討論

湯浅 美和子

会派を代表いたしまして、今定例会に市長より提案されました平成24年度千葉市一般会計予算を初め、全ての議案に賛成の立場から討論を行います。

また共産党から提案されました発議「千葉市がん対策推進条例の制定について」は賛成いたしますが、16日付で提出されました「議案第9号平成24年度年度千葉市一般会計予算等の組み替えを求める動議」につきましては、市民ネットワークと致しましても、動議を求める理由の中にあるように「深刻な財政危機のもとでも、市民の暮らし・福祉の優先」を目指すことは全く同感ですが、組み替えの基本方針を精査するには時間的余裕がない状況で提出されたこと、また組み替えの内容に関しては、見直さざるを得ないと考えている項目も含まれていることから反対するものです。

以下、評価したポイントや今後留意いただきたいポイントなど 何点か申し上げます。

●まず2012年度予算編成と財政運営についてです。

市長にとっては3回目の予算編成です。
新年度の予算編成にあたっては、財政健全化および行財政改革に向けた取り組を推進しつつも、絆の再生や地域経済の活性化、地域活動推進、災害に強いまちづくりなど、真に必要な分野については特別枠を設けて重点配分していること(50事業59億7000万)、国の補正予算への対応で緊急的な防災・減災事業の切れ目ない実施(31事業98億円)を基本方針としたことは、厳しい財政状況の中での編成方針としては納得できるものです。

また、市長就任以来、編成過程の公開が格段に進んだことを評価したいと思います。

本年1月に公表された平成24年度の当初予算(案)の主な施策に記載された「市民活動センター・ボランティアズカフェを機能集約し、文化センター9階へ移動」するとした見直し事業について、市民ネットワークでは「賃料を減らすために、市の所有する場所に移ることは、財政健全化に対応しているとは考えるが、フラッと立ち寄れる場所でないところへ移動、という見直し案からは市民活動を積極的に活発化しようとする姿勢は感じられず、千葉市は市民活動に消極的だと受け止められるのでは、と危惧する」とした意見書を市長あてに提出しました。

しかし残念ながら再考はかないませんでした。ただし、かねてからの課題である、市民活動に関する情報提供及び相談を担う市民活動センターと、ボランティアに関するボランティアズカフェでのサービスの一体的な提供や、市民活動センターの複数年運営業務委託が検討されることを確認し、また移転先に設置し続けるのか、については、移転後の利用状況、利用者の意見なども勘案し検討するとのことで、ここが終の棲家といわけではない、と理解しました。

これまで、予算の最終の案が決定する前に意見交換が出来る体制を求めてきました。時間が非常の限られた中での予算編成ではありますが、平等に公開された「案」をもとに意見のやり取りが可能であることは健全な編成過程であると考え、評価するものです。

市民活動センターの移動に関しては、ようやく市民の間に定着してきた活動センターが、文化センター9階という、人がわざわざにしか行かないところへ移動するのですから、周知徹底に意を用いていただきたく思います。
またNPO法の改正に伴い、24年度からNPOの認証、認定の事務を千葉市が所管することになります。NPOの立ち上げの相談事業だけでなく、いかにしてNPOの活動を市民社会の中に豊かに育んでいくのか、も、自治体には同時に課せられていると意識していただきたい。市民活動センターには、その最前線としての役割があることも、お忘れなく、と申し上げておきます。

財政運営に関しては、24年度予算編成に向けても当初112億円の収支不足が見込まれていました。22年度270億円、23年度135億円よりは不足額が圧縮されているとはいえ、財政状況の厳しさは続いています。この議場でも「財政再建の道筋が見えたかどうか」が話題となりましたが、その結論は23年度決算が明らかになった時に判断するべきものと考えます。
収支不足の解消にあたっては、市有資産の活用や公共料金の改定、また事務事業の見直しなどで凌いでいますが、地方交付税の増も寄与していると思われます。
また市債発行では建設事業債は前年比約12億円の減の148億円であるものの、いわゆる赤字地方債といわれる臨時財政対策債が25億円増の235億円となっていること、
また基金からの借り入れ総額317億円に関しては、計画通り、24年度から20億円の返済が始まっていますが、同時に20億円を市債管理基金より借入ており、借入総額を減額することはできていません。
しかし国の23年度第3次補正予算に対応した事業を合わせても市債発行は190億円の範囲にとどまっているとのことで、市債発行抑制というコントロールはきいており、それが財政指標の改善につながるものと評価するものです。
ただ、24年度末の全会計での市債残高は1兆735億円と見込まれ、そのうちの14.4%が臨時財政対策債であることは問題です。
代表質疑において言及しましたが、国の交付税会計は決して盤石なものではなく、今後の臨時財政対策債の発行には充分に意を注がれることを求めます。

総務行政について

●「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」に関して、です。

昨年第1次一括法、第2次一括法が成立しました。
これによって、24年度は全国の自治体で条例制定ラッシュとなります。千葉市も例外ではありません。平成24年度に条例制定が必要なものは23法律65項目とのことですが、中には、法律上「指定都市」の権限にはなるが、対象が存在しない、などの理由で条例制定が不要なものもあり、条例ベースでは40~50件程度だと見込まれています。
養護老人ホームや児童福祉施設の設備及び運営に関する基準や、指定居宅サービス等の事業の人員、設備や運営に関する基準、市営住宅の入居条件など、市民生活に深くかかわるものがあります。これまで条例制定では多くの場合「各担当が都道府県や国の官庁と直接やりとりし、政令そのままを持ってくる」という形が取られていましたが、それでは意味がありません。今回の条例制定では「自治体の法制部門」がどこまで機能しているのか、「全体的な政策決定部署」が存在するのか、が課題だと思っています。
今議会には、2011年度中に条例改正が行われるものが、いくつか上程されています。教育委員会の「公民館運営審議会、博物館協議会、図書館協議会のそれぞれの委員の委嘱、 任命に関する基準について」の条例改正はそれにあたります。この3件の条例改正は、参酌すべき基準として政省令が出されていますが、その政省令に全く従った形の条例改正案が提案されており、残念です。今まさに公民館運営審議会委員が3月30日までの予定で公募されています。代表質疑の答弁にありましたが「今後、審議の目的、内容によって、市民意見をより適切に反映するため、参酌基準と異なる委員の登用が必要になった場合は、任命基準の見直しを検討して参りたい」とのことです。しっかりと議論し、千葉市としてふさわしい委員を広く市民に向けて求めることが出来るようにして頂きたいと考えます。
また24年度予定されている他の条例制定にあたっては、地域の実情を把握し反映させること、市民意見を求めること、法律が本来的に意図している「地域の自主性、自立性を高める」改革を行っていただきたく思います。

●防災対策についてです。

これまで千葉市には原子力災害特別措置法に規定される原子力事業所は立地しておらず、また、隣接県に立地する原子力事業所の「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」にも入っていないことから、原発事故への対応は、地域防災計画には盛りこまれていませんでした。しかし東京電力福島第一原子力発電所の事故では、放射性物質が範囲を著しく越えて飛散したことから、千葉県が、原発事故が発生した場合の情報収集・発信体制やモニタリング体制の強化などについて、放射性物質事故対策計画として地域防災計画に定めることとしたのを受けて、千葉市としても地域防災計画の「大規模事故 災害対策計画」に盛り込んで行く、とのことです。しっかりと放射性物質対策を立てていただきたいと思います。
放射能対策は広範囲での対応が必要です。県ともしっかりと整合を取っていただきたく思いますが、県の組織では、現在の危機管理監の中に原発事故対応・復旧復興室が置かれています。千葉市としても、新年度に向けての組織改正の中で危機管理監が設置されます。その中で放射能対策室を設けることで、県や他市との連携が取りやすいのではないかと考えますが、こちらは実現しなかったようです。
しかしながら、これまでも繰り返し、防災計画の見直しには女性の視点を、と求めてきましたが、避難所運営委員会の委員に、女性委員を選任していくことや、防災会議の女性委員から意見を聞くなど、女性の視点に立った検討を進めていく、とのことで、期待したいと思います。

市民行政についてです。

●自転車の安全利用に関してです。

かつて我々は「自転車の安全な利用の促進に関する条例」を議員発議で上程しました。同僚議員の賛同を得ることが出来ず残念でしたが、しかし第9次交通安全計画の中には自転車事故対策も盛り込まれ、また自転車レーンの整備が進むなどしています。自転車の安全利用の促進に関しては、ソフトとしての交通安全ルールの徹底や、自転車の整備、あるいは保険の勧奨、またハードしての自転車走行環境の整備をともに進めることが不可欠です。
今年度中学校2校で「スケアード・ストレイト教育技法」による自転車安全教室が実施されました。「スケアード・ストレイト教育技法」とは、学習者に「恐れ」を体感させることにより、社会通念上望ましくない行為を自主的に行わせないようにする教育技法です。轟中学校での安全教室の様子を市民ネットワークの議員で視察に伺わせていただきました。生徒からも「事故に巻き込まれたくないと思った」などの感想があったようですが、事故を再現した「どすん」という鈍い音はいまでも耳に残っており、効果の高い安全教室だと感じました。経費の面での課題はあるようですが、是非とも続けていただきたく思います。

保健福祉に関してです。

●介護保険事業に関して

市の高齢化率は介護保険事業計画第5期計画最終年の平成26年には24.8%と見込まれ4人にひとりが高齢者になります。後期高齢者、認知症の方の増加によって利用者の重度化も見込まれる中の第5期計画です。
平成23年度千葉市介護保険事業特別会計補正予算でも第4期の収支不足を、県の財政安定化基金からの貸付1億5831万4千円を受け第5期の中で返済するなど、保険財政の厳しい状況があります。こうした中で第1号被保険者の保険料率改正が行われます。今回は基準額が月4,887円と23%の大幅な引き上げです。市民税非課税層における軽減措置、市民税課税層の多段階化などの対策はとられますが、国保料改正も同時に実施され、高齢世帯の生活はさらに厳しいものになります。

施設整備が待機者増に追いつかない中、在宅ケアの充実をいかに図るか問われます。地域包括ケアの拠点施設としてのあんしんケアセンターが12ヶ所増の24ヶ所体制になります。これはずっと以前より市民ネットワークをはじめ、多くの市民からの要望でもありました。今までは要支援者のケアプラン作成や、相談におわれ、地域のネットワークづくり、虐待、認知症対応などが手薄だったと思いますが、センター機能を向上させ、質的向上を図れるような対策が必要です。
介護予防事業については、従来の特定高齢者という名前からして、すすんで受けようとは思えないとの声もありました。健康を維持し、要介護にならないための工夫については、これからの大事な課題ですので、すすんで参加しようと思える環境づくりを求めます。訪問介護の時間短縮は利用者にとっても、事業者にとっても厳しい状況です。きめ細かな情報発信、住み慣れた地域での生活支援、それを担うNPOや市民事業への支援、権利擁護など行政の役割を十分に認識して計画を実施していただきたいと思います。

●生活保護に関してです

国の事業を活用しながら自立に向けた様々な支援策が取られています。しかしながら、保護に陥った方たちを就労に結びつけ、そして就労継続させることは厳しいものです。これから始まるハローワークとの協働によるサポート相談窓口の支援が、一人ひとりの課題に寄り添った支援となるよう配慮ください。

●動物愛護の事業についてです。

これまで市民ネットワークの先輩議員が、何度となく取り上げてきた問題です。
飼い主からの安易な引き取り申請を抑制するため、引き取り手数料が見直されることになりました。23年度に値上げをした千葉県の状況から見ても、効果があると思われます。これまでも熊本市の例を引き、窓口で飼い主に引き取りを思いとどまらせ、殺処分に至らせない取り組みの必要性を訴えてきましたが、今回の取り組みはその第1歩として歓迎するものです。
また、不妊手術を行う飼い主のいない猫の頭数が、250匹から300匹に増えることになります。飼い主のいない猫は、地域でさまざまなトラブルを起こしており、こうした猫に対する適正な餌やりの普及や、不妊手術を進めていくことが大切です。地域のボランティアの方々や開業している獣医師の方たちとも連携を取りながら、地域における飼い主のいない猫についての情報収集や、不適切に餌やりをする人への声かけなど、強化していただきたいと思います。

●国民健康保険事業についてです。

政府は社会保障・税一体改革において、市町村国保の低所得者保険料軽減の拡充など財政基盤の強化と財政運営の都道府県単位化をセットにした国民健康保険法 改正案を国会に提出する方針を固めているとのことです。いわゆる国保の広域化ですが、これは非常に大きな問題をはらんでいます。現在、多くの自治体が行っている「法定外繰入」は言いかえれば赤字補てんです。保険料をこれ以上上げないために、市町村が一般会計から補てんしているというやむにやまれぬ実態があります。危機的状況にあった千葉市は、それができず200億円近い累積の債務をかかえることになったわけです。
ただし、「法定外繰入」は、広域化された場合、市町村単位では不可能になります。
その場合どこがその補てん分を担うのか?保険料の値上げにつながりかねません。
こういった問題もはらむこれからの国保事業ですが、千葉市においてはまずは単年度収支の改善に努め、実質収支比率を改善しなければなりません。今後公表される「国保財政健全化に向けたアクションプラン」の中では、財政状況や今後の取組みについて詳細に記述されています。しっかりと市民に公報し、国保事業の危機的な状況をわが身に係ることとして受け止めていただけるよう、配慮下さい。

環境行政についてです

●JFE関連の事故についてです。

JFEスチール株式会社東日本製鉄所及び関連会社における度重なる事故については、事業者自らが迅速で分かりやすい市民への情報発信を徹底するとともに、市としても情報提供に努めていくとの、代表質疑における答弁でした。
プロジェクトチームによる見直し結果が3月末までにまとまるということです。JFEに対し必ず、必ず市民に向けて報告会を開催し、わかりやすい説明を行うよう指導することを強く求めます。

●ふれあい収集の拡大についてです。

粗大ごみの一部民間委託が始まります。環境事業所の仕事は、粗大ごみの収集のほかに、ルール違反ごみの開封調査・指導、不法投棄監視、資源物等持ち去り防止パトロール、廃棄物適正化推進員さんとの連携、ごみ分別スクール、ふれあい収集、と市民に身近な業務が多くあります。
これらの市民サービスは、充実させていくべきで、高齢者、障害を持つ方への可燃・不燃の「ふれあい収集」の拡大を行っていただきたい。
代表質疑では、ごみの有料制と合わせて、とのご答弁でしたが、有料制に関しては、まだまだこれからの議論であり、それを待つのではなく、早急に導入を検討ください。

●次に病院事業について

両病院のめざす7対1看護の実現は、医業収益の面ばかりでなく、看護師の負担を軽減する意味でも、患者さんにとっても望ましいことです。一足飛びには難しいでしょうが、子育て中の職員のために院内保育をさらに充実させ、自由に意見を交換できる風通しのよい職場をつくることが、職員を増やしていく要素ではないでしょうか。

また、24年度は研究研修費の予算も大幅に増額しているようです。より専門性の高い医師や看護師、医療技術者が育つよう期待しています。
そして「就職するなら千葉市立病院に行きたい」との評判が立つような、病院改革を進めて下さい。

高齢化にともない、救急医療のニーズは高まっています。青葉病院では救急患者をたくさん受け入れていると聞いています。24年度予算で救急スペース拡充が予定されています。設備を整え、一人でも多くの救える命を増やしてほしいと願っています。

教育委員会に関してです。

●何と言っても学校耐震を早急進めることが、千葉市を挙げての課題と考えます。

国の補正を活用し、これまでより1年前倒しでの計画達成とのことですが、今後もさらなる前倒しの検討を願います。
また来年度もエレベーター設置が、工事5校、設計6校が予定されています。かつては学校の建て替え、大規模改修の折に設置されてきましたが、現状はエレベーターが必要なお子さんが入学する前に市民団体の方たちから情報を得て、事前に工事をされているとのことで大変評価するものです。これからも市民団体の方たちとの連携を続けていただきたく思います。
また美浜区に日本語指導通級教室(サテライトスクール)が設置されることとなりました。美浜区は外国人が多く住み、文化の違いなどで、トラブルの報告も多いところです。学校は地域の拠点です。この教室を活用して、保護者への日本語指導なども試みて、よりよい地域づくりに役立てていただきたいと思います。

-●最後に放射能対策について

24年度の放射性物質関連予算は1億7000万円です。これまで市民ネットワークが求めてきた消費生活センターなど、市の施設に放射能測定機を設置し、市民自らの測定を可能にすることは、残念ながら実現には至っていませんが、4月からの新たな安全基準値に適合できる機器の導入が予定されている、とのことです。市民の不安に誠実に応えることが出来るよう有効に活用していただきたいと思います。

さて、ここにきて災害廃棄物の広域処理の問題が相次いで報道されています。
3月12日には北九州市議会が安全性を確認したうえで、との条件付きではありますが
「東日本大震災で発生したがれきの受入れに関する決議」を全会一致で採択し、昨日は、環境省が宮城県女川町で自治体向けの説明会を実施しています。
今、ガレキの広域処理に疑問を呈することをNYMBY(ニンビー)、すなわち住民エゴ、とする風潮が起ころうとしています。放射性物質の安易な拡散に対する恐れから広域処理に反対する住民がいて、処理の受け入れが進まない、と、マスコミや国は、被災地と被災地外の対立構造をつくろうとしているのではないか、と勘繰りたくなりますが、広域処理の問題は放射性物質の拡散にのみあるのではありません。
災害廃棄物にはアスベスト、ヒ素、六価クロム、PCBなどの、特別管理産業廃棄物、化学物質、重金属が含まれており、これらは完全に分別できません。市町村の持つ一般の焼却炉は、産業廃棄物の処理に充分対応していないことも考えなくてはなりません。

環境省は昨年4月に宮城・岩手・福島の被災3県と沖縄県を除く各都道府県に受け入れ要請をしていますが、がれき処理方針を検討した環境省の「災害廃棄物安全評価検討委員会」は、議事を非公開としたばかりか、第5回以降は議事録の作成さえせず、録音の開示にも応じないなど、不透明、かつ検証不可能な過程で広域処理を決定していったことが各方面から指摘されています。
政府が言うガレキの量は宮城県が約1569万トン、岩手県が約476万トン。これを2009年度の実績年間量で割ると、岩手県では通常の11年分、宮城県では19年分になるのですが、実際に広域処理に回される量はずっと少なく20%前後。しかも宮城県の広域処理分には仙台市は含まれていません。
仙台市は市内3か所に仮設焼却炉480トン分を設置し、4年分にあたる約135万トンを2013年夏までに自前で処理することになっています。
仮置き場で10種以上に分別し50%以上をリサイクル、それ以外の可燃物はチップにして燃やす。90トン炉は昨年8月から稼働、300トン炉は10月から稼働しているとのことです。
処理が順調に進み、今後は宮城県が管理する市内の海岸や河川などに漂着したがれきも処理するとのことで調整がすすんでいます。
広域化ではなく合理的な地元処理を行う仙台方式が注目されています。
朝日新聞に掲載された、岩手県内の町長の談話では、「がれき処理は、あと2年で片付けるという政府の公約が危ぶまれているというが、無理して早く片付ける必要があるのか。山にしておいて10年、20年かけて片付けた方が地元に金が落ち、雇用も発生する。もともと使ってない土地がいっぱいあり、処理されなくても困らないのに、税金を青天井に使って全国に運び出す必要がどこにあるのか。」
また陸前高田市市長の談話でも
「がれきの処理というのは復興へ向けた最重要課題のひとつなわけですが、現行の処理場のキャパシティーを考えれば、すべてのがれきが片付くまでに3年はかかると言われています。そこで、陸前高田市内にがれき処理専門のプラントを作れば、自分たちの判断で今の何倍ものスピードで処理ができると考え、そのことを県に相談したら、門前払いのような形で断られました。現行法に従うといろいろな手続きが必要になり、仮に許可が出ても建設までに2年はかかると言うんです。」
なぜスピード感を持って設置できないのでしょうか、疑問です。
まだ山積にされているがれきを持つ市町村が多くあることも事実です。がれきの処理方針として仙台モデルを活用して、全国へのガレキの広域化ではなく、地元・自前の処理を目指し、それに向けて全国の力ある自治体が、「人」「知恵」「技術」「機材」「金」などで支援する体制を作るべきと考えますが、いかがでしょうか。

千葉市からも多くの職員の方が被災地支援に行かれています。これまでの合計で1411人にのぼるとのことです。頭が下がります。また来年度は、志願した職員の方3名がそれぞれ仙台、気仙沼、塩かま市に1年間赴かれる、とのことです。市民ネットワークとしては、こういった支援の充実を目指していただきたく思います。

東京生活者ネットワークの大田区の区議がコスト面の検証を行っている報告です。
「1兆700億円もの税金が投入され災害廃棄物が処理されますが、国の税金投入は平成23年度6、平成24年度3、平成25年度1の6:3:1の割合だそうです。岩手県担当者は、補助金の支給期限が平成26年3月なので、それまでに処理しなければならないとも話しておられました。補助金の支給方法に 問題はないでしょうか。」とあります。
災害廃棄物の処理については、感情論ではなく、安全性、経済性、真に現地が必要としているのは何か、など冷静に考えなくてはならない政治的課題だ申し上げ、そして予算の執行に当たっては、市民の声に耳を傾け、誠実な執行を求め、市民ネッワークの討論といたします。

close