代理人視察報告

視察報告

日 程
参加者
視察先
目的

福岡市の里親委託事業について

◆お話を聞いた方

・所長 藤林武史さん
・こどもNPOセンター福岡 事務局長 宮本智子さん
・里親担当職員 草場さん

◆福岡こども総合相談センターについて

平成15年設立 所長は公募。今の所長は精神科医師で当初から継続。
・児童相談所と不登校の相談が一緒になった
・24時間電話相談。面談を行っている。
主な内容虐待、里親、引きこもり、子どもの居場所、不登校
・スクールソーシャルワーカーが拠点校に12人いて、小学校・中学校を回り、週に一度当センターに集まる。
・7つの区に子育て支援課こども相談係がいて、虐待、貸付、DVなどの相談にあたる。
・年1万件の相談がある。

◆里親事業に取り組み始めたきっかけ

・一時保護所は当初定員30人だったが、便利なところにあるのですぐいっぱいになったため、里親を増やしていこうということになった。

◆NPOとの協働のあり方

・平成17年度から児童相談所と子ども関係のNPOが二人三脚で動いている。
・官民合同の勉強会から始めた。
・里親のしくみを市民は知らないので1回目のフォーラムを7月に開催。動員なしで192名参加。積極的に知らせていけば里親になりたい人はいるのだとわかった。以前よりなりたい人が増えた。

◆メディアとの協働

・NPOは積極的にメディアを使う。
・新聞記事で里親特集を組む。

◆児童相談所の変化

・児相職員の意識が変わってきた。「まず必要なのは施設ではなく家庭」と認識。

◆ファミリーホームへの移行

・里親からファミリーホームへ移行する人が増え、自然にファミリーホームが増えた。
専門里親はファミリーホームになってしまった。

◆里親支援の在り方

・子どものニーズに合わせた里親を探す。
・だんだん登録者が底をつき始めるので共働きでも里親になれるように支援する。 
・里親になった後の支援が最重要課題。
・子どもは児相にいるときと里親に行った時では顔が違う。
・困ったことがあったら、すぐ相談してもらい、一緒に考える。
・担当者がいかにまめに声をかけるかが大事。
・心理士も一緒になって支えていく。
・里親と職員が一緒に乗り越えていく
・そのためには里親支援の専従職員が必要。
平成15年当初は係長ひとりだったが、17年に里親担当は2人。今は6人いる。
専任にしたのがよかった。

◆NPOの役割

・啓発普及
・児相と里親だけだと煮詰まる。NPOが緩衝材になる。
・里親、中高生の居場所作り
  里親サロンを5回。地域サロンもやっている。
・生活環境の厳しい子どもの学習 ⇒教育委員会と連携。

◆里親の長所

・里親が一緒に親子を育てている。
・虐待を受けていない子が里親に預けられると虐待予防になる。

福岡市は一時保護所への入所期間がかつてはワースト5に入っていた。
理由:ぴったりの施設がない。調整に時間がかかる。最適な環境のためにまたせることもある。慎重に里親を選ぶ。交流に時間がかかる。⇒それははずかしいことではなくやむをえない。

◆里親の課題

・うまくいかないのは、思春期。特に女子。その時は施設に頼む。
・過食は多い=委託後反応。 
その他:トイレができなくなる。おねしょ。べったり。抱っこ

◆今後の方向性

・146校区中59校区(約4割)に里親がいる。
   今後、校区里親の充実を目指す。1小学区1里親家庭。
・区役所に力を入れてほしい。今は区役所はまだ里親のことを知らない。
・スクールソーシャルワーカーは派遣だと地域が見えない。拠点校でないといけない。
   民生委員からSSWを置いてほしいという声が上がっている。
   福岡市は最初は2名だったが、拠点型だったから増えていった。
・「社会的共同視」⇒将来的なマイナスコストが減ってくる。
・シンボルは「フォーラム」 里親が楽しく話すこと。フォーラムのタイトルを工夫する。
・養育センターに通いながら里親に預けられている子もいる。
・県の児童家庭支援センターと連携して里親サロンをやったらどうか

感想

・この施設の所長が公募で、しかも11年も継続してかかわっていることに驚いた。それに比べ千葉市の児相は所長が短期間で変わるので、腰を据えた事業ができないのではないかと思う。
・行政がNPOと上手に連携していると感じた。お互いの良いところを生かして里親を増やし、一時保護所から、早く子供を家庭に移し、里親のフォローにも力を入れているところが素晴らしいと思った。
・スクールソーシャルワーカーは、最初は限定的であっても地域に配置することで、地域の事情が分かると聞いた。千葉市のSSWの配置は教育委員会から、地域の学校へ移し、増員していくべきと思った。

報告:山田京子

 

prev | next