日 程 | 2010年10月7日(木) |
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参加者 | 山田京子・小西由希子・福谷彰子・長谷川弘美・湯浅美和子 |
視察先 | 9:30〜 名古屋男女平等参画推進センター (つながれっとなごや) |
目的 |
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聞き取り対象者:センター長 渋谷典子 副センター長 中村奈津子
センターオープン後の2005年に当団体はNPO法人となり、「センター設置に向けての提言」、「センター基本構想」の提言執筆を名古屋市から受託。
2006年に指定管理制度導入され当法人が指定管理者となる。
2010年に指定管理者としての2期目開始。
@企画事業 ・市民交流事業 ・定期講座
A情報発信 ・ウェブサイトの運営 ・つながれっとクラブ運営
B施設管理 ・インフォメーション ・貸室等管理
計16人(20歳から72歳)
フルタイムは30時間(週)2人。週30時間で収入20万円弱。
20時間以上働くと雇用保険にはいる。代表は雇用保険にはいらない。
期限の定めのある人は14人。期限の定めのない人は2人。
生活のためにこの仕事に就こうという人は断っているとのこと。
市民との協働について聞こうとおもい話を聞き始めたが、このNPOそのものが市民であり、果敢にさまざまな取り組みを試行していることがわかり大変刺激を受けた。
次期指定管理者に選ばれないことも想定し、かつ次の仕事につなげるために各種の資格を指定管理の4年の間にスタッフが取っていたと聞き、大変驚いた。
千葉市の指定管理者の意識とはかなりかけ離れているのではないだろうか。
一方、女性でも食べていけるだけの収入を確保することは男女共同参画の課題として含まれているはずだが、その課題解決のために設けられたこのセンターのスタッフ自身が、その収入だけでたべていけず、大変矛盾を感じながら仕事をしているとわかった。
名古屋市も、この団体にいきなり指定管理を任せたわけでなく、直営時代にも、調査を委託するなど関係をつくり、団体を育てている。また、団体側でも、市の事業にかかわることで、その後の指定管理の応募につながったことは、市と市民の協働の例として評価できるのではないか。
男女協働参画推進の評価についてはこの団体においても確立しているわけではないが、毎年の報告書にあるように、分野別に年度の具体的目標を定め達成度を評価しているところ等、先進的取り組みとして千葉市も取り入れたらどうかと思う。
報告:山田京子
面談者:企画部 政策開発室 福田康仁さん
これまでの総合計画は、計画と予算とが不整合で、計画策定事態がイベント化していて、経年経過が見えず、理念的なあいまいな計画であった、との反省にたち、多治見市の総合計画では、首長任期と計画機関との整合、計画期間内事業の明確化、責任所在の明確化、実行計画の策定と公表、を行うこととしているのが特職。
こうなるにいたったのは、財政状況の悪さにもよる。平成8年当時、経常収支比率が89.8%と、当時の県内14市中最悪となり、財政緊急事態宣言を発している。これは平成7年に市長になった前市長西寺雅也氏の1期目の2年目。3期12年市長を務めた西寺氏は、そのほとんどの期間を財政再建のために使ったと言われている。
現在は平成20年度から27年度までの第6次総合計画が始まっている。構成は基本構想・基本計画・実行計画の3層構造。基本計画は前半4年、後半4年とし、前期4年の最終年に後期4年の計画の見直しを行う。実施計画にあたる実行計画は、常に4年間の計画を保有する(すなわち毎年見直し)システム。市長マニフェストを市の政策として実行していくため、総合計画の中に位置づけ、より政策実行型の計画とし、市長の任期ごとに見直しする。
《総合計画と首長任期》
総合計画作成のルールは「多治見市市政基本条例(いわゆる自治基本条例)」「多治見市健全な財政に関する条例」「多治見市市民参加条例」で明記されており、とくに総合計画の策定にあたっては財政的な裏づけが、条例で義務付けられている。実行計画の4年間については、一般会計における4年間の各年度の歳入見込みの他、歳出計画額についても明示する4年間の中期財政計画を公表することが義務化されている。
総合計画(基本計画)を曖昧な積んどく計画から、いかに実効性のあるものにするか。各自治体が問われている。多治見市の西寺前市長は、総合計画を自治体経営のツールとして位置付けた、として評価されている。ことに財政計画としっかりとリンクさせることは、厳しい財政運営を強いられている自治体にとっては避けて通れない課題だ。
現在策定中の千葉市も学ぶべきだと思う。ただ、多治見の場合、策定への市民参加、はというと少し物足りないようだ。あまりに市長の手腕が光ったのかもしれない。
市長がかわり、置き土産(?)となった諸手続きがどのように継続・発展していくのか、注目したい。
報告:湯浅美和子
多治見市は平成8年に岐阜県下で最も財政が悪い状態となり、財政緊急事態宣言を出し、その後平成13年に宣言解除とした。このような財政的な事情を背景に、次の総合計画を策定するにあたり着実に実行するための財政的裏打ちのため(仮称)財務条例を策定することとした。
財政運営をしていく原則および計画的な財政運営をしていくための原則が細かく規定されている。
例えば、計画的な財政運営の中で、予算決算において、財政健全基準(多治見市独自)を満たさなくなった時は、財政非常事態を宣言しなければならない。また財政非常事態における財政再建計画策定においては手続きとして、1、市民参加を図らねばならない 2、議会の議決を経て策定され、公表しなければならないとしている点などがあげられる。
国は財政破綻状態を、多治見市は健全状態を想定している。
国は決算時で、多治見市は計画・予算・決算時ごとに、基準値を計算
国は早期健全化基準と財政再生基準の2段階で判定
多治見市は健全基準のみで、算定時(計画・予算・決算)別に判断
条例制定の議論は夕張市破綻が表明された2週間前、庁内プレゼンでの職員提案によるものだそうだ。夕張ショック後、国は自治体財政健全化法を示すが、ほぼこの動きと並走しながら多治見市は独自にこの財務条例制定に取り組んだという点など、行政としての自負を感じた。いずれにしても平成8年に、経常収支比率が89.8%で財政緊急事態を宣言し早期に健全化への取り組みに着手していること、また健全化に向けての手続きに必ず市民参加を図るという視点など、千葉市として学びとりいれるべき点が多い。
報告:長谷川弘美
背景:多治見市の温室効果ガス排出量は、2004 年度で1990 年比-15.6%であるが、これは主要産業の窯業の落ち込みによる産業部門の減少(-42.7%)によるところが大きく、一方で運輸部門の排出量は増加傾向にある(+42.8%)。まちの売りにもなっている日本一の暑さに対し、ヒートアイランド対策にも力を入れている。
目的:交通、エネルギー、みどりの各分野における諸施策を包括的推進するため、バス路線・地域公共通・コミュニティバスの再編による低炭素型交通手段への転換と、低炭素社会型まちづくりをすすめることを目的にしている。
多治見市では、2001年からスタートした「日本の環境首都コンテスト」に参加し、環境自治体づくり力を入れている。
※日本の環境首都コンテストとは、環境先進国ドイツの「環境首都コンテスト」をモデルとし、全国11の環境NGOによる「環境首都コンテスト全国ネットワーク」によっておこなわれている。市民(NGO)の視点からの環境自治体づくり支援およびNGOと自治体さらには自治体間の環境問題に関する情報の相互交換の促進を目的とし、環境政策・施策づくりや、住民や事業者との対等なパートナーシップのあり方、行政内における意識の共有化や横断的な体制づくりなどに生かされている。
環境首都コンテスト全国ネットワークの呼びかけに答え、2004年度から5年計画で、持続可能な地域社会を創造するための政策および戦略を具体的に研究し、政策提言し広く発表することを目的におこなわれた。
課題解決のための方策を皆で考え、先導的プロジェクトとして示していくもので、市民活動に関わる者や市役所のまちづくりに関連する主要課の課長、NGOメンバーなどが関わってきた。
「環境基本計画の報告書は統計数値が中心で作成に市民参加もなく活用されていない」という問題に対し、「日本一わかりやすく活用される環境報告書づくり」が先導的プロジェクトとして提案されている。
多治見市では、市の政策の要に「環境」を据え、交通やエネルギー、みどり保全など総合的な視野で持続可能な地域づくりに取り組む姿勢が見られた。
そもそも環境政策は公害対策に端を発し、地域の動きが国の環境政策を動かしてきた。地域の特性、すなわち地域らしさを大切にした取り組みこそ、そこに住む市民にとって最も居心地のよいまちづくりだと考える。また、そのためにはまちづくりを担う人、すなわち地域公共人材を育てる社会的な仕組みづくりが重要である。
千葉市では現在次期環境基本計画策定に取り組んでいるが、毎年おこなう計画の点検・評価や環境白書づくりへの市民参加の視点をいただいた。市民版環境白書を千葉市でもぜひ提案していきたい。
報告:小西由希子