反対討論

会派を代表いたしまして、今定例会に上程されている財産の取得に関わる議案、弟96号・千葉市中央保健福祉センター設置に伴う建物の一部、第97号・千葉市こども交流館設置に伴う建物の一部、98号・千葉市子育て交流館設置に伴う建物の一部、第101号・千葉市ビジネス支援センター設置に伴う建物の一部、第103号・千葉市科学館設置に伴う建物の一部 につきまして、委員長報告に反対の立場から討論を行います。

これらの議案はすべて、中央第六地区市街地再開発ビル内に建設された施設を、市の財産とするための議案です。中央第六地区、扇屋ジャスコ跡地、といったほうが、市民のみなさんにはわかりやすいかもしれません。この土地の取得と開発にあたっては、当初より様々な問題点が議会内でも論じられてきました。その問題点を無視して、今回の財産の取得を考えることはできません。

扇屋ジャスコ跡地の取得については、平成3年5月、所有者であるジャスコ株式会社から千葉市に対して、施設・用地の公共的利用について検討を賜りたいとの要望書が提出されました。その後、市内部検討した結果、この用地は都心部のほぼ中心に位置し、今後、市が都心部のまちづくりを進め、機能更新を図る上で得がたい用地であるとして、土地開発公社の先行取得の対象としたという経緯があります。

平成5年の第1回定例会での予算審査特別委員長報告では、「扇屋ジャスコ跡地については、土地開発公社が公共公益施設用地として買収し、仮称産業振興会館として活用すべく調査費が計上されているが、この取得に当たっては、現在の地価動向にかんがみ、慎重かつ適正な価格で対応するとともに,十分な建物診断を行い,予算執行に当たっては議会に報告されたい。」との指摘要望事項がなされており、相当の議論があったことがしのばれます。 「公共用地の取得については、公共施設または公用施設の整備にかかわる具体的計画があって取得するのが原則だが、扇屋ジャスコ跡地のように、取得目的が明確に具体化されていない物件を買収することは異例」、あるいは「中央地区再開発の種地として、産業振興会館設置のため取得するということだが、極めて不透明。再開発の種地に関しても、地元では必ずしも煮詰った計画ではない」といった議論もありました。

その後、平成7年に、地区内最大地権者である千葉市と地元権利者合わせて24名が再開発準備組合を結成し、街づくりに向けての検討をはじめています。平成14年には「中央第六地区再整備事業事業協力者」が準備組合によって公募されました。 初期の土地取得の議論があって10年後、平成15年第1回定例会において、15年度予算案として、再開発組合が行う事業計画,地盤調査,建築設計及び権利変換経費の補助として2億4,330万円が計上されました。

その際市民ネットワークでは、子どもに関する施設、および保健福祉センターが上層階にあることへの違和感、再開発ビルのほとんどが公共公益施設になるわけだが、後年への負担を少しでも軽くするため公共施設はなるべく小さくし、産業振興会館はほかのビルの空き部屋を利用すればすむこと、また計画段階からの情報提供や市民参画がなく事業が進められていること、などをあげ反対しています。

事業協力者によって、事業は、組合施行の第1種市街地再開発事業となり、今日まですすめられて来ました。 そのことが、結果的に、最大の地権者であるにも関わらず、また再開発ビル全体の延べ床面積の85%を公共公益施設が占めるにもかかわらず、また市にとって総事業費432億円もの巨費を投じるにもかかわらず、権利返還計画などは組合の規約の中で非公開となっており、情報を千葉市から遠いものとしてきたキライがあります。 そして地元にとっても、千葉市という大地権者の存在は、セーフティーネットとなり、本来地元で必要な「再開発をやろう、頑張ろう」という意気込みを作りだしえなかったのではないでしょうか。

地方では再開発といえば「破綻」という状況です。結果、自治体の公益施設床が買い支えることとなり、自治体財政が圧迫されている、という構図を目にします。 そこで「身の丈にあった再開発」ということがいわれています。自分たちにできる範囲の床を作り処分していく、ということだと思います。 しかし無理な再開発であっても、それを成立させるのが、公益施設の床であり、あってないような床価格の基準、なのです。

中央第6地区の再開発でも業務代行によって保留床の処分が行われていますが、全体のわずか10%弱です。すなわち、当初よりこれだけしか売れませんよ、という契約で始まっています。 しかも今回の千葉市の公共公益施設の保留床取得の平米単価は58万3000円となりますが、建物1〜2階部分の民間の保留床価格は約21万円とのことです。内装のあるなしはあるといえども、本来ならこの地域では、建物1・2階部分は上層部より高価格であるはずです。 これは全体の事業費から、民間への処分可能な部分を除き、残りを千葉市取得面積で割ったもの、と推察できます。 千葉市が公共公益施設を計画し、買い支えるから成り立った事業といえます。

これでは「身の丈にあった」とは、とてもいえるものではありません。 全国で進むこういった公益施設の導入ですが、公益施設なら中身は問わず、床を埋めるものとして多用されているのが現実です。千葉市もまさに同じことをしているといえます。 全国的にはなるべく補助金のつくものを、ということが多いようですが、千葉市はそれさえも無視して、とにかく床を埋めることが大前提でした。 しかし、公共公益施設ならば、少なくとも、 ・市民要望にもとづくものか ・計画に充分な市民の意見の反映があるのか ・財政計画にのっとっているか などみきわめることが必要です。 残念ながら、その全てが不完全であるといわざるをえません。 後ほど各施設についての反対理由を述べますが、それぞれ、ここでなければならなった理由はなく、市民要望として、この地域にこの施設がほしい、という要望も見られませんでした。地元商店街からは、とにかく活性化のトリガーとなるものを、という要望はあったようですが、では、どんなものであればいいのか、ということを、地域住民と計画を練り上げていく過程は残念ながら不足していたと思われます。地元説明会でも、周知が不足しているとの意見があったと聞いています。

財政的な面を見てみると総事業費432億円というと、お隣の習志野市の19年度当初予算の額が約429億円ですから、それに匹敵する額です。人口約16万人の習志野市民の1年間の支出ですから、いかに莫大なものかがわかります。 今議会の一般質問でも、多くの議員が実質公債費比率に対しての質疑を行っておられました。大変高い値であるが、千葉市の財政状況は大丈夫なのか、ということです。 土地の取得に始まり、この第六地区の開発は、実質公債費比率を押し上げている一因でもあることを忘れてはなりません。

議会質問の答弁でもありましたが、適性化計画の目標年度である27年度の実質公債費比率は24.7%です。このうち、平成17年度以降の中央第六地区開発関係の市債発行額293億円が占める割合は0.66%になります。一つの建物でこれだけになるのですから大変影響があるものといわざるをえません。 中央第6関係(元金3.3% 利子2%)2360億円標準財政規模で割ると→0.66 。

今後の維持管理費と、指定管理委託料など運営経費ですが、5施設合わせて年間約10億円にものぼるといわれます。 平成17年に終了した新5カ年計画の中で、新規に整備された施設の維持管理経費をみると、斎場や蘇我球技場、花島や長沼のコミュニティセンターなど24施設で、年間8億9000万円となっています。これに比べるとこの5施設の維持管理費がいかに大きなものかが、わかります。 これら維持管理費は、今後ずっと市の財政を圧迫し続ける要因となっていくのであり、とても納得できるものではありません。 それでは個々の施設について反対の理由を述べます。

保健福祉センターは、市民の保健福祉にかかる相談やサービスを、総合的・一体的に提供することを目的とし、地域保健福祉の拠点となる施設であり、今までの保健センター、福祉事務所、社会福祉協議会を含む施設です。若葉区、美浜区、緑区に整備されてきましたが、今回中央区にも整備されることになります。 本来、保健福祉の拠点である保健福祉センターは誰もが安心して利用できる施設であるべきです。 しかし、中央区の保健福祉センターは、Qボールの11階、12階と高層階に位置し、区役所と隣接していないなど 利用者とって不具合が生じるのではないかと懸念されています。
またQボールには保健福祉センターをはじめ4施設が入るため、このビルの玄関ともいえる一階のアトリウムは、目的の施設に行くために必ず通過する場所となり、老若男女、様々な人が行きかうこととなります。 市では、それぞれの施設を利用する方たちのために、アトリウムに色わけの表示をしてそれぞれの施設に案内するとのことですが、保健福祉センターへは黄色のラインをたどり、専用エレベーターに乗って11階、12階へ行くことになります。 このような動きに対し、高齢の方や障がいのある方は不安と戸惑いを覚えるのではないでしょうか。 中央区は、高齢化率が18.7%と若葉区に次いで高い地域であり、今後、保健福祉センターの高齢者の利用が増えることが予想されます。にもかかわらず、高層階に保健福祉センターを割り当て、設置することに、納得する理由を見つけることはできません。

「子ども交流館」は千葉駅から歩いて行くことができるため、平日の放課後など、高校生や近隣の小・中学生は利用できるものの、交流館が日常の生活圏にない多くの小・中学生にとっては、下校してから利用したくとも利用できない立地です。 本来「子どもの居場所」は、子どもたちが歩いて利用できる距離、身近な地域にあるべきです。
市民ネットワークではかねてより「子どもの居場所」として、大きな児童センターを一箇所作るより、歩いて行ける距離に、いつでも好きな時間にいけ、そこに行けば誰かしらいる、そんな気軽に行ける地域の中の「居場所」を求めてきました。 しかしながら、千葉市は、中央区に児童センター相当施設である大きな「子ども交流館」を整備するものの、本当に要望の多い地域の居場所としての児童館の設置や、児童館構想、こども交流館構想でもいいですが、についてはまったく見えてきません。
さて「子ども交流館」利用者数の見込みについては、年間11万人一日平均300人とのことです。この数値は、杉並区にある児童青少年センター「ゆう杉並」のH17年度の実績、年間64000人、一日平均213人を参考に千葉市の人口と勘案して算定したとのことです。しかしながら「ゆう杉並」と千葉市の「子ども交流館」とは、そもそも建設の経緯や成り立ち、また地域環境や建物の形態も異なるわけですから、「ゆう杉並」を参考に利用者数の見込みを算定することに甘さを感じます。 また、小・中・高校生は、平日は学校があるため基本的に日中の利用はできないわけで、そのため市では保育園や幼稚園へも利用を促していくとのことです。しかし年間利用者数の11万人に保育園児や幼稚園児が含まれているとすれば、「子どもたちの居場所」としての、子ども交流館の目指すべき機能が果たせることになるのか疑問です。

子育て支援館 子育て支援館については、地域子育て支援センターのセンター機能とファミリーサポートセンターの設置が予定されていますが、子育てに関しては、センター機能の充実よりも、地域における居場所つくりを優先させるべきです。地域子育て支援センターは、地域での子育てを支えるために、子育て中の保護者の集いの場、仲間つくりの場、そして簡単な相談から深刻な相談まで、少ない数の指導員で対応しています。場所は保育園の一室を利用し、狭いスペースを工夫して使っており、予算はわずかに700万円です。 ファミリーサポートセンターは、地域での支えあいの仕組みですから、身近なところに分散させ、センター機能は電話とパソコン1台でも対応できるものです。なるべく各区に機能を分散させたほうが、子育て中の保護者には使いやすいと考えます。 この施設にかけるだけの維持管理経費があれば、地域の子育て支援にまわすべきであると考えます。

ビジネス支援センターについて そもそもこの再開発の目的は、産業振興会館の建設が大きかったわけです。当時の全国各地の建設の様子を見てみると、その運営主体は、多くが地元の商工会議所ですが、千葉市の商工会議所はすでに市文化センターに居をかまえ、この第六地区の再開発には積極的ではなかったと見受けられます。しかし再開発の目的を産業振興会館としたため、それを無視することもできず、受け皿とするため産業振興財団を立ち上げ、事業を行なってきています。この開発へも本来なら、商工会議所などの積極的な関与もあるべきではなかったでしょうか。
ビジネス支援センター13階情報のフロアは、3つの会議室と特別会議室、2つの講師控え室などフロアのほとんどが会議室です。しかし、昨年度1年間の産業振興財団の会議室使用の実績は55回ということです。はたしてこんなに多くの会議室がほんとうに必要なのか、疑問です。実績に基づき妥当性のある予測のもとで建設し、取得していくべきでしょう。単に床(ゆか)があるので、とりあえず会議室にという安易な発想ともみられ、市民に多額の負担を強いてどうしても取得しなければならない理由は見つかりません。 また、Qボール全体の顔、ともいえるアトリウムについては、公の施設としての位置づけもなく、運営管理は事業者任せで考えられており、その必要性や活用、また中心市街地の活性化に結びつくあり方の検討など不十分です。

科学館 科学館に関しては、いままでも何度か一般質問でも取り上げてきました。 その都度、この地に必要な科学館なのかと問いかけ、もし建設をするのならば、多大な費用がかかる大プロジェクトなのだから、開設準備室を立ち上げ準備することが必要ではないか、と訴えてきました。しかし、開設準備室は設置されないまま準備が進められてきました。
科学館では、2002年の展示基本計画策定時にプロポーザルによって選定され、その後の基本設計、実施設計にかかわっていた企業が、展示物を作成しています。展示物の入札時、この企業が書いた「実施設計書」によって入札が行われ、自身が落札するという、絵に書いたような不透明な入札でした。しかしこの構図であっても、きちんと準備室の中で入念な調査が行われていたのなら、説得力はあったかもしれません。
全国では、開設準備室から学芸員を採用し、その中で充分な準備をし開設に向かうという形がとられるところも少なくありません。準備期間のありかたが、開館後の評価をも左右しているのです。 千葉市の科学館では、残念ながらほぼ企業へ丸投げ、ととられても仕方がない状況です。 開館まで、3ヶ月を残すのみとなった現在、学芸員については選定中とのこと。館長も決まっていません。決まったばかりの、館長と、学芸員で、新しい科学館の企画にどう関与していくのでしょう。先日市民ネットワークで視察した滋賀県の琵琶湖博物館では、基本構想から2年目に学芸員を採用し、8年以上の準備期間をかけ開館しています。この例と比較しても、内容のある科学館を作りたいという意欲が見受けられないことは看過できません。

以上の理由によって、中央第六地区市街地再開発ビル内の5つの施設の取得にはんたいするものです。

close