討論

湯浅 美和子

平成23年度千葉市一般会計決算をはじめとする、すべての決算議案に賛成する立場より討論いたします。
私たち市民ネットワークは「市民参加と情報公開によるまちづくり」を活動の柱に据えています。今回の決算を検証するに当たっても、

  1. 財政再建はどうであったか、市民への情報開示はどうか、
  2. 市民参加が果たされているか、市民意見の反映状況はどうか、
  3. 一人ひとりの人権が大切にされ、安心して暮らせる街づくりが図られたか

という3つの視点をポイントに行いました。
まだまだ不十分な点はあるものの、その方向性はあると判断し、決算に賛成することにしたものです。
それでは、何点か、評価や意見、要望を申し上げます

財政運営と財政再建に関してです。

平成23年度は、3月11日に発生した東日本大震災の後をうけ、いったいどうなるか、との不安の中でのスタートでした。6月補正予算では被災者の生活再建支援に係る経費や被害を受けた道路、下水道等の復旧費など、総額96億800万円もの追加が行われましたが、創設された震災復興特別交付税で手当てされ、23年度決算にはほとんど影響がなかったと言えます。
市内における震災復旧は、職員の皆さんや地域の住民の方たち、事業者の懸命な作業・協働によって速やかに実施されたことに敬意を表するものです。

23年度の地方財政を概観するに、震災対応で4次にわたる財政出動だけでなく、交付税の影響が大きく、政府が支えた地方財政でした。

財政状況が非常に悪い、ということは、熊谷市長が市長に就任する前からの、私たちの認識でもありました。夕張市の財政破たん後、財政再建化法が施行され、それにうけて市債発行の抑制が始まっていました。市長就任前年の平成20年度、一般会計における市債発行額は前年の42%減と、まさに急ブレーキ状態でした。

その市債発行額ですが、建設事業債は確かに減少傾向が続いています。
23年度決算における全会計の市債残高は、昨年比130億円の減となっており、減少傾向と見ることはできるでしょう。
しかし一方で臨時財政対策債の発行の増加は顕著で、23年度も237億円とほぼ満額発行し、一般会計における市債残高に占める臨財債の割合は18.62%となっています。
臨時財政対策債は地方交付税の代替で、元利償還金は、将来の地方交付税で交付される、すなわち基準財政需要額に算入されることとなっています。
ただ、交付税総額は、予算折衝の動向により左右され、実際に自治体に交付される額も、交付税総額に影響を受けるため、元利償還金がそのまま交付される保証はありません。
今後の発行に関しては充分に慎重に行っていただきたく思います。

健全化判断比率4指標のうち、実質公債費比率は23年度決算において20.5%、ピークと予想される27年度においても25%を下回ることが確実、また将来負担比率は23年度決算では268.5%、27年度に200%を下回るとの予測が出されました。
少しずつ数値は改善されつつあるものの、いずれも政令市中ワーストであることに変わりはなく、いま、地方財政は地域の自主性・自立性を高める方向に向かい、市債発行は、協議不要の届け出制に移行し、自由化が達成されましたが、その基準は実質公債費比率16%以下です。他自治体に大きく立ち遅れていることを今いちど肝に銘じなくてはなりません。

連結実質赤字比率については、23年度は政令市の中で比率が算定されているところが千葉市のみの見通しであることを考えると、千葉市のように2.43という数字が算定されていることが異常な状態と言えます。これは国民健康保険特別事業会計が23年度決算で117億円の累積債務をかかえているためです。平成21年度0.44%であったものが、瞬く間に膨れ上がったのは21年22年と赤字補てんをしなかったことによるものです。この数字は早期に解消することは難しく、一般会計の状況が赤字補てんをする余裕がなかったとは言え、2年続けての補てん額ゼロの判断がどうであったかは大きく問われていると思います。
今後は、アクションプランにそっての国保会計の単年度黒字化の努力とともに、繰り入れ規模のバランスを見極めるべきと考えます。

基金よりの借入に関しては、予定していた市債管理基金よりの借入20億円を回避したうえで実質収支は16億9000万円の黒字ですが、これは指摘されているように交付税増の効果です。とはいえ、平成15年度から始まった市債管理基金からの借り入れは、地方財政法上、極めて不適正と指摘してきましたが、ようやく改善への一歩です。健全化プランでは24年度から毎年20億円の返済となっています。できうれば計画を前倒ししつつ借入の解消に努め、また数年後には1000億円を超える市債管理基金の運用に関しては慎重を期していただきたく思います。

財政状況の開示に関しては、予算編成過程の公開も含め、格段に進みました。
しかしながら市民にとっては、財政状況を見るだけではなかなか理解しがたく、今後は市民への説明会などの場を、市長のタウンミーティングや対話会などだけでなく、財政局の出前講座として、増やすことを検討いただきたく思います。
また将来の納税者である子どもたちへわかりやすく市の財政状況を説明する「やさしいざいせいのおはなし」の作成もご検討下さい。

市民参加について

市長就任以降、市民参加条例の見直しに関してはほとんど手がつけられてないと言ってよい状態と見受けられます。いろいろご意見があることも承知いたしておりますが、
本年5月に大阪大学が全国の自治体を対象に行った「市民参加・協働条例に関するアンケート」では、参加・協働の重要性は広く認識されているものの、条例の整備は3割、検討中が2割にとどまっていることや、条例を制定していてもその運用実績が少ない自治体もあることが 明らかとなったとのことです。千葉市の場合は、どうも後者に属しているのでは、と危惧するものです。
千葉市にも、そんな条例があったのか、と一瞬忘れてしまうような、そんな条例では、意味があるとは言えません。
市長も充分それはご承知だとは思いますが、このさい「条例」にこだわるのではなく、市民の参加を進める具体の施策にどんどん取り組んでいくことも一つの方法です。
その意味では協働事業提案制度が始まったことは評価するものですが、このままでは「どこが協働か?」という感じもあり、先行きが心細い限りです。あらためて「協働事業」とは何か、を事業提案された市民等ととことん話しあっていただきたいと思います。
ボランティア情報がデータベース化され、「ちばぼら」としてHPに公表されました。
これはこれで市民がボランティアとして活動しやすい社会を作っていく第1歩ではありますが、今後、行政サービスにボランティアにはどんな形でかかってもらうのか、決して行政が安く使い倒そうとしているのではなく、市民の自発的な社会貢献の場を作っていくのだ、という姿勢を鮮明に打ち出していくことが必要です。

市民が活動する場について

美浜区では学校跡施設の活用に向けて動き出しています。地域住民の声を聞きながら、と言われますが、どこまで市民意見が入れられたのでしょうか。
昨年度、資産経営基本方針が策定されました。今後の社会情勢の中で、資産の効率的な利用や資産総量の縮減を検討するのが重要であることは認識しています。しかし一方、総合評価の段階で、市が今後どのような市民社会を作っていこうとしているのか、その判断が問われます。また利用調整に至るまでに、市民の意見をどこまで取り入れるのか、も重要です。

学校跡施設の活用に関しては今後も検討が続きます。地域には、地域住民が主体的に活用したいとの要望があり、ここ数年にわたりさまざまな検討を続けています。経営効率だけでなく、こういった声を拾い上げ、これからの市民社会をどう充実させていくのかというビジョンが大切です。
市民活動の充実には場所の確保はかなり大切な側面であることは、活動をされた方なら誰しも感じていることでしょう。

コミュニティセンターでは23年度から利用料金制度が始まりました。
年度当初は震災による休館もあり、厳密にはその影響を判断できる状態ではありませんが、いずれにしても稼働状況がそう高いわけではなく、まだまだ工夫の余地はありそうです。今後公民館のあり方も検討されるわけですが、コミュニティセンターとの住み分け、役割分担をもしっかりと検討いただきたいと思います。

防災対策における男女共同参画ついて
千葉県が見直した地域防災計画の中に、「防災に関する政策・方針決定過程および防災の現場における女性の参画を拡大し、男女共同参画の視点を取り入れた防災体制の確立を図るものとする」と入りました。
震災後、全国で震災対策に「男女共同参画の視点」が必要であることが議論され、改めて認識された成果です。昨年度「防災会議の女性委員の数を増やした」といった、さまざまな自治体の情報が私たちの周りには飛び交っていました。かたや千葉市においては、23年度中に、どこまでの検討が行われたか、今一つはっきりしないのが残念ですが、女性のみで意見交換が行える場などの設置について検討するところまでは進んだようですので、期待したいと思います。

子育て支援に関しては、通院医療費の助成対象を就学前から小学校3年生まで引き上げたこと、保育所入所希望者へ年度末にきめ細やかな情報提供を行い保育所待機児童の解消がはかられたこと、また子ども達がぶらりと立ち寄ることが出来る場所を、児童館ではなくても地域に確保することを私たちは求めてきましたが、それが「子どもカフェ」として始まったことを評価するものです。地域でもこどもを見守る力が育って行くことを期待します。
高齢者対策として、補助金を活用した見守り支援が始まっており、いよいよ、との思いです。ちいさな団体にとっては継続そのものが大きな課題です。地域課題を自ら解決しようと立ちあがった方たちが疲弊しることなく定着出来るような工夫を検討いただきたいと思います。
生活保護の自立支援についてです。
新規に農業と就労、社会体験支援、生活保護世帯学習支援が始まりました。
学習支援に関しては実績が上がっているようです。今後は生活保護世帯でなくとも、ぎりぎりの苦しい生活を強いられている世帯でも利用することが可能になるよう充実を求めます。稼働能力を有する生活保護受給者のうち、不就労の者に対して、農業等の就労体験やボランティア活動等の社会体験の機会を提供することにより就労意欲を喚起し、社会参加意欲の向上を図り、就労の促進につなげる新事業ですが、この1年間の活動をみると、稼働能力を有しながら不就労な方には、それなりの就労阻害要因が存在し、一般の就労に至るのはかなり困難なことが見て取れます。NPOの事業などを活用しながら千葉市なりの半福祉半就労のモデルを作っていってはと思いますが、いかがでしょうか

環境行政に関してです
新たに作成されたごみ処理基本計画は、市民ネットワークがずっと求め続けてきた脱焼却、脱埋め立て、清掃工場2工場体制をさらに確実に推し進めるためのものであってほしいと思います。かつて私の仲間は「生ごみを燃やすなって悔しい!たい肥にしてしっかり利用できるのに」また、自分で処理できるのは生ごみだけ、とも言われます。市民や事業者ともっと協働することでさらにごみ削減を進めて下さい。

都市交通についてです
千葉市の期間都市交通である千葉都市モノレールの経営については、何とか黒字を確保しているようですが、もはや小手先のサービス改善によって大幅な経営改善を図ることは厳しい状況にあるのではないでしょうか。今後は駅周辺に住む人たちを増やしていくことを考えねばなりませんが、いわゆる1キロメートル条例によるミニ開発的なものでなく、高齢化が進む周辺団地のあり方を見直し、空き家対策を考えるなど、子育て世代を再び呼び戻す施策が必要ではないかと思います。

市立病院に関しては、地方公営企業法全部適用となり、病院局が開設されました。2つの病院が一体となって、経営改善に取り組み始めたことは評価します。看護師の確保が課題との事ですが、特に女性にとって働きやすい職場環境づくりに努めていただきたいと思います。院内保育所での24時間保育は、やや改善されたようですが、看護師だけでなく女性医師含めた利用者の意見も聞き、さらなる充実を目指して下さい。地域連携室の組織化、機能の強化が図られましたが、高齢化社会にあっては、病院を退院した後、地域でどう暮らすかが大きな問題です。住みなれた地域でどのように回復を図ればいいのか、どのように介護を受ければいいのか、当事者や家族と一緒に考えていく必要があります。その点からも、地域連携室の役割はますます大きくなると思われますので、地域の福祉資源とも密接な連携を取りつつそういった市民の期待に応えて下さい。

教育環境整備については
これまで進捗の遅さが指摘されてきた小中学校の耐震工事が1年前倒しで実施される見込みが立ったことは評価し、着実な実行を求めます。
部活動に関しては地域のスポーツ人材の活用によって運動系部活動の活性化が進められていますが、今後は文化部の活動にも外部指導者を入れ、学校の先生だけでなく、親でだけでもない、信頼できる大人にめぐり合うチャンスをより多く子どもたちのために学校内にぜひ作って欲しいと思います。

最後に放射能対策についてです。
23年度に関しては予算確定後の原発事故ではありましたが、空間線量の測定や給食食材の放射性物質の測定などの取り組みについては、市民から陳情や請願を受け、年度後半には対応が進みました。しかしながら、市民がもちこむ食品についての測定は対応いただけませんでした。周辺自治体でも始めたところもあり、非常に残念なことです。
未だ、放射能対策は終わったわけではありません。今後地域防災計画の中にも対策が位置付けられることになっていますから、きちんと担当部署を決めて下さい。
そして、ともに脱原発をすすめていきたいと思います。

近日中に、市民ネットワークの平成25年度予算編成に向けての要望書を提出予定です。
身の丈財政で、市民の参加が豊かに図られ、一人ひとりの人権が大切にされるまちづくりがおこなわれることを求め、市民ネットワークの討論を終わります。

 

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