議員定数の削減条例に反対する討論

長谷川 弘美

市民ネットワークの長谷川弘美です。
発議第11号、千葉市議会定数及び各選挙区選出議員数に関する条例の一部改正について、会派を代表し反対の立場から討論いたします。

2000年に地方分権一括法が制定され、中央集権型から地方分権型への転換が図られてきております。この地方公共団体の責任領域の拡大への流れの中で、地方議会の活性化が今なお課題として指摘されています。 内閣総理大臣の諮問で設置された第28次地方制度調査会で、「議会のあり方」が全面的に検討され、今年の春には答申がだされました。そこでは、二元代表制の一方を担う機関としての地方議会が、民意の多様化に対応し市民への説明責任を果す上からも、今後、充実すべき機能として、 政策立案機能、執行機関に対する監視機能、住民との直接対話など議会活動への住民参加、などが挙げられています。

一方、この調査会の答申に反映させるため、県議会議長らが自らたちあげ、学識経験者らが論議をした都道府県議会制度研究会報告と、同じように市議会議長らがたちあげた都市行政問題研究会報告が出されています。この両者の研究会が議員定数について次のように報告しています。 「議員の定数」について、まず県議会制度研究会では、「議員定数の基本」とは「議会の審議能力、住民意思の適正な反映の確保」であり「単純な一律削減論は適当ではなく、競った定数削減は少数意見を排除する恐れ」があるとしています。 また市議会のほうの研究会では、「単に議員定数を減らし、さらには報酬を減らしているのみでは議会改革たり得ず、『削減ありき』の議論ばかりでは議会制民主主義の成熟には繋がらない」としています。 議員定数問題は、以上のように政府、県議会や市議会それぞれの分野で、分権時代に求められる議会機能の充実の観点から検討することが要請されています。

さて、このようななか多くの自治体で、議員定数問題を含めて議会改革が検討されていますが、千葉市議会の現状はどうでしょうか。第28次地方制度調査会で指摘されていた、一点目の政策立案機能ですが、分権時代においては、地方レベルでの条例制定など議会としての適切な政策提言が求められます。しかし現状では、議会が行政との力のバランスにおいては圧倒的に弱く、これに対抗して提案をしていくには議会としての予算もさらに必要ですしまた議員自らの政策能力も問われているといえます。宮城県議会などは議会事務局調査課に政策法令班を設置し、法令担当者を3人置くなどして、議員提案の活性化を図ったと聞きますが、千葉市議会としても本来の機能をきちんと発揮していかねばならない重要な課題であると考えます。

次に2点目の行政施策の監視、チェック機関としてはどうかという点です。
千葉市の長年にわたる税金の不正問題では、組織的関与や実態解明がなされないまま幕切れとする市に対し、議会として百条委員会の設置や第3者機関の設置などにより出来る限りの事をつくすべきですが、チェック機関としての議会の存在を市民に示すことがいまだ出来ていないのが現状です。 行政の不祥事は千葉市に限ったことではなく、その様なときこそ議会が権能を最大限駆使し、監視機能をはたし、市民への説明責任をはたさなければ、信頼を得ることは出来ないと考えます。

3点目の住民との直接対話、議会活動への住民参加です。議会改革の中で、その基本とも言われる、情報公開つまり開かれた議会となっているかが問われています。 まず常任委員会の傍聴は15の政令指定都市の中で、全く行われていないのはいまや千葉市のみとなっています。また政務調査費については、領収書添付の予定がないのは千葉市と堺市のみです。本年8月31日の読売新聞の報道で、「全国市民オンブズマンの情報公開度ランキングで,千葉市議会は政令市最下位だったが、議員の多くは公開に及び腰だ。」「市幹部も議員らの飲食費などに使われることも多く、野放し状態と苦りきっている」とありました。最近ではこの9月21日には札幌市の政務調査費に関しての住民訴訟が最高裁で勝訴となり、1542万円の返還判決が出ております。このような中では市民からの批判は必至であり、開示最下位の千葉市議会としてこの2点については速やかに改善すべきと考えます。

更に議会審議への市民参加、例えば請願など住民意見・説明を求めること。本日もたくさんの市民の方が傍聴にいらっしゃいました。もっと市民が身近に感じる議会を目指し、休日、夜間開催などで、働いていて平日傍聴にこれない市民にも来てもらうなど時代に見合った取り組みも必要です。 また千葉市議会としては、今議会でも問題となったように議員の言動が市民から疑惑を招くことのないよう、また職員からも信頼されるよう議員の政治倫理を明確に打ち出し、透明な議会運営をはかっていくことが課題です。

以上、地方制度調査会答申が指摘している3つの機能の充実について述べましたが、今、千葉市議会が抱えるこれらの問題にきちんと取り組み、市民に対し明確に議会の改革のあり方を示すべきであり、その中で議員定数についても十分に議論されなければなりません。 しかしながら、今回出された2議席削減案は、財政支出の削減の観点にのみ集約されており、まず数の削減ありきで千葉市議会の活性化や機能の充実をはかるための対応については明確な議論がされていません。今後議会改革に向けての検討を市民に開かれた形で行うべきです。

さて今回提案された議員定数を54人とし、3減1増とする条例案ですが、市民ネットワークは現状の定数である56人さらに3減3増を主張しており反対です。議員定数の問題は議会制民主主義の根幹をなす問題であり、とりわけ地方議会においては市民の多様な立場や価値観、意見を反映させていくことが必要です。
千葉市の議員定数ですが、定数を56人としたのは、昭和50年の国勢調査人口が根拠となっており、昭和54年の選挙の時それまでの52名から56人となり、以降今日まで27年間変わっていません。56人となった当時と人口や予算規模などを比較してみますと、人口では昭和50年の国勢調査659000人から平成17年国勢調査の924000人と40%増加しています。従って、議員1人当たり人口も 11800人から約16500人と、40%増で約4700人ふえています。予算規模では1520億円から現在の6700億円で4.4倍に拡大しております。しかしながら、市議会議員選挙の投票率は昭和54年の59%が、平成15年45%と、14%も下がっていますが、これは市民と議員との結びつきが希薄になってきたことをしめすものではないでしょうか。
千葉市は人口も増え、予算規模もかなり拡大しそれだけ議員としての責任は重くなっていますが、ずっと56人から増やさずにきたわけです。地方自治法にもとずく法定数とは、本来これだけの人口規模において地方自治の観点から必要な議員数が示されているわけです。千葉市の今述べたような人口予算規模などの状況の変化の中、市民の要求・要望を反映さ せるという点では、今回の法定数が64人となった機会にむしろ増やすべきであって、削減すべきではありません。
今回64人に対し例えば現数の56人の場合、法定数から8人減らすことになりこれまでの削減人数4人に対して倍層したのであり、この事だけでも議員の定数減は明確に果たされており、更に減らす2名の根拠が明確ではありません。

次に議員一人当たりの区ごとの格差の是正の観点から見ます。平成17年度の国勢調査にもとづきますと緑区と稲毛区では格差は1.5で議員一人当たりの人口にして緑区22570人、稲毛区14970人と7600人もの差があり問題です。 これに対し、今回の54人案の3減1増では、格差は1.14で議員一人当たりの人口は2290人差と現在の約1/3となり少し緩和されます。これに対し56人案の3減3増案では格差は1.04で、議員一人当たりの人口も660人とその差は約1/10と大きく改善され、より公平で在ることから56人を主張するものです。

次に財政の縮減についても必要であることは十分に理解しており、これまで市民ネットワークは議員報酬などを主張してきたところです。これは今回月額4万円年約70万円の報酬カットが決定されました。更に他の経費たとえば費用弁償の見直しを合わせて行ってゆくべきであることも毎年提案してきました。費用弁償についても廃止の自治体も増えてきておりますし、県内でも数市廃止しております。行革の一環として努力していくべきである点では、まず今の議会に関わる費用の使途を透明にするべきです。あわせて最初に示した議会の機能を果たす上で、必要なところには、明確に予算をつけていくことで市民理解を得るべきです。 いま時代に即した担い手として議会が市民の支持を得られるか重大な時期に来ています。

以上の理由から、市民ネットワークは議員定数問題は議会改革を徹底しておこなうことと合わせて対応すべきであること、また議会機能を強化し市民意見を反映する上で定数は少なくとも現数の56人から減らすべきではないことを主張し反対討論といたします。

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