見の聴取、根拠の明確化、など実行できないまま、初めから定数削減ありきの議論だったとの印象を持っています。 
格差社会が広がり、今後、社会制度の隙間に落ちて安心して生活できなくなる市民が増えていくことが予想されます。できるだけ多種多様な立場を代表する人が、これまで届けることができなかった声を届けるため、議会に参加することを可能とする議席の確保は不可欠です。
以上をもって、定数を54名から50名に改める条例改正案に、反対し、現状の定数を維持する修正案に賛成いたします。

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