討論

湯浅 美和子

市民ネットワークの湯浅美和子です。会派を代表いたしまして、議案第71号、議案第85号、発議第9号につきまして、委員長報告に反対する立場から討論をいたします。

議案71号 専決処分(平成20年度千葉市国民健康保険事業特別会計補正予算)について
平成19年度、国民健康保険事業特別会計において、その収支不足2億6700万円を、平成20年度予算の歳入から繰り上げて充用するものです。これは保険料の徴収見込みが下回ったことにより、収支不足が生じ、かつ、新行政改革推進計画において、財政構造の健全化の一つとして、特別会計の健全化が挙げられていること、また一般会計の厳しい財政状況を踏まえ、繰上充用により対応した、との説明でした。

「国保会計43年ぶり赤字」という報道がありましたが、これまでも収支不足は生じていたものの、一般会計からの繰り入れで穴埋めしていました。19年度当初予算では、法定繰入33億7000万円、法定外繰入35億7400万円、繰入金総額69億4500万円。しかし決算において、この予算額を上回った収支不足への対応をやめ、繰上充用としたものです。「一般会計に資金的余裕がなくなり赤字の実態を正直にだすことにした」という発言もありました。いわゆる赤字の可視化です。しかし厚労省によると、18年度に前年度繰上充用した保険者は26都道府県137保険者で、総額1280億円。国保会計の赤字は全国的な問題で、何がいまさら可視化か、と感じます。

繰上充用金の財源としては平成20年度の一般被保険者分国民健康保険料の滞納繰越分の徴収率を19年度約22%%であったものを25.2%にまでアップさせ、その収納額2億6900万円から充てる、とのことです。しかし千葉市の滞納分徴収率はかなり高く、18年度は政令市中第2位となっています。これをさらにアップさせるのですから、かなり厳しい徴収とならざるを得ません。千葉市の19年度滞納世帯は38000世帯、そのうち200万円以下の滞納が約7割です。資格証明書の発行が16000世帯、短期保険証とあわせると28700世帯となります。
ご承知のように、国民健康保険へは、低所得者、高齢者、あるいは無業者層が多く加入しており、保険料が重くのしかかっています。これまた大問題である、資格証明書の発行がそれを裏付けています。徴収率アップが、保険料が払いたくても払えない方たちにとって、さらに厳しい徴収へつながるのではと危惧します。連続して実質収支が赤字となると「赤字解消基本計画書」の提出が求められる、とのことですが、それを回避するため、あるいは繰上充用金の財源確保のために徴収率の増にがむしゃらになるのは避けなければなりません。悪質な滞納者には財産調査を実施して滞納処分をしていくことも必要ですが、まずは未納者の生活状況をきちんと把握して生活困難者の生活支援をすること、納付相談や減免制度の周知を進めることも大切です。そして、なによりも国民健康保険事業は、社会保障制度として、千葉市が責任をもって支えていく必要があると考えます。
よって議案71号には反対です。

議案第85号 指定管理者の指定について
これは千葉市民ゴルフ場の指定管理者を指定するものですが、先ほど経済教育委員長の報告や、討論をされた熊谷議員の発言もありましたように、3月議会にいったん上程されたものの、議案の撤回がなされた、いわくつきのものです。もっとさかのぼるなら、コース整備について、平成18年第3回定例会に提案された工事請負契約が、請負業者が都市計画法に違反していることが明らかにされて、市議会は全会一致で不採択にし、第4回定例会で再度工事請負契約が提案されています。

そもそも今の時代に30数億円をかけて公共のゴルフ場を造ることを疑問視する声もあります。しかし、千葉市民のごみを埋めていた最終処分場、しかも行き場のないごみの埋め立てのため、埋め立て終了予定を過ぎても、地元の方の協力のもとに行ってきた事業であり、それに対して何らかの対応が求められているのも確かです。すなわち何が言いたいか、というと、この「市民ゴルフ場」の事業は、今までのいきさつからしても、失敗が許されない、そんな意気込みで教育委員会には臨んでいただきたいと思っています。またいったん最終処分場をつくると、ここもそうですが、これからずっと環境管理をし続けていかねばならず、多大な税金をかけ続けなければならない、ということも指摘しておきます。

さて、私たち議会は、これから約10年間の長きにわたる、「公共のゴルフ場」の指定管理者の指定という、慎重の上にも慎重を要する判断を求められているわけで、今回の撤回騒ぎに伴って言われている協力団体「日本プロゴルフ協会」(PGA)の内紛云々についてを問題にするのではなく、あくまでも選定委員会の選定に不都合はなかったのか、また選定された企業体が、指定管理者としてふさわしいのか、ということを審査しなければなりません。

3月28日に開催された選定委員会では、千葉市民ゴルフ振興共同企業体の提案は悪意ではなく「虚偽には該当しない」との結論を出しています。しかし11月19日のPGA理事会で、PGAが主体となって応募する案は撤回されているにも関わらず、その後11月28日に提出された申請書類に付された事業計画書はPGAのかかわりが色濃く反映したものとなっています。PGA職員が申請時にも同行している、また「関心表明書」がある、としても、この間のPGAの動きを企業体が感知していなかったというのは、無理があります。もし、本当にそうであるならば、企業体の能力に問題を感じます。
3月3日に共同企業体は千葉市に対してこの間の経緯報告書を提出していますが、その中で「申請書に記載の通りPGAの役割は名目的であり、実際の活動は千葉県プロゴルフ協会および神奈川県プロゴルフ協会が担当する計画」とあります。普及啓発活動などはその通り可能かもしれません。しかし事業計画書には「協力団体であり、アドバイザリーボードの一員であるPGAが物心両面にわたるアドバイスと支援により日常運営におけるバックアップ体制の中心的な役割を果たします」また「アドバイザリーボードの主要メンバーとして運営管理全般に関するアドバイスをいただくとともに、当団体の実績と知名度を最大限活用し、広報展開の中心的役割を担う」と記載されています。これが名目的のみの役割でしょうか。外形上は虚偽ともとれる記載ではないかと思われます。そうであるならば、当然失格、募集のやり直しになるべきものです。

ゆずって、選定委員会の決定を尊重し、共同企業体はPGAの内紛に巻き込まれた、企業体に悪意はなく虚偽ではない、ということにしてみましょう。それではどういった再選定方法にするか、ということが問題となります。今回とられた手法は、PGAの協力に関する訂正が評価に影響すると認められる項目について採点の下方修正をする、というものでした。その結果順位に変動はなかったとのことです。手法に関しては、昨日公表された選定委員会議事録の中でも、議論となっていたことがわかります。先の経済教育委員会でも、共同企業体から新たに事業計画書を提出させるべき、との意見もありましたが、それに対しては「募集要項の中で提案書の変更は認めない」となっており、再提出は求めない、とのことでした。
今回とられた方法は、そのための苦肉の策、と思えます。しかし選定委員会はPGAにかかわる項目を除外して採点をし直しているのですから、これは実質的な提案書の変更です。指定管理者の指定は行政処分であり、提案者の提案を都合によって勝手に変更することは、通常考えられません。再選定の手法に瑕疵はなかったのか、疑問が残る手法であったと思います。

また、PGAがらみの提案が他の項目の採点や他の 応募者との比較に、まったく影響を及ぼしていないというのは考えがたく、PGAの影響だけを除去することはハッキリ言って、無理です。たとえば、教師として試験を採点するときには、まず全部の答案を読んでみて学生全体の正答の分布を調べ、相対的な位置を気にしながら採点するのが普通ではないでしょうか。絶対評価であっても、応募の全体は相互の評価の影響の中にあると見るのが当然です。今回とられた手法は公平であるとは言いがたく、これをもっても選考そのものを白紙に戻すべきものと考えます。

修正後の評価結果についてみてみると、本来ならPGAの影響は広報活動、そしてそれは集客数にも表れると考えますが、その部分に下方修正はなく、修正の前後で収支計画の得点は変わっていません。年間利用者数46000人、収入見込みが2億6000万円という数字は、当初の教育委員会の予想26000人を大きく上回っており、また類似施設実績からみても、これは過大な利用者予測ではないか、との意見もあります。PGAの影響が除去された場合の収支計画は見直されるべきです。再度の募集・選定で、指定管理者指定までに日時を要し、それまでの管理に若干の税金の投入があったとしても、制度が導入されてすでに5年が経過し、指定管理者の破たん・撤退の報道も相次いでいる中、10年間の指定管理者として、経営を継続できるのかどうかの判断が優先されるべきです。

以上の理由で、透明性を確保し、選定を再度やり直すことを求め、本議案には反対をいたします。

指定管理者制度について共同研究を行っている地方自治総合研究所では、全国から定期的に指定管理者制度に関するメンバーに集まってもらい、情報を収集しているとのことですが、その事故情報にも、他の自治体での、このような再選定の事例はない、とのことです。前代未聞、の事例として全国から注目を集めることになります。議会として、指定管理者の指定の重みを問われることになることを肝に銘じて判断すべきです。

発議第9号 千葉市食の安全・安心推進委員会設置条例の制定について
委員長報告は「否決」でしたが、委員長報告に反対し、「食の安全・安心推進委員会」設置条例の制定に賛成する立場から討論します。議会冒頭の発議提案者よりの趣旨説明にもありましたが食の偽装が相次ぎ、千葉市では「餃子事件」がおこり、市民の食の安全に対する信頼は大きく揺らいでいます。いままた飛騨牛の偽装問題がクローズアップされています。餃子事件を機に、千葉市では、保健所の通報体制の見直しや、健康危機管理に基づく食品の安全体制の強化を図るほか、国・県等の関係機関との連携を緊密にすることなどが、図られようとしています。しかし、真相の解明には至っておらず、これで市民の不安が払しょくされたわけではありません。

政府が来年度創設を目指す「消費者庁」の在り方を検討してきた「消費者行政推進会議」は6月13日に報告書を提出し、その中で中国製冷凍ギョーザ中毒事件で指摘された情報伝達の不備への対応策として、消費者庁に一元的な窓口を設置するとともに、地方の消費生活センターを法的に位置付けることで全国的なネットワークを構築する、としています。千葉市としても、ただただ国の動きを見守るだけなく、身近に起こった事件に対して市独自としての積極的な動きをとることが、市民の信頼を得ることにつながっていくのではないでしょうか。
「食の安全・安心推進委員会」を設置し、市・事業者・消費者が相互に情報交換や意見交換を常時行うことで、食の安全対策や情報発信が迅速に行われ、事故の未然防止につながっていくと思われます。餃子事件で、いみじくも明らかにされた「食のグローバル化」「食料自給率の低さ」の中で、どうやって市民の健康を守るのか、また現在の私たちがさらされている「遺伝子組み換え食品」への対応なども、委員会の中でしっかりと討議していく必要があると考えます。

よって市民ネットワークは、委員長報告には反対し、「食の安全・安心推進委員会」設置条例の制定に賛成いたします。

最後に一言申し上げます。市民の生活に密接に結びつき、市民の生活を向上させることに関連する条例の提案について、議会としても会派を超え検討していく、そんな体制作りが必要だと思います。おりしも本日の幹事長会議で、議会改革の話し合いが始められました。議会として、条例提案に向けての議論も含めていくことを求めておきたいと思います。

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