16年度決算反対討論

長谷川 弘美

市民ネットワークの長谷川弘美です。
会派を代表して、2004年度決算のうち一般会計決算および市街地再開発事業特別会計、水道事業会計に不認定の立場から討論を行います。
16年度は三位一体改革の初年度の年でした。当初三位一体改革とは自治体の自主性を強化し、地方分権時代を財政面で確かなものにするとのふれこみでした。しかし始まってみると、国の財政再建のために地方に自立を強要し、地方経費を削減するための手段となっているのが現実です。

本年3月、政府は『地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針』を自治体に通知し
・ 集中改革プランを2005年度中に公表すること
・ 指定管理者制度,PFIなどの新たな手法を重視すること。
・ 第3セクター地方公社を含む地方公務員の定員管理・給与の適正化の強力な推進をすることなど、地方の経費削減をきびしく自治体に要求しています。
このように小さくて効率的な政府をめざす行革の徹底で、財政収支の改善が前面に出される中、今議会の指定管理者制度が、法に合わせることが先立ち、導入のメリットや手続きなど充分なる論議ができませんでした。地域自治の観点から住民の福祉や生活そして基本的人権をまず保証すべき地方自治体の役割がはたせるのかと危惧いたします。このような時代だからこそ、市はしっかりとこれまでの事業を見直していただきたいし、議会としては公金が市民視点から納得のいく使われ方をしているのか、チェック機能をはたしてゆかなければいけないと考えています。

16年度千葉市においては、税不正問題で県議や市職員の逮捕があり、その後、特別処分という問題のある制度が発覚し、市民からは徴税事務への不審から住民監査請求が提出され、2月には臨時議会で外部監査の決議がなされました。
さらに今年に入りJFEスチールの水質データー改ざんや、食品衛生協会の補助金不正受給も過去長年にわたり行われていたことが発覚しました。さらに産業廃棄物処分場建設をめぐって職員による個人情報漏洩事件がおきるなどまさに市政を揺るがす年となりましたが、これら不祥事への市の対処は納得できるものではなく、このような問題に関わる決算を認定することはできません。

次に財政運営についてです。
2004年度決算の特徴を見てみると、三位一体の改革の大きな影響をうけた2004年度は、当初予算で177億円の財源不足が見込まれ、それを補うために、決算では、土地開発基金、市債管理基金及び市庁舎整備基金より100億円の借り入れが行われました。基金よりの借り入れの累計は145億円となり、いわゆる同じお財布の中でのやり繰りとはいうものの、基金の目的外使用となり、借りたものは返すべきであり、将来的な財政の圧迫に他なりません。次年度に向けては、基金残高の合計は約100億円を残すのみとなり、もはやこのような基金の借り入れはできない状態となっています。

市税収入は5年連続の減収となり、また三位一体改革の影響として、普通交付税と臨時財政対策債をあわせた総額の減収が79億9700万円となっています。これを補うものとして新たに地域再生事業債、54億2100万円が投入されました。さらに多額の基金よりの借り入れ補填をしてしのいだものでした。一般会計実質収支は23億円の黒字と公表されていますが、実は基金よりの借り入れの100億円を差し引くと実際には77億円の赤字です。

歳出は、義務的経費が扶助費等の増にもよりますが増加しており、一般会計規模では連続して増加しています。財政の根幹を成す税収が減となっているのですから、本来は歳出のあり方を見直し、規模を大きくするべきではないでしょう。「最小の経費で最大の効果」とはいいがたい状況です。新5カ年計画の4年次目として、計画の進捗が重くのしかかった結果ではないでしょうか。

財政構造の弾力性を示す経常収支比率は96.9%と昨年度比3.2ポイントの上昇です。地方債の償還のピークが2006年から2007年ですから、千葉市の財政はますます硬直化していきます。蘇我臨海部開発、中央第6地区市街地再開発事業、千葉駅西口地区市街地再開事業、新港横戸町線整備などの大型公共事業への経費が財政状況を圧迫しているのは明らかです。

2004年度末の、一般会計、特別会計、企業会計など全会計における市債・債務負担行為の、償還に伴う利子額まで含めた残高、すなわち千葉市が背負っている借金は、1兆2841億円となり、前年度に比べると485億円の増加であり、一人当たり142万円です。

今年度中に策定が予定されている財政健全化計画の中では、市債の発行に頼らない、身の丈にあった財政規模とし、市債を減らす財政再建に努めるべきです。そのために、まずは、これまでの箱もの開発行政をまずはキチンと総括することが必要不可欠です。行政改革で細かな事業の見直しをするだけでなく、大型公共事業の見直しは避けて通れません。また今後進んでいく土地開発公社廃止に向けては、公社が所有する土地358億円分の処分が必要です。路線価ではすでに3分の1以下の評価となっており、市が買い戻すにしても多大な損害をこうむることになります。この状況の市民への徹底的な情報の開示が必要です。

次に評価するものをあげますと
乳幼児医療費の4歳児未満までの拡充や、子育てリラックス館の増設など子育て政策への取りくみを評価いたします。今後の子どもルームや保育園など待機児童への早急なる対応と、また親にとっての子育て環境だけでなく子ども自らが育つ居場所づくりの整備を求めます。
次に青葉病院の女性専用外来の開設や、交通不便地域へのコミュニティバスの取り組みやバリアフリーの観点からJR千葉駅と,土気駅の駅舎内のエレベーター整備への助成など評価いたします。
地域福祉計画では、計画づくりを多くの住民参加と職員の努力で策定されたことを評価するものです。この10月には各区の地域福祉計画素案が合同フォーラムで発表されておりますが、今後これらの計画が確実に実施できるよう市としての財政的、制度的支援策を求めるものです。
男女共同参画事業においては、「ちば男女共同参画基本計画・新ハーモニープラン」が策定されました。これは「千葉市男女共同参画ハーモニー条例」に基づく最初の基本計画ですが、わが国は女性の社会進出が極めて低く、今後この基本計画に則って充実した施策展開がなされることを望みます。

次に行政改革についてです。
市民ネットワークは塩付け土地など問題の多い土地開発公社の解散についてはこれまで再三要求してきてまいりました。また駐車場公社の事業会計では16年度収入が4100万円に対し歳出が1億1千万円と大きく上回っています。これまで一般会計からの繰り入れを平成4年から繰り返し行うことで、存続してきたもので、このような公社運営は民間の経営感覚から大きく乖離しています。
千葉市は今回外郭団体の見直しの方向性を示しましたが、国の通知がきてからの見直しで、遅すぎた感もあります。まず組織、運営、財政や人事など徹底的に曝け出すことで問題点を明確にし、第3者のチェックや評価を受けながら改革を推進することが求められます。

次に補助金と委託金についてです。
食品衛生協会の補助金の水増し請求と委託金の架空請求では内部告発をされるまで、市は気がつかなかったとしています。市職員のOBが事務局長として天下りした組織で、詐称したお金が長年にわたり裏通帳に振り込まれ、飲み食いやタクシーなどに使われるなどされていました。市はお金をかえしたからと告発もせず調査をうちきるなど、公金に対する感覚を疑います。
仮に不祥事や不正があったとしても責任の所在を明らかにし、再発防止にしっかりと取り組む姿勢があれば市民も納得できるものですが、市の対応にはその様な熱意と真剣さを感じることが出来ません。
このような不正が氷山の一角で、他の補助金などにもないかと懸念されます。市は補助金については新行政改革推進計画では19年度までに15年度の補 助金件数及び金額をそれぞれ7%削減するとしています。金額的な削減だけではなく、まず現在の補助金・委託金の透明性と有効性について市民に説明し、理解を求めることから始めるべきです。

都市再生についてです。
千葉駅西口は1979年度に計画着手して以来26年もの歳月がたちました。すでに2回の事業変更が行われたのにもかかわらず一向に進まず、西口駅前は雑然とした雰囲気のまま現在に至っています。
事業費については当初計画で500億円、その後954億円、811億円と変わり、事業の困難性を表しています。また用地取得については、千葉駅西口地区895?、千葉港黒砂台線街路事業263?の買収もままならない状況で、ここまで長期化させた市の取り組みは、時代に即応した対応とはいえず問題です。
今年度にはいり、事業計画・管理処分計画など提案・助言する事業協力者を公募し事業の進捗を図ることが示されましたが、未買収の土地については収用委員会の活用も検討されるとのことです。新港黒砂台線の整備も今後、難航が予測されB地区の見通しも立たない中、市民参加で計画の見直しを図るべきです。
中央第六地区市街地再開発も底地の購入費用も含めて、千葉市財政への重大な借金として重くのしかかる事業です。
15階建てビルと過大なる建設計画がこれまで見なおされずにきた結果として、民間部分は僅かで共有部分を含め8割が千葉市の施設となってしまいました。

平成14年の都市再生特別措置法に基づき、東京都区部ではオフィス、商業施設、住宅などの200棟を超える超高層ビルの建設ラッシュが起きています。その結果、従来の東京一極集中を是正し、千葉をはじめとする業務核都市の育成の多極分散政策が「有名無実」化しています。
幕張の新都心ではテナントの東京都心への転出が相次いでいます。政府が主導するいわゆる「都市再生」により、業務核都市づくりを基本に据えた千葉市の「都市と拠点作り」の基盤が根底から崩れています。東京区部と競争しても勝てないことに早く気付き千葉都心、蘇我副都心の整備は抜本的な見直しを図るべきです。
 国の「都市再生プロジェクトに関する基本的考え方」で明らかなことは、都市を育むという長期的な視点などなく目の前の景気対策を目的に民間デベロッパーによる大規模開発を政府が規制緩和、資金援助により支援するという構図があります。地方分権や都市景観、市民との協働の尊重、持続可能な都市づくり・まちづくりという理念はどこにも見当たりません。目立つのは弱肉強食の都市間地域間競争の原理です。
千葉市が持続可能な都市づくり・まちづくりを行うためには、今まで進めてきた「都市と拠点づくり」を抜本的に見直す必要があることを指摘いたします。

次はモノレールについてです。
千葉都市モノレールは、総工費1600億円、そのうち会社の負担額は3割の483億円にとどまり、今まで手厚い助成策がとられてきました。加えて開業当初より県市ともに無利子融資や利子補給を実施し、平成16年度も、5億9千万円の無利子融資を行っています。
それにも関わらず、資本費負担が経営を圧迫するということは、そもそもこれだけの投資をすることが妥当なものではなかったとも考えられます。
さらに、営業係数が124円ということは、減資には関係なく、収入を得れば得るほど赤字は増えるということです。
たしかに公共交通網は、重要な都市基盤であり、ある程度の公共財を投入することはやむを得ないと思われますが、その際には、市民合意があることが前提です。評価・助言委員会の報告では県・市の無責任な対応について「破たん処理が必要となった原因と責任を、事業主体である県・市が自ら明確にし、税金の投入による再建策に関して県・市民の理解と承認を得る」ことがあえて明記されています。
16年度調査を議会や市民に示し、既存路線を如何に生かすか、幅広い議論を展開するべきで、延伸ありきの検討が進んでいることには反対です。

次にほうゆう学園についてです。
今議会中にキッズ1号という広報誌が届きましたが、これら情報の発信は今後も積極的に進めて欲しいと考えます。
この施設については千葉県児童福祉施設協議会が平成16年9月と10月に『施設の不適切な運営が子供に大きな影響を与えている懸念がある』との苦情を県の運営適正化委員会にもうしでて、事情調査が実施され17年の2月に報告がされています。
報告では、法人の説明が納得できないとして発言の一例をあげています。
・施設開所前から何者かによる法人のっとり計画があったというが、説得力に乏しく新聞などで問題になった一連の事柄に関し弁明の様に聞こえる
・措置停止について原因を職員有志の児童相談所あての要望書にあるとしているけれども、要望書の存在だけで措置停止がなされるとは到底考えられない。
・ 結論としてすべて不適切な職員が変わったため、今後は変わっていくとの法人の説明であったが、職員入れ替わりによる子供たちへの悪影響ははかりしれない。などです。
今新たな気持ちで出発していくことはよしとしても、このように辞めた職員たちについて不適切な職員が変わり、新しい職員になったからきちんと運営していけるなどというような認識では困ります。
報告の中で運営改善に向けての第3者による評価機関が必要と指摘がありますが、市の責任のもと設置を求めます。

農政行政についてです。
2004年度は、大規模な畜産糞尿処理施設のPFIによる導入計画が断念され、それを受けて、畜産農家に対し、全額を市が補助し、堆肥化施設などの整備が行われました。畜産糞尿処理施設を市として整備するといい続け、結局は畜産農家の期待を裏切る結果となったこと、畜産糞尿処理の法的な期限が迫っていたため、畜産農家にとっても本当に有効な補助が行われたのか疑問があること、など問題が残ります。しかし、今後の農業経営を支えるための施策として、適切に施設管理されるよう助言するなど要望します。

北総中央用水土地改良事業についてです。
国営事業は2005年度内に計画変更された場合は、2009年から利用可能となり、その後県営事業を推進するとのことです。しかし、受益対象者の2003年調査時での反対意見や、農業経営に対する根本的な不安を解決するための施策などが必要となります。長期にわたる公共事業の見直しなどの点からも慎重な対応が求められます。
政令市千葉市にとって、環境に配慮した農業経営がなされ、自然景観等の保全がなされることは今後も重要な施策のひとつであると考えます。市民の理解を得、あるいは市民と協働し、今後の農業の施策を図っていくことを求めます。

下水道行政についてです。
雨水整備については、計画的に進められていると認識いたしますが、長期にわたり、莫大な事業費を投じる事業であり、治水安全、浸水安全の基準を満たすための整備には限界があることも事実です。特に市街化調整区域の一般排水路は全額市費で整備するため、市民の理解や、自然景観への配慮、なども含め整備手法については、慎重に行うことが求められます。
近年の風水害の特徴としては、時間雨量100ミリを越えるような、局所的な豪雨が記録されること、高齢者などの災害弱者といわれる方々の、被災割合が高まっていることなどがいわれています。今後は、被害を最小限にするための具体的な防災情報の提供などを地図化したハザードマップの整備が、災害弱者や、地下空間利用者の迅速な誘導のためにも、早急に必要です。また、ハザードマップを活用し、建物に防水扉や、床を高くするなどの耐水設備を促すことで、水害に強い土地利用を図ることも求められます。その際の補助制度なども国に対し求めていくことも重要となります。

浸水被害等、優先度の高い整備計画を厳選し、着実に整備していくことと同時に、河川整備、雨水整備を総合的に行う総合治水の考え方を千葉市でも進めることが必要です。しかし、そのために自然景観を破壊し、莫大な税金を投入することについては、市民の理解を図るべきです。市街化調整区域の整備は特に農村部の持つ災害防止機能に着目し、田や畑を適正に管理することの必要性などを農政部などと連携協力し、進めるよう求めます。

最後に水道行政についてです。 
水道行政についてですが、市営水道の給水区域は、千葉・市原丘陵新都市整備構想計画地域の一部であり、この計画が頓挫したことによる、市営水道事業への影響は見逃せず、計画の見直しを急くことが求められます。また、「県内水道経営検討委員会」が設置されたとのことで、県内水道のあり方に関し、市としての見解を市民に明らかにすることが求められます。

以上で市民ネットワークの反対討論をおわります。

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