湯浅美和子
市民ネットワークの湯浅美和子です。
会派を代表し、2010年度決算を認定する立場から、意見表明を行います。
熊谷市長が市長を目指したその大きな目的は、危機的状況にある千葉市財政を市民に明らかにすること、そしてこれからの世代にツケを残さない、財政健全化にむけて全力で取り組むことであったと認識しています。
2010年度決算は、その市長が初めて組んだ予算への決算となります。したがってその評価は、
一つに、いかに市民に向けて財政状況を明らかにしたか、
二つに 健全化への道筋は見えたか、 とともに
三つに 一人ひとりの人権が大切にされ、安心して暮らせるまちづくりが図られたか
という視点から行いました。
「脱・財政危機」宣言後、依然として厳しい財政状況にあることは変わりません。実質収支が約3億円と少額であったこと、引き続き市債管理基金よりの借入が続いていること、国保会計の119億円を超える赤字による連結実質赤字比率の上昇など、収支状況は極めて厳しいと言えます。
しかし一方で、今後の負担の大きさを示す将来負担比率が約20ポイント改善しており、これは交付税交付団体となったこともありますが、新たな市債発行や債務負担行為の抑制などに努めた効果が表れはじめていると見ることができます。
予算編成過程の公開は以前に比して工夫がみられ、また市長の出前講座でも財政問題が取り上げられるなど、財政状況の市民への開示は進んでいると思われます。
2010年度予算は、市長原案に対して一部会派の修正動議が可決された、これまでにない経緯を経て編成されたものでした。そのポイントは敬老会費用、ハリ・きゅう・マッサージの施術料補助、自治会への行政事務委託費でした。この1年間はその是非がどうであったか考えさせられた1年でした。
これまで日本を支えてきてくれた方たちへ、敬意を表することは大切です。が、それと同時に今の日本を覆う、老いの不安にいかに応えていくのかも、また私たちに課せられた課題です。成年後見センターや高齢者見守りへの取り組みは、最後まで一人ひとりの人権を大切にしていくために必要です。
また、子ども未来局の新設は、子ども施策を総合的に扱い、要保護児童対策へ効果を発揮しはじめ、福祉と就労のワンストップサービスを目指すふるさとハローワークの設置は、安心の暮らしへの施策として評価するものです。
年度最終時に遭遇した大震災では、地域力の大切さを痛感させられました。私たち市民はサービスを受けるだけの存在ではなく、行政とともに暮らしやすいまちを作っていく役割も担っています。芽が出つつある市民との協働の取り組みが、ようやく手がつけられた既得権化した補助金のさらなる見直しを後押しし、豊かな市民社会を築くことができるよう期待して、市民ネットワークの意見表明といたします。