討論

山田京子

市民ネットワークの山田京子です。会派を代表して、平成21年度千葉市一般会計決算をはじめとする、すべての決算議案を認定する立場より討論いたします。
2009年度一般会計決算は、歳入3,530億8,700万円、歳出3,518億4,400万円で、ともに9.2%の増。市税収入が前年比3.3%、58億円落ち込む中、本来なら財政規模が縮小すべきところですが、定額給付金給付事業による国庫支出金の出入りなどがあり、規模は拡大しました。 実質収支額は7億1800万円の黒字でした。しかし、これは国民健康保険事業特別会計を一般会計からの法定外繰り入れを取りやめ75億円の赤字としたこと、臨時財政対策債の発行138億円、市債管理基金よりの70億円の借入、などで導かれたものであることを考えると「黒字」とは素直に言えません。 経常収支比率を見てみても、前年度より2.9ポイントも上昇し99.2%。これは税収の減により、全国的な傾向ではありますが、硬直化が進んだきわめて厳しい異常な状態といえます。
熊谷市長は、政令市中ワースト1〜2位を争う千葉市の財政の再建と市民の信頼回復を掲げて市長に当選されました。2009年度に関しては、前市長が編成した予算の執行となったわけですが、その中でマニフェストをどう生かしたのか、どのように特徴を出すことが出来たのか、そしてそれが今後どのように活かされていくのかを判断するのが、2009年度決算を審査するポイントだと考えます。 マニフェストの反映状況を尋ねましたが、千葉都市モノレール整備の延伸凍結、蘇我スポーツ公園整備及び幕張町215号線整備を見直した、とのことでした。 これまでの経緯と現状の中で、見直しが可能な大型プロジェクトは多くはありません。今回あげられた見直しは、2009年度決算への金額の多寡の影響のみでなく、公共事業全般の必要性の見直しへの意思表示の一つであると理解いたしました。 また、今回の見直しもこれで終わったわけでなく、今後の対応が求められます。たとえばモノレール延伸凍結の事後処理は交通政策会議での議論も元にしっかり行うことが必要です。

健全化判断比率では、 連結実質赤字比率が0.44%となりました。これは国保会計の赤字によるものです。 今後への対応は、国民健康保険事業における医療費抑制や徴収対策、また一般会計においても繰り入れが行えるよう整理合理化をすすめる、とのことでした。しかし国保制度自体がすでに自治体が担う限界を超えており、国の負担金のあり方など根本的な改革の必要性をさらに訴えて行くことが必要です。 実質公債費比率は21.1%。政令市最悪と言われますが、どうにか早期健全化基準である25%を下回っています。しかし、これは大都市優遇だ、との批判もある中、都市計画税が分子より除かれたおかげであり、当初の計算式では、ゆうに25%を超えています。それほど厳しい財政状況に置かれていることを認識しなければなりません。
市債発行に関しては、臨時財政対策債の発行が138億円となったことを受け、全体では27億円の増ですが、償還額が発行額を上回ったことで、市債残高は減に転じました。市長選の時強く訴えられた、市債残高の圧縮の第一歩であると評価します。 2009年度においても執行された市債管理基金よりの借り入れは、地方財政法上からもきわめて不適切な将来世代への先送りです。しかし、財政健全化プランの中で返還に関しての一定の計画が示されたことを評価するものです。 返還計画の確実な実行と、また臨財債などの発行の抑制に対しても市税徴収率の向上は避けて通れない課題です。
2009年度の徴収率は、税収の落ち込みで全国的に苦戦するなか、当初見込みは下回ったものの、92.3%、前年比0.3ポイントの上昇でした。 しかしいまだ政令市最下位から抜け出ることができません。今後は千葉市が抱える「膿」とも言える滞納繰り越し分の整理をしっかりと行なうことが必要です。 市民に対して、財政状況をことあるごとに説明され、情報の開示は格段に進みました。その際の市民の方からの意見は、市長自ら、また職員の方が聞き、それらが今後の予算編成にも活かされていくものと思いますが、これからはそういった声を反映する、市民が納得する仕組み作りを望みます。

さて、熊谷市長になってからの新しい手法を検証してみます。 その一つが21年秋に国でも話題となったいわゆる事業仕分けです。 千葉市の事務事業の見直しは有識者による公開ヒアリングや、市民意見の聴取ばかりでなく、傍聴者にも発言の機会を与えるという画期的な取り組みでした。その結果、これまで職員自身ではメスを入れにくかった事業を改めて見直すことができました。 しかし、課題はいろいろ指摘されておりますので、より納得のできる見直し作業に変わるよう期待しています。
次に、マニフェストの工程表をつくり、市民に公開されたことについてです。 これまで市のやろうとしていることは一般市民にはわかりにくいままでしたが、目に見える形で、今後の方向性を知ることができるばかりでなく、市民が進捗状況をチェックできるようになりました。
次に市長が発した「脱・財政危機」宣言ですが、 市長との対話会も活用しながら、実質公債費比率が政令市でワースト2、将来負担比率がワースト1という結果を示し、早期健全化団体に陥る直前であるほど千葉市の財政状況が危機的であることを、市民ばかりでなく、職員自身に認識してもらえたことは、財政再建のための意識づけに大きな効果があったと思います。
さらに、新基本計画の策定がさまざまな手法により、市民や職員の意見を聴取しながら進めていること。昨年度実施されたことでは、とくに若手職員のワーキンググループの提案、無作為抽出による市民委員が参加するワークショップ、中高校生座談会などの試みは今まで見られないものでした。 以上、決算全体についてと熊谷市長のもとでの新しい手法の評価を申しあげましたが、各施策については、さまざまな課題もありますので、順次意見を述べさせていただきます。

入札・契約について。 前市長の収賄被疑事件を受け、千葉市の入札契約にかかわる不正などに関して、徹底的に検証するため、21年10月に外部の有識者も交えて、入札制度検証委員会が設置されました。 前市長が関与したとされる工事に関しての真相は、いまだ明らかになっていませんが、報告書では入札参加資格審査会への指摘をはじめ、特に発注者としての千葉市のコンプライアンスへの取り組みの提言が盛り込まれました。 コンプライアンスの徹底に関して、市長の政治倫理条例また職員の倫理条例の策定に取り組み、22年第1回定例会で議決されたところです。さらに有力者からの口利きや要望の記録化も今後要綱となる予定です。入札契約での不正を2度とおこさないという姿勢で出来る限りの対策を図り、市民の信頼を回復していかねばなりません。これらは市長選で市民に強く訴えたものであり、今後の運用に当たっては市長の強いリーダーシップを発揮していくことが必要であると考えます。

新基本計画について。 先ほど、手法についての評価は述べましたが、以下内容について意見を申し上げます。 平成27年までの計画「ちばビジョン21」が、現在の社会情勢や本市を取り巻く状況の変化を大きな理由として見直し、新たな計画にするとの説明でした。しかし同じような社会状況の変化の中で、なぜ千葉市が政令市中で、ワースト1の財政状況を招いたのか。議会でも再三にわたり基本計画に沿っての大型開発事業が、財政を悪化させるとの指摘がなされたにもかかわらず、早期に対応ができなかったことについて、分析反省をすることこそ必要です。基本計画に財政フレームがきちんとしているのか、そのことは自治体が計画的に行財政運営を行っているのかどうかの試金石とも言われています。 新基本計画案では、財政に関する基本認識として、今後10年の財政健全化への取り組みが示され、一定評価はするものです。
しかし例えば武蔵野市の長期計画では財政計画として1章を設けており1、日本経済の動向、2、武蔵野市の財政の状況と課題、3、武蔵野市の財政見通し、4、財政計画の策定の考え方 5、財政計画という内容となっています。 過去15年間の推移を元に歳入・歳出・市債残高など具体的数値を示し、財政状況を経年的に検証した上で、将来起こりうる要素と後年度負担も含めた財政計画を公開しています。
将来、計画を検証していく上では、財政計画を出来る限り示していくことこそ必要であり、ちばビジョン21が生じた財政悪化の克服に向けた新基本計画にふさわしい内容であると考えます。 来年の6月には策定予定ですが、特に区の基本計画のための検討会は4回しか開かれず、十分な議論がつくされないまま、事務局案が提示されているように見受けられます。本来なら、市民同志が車座になって議論を深め、自ら案を生みだす仕掛けが必要ではなかったでしょうか。 今後の実施計画策定の際にも市民の参画を図りながら、十分な意見交換を尽くすことをあわせて求めるものです。

予算編成過程の公開は 平成20年度から始まった取り組みですが、21年度は事務レベルでの査定についても金額や理由を公表するなど、一層公開が図られました。全国市民オンブズマン連絡会が発表した予算編成過程の透明度ランキングでも政令市中2位となり、その取り組みは評価できるものです。今後は、その過程に市民の声がどのように取り入れられているか、わかるようにすることを望みます。

「千葉市市民参加及び協働に関する条例」制定後、市民参加協働推進会議が設置され、期待を持って見守ってきました。しかし、委員の役割は、今まで通例で行っていた市民との協働事業を短時間に検証する程度で、いかにして千葉市が市民参加と協働を積極的に進めるべきかの議論をする場になりきれなかったこと、とくに公募市民の積極的な意見を活かし切れていなかったことは残念です。 しかし、今後は、市と市民、ボランティア団体、NPO法人等との協働提案事業導入のための仕組み作りを行うとの事ですので、期待しています。その際、推進会議での議論も十分活かすよう工夫していただきたいと思います。

市は22年3月に千葉市災害時要援護者支援計画を策定しましたが、たくさんある取り組みのスケジュールが、工程表として市民にオープンになっていないため、どんな取り組みが、いつ誰の手で、どのように進むのか、わかりにくい状況です。 代表質疑のご答弁で、見やすい表にとりまとめ、ホームページや事業の手引書などでわかりやすくお知らせするとのことなので、速やかに実施していただきたいと思います。 また、地域による支援体制構築モデル事業も始まり、各地域に広がることを期待していますが、仕組み作りにはいかにせん時間がかかります。災害は明日来るかもわからない状況ですので、もっと危機感を持ってすすめるべきではないでしょうか。 医療器具やおむつの備蓄はあるのか、医薬品は非常時どこで手に入れたらいのかなど、要援護者自身の不安はいかばかりかと思います。まだまだいろいろな準備ができていない状態であることを当事者に早く伝え、本人や家族、団体でできることを少しでも進めてもらうべきです。

女性センターの利用率が低いことが、決算分科会でも問題になりましたが、女性センターは単なる部屋貸業ではないのですから、利用率が増えればそれでよいという問題ではありません。 パンフレットをみると有意義な啓発事業をたくさん用意していると感じていますし、ハーモニープラザ全体もきれいでゆったりとして居心地の良い施設になっていることは市民にとってうれしいことです。 しかし、大事なことは、男女の問題に苦しむ人たちを救える場になっているか、いつでも頼りになる人がいて相談でき、情報を得られる場になっているか、女性センターでなければできない事業が実施されているか、厳しい社会の中を生きる男性にとっても必要な施設になっているか、などではないでしょうか。 そうでなければ、生涯学習センターと区別のできない施設になってしまいます。そうならないためにも、館長には、男女共同参画に造詣の深い人材を登用すること。男女共同参画が進むことが生きやすい社会であると思う男性を増やすことを目指し、千葉市の男女共同参画の課題をしっかり把握し、市民団体の力を活用しながら、なくてはならない女性センターに変革していくことを望みます。

地域福祉計画について。 計画策定後5年がたち、パイロット事業とモデル事業は実施されましたが、残念ながら地域での周知も推進も一部の地域にとどまっているようです。各区の推進協議会では意欲的な議論が交わされているにも関わらず、予算もなく要綱の縛りで計画を推進する主体になっていないため、動きが取れていません。 これでは、時間と手間をかけて、各区の地域福祉計画を市民の参画でつくった意味があったのだろうか、もったいないという思いでいっぱいです。 代表質疑のご答弁では、「福祉協議会区事務所が、地域に出向き、福祉活動を実践する組織への支援や活動者間のコーディネートを行うなど多様な主体の有機的連携を図りながら地域福祉の推進を担う」とのことなので期待しています。せっかく6区全てにそろった保健福祉センターを拠点として活用できるのですから、ぜひ、しっかり実施するよう市として後押することを求めます。

あんしんケアセンターは、高齢者人口の増加に伴い相談件数が増えるとともに、要支援1・2の認定者の増加で相変わらず予防プラン作成に追われているようです。また人口7万〜8万人に一箇所と担当圏域が非常に広く、地域住民や諸団体との関係が深まってきているものの、今の体制では適切な対応ができない。虐待に対応するための措置や介入の権限がなく限界を感じている、など問題は山積みのようです。 今後高齢化が進み単身世帯や孤立する高齢者が増えてくることは避けられず、地域ごとの高齢者の実態やニーズの把握、見守りネットワークの構築などの更なる取り組みが必要不可欠で、センターの役割はさらに重要になり、機能強化が急務です。
市民ネットワークでは以前より、あんしんケアセンターの増設や市直営のセンターの設置など 機能強化を求めてきました。今回「次期介護保険事業計画策定の中でセンターの増設について検討する」との答弁があり評価するものです。しかし高齢化は待ったなしです。次期計画はH24年度からですので、できる限り前倒しでの増設を求めます。

昨年秋から古紙布類回収が毎週になり、可燃ゴミが週3回から2回になる際には、周知の遅れに批判があり、当初、若干混乱もあったようです。しかし、その後、市民も落ち着いてきており、この夏のトラブルも特に報告されていないと聞き安堵しています。 そして、ゴミ分別スクールが全校で実施になったこと、平成23年度の焼却処理量の数値目標28万6,000トンが2年前倒しで達成でき、平成19〜21年の3カ年で53,000トンの削減が図られたたことは、市民の協力も含め、評価するものです。 一方、モデル校での生ゴミ堆肥化の取り組みが中止になったことは残念です。 生ごみの減量については、全国的にみても「こうすればよい」といったカンフル剤はなく、地域の特性にあった方法を、市民とともに考えていくしかありません。 今後は、減り方の伸びが今までのように進まないことが予想されます。 焼却ごみ3分の1削減市民会議のメンバーが時間をかけて研究した提案もいくつか取り入れてきているようですが、今後も連携を取り、市民目線に沿った大胆で丁寧な施策展開を求めます。
レジ袋の有料化に向けては、事業者との懇談会が検討会となるとの事なので、前進と受け止めました。少しでも早く、レジ袋の有料化が当たり前の世の中になってほしいと願っています。 子どもに関する施策

次世代育成支援行動計画について 。後期計画の中で子どもの参画によるまちづくりが基本施策に登場し、子どもに信頼される大人の調査研究が盛り込まれました。これは、これからの地域社会全体での子育てに大切なことで、できるだけ早期に育成・登用できるよう期待しています。

児童虐待、DVについて。 児童虐待も、DVも、根は共通しています。人権が尊重されずに育った人、貧困など劣悪な環境で育った人が、生きていく過程で、SOSを発信できなかった、信頼できる人に出会わなかったことが大きい要因だと考えます。 この悪い連鎖を断ち切るため、思春期にいのちを大切にする人権教育、性教育がおこなわれ、出産前後の親に対する支援や教育が十分できるかどうかが鍵ではないでしょうか。 児童虐待、DVを減らすにはこの2つの時期に力を入れて対策を立てていただきたいと思います。 なお、児童相談所の職員や生活保護のケースワーカーの皆さんはそれぞれ、生身の人間相手で、24時間の対応を迫られる職種です。財政健全化のため職員の削減が実施されていますが、いのちを守る分野に関しては、十分な人員の配置、身体精神面の健康が確保されるよう、特段の配慮をお願いします。

千葉市産業振興財団は、指定管理者として千葉市ビジネス支援センターの管理運営をおこなって3年になります。現在常勤役員2人は市職員OB、職員10人のうち市からの派遣が7名で、プロパー職員はわずか3名、年齢も30代〜40代と若手です。 一方、平成24年度末までに,市からの派遣職員は全て引き上げることになっており、今後安定した経営がおこなわれるのか不安です。プロパー職員のスキルアップに力を入れることが喫緊の課題であり、如何に専門性の高いマネージャーを取り込んで力をつけるか、市内中小企業にとって頼りになる財団となり得るかが問われています。 また、事業収入をいかに増やして市への財政依存率を下げるかが求められており、ビジネス支援センターの会議室の利用率向上や、管理運営の効率化が課題です。 次期指定管理者選定の際には、以前のように非公募とはならない可能性もあり、今からいっそうの努力が求められます。

新規就農者の就農状況は平成18年度受講者が1人、19年度は4人がすでに3年間の研修を終えて就農しているときいています。さらに20年度受講生3人が、いま3年目の研修中、21年度は4人が農家での研修を受けており,いずれも将来農業に従事していく意欲を持っている、とのことです。 経営規模は40〜50アールと小さいものの、着実に成果を上げており、年々高齢化する市内農業を元気にするためにも、新規就農希望者研修は今後いっそう力を入れて取り組んでいただきたい事業です。 さらに、農政センターは、堆肥づくりの指導など、農家の求めに応じられる頼りにされるセンターを目指していっていただきたいものです。

最後に教育について 学校適正配置については、美浜区において一定の合意形成に至りましたが、そのプロセスについては、丁寧な協議が重ねられてきたものと判断いたします。その後すすめられている適正配置検討の中でも、その丁寧な進め方はぜひ踏襲していただきたいと思います。 一方、跡施設利用については、すでに統合した花見川区においてもその活用が中断しています。有効な活用が図られるよう、いっそうの努力を求めます。 以上で市民ネットワークの討論といたします。

close