日 程 | 2008年7月9日(水)〜10日(木) |
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参加者 | 長谷川弘美、湯浅美和子 |
視察先 | 7月9日 9:00 議会報告会傍聴 上野市南部市民センター 7月10日 9:30 上野市議会事務局長 前田裕三氏より議会基本条例の説明 |
目的 |
北海道の栗山町に引き続き、議会基本条例を制定した伊賀市の議会改革について視察。 今回は特に議会としての議会報告会を実際に見る、という目的で、現地の報告会の日程に合わせて伊賀市を訪問。伊賀市での条例の制定過程や、実際に行われている議会報告会を傍聴し、今後の千葉市における議会改革に生かしていく。 |
*人口 約10万人 *平成16年11月に1市3町2村合併 *合併直後のH16年12月に自治基本条例を公布 この自治基本条例に各分野での基本条例の制定に努めるとあり、議会においては議会の役割と責務を具現かするため、平成19年2月に議会基本条例を制定しました。議会報告会の開催はこの議会基本条例の7条に位置づけています。 *議会基本条例の7条「議会は市政の諸課題に柔軟に対処するため、市政全般にわたって、議員及び市民が自由に情報及び意見を交換する議会報告会を行うものとする。」 |
地方分権一括法の施行で地方の自己決定権が拡大した中、議会が執行機関の監視をすることがより重要になっている。特に議会が市の意思を決定する上で、住民の意思との乖離がおきないよう不断の努力が必要である。また議員は選出地域の代表ではなく、市全体の代表であるとの自覚と市民意識の変革、さらに市民への情報提供、説明責任を推進しなければならない。
よって議会報告会を 条例で明文化し義務付ける。また運営は議会が行い、議会報告を行う際は、議員は個々の意見、見解は述べない。(ただし意見を求められた場合はこのかぎりではない) また具体的なやり方に関しては、議会報告会実施要綱に基づいて実施されています。
さて私たちが実際に見学をさせてもらった議会報告会では、議会からは5人の議員そして事務局から1人の職員が来ており、3月議会と6月議会の報告を行いました。場所は地区センターのようなところで、参加者は20人弱でした。
伊賀市の市議会議員は現在34名。全員で通常5から6人の6班を編成し、議会後概ね1ヶ月以内に実施するとのことです。伊賀市は旧小学校区38地区が住民自治協議会という地域自治の単位として位置づけられており、この38地区ごとに報告会を実施しています。数が多いので1協議会年1回で、報告会終了後、代表者が議長に文書で報告し、市議会ホームページに掲載。市行政への提言・要望は議長が市長に文書等で報告することになっています。
議員からの報告の後に住民からの質問や意見では、三重県RDF発電所(ごみ固形燃料発電所)へのごみ処分委託からの勇気ある撤退についての考え方、合併債を使っての駅前開発ビルの必要性、住民への情報の公開が不十分、不祥事と今後の市長選についてなど多岐にわたっていました。そのやり取りは、まさに議員及び市民が自由に情報及び意見を交換する場といった感じでした。
最後に千葉からの視察ということで紹介もされ、感想を述べてくださいと請われました。私は千葉も伊賀市に負けないよう、市民とともに議会改革を進めていきたいと挨拶をしました。
議会報告会は住民との意見交換の場として、非常に有益な方法です。このほか議会が出前講座も行うなど積極的に地域に議会が出ていく動きを作っています。これらの実践を参考にし、千葉市での実現に結び付けていきたいと思いました。
報告:長谷川弘美
まずは「自治基本条例」
伊賀市は、平成16年11月、1市3町2村の合併によって生まれました。合併に至る協議の中で、自治基本条例の制定が検討され、16年12月議会で可決、施行されました。その特徴は「住民自治協議会」の存在です。「市民が地域を取り巻く様々な課題に取り組み、市民が主役となったまちづくりを行う」ことを市は尊重し、支援することが条例の中で定められています。住民自治協議会は、市長の諮問に応じ地域の問題の調査審議をし答申すること、その答申を市長は尊重することとなっており、また、審議のための情報収集も保障されています。
議会の動き
伊賀市の議会は、この自治基本条例の制定で、行政と市民は太いパイプでつながることとなり、議会不要論につながるのでは、と危惧を持ったようです。
条例の中で定められたことは、5月に視察させていただいた北海道栗山町でも同じですが、今の自治法の中でも当然やれることばかり。議会自らがその気になれば、可能なことです。
しかし、伊賀市の場合、栗山と決定的に違うのは、条例を制定して始めた活動が多い、ということです。
栗山は、それまでの議会改革の積み重ねを改めて条文化したもので、すでにかなりの部分、議員・行政のそれぞれに周知と理解が深まっていると感じました。伊賀市では、制定過程を見てもわかるように、全員が一致しての制定ではありません。今後いかに議員が自らのこととして条例を盛りたてていくかが問われていると感じました。
それにしても、その気になれば条例の制定もできるんだ、ということを教わることができ、またその目玉である議会報告会が、成熟した市民と議会があって、はじめて機能することが可能ということも肌で感じることができました。
報告:湯浅美和子