意見書に関する討論

長谷川 ひろ美

発議23号と24号には反対の、21号には賛成の立場から討論を行います。

発議23号 新たな防衛計画の大綱の速やかな策定を求める意見書について
この意見書は、国に対し新たな防衛計画の大綱策定を先送りせず、早急に新大綱と新たな中期防衛力整備計画を策定し、国防に対する新政権の考えを内外に発表するよう強く求めるものです。
さてこの問題は自民党政権であった、6月自民党国防関係合同会議が、防衛計画の大綱見直しの提言をだしています。提言には、先般の朝鮮民主主義人民共和国の「人工衛星」発射等を受けて、敵ミサイル基地攻撃能力を盛り込んだミサイル防衛の更なる推進。 その他防衛力増強のために「防衛費抑制」の撤回、「武器輸出三原則」の見直し、さらには米国をねらう弾道ミサイル迎撃などについて、集団的自衛権の行使を認めるよう憲法解釈の変更を促したものです。
政権が交代していなければ意見書で指摘しているところの防衛大綱と中期防衛力整備計画見直しが、この提言を強く反映して12月末には閣議決定される予定でした。憲法制定以来、これほどまでに憲法の平和主義の理念とわが国の防衛の原則である「専守防衛」を大きく逸脱する政府内の提言がなされたことはなく、強い懸念を抱いていたところです。
すでにアメリカ追随のミサイル防衛への参加が中国をはじめとした北東アジアの安全保障のバランスを狂わせています。 先の選挙で政権交代を国民が選択したわけで、過去の政策が一旦ストップするのは当然です。これまで特に小泉政権時代から急激にひえこみ停滞感が否めなかった中国を初めとした東アジア外交が、現在変わりつつあるのは歓迎すべき変革です。さらにブッシュ政権と交代した米オバマ政権は「対話」の推進を掲げていますし、現にミサイル防衛の予算を大幅に削減しようとするなど国際情勢の変化がおきています。
昨年より特に経済状況が厳しい中、防衛費の増大は国民生活への圧迫をさらに強いるものとなり抜本的な見直しが求められます。今こそ国民が選んだ政権交代の意味を厳粛に受け止め、わが国のあるべき安全保障については様々な意見があることから、議会制民主主義のもと議論を十分に尽くすべきと考えこの意見書に反対いたします。

発議24号 悉皆方式による『全国学力・学習状況調査』の継続を求める意見書について
1961年度を最後に学力テスト自体が中止されていたものが、2007年に復活し3回実施されました。 テスト導入でとりわけインパクトが大きかったのは、OECD経済協力開発機構主体で行われた国際比較学力テストの結果でした。第1回で例えば数学で日本が1位だったものが2回目では6位また読解力なども低下し、これをうけ当時の文部科学大臣が学習指導要領の見直しなどと共に学力テストの実施を打ち出しました。
全国学力テストですが、今年度も58億円と多大な予算をかけて実施されていますが、全児童生徒を対象に行う意味があるのか、現場においてはどうなのか、また文科省が掲げた調査の目的が達成されているのか、検証をしその是非の検討をするべきと考えます。 調査目的の一つである実態把握ですが、たしかに学力テストで地域間格差、家庭環境、学校の規模での違い、また知識の活用力に課題があるなど浮き彫りになりました。しかしこれらは既に先ほどのOECD調査をはじめとした過去のいろいろな調査で明らかになっています。また第3回目の結果もこれまでの2回とかわらない指摘がなされており、今後も毎年全児童対象とする必要性はきわめて乏しいといえます。
意見書では、子ども一人ひとりひとりの課題が把握できるとありますが、テスト実施から5ヶ月後のテスト結果の返却では授業に即した評価に役立てることなど出来ませんし、児童生徒が問題ごとに出来たかできなかったかは○×しか分からず、改善の意欲があっても生かしようがありません。また学力テストは公表されることで点数を上げることにやっきになる「テスト対策」をはびこらせる危険性がありひいては教育内容をゆがめることになりかねません。それではテストへの対応力が身に付くだけで、じっくり考える力や積み重ねが必要な学力が伸びていきません。
今取り組むべきことは繰り返し調査で明らかになっている学力格差などの課題にしっかりと取り組むことではないでしょうか。全国学力テストは即刻中止すべき、もしやるのであれば抽出方式に切り替えるべきと考えますので、提案の意見書案に反対いたします。

発議21号 非核3原則の早期法制化を求める意見書について
この意見書は非核三原則を国是として掲げるだけでなく、法制化を早期に決断するよう求めるものです。被爆者団体からの要望をうけ提案したものであり、私も提案者の一人です。オバマ米大統領は4月のプラハ演説で核を使用した唯一の保有国としての道義的な責任として核のない平和な世界を追求していくことを宣言し、米ロは新たな核軍縮条約について年内にも合意の方向と報道されています。また千葉市も参加した平和市長会議は2020年までに核兵器廃絶を目指すキャンペーンを続けています。
被爆国・日本として核廃絶への具体的な行動のイニシアチブをとることが求められています。そのためにも非核三原則「持たず、作らず、持ち込ませず」の堅持と法制化を実現すべきです。ぜひ多くの議員のみなさまの賛同をお願いし私の討論を終わります。

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