賛成討論

長谷川 弘美

市民ネットワーク・無所属の会の長谷川弘美です。会派を代表し、市長が提出した平成23年度の予算議案及び議案第88号を除く全ての議案に賛成の立場から討論をいたします。なお共産党から提出された中小企業振興に関する条例案には賛成ですが、一般会計予算等の組み替えを求める動議については、大型開発優先ではなく市民福祉向上 の予算を求めるなど組み替えを求める理由及び基本方針には共感するものの、組み替え内容には賛同しかねるものもあり、反対といたします。

まず来年度の予算編成についてです。23年度予算は熊谷市長にとっては2回目の取り組みとなりました。昨年の300億円に登る収支不足への対応が求められた予算編成と比較して、幾分光が見えてきた午前6時の予算だと表現されています。現在、国は予算案が衆院を通過したものの、特例公債法案や子ども手当て法案もふくめ予算関連法案の成立の見通しが立たず、これまで経験したことのない状況を呈しています。
このような状況の中、子ども手当てが、今後どのような対応となるのかは不透明です。しかし国との関係において、市長は地方に裁量の余地のない事業に対し、国が責任を持って財源を確保すべきと市長会等で見直しを求め、来年度の子ども手当て地方負担分を予算計上しなかったことは評価するものです。あわせてこの間自治体負担が深刻化してきている生活保護費、国民健康保険、また新たな各種ワクチン接種などしっかりと国負担の抜本的見直しを主張していっていただきたいと考えます。

さて千葉市の来年度予算は、一般会計3,582億円で、前年比2.2%増。特別会計3,694億3700万円を合わせると7,266億3700万円で0.8%増とほぼ前年並みの予算と成りました。歳入では市税収入のうち市民税の増収50億円が見込まれるとはいうものの、これは昨年、一昨年の落ち込みが大きかったためその比較で若干持ち直したというものであり、歳出では依然厳しい経済状況の中、市民生活への的確な対応が求められています。
21年度決算でも示されたように財政状況が政令市最悪である中、市長は23年度の予算を、財政健全化路線を堅持しながらも、成長分野への投資などメリハリのある予算配分とすると公表しました。特に雇用・中小企業対策を強化したこと、また子ども施策ではこども参画及び全ての保育所、保育園に障害児の受け入れを拡大するなど保育事業の拡充や、子ども医療費助成を8月から小学生3年生まで拡大させたこと、高齢者対策では見守り事業を、さらに市民との協働事業提案制度など新規・拡充され事業が予算化されたことを評価するところです。また財政再建では、来年度は財政の危機的状況から脱するため策定された財政健全化プラン2年目の年です。
市債残高の削減ですが、引き続き建設事業債の発行の抑制で、市債発行額を削減しており、その結果23年度末のみこみにおいて、一般会計では22年度より77億円削減され、全会計では128億円減額となっています。また債務負担行為では、都市整備公社を活用しての建設事業に係る債務負担行為を23年度から実施しないこととしており、このため平成32年度には建設関連の債務負担行為はなくなることとなるなど、健全化の道筋が見えてきたといえます。

次に予算編成過程での収支不足135億円への対応です。まず歳入確保対策では、市長は市政だよりで税の地消地産を呼びかけ、マリンスタジアムへの命名権での収入も確保し、細かいところでは給与明細書への広告導入など市全体での取り組みがなされているところです。
また税収確保ですが、政令市最下位の徴収率については、税不正問題の解明のときから、特に滞納繰越分への対策を市民ネットワークとしても重要課題として取り上げてきました。市としても税事務の公平・公正性、事業の集約化を目的に、昨年10月から市税事務所を開設し対策が開始されたところです。職員をしっかりと配置し、滞納案件では十分な調査をし、滞納者の実情に合わせた的確な対応で、徴収率の向上に努めていただきたいと考えます。

次に歳出削減対策です。事業の見直しでは、中長期に見直しを要する事業のうち議会や関係団体などの意見を聞きながら取り組みを決定するとして新たにサマーレビューが実施されました。昨年度の議会からの要請に対応された点では評価できるものですが、より判りやすいものへの工夫が必要です。浜松市では政策形成過程の計画内容や庁内審議状況について、局ごとに対象とする事業内容について協議事項、論点はなにか、他都市の状況など詳しい情報を公開しています。これらを参考にし、今後さらに市民や関係者の意見も聴取に努め進めていただきたいと考えます。
また人件費の削減が16億円と大きなものとなっています。昨年から実施された市独自での職員給与のカットが、一部緩和されたものの平成25年3月まで継続、また退職金の削減は政令市では千葉市のみとのことです。厳しい財政状況を乗り切るため市長としても苦渋の選択、やむを得ない対応とは思いますが、民間比較でも下回っており、このような実態を市民に理解されていない現状もありますので、十分周知を図ること、また人事委員会の意見にもありますが、出来る限り早い段階での解消を求めておきます。

2点目は土地開発公社についての意見を申し上げます。昨年第4回定例会において、公社の解散と第3セクター等改革推進債の起債が議決されました。今回は市が金融機関に代位弁済した125億円から保有土地の評価額を差し引いた約103億円の債権を放棄するものです。その際、裁判所に調停を起こし市と土地開発公社の2者のみで行わないとしたことは、価格の透明性の確保を図るという点からも評価するところです。
しかし前回の議会において市長が『一つ一つの土地についてきちんと説明をする』と答弁されたにもかかわらず今議会においても納得のいく説明がなされたとはいえません。塩漬けとして残った19事業の土地のうち、そのほとんどが市長副市長のトップ決済での購入です。最も下落率の高い、矢作町山林は当時の5.07%です。簿価は6億4000万で評価額2000万ですから6億2000万の損失、中央港地区の土地も当時の7.53%で、簿価は28億7000万に対し、評価額1億3000万円
で27億4000万円の損失、この2件だけでも33億6000万の損失で103億の約1/3になります。
土地開発公社の活用は地価上昇期には有効であったわけですが、バブル崩壊後に公社を設立した千葉市においては、取得するとすぐ下落、利子がかさみ買戻しもむずかしい。すでにこのような制度矛盾が生じていたわけで、このことを十分意識して慎重に対応がなされていたのか大いに疑問の残るところです。
同じような含み損を生じた奈良市が設置した外部委員が出した中間報告書の指摘。問題は土地開発公社制度悪によるものではなく、これを運用した奈良市の運用悪であるところに本質がある。また運用に関与した関係者全員がその責任を回避しあう中で、損害が拡大するモラルハザード・スパイラルが発生しているとの指摘は千葉市においてもあてはまるのではないでしょうか。

今回市が簿価が膨らみ続けることをこれ以上放置せず、早期に処理することには賛同するものの、いわば失政が生じさせた負の遺産を市民が引き継ぐこととなるわけです。過去の市政にメスを入れることは難しいこととは思いますが、議会でも示された土地の購入経緯などへの疑義に対して、もっと徹底した検証がなされるべきです。今後市民に向けての説明責任と情報の開示を期待します。また取得後の土地への対応では検討会が設置されるようですが、市民意見を取り入れながら当初の事業目的の見直しを徹底し、再び塩漬けとさせない有効活用を求めておきます。

3点目は指定管理者の選定についてです。今回指定管理者に関して37議案が提案されました。指定管理者の選定については、分科会でも様々な議論がなされたところです。今回は2回目の指定事業者の選定ということであり、総務省からも運用に当たっての通知が出たという事は、それだけこの制度の運用に当たっては全国でも問題が生じ、課題が多いということだと考えます。
そもそも指定管理者制度は2003年に経済界からの要請もあり、小泉政権のもと公共サービスについては、国民が必要とするものを最小の費用で提供する、そのためには最大限市場原理を活用することが重要であることとして指定管理者制度の導入が図られたわけです。前回の指定管理者選定の時点で、私達は公的なサービスにおいては、施設ごとに指定管理者制度の導入が妥当であるのか、株式会社などの運営となっても大丈夫かどうか十分に検討されることのないまま、進めるのは非常に問題であること。特に多くの施設を一括して管理するものはスケールメリットはあるものの、応募できるところが限られること、分散し地元の企業やNPO、市民団体でも管理できる可能性を検討すべき、また外郭団体の改革や職員の雇用に関しても指摘してきました。 住民サービスの向上を図るとともに、経費の節減等を図るとされた指定管理者制度そのものは、市場競争を避けて通れないものとなっており、実際選外となった外郭が解散しているケースも出てきています。公の施設の管理を事業の大きな柱としたてきた外郭団体の縮小、整理というものが内在する制度です。
しかし1回目の選定では、外郭団体が引き続き選定されるケースが多く特に職員の雇用問題などは顕在化しなかっただけです。その後、5年間、外郭団体の経営見なおしも行われてきましたが、危機感を持った改革がなされてこなかったことが、今回の結果ではないでしょうか。

市は選定過程での不透明性、説明不足が指摘されていた点への対策として、外部の委員による選定評価委員会を設置しました。また全ての議事録を情報公開し、今後の、施設の評価も実施していくこととなり改善が図られ評価するところです。外郭団体が選定からもれた所もあり、ここへの市の指導や外郭団体としての改革が進まなかったことでは課題が残りますが、選定そのものはなんら恣意的なものはなく、今回の結果には賛成をいたします。
ただし今後、施設目的によっての公募・非公募の判断や、いわば総合評価方式となっている配点基準が妥当であるかどうか、また分散して地元業者やNPOや市民団体でも管理できるような工夫、労働環境への配慮など様々な改善すべき課題が分科会でも出ておりますので、これらについては選定評価委員や市民も交え検討し、より良いものとすべきと考えます。

次に局ごとの事業について意見・要望を申し上げます。
■市民局
コミュニティセンターについて
この4月から、各コミュニティセンターは、料金の改訂・有料化、および申し込み方法の変更に伴い、市民の使い勝手が大きく変わります。また、指定管理者の再選定により、指定管理者が交代するところもあります。抽選による予約がすでに2月から始まっており、大きな変更を目の当たりにした市民からは、1月の説明会での指定管理者の話だけでは納得いかないというご意見も寄せられました。
市の担当者も関わっての丁寧な説明会を複数回開催するなど十分な準備と納得のいく説明が必要です。有料化については、利用しないものと利用するものの公平性確保の点からも、一部負担を求めることはやむを得ないものの、管理運営費の削減は限界に来ています。市民にとって最も身近な施設であり事業費の確保と老朽化した施設では、先を見通した管理と計画的な修繕の実施を行っていっていただきたいと考えます。利用者だけでなく、利用しない人も含めた、運営懇談会を年3回ほど開くとのことで、コミュニティセンターのあり方や利用を考える純粋の話し合いの場ができると期待しています。
一方、その会で、どんな話し合いが行われているか、できる限りオープンな場にして、傍聴や議事録閲覧ができるよう求めておきます。

■子ども未来局
児童相談所について
児童相談所では、虐待児童の相談も年々増加し、一時保護所における保護児童の増加や保護期間の長期化も課題です。子どもたちへの処遇をよりよくしていくため、市民ネットワークではこれまでも職員の充実を求めてきたところです。児童福祉士の国の配置基準は、人口5万人〜8万人に1人とされており、本市は17人で基準を満たしているとはいえ、神戸市、浜松市、堺市など政令市10市ではすでに基準を超えて配置されております。年々複雑化、深刻化する被虐待児童には一人ひとりに寄り添った丁寧な対応が必要で、今後も一層の専門職員の増員を求めるものです。

■保健福祉局
病院事業について
新年度から、地方公営企業法の全部適応による病院経営となり、病院局を新たに設置し、病院管理者を置く運営が始まります。充実した医療体制のため、35人の定数増をはかり、7対1看護を実施していく方向とのこと。医師看護師等の医療スタッフ確保し、全国の自治体病院が抱える、共通の課題解決に向け、この改革が好事例となることを期待しています。
また両病院での院内保育所での週1日の24時間保育、地域連携室の組織化、機能の強化が図られるとのこと。
24時間の院内保育については、週1日で利用者のニーズを満たせるものになるのか若干心配ですが、働きやすい環境づくりとして有効な手段となるよう、利用者との意見交換を充分行いながら進めていただきたい。
また、地域連携室ですが特に高齢化社会にあっては、病院を退院したのち、地域どう暮らすかが大きな問題となっています。住みなれた地域で、どのように回復を図ればいいのか、どのように介護を受ければいいのか、当事者や家族と一緒に考えていく必要があります。その点からも、地域連携室を整備し、機能の拡充を図ることについては、市民からも大きな期待が寄せられるでしょう。地域福祉に関する情報収集をぜひ、親身になった相談を行っていただきたいと考えます。

高齢者の見守りについて
来年度の新規事業で地域見守り支援事業が予算化されました。高齢者への訪問、家事援助、高齢者の集うサロンなど見守りにつながる活動を実施する団体の活動拠点へ助成する制度です。想定する団体は,NPO法人や町内自治会など18団体で、一人暮らし高齢者が多い地域や高齢化率の高い地域からの申請を期待しているとのことです。今後この見守り活動を全市的に広げていくとのことですが、ボランティアの協力による見守り活動は、個人情報の問題や困難事例に対応する見守る側の負担も多く、また財政的支援が限られており、事業をいかに継続させていくかも大きな課題です。市として 見守り活動を地域の団体やボランティアだけにおまかせすることなく 安心して見守り支援をおこなえるような バックアップ体制の整備が必要ですまた、地域の見守りに欠かせないあんしんケアセンターは、現体制のままでは不十分であると考えます。地域の見守り活動をしっかりサポートしていくために、市直営のセンターの設置や人員体制の強化、センター増設の早期実現を要望します。

生活保護自立支援プロジェクトです。
生活保護自立支援プロジェクトとして、新規に農業等就労・社会体験支援、生活保護世帯学習支援が、また生活保護受給者の自立支援のための市営住宅入居促進として市営住宅40戸が提供されます。これら新規のプロジェクトは昨年春、生活保護受給者が増加していることを受け、庁内に「生活保護自立支援強化プロジェクトチーム」が設置され、その中で検討されてきたものです。
昨年、国は「生活保護受給者の社会的な居場所づくりと新しい公共に関する研究会」の中で、これまでの就労支援が中心であった自立支援策から、前段階となる居場所作りの重視を初めて打ち出しました。また、貧困の連鎖を防止するために、生活保護世帯の子どもに対し、学習支援や社会とのつながりを結び直す支援も重要とされました。今回の新規事業は、この方向を受けたものです。稼働能力を有する生活保護受給者のうち不就労の者に対して、農業等の就労体験やボランティア活動等の社会体験の機会を提供することにより、就労意欲を喚起し、社会参加意識の向上を図り、就労の促進につなげる、とされていますが、時間と根気が必要な支援です。
すでにHPで、この事業の委託者の募集が始まっています。事業者への丸投げでなく、しっかりと各区のケースワーカーがかかわっていくことを求めます。市営住宅への入居促進も、住宅と福祉の一体化、という国の流れが具体化してきたもので評価するものです。今後も市営住宅に限らず、他の住宅入居困難者への入居促進を検討するなど、住宅政策と福祉の一層の連携を求めます。
 貧困の連鎖を断ち切るための学習支援策ですが、生活保護世帯でなくとも、ぎりぎりの苦しい生活を強いられている世帯でも塾などへ通うことは厳しい状況です。他市の事例では、そういった世帯の子どもたちへの配慮も見られますので千葉市でも検討を求めたいと思います。

■経済農政局
雇用対策と中小企業への支援強化についてです。
市独自での雇用施策を展開するために、雇用創出マスタープランを策定するほか、中小企業金融対策での環境経営応援資金新規メニューが新たな事業として取り組まれ期待するところです。雇用と生活支援をワンストップで行うとして昨年6月に開設されたふるさとハローワークも2年目を迎えます。特に若年層への雇用支援の強化、また生活困窮者など他の部局とも連携し、更なる周知をしながら推進していくよう求めます。

農政について
本年度行われた農地の利用状況調査によると、緑区の耕作放棄地は25.3ha、若葉区では18.6haで、全市合計390haとのことでした。平成19年度の同様の調査では、耕作放棄地は313haでしたので、その後77haも増加したことがわかります。市農業委員会では農地銀行が、また昨年11月からはJAによる農地利用集積円滑化事業も始まり、農地の貸付や利用集積を進める取組が行われておりますが、まだまだ十分とはいえません。担い手の高齢化など、農業を取り巻く問題は深刻で、出口の見えない閉そく感を感じます。
一方、地産地消やエコ農産物への関心の高まり、若者やリタイア組の農的生活へのあこがれなど、農業や土に触れあうことへの市民の興味や関心は年々高まりを見せています。こうした社会情勢を好機ととらえ、消費者が千葉市農業への理解を深め、多少割高であっても市内農産物を買いたいと思えるような取組を市として積極的に行っていっていただきたいものです。

■環境局
新港清掃工場の長期責任型運営維持管理について
北清掃工場に続き、新港でも、長期責任型運営維持管理が導入されます。23年度から7年間の委託になります。新港には、焼却炉だけでなく、灰溶融炉があります。焼却炉に関してはすでに長年のノウハウの蓄積がありますが、灰溶融施設に関しては、まだ全国的にも確立した稼働実績がなく、そのため北清掃工場のような15年の長期委託ではなく、これまで新港が稼働してきた実績のある7年間と同じ期間となるとのことです。
しかし稼働直後の7年間と、今後の7年間では、機能的に不具合なく同じ働きを続けることが出来るのか、不安もあります。コスト的には、薬剤などの調達メリットで21億円、人員の削減で約9億円と、7年間で約30億円の縮減になる、とのことです。しかし15人という大幅な職員の削減で、すでに長期委託が導入された北清掃工場での人員削減も合わせると30名の削減となります。今後、清掃工場の現場経験者が著しく減ってしまうことに問題はないのか、稼働状況をチェックできる職員の経験の継承に意を注いでほしいと思います。

環境基本計画について
2月1日より本日まで、千葉市環境基本計画(案)のパブリックコメントを聴取中です。計画策定には一昨年から取り組み、途中2度の市民説明会を開催し丁寧に取り組んできたことは評価いたします。また、生物多様性への言及も行われており、委員や市民意見が反映されたものと考えます。
市は、市街地の樹林や谷津田・里山の保全に取り組み、自然保護ボランティアの育成もおこなってきました。絶滅と思われた生きものも発見されるなど、一定の効果も現れています。一方、鉄道駅から1km範囲の開発を可能にしたいわゆる1km条例による宅地開発などによってわずかに残された貴重な樹林も切り倒され、年々緑が失われています。
千葉県では全国に先駆けて「生物多様性ちば県戦略」を市民参加で策定しました。本市においても今後市民の参加により生物多様性戦略の策定に取り組まれることを要望いたします。

■消防局
共同運用消防指令センター(仮称)整備工事に係る工事委託契約について
これは千葉県内「北東部・南ブロック」を構成する、千葉市を含む20消防本部が整備する共同運用指令センターの整備工事に係るものです。この共同運用指令センターは、平成17年の消防庁の次長通知から千葉県が検討を開始し、千葉県をモデルにした調査報告がされた、とのことです。
千葉市単独でのデジタル化などの更新では12億1000万円が5カ年計画にあげられていました。それがこの共同運用だと、7億4000万円と試算されています。コストメリットは多大であり、千葉市としても共同運用指令センターへの参加を決めたというものです。今回はその契約が議案としてあがっています。
千葉市消防本部6階に整備される共同運用消防指令センター設備の詳細設計と整備工事における、日本電気、富士通、NECネッツエスアイの3社による指名競争入札ですが1月7日にNECネッツエスアイは「システムを履行することが出来ない」として辞退をし、富士通にいたっては、入札に参加し札を入れたものの、入札金額欄に「辞退」と書かれていた、とのことです。
消防本部として、入札自体は手続きに則り厳正に行われたとして、特に調査をしていない、とのことですが、千葉市が今回求めた高機能消防指令センターのV型以上の工事を行うことが出来る事業者は、実際のところ、国内では3社か4社です。それを鑑みれば、今回の入札は、きちんとした競争性が担保されていたと言えるかどうか、疑問が残ります。詳細に調査すべきであったのではないでしょうか。
また今回の入札時の仕様書は「日本安全設備センター」へ、コンサル委託して作成されたようですが、今後このシステムを活用していくに当たっては、業者のいいなりになるのではなく、消防本部内部の専門性を高めシステム活用をしていって欲しいと思います。
                             
■水道局
現政権の掲げた「ダムに頼らない治水対策」で、全国でのダム検証が始まっています。熊本県・七滝ダムや青森県・大和沢ダムの建設中止も出てきました。また大阪府でもすでに本体工事に入ったダム事業を中止し、川幅を広げることなどで対応する、とされています。千葉市がかかわる霞ヶ浦導水事業も検証の対象となっています。
水道事業は市民生活に欠かすことの出来ない大切な事業です。しかし総事業費460億という莫大な第3次拡張計画をめぐっては、現実に見合った水需要予測を元に、計画を見直すことを以前より求めてきました。人口78,100人に一日最大33,700立法メートルを給水する計画でしたが、昨年度行われた水需要精査では、それが平成32年ピーク時の予測で、19,500立法メートルとのことです。国の需要予測計算に基づくとはいえ、このかい離は看過できません。
この結果を受け、国からの霞ヶ浦導水事業に係る自治体への継続の意思確認に対して、千葉市は参画の意思なし、と回答したとのことで、評価するものです。
今後、本年中に国としての方向性がだされるとのことですが、しっかりと交渉を続けてほしいと思います。

■教育委員会について
教材教具費、図書費
教材教具費が5年前と比較すると総額で2億1000万円1人あたりでは3400円の減で、これは特に20年度に大幅な減額となりそれ以降足踏み状態となっています。財政の悪化が学校での備品や消耗品というような子どもの学校生活の質に直結するところにまで影響が出ていることが残念でなりません。厳しい中でも優先して予算化すべきものと考えます。
また図書資料費は減額が続いてきた中、国の住民生活に光をそそぐ交付金4400万円を活用し充実を図ったこと、また同様に学校の耐震化も交付金の活用で進めたことは評価しますが、耐震化率70.21%で政令市19市中15番目であり、特に屋内運動場などまだまだ耐震化が遅れていますので27年度までに確実に推進すること、また図書資料費の充実に努めていただきたいと思います。

最後に請願2号栄町場外馬券発売場誘致促進に関する請願について
反対しましたので、意見を申し上げます。場外馬券場の設置については、商店街振興組合や町会において、いまだ1割の方が賛同しきれていない旨、伺っています。場外馬券場が設置されると、交通渋滞や違法駐車など交通事情への影響が懸念されるほか、ごみの不法投棄等による景観への影響も発生するものと考えられます。栄町にはお住まいの方々も多く、迷惑がかからないよう配慮する必要もあり、十分な説明と理解をいただくよう努めることを求めておきます。

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