討論

山田京子

市民ネットワークの山田京子です。

会派を代表し、平成22年度千葉市一般会計決算をはじめ、すべての決算議案を認定する立場より討論いたします。

昨年3月の予算審査においては、熊谷市長が初めて編成した予算原案に対して、深夜に及ぶ議論の末、一部会派の修正動議が可決されるなど、これまでにない動きがみられたわけですが、2010年度決算は、その予算を、実際どのように執行したかが問われています。

私たちは、一つに、いかに市民に向けて財政状況を明らかにしたか、二つに、健全化の道筋は見えたか、三つに、一人ひとりの人権が大切にされ、安心して暮らせる街づくりが図られたか、の3つの視点を持って審査しました。
その結果、指摘すべき点はあるものの、大胆な事業の見直しの実施も含め、財政再建に向けた努力の跡が見られることから、決算を認定することといたしました。

それでは以下具体的に検証していきます。

予算編成時には、景気悪化による過去最高の個人・法人市民税の減収が予想され、子ども手当や生活保護費、公債費の増、少子・高齢社会への対応で多額の財政需要が見込まれていました。そのため、市長は2009年秋に「脱・財政危機宣言」を発し、あらゆる歳入の確保と既成概念にとらわれない大胆な事業の廃止や縮小など、徹底した、事務事業の見直しをおこない、2010年度の一般会計予算は3867億4015万円となりました。
そして1年後の決算では、歳入が3690億9544万円で、前年度比4.5%の増、歳出は3681億3803万円で、前年度比4.6%の増。
実質収支は3億3300万円。かろうじて黒字という結果になりました。

一方、企業会計を除く特別会計15会計の2011年度決算を見ると、予算3203億1199万円に対し、歳入3004億1641万円、歳出3122億525万円。
実質収支は114億7279万円の赤字です。
この赤字は、国民健康保険事業特別会計の赤字の影響によるものです。

一般会計歳入の内訳の特徴を見てみます。

予想どおり、景気悪化による個人市民税が減少したことにより、市税収入は28億5619万円減で1.7%の減。
一方、普通交付税が交付されたことで、地方交付税は前年度と比較すると43億9904万円増の50億2582万円となりました。
ホッと一息ついたところでしょうが、今後も交付税が確保されるとは限りません。気を抜くわけにはいかない状況です。

市債発行はできるだけ抑えたいところですが、2010年度は第三セクター等改革推進債や臨時財政対策債の増加により前年度比30.6%増加してしまいました。
臨時財政対策債は国からの普通交付税の不足分を補うために発行する市の借金です。元利償還金相当額が普通交付税の基準財政需要額に全額算入されるため、千葉市も有効に活用するとの見解でした。
しかし、現金が国から来たわけでなく、あくまで紙の上の計算上の収入です。借金であることをよくわきまえたうえで、適切な活用に努めていただきたいと思います。

第三セクター債の活用は、土地開発公社の解散によって生じる未利用地の引き受けを市が行うために市債を発行するものです。過去に、不必要と思われる土地を購入していたことは大変問題です。また第三セクター債の発行により、一時的に借金は増えますが、長期的にみると、そのままにしておけば債務は増え続けてしまうことになるので、3セク債を活用し、解散を選んだことについては致し方ないと考えます。
今後は、その土地をいかに有効に使うかが問われており、これまで使われなかったことを考えると、使い道が難しいと予想されますから、行政だけで考えるのではなく、公開の場で市民と共に活用方法を考えていくべきです。

市税の徴収率アップが毎年の課題ですが、2010年秋に市税事務所が2か所でき、集中的に徴税事務が行われるようになりました。まだ、半年間での評価は難しいところですが、収納率が92.7%で、前年度比0.4ポイント上昇となったことは、事務所設置効果の一端かもしれません。しかし、事務所移転の期間、業務が滞り、差し押さえ件数が減少したのは残念でした。今年度以降は、市税事務所設置の効果が上がるよう、特に初期対応や困難事例の取り組みに力を入れ、滞納繰り越しが増えないよう期待するものです。また、口座振替のキャンペーンも行い、2010年度は前年度に比べ0.6ポイント加入率が上がっています。今後もその取り組みを強化していただきたいと思います。

次に、歳出の内訳の特徴を見ると、子ども手当の新設、生活保護受給世帯の増加に伴い民生費が20.9%も増えています。
相変わらず、生保の増加は全国的な課題であり、いかに働ける層の就労支援を進めるかが課題です。千葉市もふるさとハローワークを設置するなど就労・生活支援に力を入れ始めていることは評価するところです。今後は設置の効果が図れるような取り組みを求めるものです。

さらに、3月11日に起きた、東日本大震災により、本市も液状化の被害を受け、災害復旧費として6800万円の支出がありました。
美浜区での被災直後の復旧には市を挙げてスピーディに取り組んでいただき、大変ご苦労様でした。

熊谷市長になってから、予算編成過程の公開が始まり、昨年度はもう一歩進みました。私たち議員も、第1回定例会直前でないと、全くわからなかった予算案のポイントが、大わくながら、年内に示され、意見を出せるチャンスができたのは前進です。が市民への公開についてさらに一歩進めていただきたいと思います。
また、市の危機的な財政状況も、市長との対話会などを通じて、市民に浸透しつつあります。
今後は、市長だけでなく、財政の担当者もどんどん市民の前に出て、説明したり意見交換したりすることを期待します。

次に、財政指標から決算を検証してみます。

2010年度の健全化判断比率を見ると、千葉市は政令市中ワースト1位となってしまいました。

全会計を対象とした連結実質赤字比率が2.87%となり、2.34%上昇。これは国保の赤字を補てんできなかったことによります。政令市で連結が赤字となったのは千葉市以外では京都市だけで、0.16%でした。
財政規模に対する借入金返済の割合を示す実質公債費比率は、21.4%。前年度より0.3ポイント上昇です。単年度でみれば、21.10%でしたので1.12ポイント改善されたのですが、3カ年平均になると、前年度より悪化しています。それにしても、政令市平均が11.8%であることを考えると、あまりにも高い数値です。
また、将来の債務の状況を示す将来負担比率は285.3%。前年度と比較すると21.1ポイント低下しました。高い水準であることは変わっていませんが、新たな大型の建設事業を止め、市債発行や債務負担行為の抑制をしたことで将来負担比率が下がったことは評価するものです。
ただし、政令市の平均が147.5%。千葉市の平成25年度の財政健全化プランの目標数値が270%以下と聞くと、道のりはまだ遠いと感じるところです。

しかし、この状況の元凶はと言えば、政令市移行後、バブルがはじけて経済が右肩下がりになったにもかかわらず、身の丈を超えた大型開発を途中見直しもせず進めてきた過去の市政運営の過ちです。民間であれば、経営難に陥り、執行部は総退陣でしょう。
また、それを結果として認めてきた議会も反省し、議会を挙げて、市民に理解を求め、思い切った事務事業や補助金の見直しなど、市当局と共に財政の立て直しを推進すべきと考えます。

次に高齢者事業などの見直しについてです。

年度、行われた、自治会補助、高齢者事業、イベント事業の見直しに、批判の声がありましたが、千葉市の財政状況が逼迫しているということを市民や事業者に示すうえでも有効だったと考えます。「あったらいい」という事業は山ほどあります。しかし、本来、まず、市民のいのちと最低限の生活を保障するのが自治体の責務です。声を出せない弱い立場の人の存在を想像し、どんな人でも、最悪の境遇に陥った場合に、市が救うことのできる仕組みを作っておくべきで、そこに優先してお金は回すべきです。

例えば、一つの例として敬老会への補助の削減への批判がありますが、はたしてお金を元通りにかければ、それでいいのでしょうか。前年と同じでなければいけないのでしょうか。これまでのお金の使い方を見直し、モノよりもそこに集った人たちが、ああ、楽しかったと笑顔で満足して帰れる、そして地域の交流につながる企画をつくることのほうが大切ではないでしょうか。市民も行政も少ないお金でも最大の効果を生むよう知恵を働かせるべきではないでしょうか。
そのためには、地域の最前線で活動する市民への理解を求める工夫が昨年度は足りなかったのかもしれません。
特に社協の地区部会や自治会へは、予算の変更がある場合には、もっと丁寧な説明が必要だったと感じています。

また、高齢者の生きがいづくりについてですが、市が関与するとすれば、個人へのお金の補助ではなく、場所や情報の提供、指導者やコーディネート役の人材育成など長期的にみてお金が活きる方法に使うべきと考えます。
ですから一昨年度までのことぶき大学の事業のあり方は、市民の間においても、疑問の声もあり、見直しの方向性は、妥当なものだったと考えます。

こうしたことからも、昨年の各種事業の見直しへの取り組みは、一定の評価をすべきと考えています。
あと数年、実質公債費比率が高い位置を推移することは予測されており、緊張感を維持しながら、財政運営することが求められています。
どん底だからこそ、職員、市民の力を発揮するチャンスだと考えるべきです。

次に、国民健康保険事業特別会計について申しあげます。

平成22年度の国保会計は、実質収支において119億5,200万円の不足が生じたため、23年度からの繰上充用によって対応することとなりました。22年度保険料収入が約206億円ですから、収入の半分を前年度の赤字の穴埋めにつかう、という非常事態です。
千葉市では平成19年度決算で初めて2億6700万円の繰り上げ充用を行ってから、4年間連続で、累積額が119億円を超える額となったものです。ことにこの2年間は一般会計がひっ迫している、との理由で赤字繰り入れを行うことができませんでした。

国保は医療保険のセーフ ティーネットです。他の健康保険に入れない高齢者、病気などで職のない人、ワーキングプアなど低所得者などが多く加入しており、財政的な基盤は元来弱い構造とならざるをえません。
千葉市においても、平成22年度、60歳以上の方が被保険者全体の約47%を占めており、高齢者の加入割合が高く、また所得階層では200万円未満が66.3%となっています。全世帯の平均所得は、約152万円とのことです。
また千葉市の22年度の1人当りの保険給付費は、20万9782万円で、政令市で最も低い額とのことですが、これは今後、高齢化が進む中さらに高くなっていくと思われます。

保険料収納率は、22年度、現年分、滞納分合わせ68.8%で、前年度より0.5ポイント減、政令市中12位とのことです。
保険料の収納対策としては、初期滞納世帯に対しての市税等納付推進センターによる納付勧奨や、高額滞納世帯に対しては滞納処分を強化したとのこと。また、滞納保険料を専門に徴収する、特別徴収嘱託員を22年度は前年度より6人増員するなどの対策をとってこられています。まずは現年分の収納率を上げることが必要ですが、それでも累積赤字解消にはほど遠い状況です。

千葉市の繰上充用の会計規模に対する割合は12.9%、政令市中繰り上げ充用を行ったのは千葉市を含め6市とのことですが、その割合は千葉市がぬきんでて高くなっています。
また、平成21年度においては、すべての市で、法令の基準以外に繰入を行っており、その繰入の会計規模に対する割合では、最も高い市で、7.4%とのことです。
国保会計の赤字分を、全て一般会計からの繰り入れで凌ぐのではなく、繰り上げ充用の手法を用いることで、国保会計の赤字体質を白日のもとにさらすことができた、という声もありました。しかし、いまやそんな悠長な事を言っている場合ではありません。

累積赤字の解消は国が肩代わりをするか、市が一般会計で解消するか、保険料に上乗せして解消していくかの三つしか考えらませんが、現在の経済状況で保険料上乗せは、市民にとってあまりに厳しい選択です。国庫負担への充分な対応を求めつつ、市民に近い自治体として、がん検診など受診率の向上を図り、早期発見・早期治療をすることで医療費の圧縮をする、あるいは未だ2割強しかないジェネリック医薬品の比率を高めるなどの努力をしつつ、繰り入れのバランスを考えていく必要があると考えます。

次に、2010年度より子ども未来局ができたことについて検証します。

これまで、子ども施策は保健福祉局と、教育委員会がおもに扱ってきましたが、2010年度から、子ども未来局ができ、子ども施策を総合的に扱えるようになりました。このことは市民ネットワークとしても以前から求めてきたことであり、実施が始まったことはうれしく思っています。
そして、子どもを保護する対象、教育する対象と見るだけでなく、一人の人間として子ども自身の育ちを支える視点が加わったことは評価できると思います。

子どもの健全育成に関してはこれまで学校および教育委員会、また、児童虐待については男女共同参画課と児童相談所との強力な連携が必要でした。
こども未来局ができたことで、要保護児童対策およびDV防止地域協議会やケース会議の充実、区の窓口との連携など効果を発揮し始めたことは評価したいと思います。

しかし、DV対策については、子ども未来局では、啓発や教育、予防の点では、弱いところがあります
市としても、DV被害の認識の浸透、身近な問題であるとの意識を高めることについて、移管後の課題であると考えているようです。
今後、なお一層、男女共同参画課との強い連携のもとに、DVの防止に努めていただきたいと思います。

また、教育委員会にあった、青少年補導センターが、こども未来局に移り、名称も、青少年サポートセンターと親しみやすいイメージになったことはうれしく思っています。
そのせいか、相談件数も大幅に伸びたと聞いています。地域にとって頼りになるセンターになるよう人材の育成、研修の充実に努めていただきたいと思います。

さらに、教育委員会から移った幼稚園に関する施策に関してですが、まだまだ、不十分な点があるようです。
保育所に行こうが、幼稚園に行こうが、同じ千葉市の子どもです。特に危機管理や特別支援教育の面での支援や配慮は同等に行うべきです。ぜひ現場の声に耳を傾けていただくよう要望します。

次世代に生きる子どもたちの土台をつくるのは大人の仕事です。未来に向けてどんな子どもでも健やかに育つ環境を整備する、子ども未来局の役割に今後も期待します。

最後に、来年度予算編成に向けて一言申しあげます。

2010年度は震災発生から半月で終わってしまいましたので、原発事故に関する費用は、今年度に先送りされて必要になってきています。今年度の後半の使い方、そして来年度の予算編成を市民は注意深く見ています。

財政状況の厳しい時期ではありますが、放射能の問題は後回しにというわけにはいきません。
市も市民の声を受けて、ようやく子どもの過ごす場所での放射能測定を全市的におこなうと聞きましたが、戦いは、これで終わりではありません。

放射能汚染への対応として、未来ある子どもたちの健康を確保することに積極的にお金を使うよう強く求めておきます

以上で、市民ネットワークの討論といたします。

 

 

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