反対討論

長谷川 弘美

議案第199号千葉市国民保護対策本部および緊急対処事態対策本部条例、議案200号千葉市国民保護協議会条例の2条例に反対の立場で討論を行います。

2004年6月に国民保護法が成立し、国の「国民の保護に関する基本指針」が本年3月に示されました。さらに国民保護計画について県モデル案が示されたことにより各都道府県では2005年度中に、今後市町村では2006年度中に作成する計画になっています。政令市は早めに作るよう県からの通知があったとのことですが、千葉市では他の市町村に先駆け今議会に条例案が上程されました。

都道府県では今年の2月に条例案が出たところが多く、その状況を見ますと、2月段階で協議会設置について攻撃被害の想定が難しく条例の可決がなされず継続となったところが9県に及んだとのことです。これは47都道府県の2割にあたるもので、今後市町村においても問題が出されてくると思われます。千葉市においても慎重に審議すべきものと考えます。

沖縄県では昨日の福永議員の質問で未だ審議中とのことですが、米軍基地が集中することから間違いなく第一の攻撃にさらされること、また先の沖縄戦の反省をふまえれば、戦争に備えての国民保護のための条例が決して県民の平和と命を守るものとはならないとして議論されています。このようなわが国の軍事的問題を抱える沖縄県議会の議論を座視することはできません。

この間市民ネットワークとしても議案質疑、総務委員会、そして代表質問で取り上げ様々な観点から質問をいたしました。
しかしその答弁には納得のいくものではなく、また市民にもまだまだ情報が入っていない状況でもあり、再度ここで議員の皆さんにその問題点について指摘し、訴えるものです。

条例案の中で設置する国民保護協議会。そこで審議される国民保護計画ですが、今何故作らなければならないのか疑問です。

まず国民保護計画と防災計画の違いについて、市は自然災害では発災場所が局地的で時間の経過と共に収束するものに対して、武力攻撃では発災場所が変動的で、事態拡大の恐れが高いとのことでした。 

武力攻撃事態として示された4つの想定1、地上部隊が上陸攻撃2、ゲリラ特殊部隊による攻撃3、弾道ミサイル攻撃4、航空機攻撃があげられています。またNBC攻撃などこれは正に市が示すところの変動的で、事態拡大の恐れの高いもので、このような地域範囲も広く大規模なものに対し、避難マニュアルを作るようですがどれだけの国民の命が守れると考えているのか疑問です。
更に自衛隊や米軍の動きも明らかではない中、救援措置、住民避難と言っても具体的な対応は不可能で、それを平素から訓練と言われてもとてもそれが有効なものとは考えられません。

政府は弾道ミサイルやテロ攻撃などこれら有事に対しての避難・救急方法など2007年度中に全世帯にイラストつきの説明書を作成し配布する方針を示しました。 

読売新聞によりますとマニュアルの作成ではイスラエルの事例を参考にした。イスラエルは1991年の湾岸戦争でイラクからミサイル攻撃を受け、約40弾被弾した。この際、イスラエルは「家屋内にいる場合は、窓を目張りして外壁から離れた場所にいるようにすればシェルター代わりになる」などと記したマニュアルを国民に配布。この結果、ミサイル攻撃による死者は2人にとどまったとされ、政府として避難手順を周知徹底するうえでマニュアルの配布は効果が期待できると判断した。とあります。

このほかシンガポールなど紛争地帯を参考にしたようです。つまり想定される社会とはこのような社会で、市が説明するように収束せず事態は拡大して行く恐れのあるものです。

なぜ今私たちはこのような戦時社会を想定しなければならないのでしょうか。その前にまだまだ努力してやるべきことはあるはずです。国際社会のなかで大義のない戦争を続けるアメリカ、そして日本がアメリカ軍の同盟国とみなされること、今後この事態が泥沼かし長期化することこそ今の私たちの平和をおびやかす危険なものであることは子どもでもわかることです。

アメリカがどれほど軍事や監視のために大金を投入してもテロにおびえるように、わが国も他国からの敵意をしっかりと認識しその原因を取り除くための舵取りを早急に国に求めなければ、戦後60年築き上げてきた平和主義の下での社会は一変してしまうでしょう。

次に国民保護計画が実施される前提としての「武力攻撃事態等」や「緊急対処事態」の定義が曖昧であることが指摘されており、武力攻撃が予測される事態やおそれのある事態などその認定や時期に関しては極めて政治的な判断が含まれます。 
大量破壊兵器が存在するとしてはじめられたイラク戦争ですが、発見されないとイラクの民主化のためだと次々とかわる情報操作、これらの不透明さでもわかるように、戦争とは国のトップの政治的判断が決定的です。

しかし武力攻撃事態の判断はあくまで国であり、それに従って中央集権的な流れの中で自治体にも対策本部が設置されることとなり、しかも国民保護計画の実施にはさまざまな強制措置や制限がもり込まれています。

自治体職員や指定公共機関や指定地方公共機関となる運送事業者や医療関係者や放送局など正当なる理由がない限り拒否した場合、罰則が適用されると伺いました。特に指定された報道機関においては業務計画の作成など義務付けられており報道姿勢の根幹である自主性や自由を冒す危険性があります。

このようなことから、「国民の生命財産を守る放送を心がけることは当然とはしながらも行政から提供された素材を強制的に報道することは、自立的で自由な放送が損なわれるのでは」と慎重な姿勢や、指定機関返上などの動きもおきております。取材の自由など、戦時においてこそ報道の自由そして国民の知る権利が保障されなければならないことは、周知のはずです。

3点目に平素からの備えや予防についてです。
国民保護法の中では地方自治体は、国民保護計画の定めるところにより、訓練に努めなければならないが、そのため住民に対し、避難訓練への参加協力を要請することが出来るとあります。

その場合防災訓練と有機的連携を図るとされていますが、両社共に担当部局や協議会のメンバー、また想定される消防団や自主防災組織などの参加もほとんどが重複するものとうかがっています。避難誘導など、もしものときの実務もほとんど一緒です。これは業務遂行においては混同したり、安易に転用されかねないものです。

自然災害などへの対処としての防災計画は価値的な判断が大きく分かれることのないものですが、先ほども述べたように武力攻撃事態対策本部の設置や国民保護計画の実施においては、その時期も含め曖昧で政治的な判断や意見の分かれるところです。平時の避難や救援の訓練において意識的にあるいは無意識にこの両者が混同され実行されることで、個人の思想良心に抵触する行動、人権侵害の恐れの強いものとなりかねません。

またトップダウン方式の国民保護計画の枠組みが防災 など自治体主体の平時の体制に悪影響を与え、市民社会の仕組み事態を大きく変容させる危険性があります。
また先日行われた福井県の国民保護法にもとづく訓練においても、はじめから外国人による犯行と想定すること、また特定の国を想定した計画を自衛隊がたてていたことがあったり、このような想定訓練こそ在日の外国人に配慮を欠いたものであり、国際社会の中でも外交上弊害にこそなれ平和外交に寄与するものとは思えません。

国を挙げて、全ての自治 体で有事に対しての計画と訓練が平素からの備えというのであれば、同時に国や各自治体が有事にさせないための平和に向けての対策本部をつくり、行動計画づくりを広く団体や市民の参加を募り、時間と知恵を出し合ってしっかりと取り組みをする ことが求められるのではないでしょうか。
さらに平和と人権に向けた啓発や教育の推進をはかり、在日外国人の権利擁護に日ごろから努めるなど今やれることはどんどんやっていく、このほうがどれだけ私たちの安全に結びつくかと考えます。

国民保護計画作成を政府の方針としては今年度都道府県、来年度市町村の目指しているものの、法律の規定上期限は定められていません。
条例が可決され、計画作成にはいれば議会へは、承認を経ず報告で事足りるという事です。今回の条例を可決するという事は重大なる一歩を踏み出すものであり、この計画を作ることで真に市民の命や財産を守るものとなるとは考えられないことから199号と200号の国民保護関連の条例に市民ネットワークは反対致します。

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