反対討論

山口 晴美

 市民ネットワークの山口晴美です。会派を代表して今議会に上程されました55議案のうち、議案第1号・平成15年度千葉市一般会計補正予算、議案第6号平成15年度千葉市市街地再開発特別会計補正予算、議案第10号・平成16年度一般会計、議案第22号市街地再開発事業特別会計、議案第26号公債管理特別会計予算、議案第29号水道会計予算及び議案第36号千葉市落書きの防止に関する条例、議案第37号千葉市路上喫煙等の防止に関する条例の8議案について反対の立場から、意見を述べさせていただきます。また、共産党提出の一般会計予算等の組み替えを求める動議については組み替えを求める理由や組み替えの方針には共感できるものの、組み替え内容のうち予算の見直し項目や金額に賛同できない項目がいくつかあるため、賛成にはいたりません。

 平成16年第一回定例会は、昨年夏から引きずっている児童養護施設ほうゆう会の措置費不適正使用問題に加えて、年明けとともに県議の市県民税処分停止問題が発覚し、市政を揺るがす事態となりました。こうした事態に直面した場合、正しい情報と市長の判断を一人でも多くの市民にわかってもらえよう伝える努力をすることが最も大切であると思います。それが説明責任を果たすということなのではないでしょうか。今回の2つの問題に対しては誤解を招く発言や説明不足などが重なり、不信感や疑問がぬぐいきれない状況にあります。一日も早い問題解決のために、市がどのように取り組んでいるかを記者会見などを積極的に活用し、市民に説明していかれるよう来年度の事業執行の前に申し述べさせていただきます。特に来年度の滞納税の徴収はこれまでにまして厳しいものと思われます。また、社会的に養護を必要とする子どもたちは増加の傾向にありますので、児童養護施設という千葉市の社会的な資産を適正に機能させていかなければなりません。来年度は、千葉市の主体性が大いに試されるときです。

 子育て支援策については、乳幼児医療費が4歳児未満まで拡充され、子育てリラックス館が各区に整備されるなどな全般的に施策の充実が見られることは評価いたします。ただ、子育て世代の声を十分聞いた結果の施策展開になっているでしょうか。次世代育成支援行動計画や一人親家庭自立支援計画などの策定にあたっては当事者の声や思いを十分聞いて計画を策定してほしいものです。教育委員会でも少人数学級を2年生まで拡充したり、不登校の生徒たちのためのライトポートわかばを増設します。また青少年サポートチームや特別支援教育など子どもたちの中でも弱者といわれる子どもたちへの取り組みも始まっています。子どもの心を育てる子ども読書推進計画も策定され、実際に動き始めます。子育てしながら社会参加のできる社会、あらゆる環境の子どもたちが必要とするだけの社会の支援が受けられる千葉市にするために、保健福祉局、教育委員会や、市民局、都市局などを軸とした全庁的な連携で、子育てするなら千葉市で、千葉市に育ってよかったと思えるような取り組みを期待します。

 高齢者福祉や障害者福祉については介護保険費や支援費のうち在宅サービスにかかわるが予算をこえて支出されています。これは、年をとっても障害を持っても地域で暮らしていけるための支出ですので、来年度も上限を設けることなくニーズに答えていただきたいものです。来年度は、ノーマライゼーションを推進する施策の拡充が見られることを評価いたします。あやめ台小学校でのいきいきセンター整備をはじめ、心身障害(児)施設である療育センターや大宮学園に通園やデイサービスが増員され、社会復帰施設、社会福祉施設設置においても地域生活支援や通所が重視されています。

  参加と協同の取り組みについては、地域福祉計画策定においては、延べ人数で655名の市民参加で始まりました。これまで、高齢者、障害者、子どもなど地域の中でもたてわりで交流のなかった人々が出会い、お互いの理解と助け合いなどが進み、ひいては地域コミュニティの再生や地域力が高まるきっかけ作りとなり、評価するものです。

  市長の公約の目玉である花の都千葉、花のあふれる街づくりは3年間で比較的市民の心に浸透し、街角の花壇作りに協力する団体も増え、花と人のネットワーク作りなどは期待したい施策のひとつです。また緑地や公園の整備では公募市民によるワークショップなどが行われるようになりました。これ自体はよいことなのですが、花の都千葉の戦略を急ぐあまり、お金のバラまき的な施策もいくつか見受けられます。花文字畑製作に350万円、小学校30校に設置する手づくりトピアリーに4,600万円、この2つで花に関する施策の4分の一の予算を占めています。未設置校ができたら不公平というお考えでまた来年もということになりかねませんが、小規模校も増えている中で、トピアリーをいつも花を絶やさず維持できる学校ばかりではありません。ぜひ今年度に送った学校の意見を聞くなどしていただきたいと思います。1校あたり150万円の予算があったら各小学校は何をのぞむのでしょうか?
 また花のあふれるまちづくり推進事業は来年度からは都市局公園緑地部緑政課に主な事業が移されるということですので、局内で取り組んでいる都市計画マスタープラン地域別構想や緑化重点地区、緑と水辺の基本計画や緑地保全の計画などと重ね合わせ、花と緑の美しいまちづくりに取り組んでいただきたいものです。

 市民局は今年度は、落書きの防止条例や路上喫煙の防止条例に取り組みました。これもある意味では市民参加で美しいまちづくりを推進しようというものでしょう。市民ネットワークでは落書きについては刑法に払拭すれば犯罪行為となるわけですから、条例については啓発の意味での制定で十分ではないかと考えています。路上喫煙についても過料の徴収により指導員の行き過ぎた取り締まりも懸念されます。青少年への対応の検討も十分ではないようです。交通安全課が地域安全課と看板を架け替え、防犯に力を入れていかれることはある意味では市民の要請かもしれません。市民同士で見張りあうような緊張した雰囲気のまちにならないよう要望いたします。

 来年度は本来の参加と協同が進展することを期待するのですが、政策評価や新5か年計画策定にあたっても、指定管理者制度についても市民とともにこれからの新しい社会を築いていこうとする市の思いは伝わってこないのです。今、政策策定そのものへの市民参画こそが求められています。パブリックコメントの条例かもないまま、パブリックコメントで市民参加の手続きを終わらせようとするのはいかがなものでしょうか? 市民局におかれましては、市民参加条例や自治基本条例の制定に向けて大きく動き出すとともに、各部局への市民参加の推進への発信とチェックをお願いします。

  財政に関しては予算編成当初から収支不足が90億円見込まれ、さらに1月半ばに国の三位一体改革の影響、特に地方交付税とそれとセットである臨時財政対策債の発行額が予想以上に削減され、その影響額は87億円となりました。結局、財源不足は177億円となり、千葉県を対岸の火事と眺めていられないほどの深刻な事態に直面しました。今年度までは臨時財政対策債を除くと市債発行額は前年額以下とし、発行の抑制に努めてきましたが、来年度は逆に全会計あわせて前年より302億円も多く発行され、平成16年度末の全会計の市債発行残高は1兆179億円と1兆円を軽く超えてしまいました。

 財源不足に対する千葉市の姿勢はあくまでも歳出を見直すことなく、歳入の確保に努めた形跡が見られます。歳入不足をまかなうため、自ら返済などに積み立てていた市債管理基金や財政調整基金、土地開発基金、緑と水辺の基金など7つの基金から121億円も取り崩しや借り入れを行い、地域再生事業債を45億円発行することでしのごうとしています。予算審査特別委員会の分科会の答弁によると基金からの今後の借り入れ可能額はあと90億円しか残されていないということでした。5か年計画最後の年となる平成17年度には、この最後の虎の子もなくなってしまうのではないかと、不安になります。当初、三位一体の改革の影響額をどの程度と見込んでいたかわかりませんが、90億円の収支不足が見込まれた時点で5か年計画の再見直し、大型公共事業などの先送り再評価などを英断すべきでなかったかと考えます。このままでは、財政難というなたを理不尽に振りかざし、市民福祉に必要な事業や予算までカットせざるを得ない千葉県と同じようなことになってしまいます。
 こうした時には、西口再開発事業のように事業のこれまで資金計画にして513億円つぎ込んできたもの方向性が見えなくなっている事業については、たとえばモノレールの延伸に関して取られているような手法を使って、市民も含めた第3者で構成される事業評価検討委員会作って、1年間かけてじっくり検討してみることも必要であると考えます。国庫補助事業は事務事業評価はしない方針だそうですが、ここまで事業の進行が難航し、見通しのつかない状況で駅前広場の設計などしても、A1棟の二の舞になるだけではないでしょうか?

 千葉駅西口再開発や千葉中央港土地区画整理事業などのようにバブル崩壊の影響に呑まれて停滞している事業がある一方、蘇我特定地区整備には今年度100億円近い事業費が投入されています。17年度始めには商業施設、8月には市民球技場がオープンします。それに向けて蘇我駅自由通路や駅前広場、国道拡幅、道路整備、国道立体横断施設などの建設が急ピッチで進められます。市の増収にどれほどの貢献をしてくれるのか未定ですが、計画当初にあったオフィスビルは影を潜め就業人口は相当ダウンするものと思われます。また京葉線の南船橋駅周辺には個性をもつ大型の商業施設が建設されることになりました。蘇我臨海に出展する商業施設の集客数をどれくらい見込んでいるのかわかりませんが、コンセプトがいまいち弱く、魅力を感じないのは私だけではないと思います。
  またこの地域はベンゼンや降下ばいじんなどの大気汚染が基準値を越える地域があるなど、環境面では十分配慮すべき地域です。JFEは平成14年10月から平成15年10月までの大気の調査結果を未だ市に示していません。コークス工場等が稼動する中の施設オープンであり、オープン前3ヶ月から1年間JFEが調査することになっていると昨日うかがいましたが、毅然とした態度で要求していただかなくてはなりません。さきの調査結果をなかなか公表しないようなら、市独自の測定調査をするべきです。寒川新駅も未定で、蘇我駅からもそう近くなく利便性は決してよくないわけです。加えて大気も悪く、施設の魅力もないということにならないよう望みます。

 中央第6地区再開発事業がいよいよ本格的に始まります。15階建て施設規模51,140平方メートルのうち、5,722平方メートル、わずか11%が民間施設で、千葉市の保留床は27,097平方メートルで53%を占め、共用部分の持ち分を入れると約8割は千葉市の施設ということになります。住宅の計画が頓挫し、最終的には保留床処分のために当初入る計画のなかった保健福祉センターをいれ、市内の空きビルや空きフロアの活用で十分対応可能な産業振興財団も広すぎるほどのスペースを確保しました。土地建物展示等含めて千葉市の投入額は3百数十億にのぼるという箱もの建設です。市民ネットワークではかねてより公共施設を減らし、規模を縮小するなどの提案をしてまいりましたが、聞き入れられずにきました。組合事業や特定業務代行などの制度の壁に阻まれ、市民への計画段階の情報も伝わらず決定され、巨額の費用を投資することに対し、とても賛成はできません。

  住基ネットですが、カードの交付状況を見ますと、千葉市は昨年市民の2.5%にあたる23,000枚を1,906万円で購入したものの、現在の発行数は1,970枚で、住基ネットが始まった平成13〜15年までにかかった費用は4億5,600万円。これからの年間維持費は約9,000万円が見込まれると伺いました。発行数は住民の約0.2%で、盛んに言っていた住民票の広域交付もあまり利用がなく、今のところ住民ニーズはほとんどなかったといえます。
 市は今後自治体独自の利用拡大、公的個人認証サービスと広げることで利用は増えるとのことでした。しかし多目的に利用するためには、読み込み機器やシステムのためにかかるコストが更に必要であり、これは基本的に市の負担であることから、費用対効果からも無駄な支出にならないよう、慎重にするべきです。
 またこの間、心配されていたなりすましによるカード発行でついに融資事件が起き、国のマニュアルの不備が指摘されました。また民間ではありますが、個人情報の漏洩問題が続く等、情報に係わる内部のものの関与も含め、いつどんなところからプライバシー侵害がおこるのか予想がつきません。実質的には市町村が望んでと言うより国主導であり、市民ニーズと言うより、行政の事務利用が先行しているのが現状であり、強制参加しか認めない住基ネットのあり方は、疑問です。安全性、プライバシー保護の観点、そして財政面からも問題の多い住基ネットには反対いたします。

 今年1月に配布された合併協議会便りの発行によって、千葉市と四街道市の合併は決まったと思っている千葉市民が多くいるようです。しかしながら、2月に行われた四街道市の市議会議員選挙では、選挙の争点は、合併の賛否となり、その結果は真っ二つに分かれるというものでした。合併に向けての合併協議会設置は四街道市民の住民請求により行われたものですが、そのとき賛成をした多くの四街道市民は、合併協議会の設置により、様々なことが明らかとなり、その資料によって合併の是非を判断するのだと考えていたと聞いています。
  ところがふたを開けてみると、合併協議会は自由な議論の場ではなく、あっという間に合併の協議が整ってしまったとの感が強かったようです。そうした協議会の雰囲気が、今回の四街道市の選挙結果にも現れているようです。こうした現状を見れば、とても合併に向けて四街道市の中で合意が得られているとは思えません。一方千葉市の市民から見ても、合併しても千葉市の市政はあまり変わることはないとの市の見解に疑問を持つ市民もいるようです。
 合併バブルとも言える新市建設計画は、10年間の総事業費1,041億円、その後の事業費も合わせると1,750億円にもなり、千葉市の財政にとって大きなデメリットであると考えられます。
 昨年協議会に提案された合併建設計画(案)の中の、財政計画は地方財政計画が今年度大きく変わったことで、変更することが必要です。また、合併特例債の事業、建設計画(案)の事業も見直しする必要があります。建設計画(案)のうち、「千葉市域に統合整備を図る」と明記されているごみ処理施設の立替については、千葉市民は、ほとんど知らないのが現状です。こうした情報を市として積極的に説明会などで情報を発信し、充分周知しなければ、説明責任を果たしたことにはなりませんが、市としてこの計画はあくまで合併協議会からの発信にゆだねていることは問題です。

  都市モノレールの自立再建は、難しい状況です。16年度新たに延伸ルートの調査が予算化されていますが、今年度のモノレール評価・助言委員会の調査では、延伸ルートを変更し、単線化を図っても、経営改善が望めないことが示されています。こうした状況で、モノレール(株)の延伸を含む公的支援、資産分離の考え方を安易に受け入れることはできません。14年度のモノレール検討調査委員会のアンケート調査では、延伸に対する市民意見は「開業区間の経営改善とサービス向上に専念すべき」「延伸せず費用の安いバスなど他の交通手段を充実すべき」など現計画のままの延伸には厳しい評価が下されています。この評価は、延伸ルートを変更しても変わるとは思えません。市として一定限度の公的支援は必要であるとしていますが、現行法制度の枠を超えて公的支援を行うのならば、利用者、市民の意見を充分に反映させること、またモノレールの経営状態の現状について、市民に情報をしっかりと伝えることが必要です。

  第3次拡張事業計画は今年度事業変更認可されましたが、その根拠となる将来需要推量の推計は平成10年度のものであり平成15年の目標値もすでに実態と大きくかけ離れたものとなっています。27年度を目標に計画給水区域内人口79,800人、計画給水人口78,100人は過大な人口推計であり、一人一日最大級水量もこの地域の特性から見れば、過大といわざるを得ません。
  市営水道の水源の現状は、既得水利権としては霞ヶ浦導水、日量4,900トンがあります。しかし、房総道水路から受け入れる浄水場がないため、市民に供給する水道水は県営水道よりそのほとんどを買い入れています。従来、市営水道の水源として計画していた思川開発は、水需要の落ち込みによる見直しで縮小されることになり、千葉県から工業用水の転用を打診されたとのことです。しかし今年度、千葉県は県営水道の見直しを一方的に提案し、協議中とのことですが、その内容は県営水道を浄水場から飲み水を供給する用水供給事業だけとし、家庭へ配水する末端給水事業は市町村へ任せるというものです。この体制に今後変わるならば、千葉市が今独自に水源を確保する必要はなくなります。
  こうした状況の中で、まるで千葉県の債務を肩代わりするかのような水利権の獲得は問題です。 さらに、今年度の拡張整備のための配水管布設をする地域は、今まで井戸水を利用していた地域であり、今後はいかに雨水の涵養を行い、水源を地下水に求めるか、水循環の観点からも考えていく必要があります。17年度からは房総道水路建設事業負担金約102億円も予算化されることになり、過大であると思われる需要水量の推計により、市民は大きな負担を強いられることになります。今後整備計画のある日量33,700トンの浄水場の建設も、千葉県の都市計画が大きく見直されようとしていることで、現実的とは考えられず、結局使われることのない水利権の獲得となり、大きな問題となることが考えられます。
 以上をもちまして、市民ネットワークの反対討論といたします。


close