日 程 | 2008年5月14日(水)〜15日(木) |
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参加者 | 常賀かづ子、長谷川弘美、山田京子、湯浅美和子 |
視察先 | だて地域生活支援センター他、市内施設 伊達市環境衛生課清掃・リサイクル担当、伊達市堆肥センター 札幌市まちづくり局 市民自治推進課 栗山町議会 |
目的 |
知的障害者が普通にまちで暮らす伊達市。その経緯と背景、そしてそれを可能にしているまちの資源を見る。 |
だて地域生活支援センター
お話を聞いた方:だて地域生活支援センター所長小林繁市さん、伊達コスモス21畠山隆子さん
概要:伊達市は北海道の南西部、函館市と札幌市のほぼ中間に位置し、四季を通じて温暖な気候に恵まれていることから「北の湘南」とも呼ばれている。
人口3万7,500人のこのまちに、ほぼ400人の知的障がいのある方々が地域の中で普通に暮らし、仕事を持ち、結婚し家庭を持っている方もおられる。
障害者自立支援法が施行され「施設から地域へ」が進められる中、地域生活への移行には就労・住まい、生活支援、そして地域の理解などまだまだ課題が多い。伊達市で、なぜここまで多くの障がいのある方がまちの中で普通に暮らしてこられたのか、お話を伺った。
センター内にある市内ケア施設一覧表。現在の利用者が把握されている
1968年 全国に先駆け知的障がい者の総合援護施設「太陽の園」(伊達市・設置 北海道社会福祉事業団・運営)を開設したことに始まる。当時、障害者は保護隔離の対象と考えられ、地域の中で一緒に暮らしていくというのは残酷なことだと考えられていた。
しかし入所者、特に障害の軽度な方たちから「まちに出て普通に暮らしたい、働きたい、結婚もしたい」という声があがり、「太陽の園」は「終生保護論」から「社会自立論」へと理念を転換し、施設から地域への移行が図られるようになった。
1973年には、施設から地域移行への中間施設である伊達市立通勤センター「旭寮」(市・設置 事業団・運営)を開設。地域での暮らしの第一歩を踏み出す。
その後 旭寮で訓練を受け巣立ち、アパートや借家、下宿などで自立した生活を始める方が増え、1998年地域生活を支援する拠点として「地域援助センターらいむ」を開設。「通勤センター旭寮」とあわせて「伊達市地域生活支援センター」と改称され、地域生活者支援(本人への直接支援)機能と支援ネットワーク推進(まちづくりという間接支援)機能をあわせもち、障害者の地域生活を支えている。
(2006年 伊達市から事業団にセンター事業・施設が移譲され「だて地域生活支援センター」と改称)
◆住まいの形態
グループホーム(35箇所189人)、ケア付きホーム(1箇所5人)、民間ホーム(下宿)(2箇所5人)、アパート・借家(単身・結婚)(52箇所69人)、家庭(55人)、旭寮(20人)
◆就労の場
市内600企業のうち56事業所で151人が一般就労している(福祉的就労は6施設で168人)
◆生活
暮らしの相談員や共同住居の世話人など119人の地域支援スタッフが、日々の生活を支えている
ぬくもりのあるリビング「ケアホーム野ぶどう」
2005年 北海道に始めて重複障害など重度の方のホームとして開設された「野ぶどう」は,隣接には小川が流れる市民憩いの公園があり、自然に恵まれた静かな住宅地の中に建てられている。
300坪という広い敷地にぬくもりのあるやわらかな木をふんだんに使った2階建ての建物。もちろんすべてユニバーサルデザインで造られ、至るところに細やかな配慮がなされ、清潔で明るくあたたかな雰囲気は訪れる者をもほっとさせる。
現在利用者は9人。ホームには世話人とヘルパーが、食事や排泄など利用者一人一人の状況に応じて暮らしの介助と援助を行っている。画一的な介助ではないことから、以前より表情が豊かになったなど家族の方から喜びの声が聞かれるとのこと。
案内して下さった職員の方の熱のこもった説明と熱い想いに圧倒されっぱなしのひと時だったが「このホームを足がかりに たんぽぽの綿毛のように北海道のあちこちに飛び火してこのようなホームができることを願っている」と語っておられたが、千葉市にも飛んでくるのか・・・
伊達市では、知的障がいのある方々がまちの中で働き、買い物をし、住むという姿は今や日常的なまちの風景だそうです。以前より施設からまちに出て市民の方々と触れ合う機会を多く作ってきたとのことで、お互いに関わり方が上手になり、理解も深まってきたとのことです。その結果、自然に交わり、支えあうことができる人間関係に変っていき、障がいのある人たちの地域生活を容易にしたそうです。
今回短時間の訪問であり、あいにくの冷たい雨でまちの風景を味わうことができず残念でした。伊達市の障害者福祉への取り組みとその財政的支援に羨望の思いを強くし、小林さんはじめ職員の方々のマンパワーと何よりもここまで先進的に進めてこられたことに脱帽。
報告:常賀かづ子
お話を聞いた方:伊達市環境衛生課清掃・リサイクル担当村田さん
ごみ有料化とリサイクル等の経緯について話を聞くとともに、その後、伊達市堆肥化センターを見学しました。
昭和61年 7月 ごみの多様化・増加→これまでの埋立処理から破砕・焼却施設建設へ
平成元年 4月 清掃センター稼働
平成元年 7月 維持管理費の一部住民負担として、ごみ手数料を有料化
(可燃・不燃40l/60円 20l/30円 ごみ処理券/60円)
平成 7年 4月 生ごみ堆肥化容器(コンポスト)購入助成開始
平成12年 3月 西いぶり廃棄物処理広域連合設立
(室蘭市・登別市・伊達市・豊浦町・虻田町・洞爺村・大滝村・壮瞥町)
平成13年 4月 生ごみの分別収集開始(規則改正で生ごみ20l/30円)
ごみ収集を民間委託
平成14年12月 西いぶり廃棄物処理広域連合のごみ処理施設稼働
清掃センター焼却・破砕施設の運転及び埋め立て終了
平成16年 4月 伊達市堆肥センター稼働
平成18年 3月 コンポスト購入助成終了
当初、一般廃棄物は最終処分場に埋立処分されていたが、ごみの増加により埋立処理が限界となり、焼却・破砕施設を建設することに。しかし、維持管理経費などの経費負担が課題となり、市の財政事情により有料化を進めることになった。現在、他自治体での導入時に言われる「減量」が第1目的ではなく、維持管理費の捻出のためであった。そのためか、有料化への抵抗は少なかった、とのこと。 とはいうものの、有料化の翌年は24%の減となっており、減量効果もあったと思われる。その後、ごみの排出量は人口増もあり増加傾向にあるが、一人当たり排出量はほとんど変わっておらず、減量化・リサイクルが定着しているよう。
平成16年稼働の堆肥センターは「畜産物排泄法」の対応としての畜産糞尿の処理とともに、一般家庭からの生ごみの処理も行っている。広域処理施設での焼却処理の負担金の低減も目指す。生ごみの分別収集はセンター稼働3年前から、市民への分別の意識啓発のために行っているとのこと。16000世帯全戸の生ごみを週2回、ステーション方式で回収(ビニール袋使用)。堆肥は、生ごみ堆肥・畜糞堆肥・水産系堆肥の4種類を製品化し、販売(300円/15k・・・年間1000袋の販売を予定していたが、20年4月 ̄5月で2000袋販売)
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堆肥センターは、伊達市の中心部から車で20分ほど走ったところ。堆肥化の方法は、もっとも単純なショベルローダー攪拌方式。一次発酵処理施設は完全密閉された建物だが、それでもかなりな臭いが立ち込めていた。人里離れたところでないと設置は無理。それにしても施設稼働前からの生ごみの分別収集に市民からの反発はなかったのだろうか。聞いてみたのだが、「特に・・・」とのこと。 いつも問題視される「堆肥の使い道」だが、ここではかなり販売がすすんでいる。購入者は都市住民の園芸用が多いよう。 千葉市との比較がすぐにできるわけではないが、全戸の生ごみ分別を、当たり前のごとくにすんなりやってしまう、とても「ゆったり」とした感じがした。
報告:湯浅美和子
1972年政令市移行(7区)、人口1,887,819人、世帯数857,640世帯、職員定数14,800人(教員を含む)、市議会議員数68人(うち市民ネットワーク議員4人)、一般会計予算額7,756億円
平成12年 都市経営フォーラムにて検討開始
平成15年 市民自治フォーラム
平成15年12月〜17年12月 市民会議での検討79回(半数は公募市民)・市民ピーアール
平成18年 素案公表、意見募集、市議会での調査審議、条例案提案、議案審査、
条例案に対し727名1,106件の意見。10月3日 制定
平成19年 4月1日 施行
◆自治基本条例とは「市民が主役のまちづくりを進めるためのみんなのルール」。街づくりの最高規範。 この条例で市役所の仕事の仕方を変えていく。ポイントは情報共有と市民参加。身近な地域のまちづくり活動を応援し地域の意見を生かす。
28条に「まちづくりセンター」を位置づけたこと。 「まちセン」とは、街づくりを推進するための地域のまちづくり活動の拠点。87か所(区の課が担当)。「まちセン」ができてから、まちづくりの活動が6倍に増えた。
◆条例ができて役所が変わったところ:住民に理解されるよう、情報の提供の仕方が工夫されるようになった。
条例制定まで、市民を交えた十分な議論があり、素案も公表されたことなど、千葉市の市民参加条例制定過程との差を強く感じました。 また、説明してくださった札幌市の職員が、「大事な事業の前には市民の意見を聞く。市側だけでものを決めるのはありえない。行政は、できないものはできない理由をわかりやすく市民に説明するべき」と何気なく、当たり前のようにおっしゃったことが、新鮮な驚きでした。まず職員の意識が変わるのが、条例制定の大きな効果なのではないかと思います。
報告:山田京子
栗山町は平成18年5月に議員提出議案で全国初の議会基本条例を全会一致で可決し、同日施行された。この条例の誕生した経過また議会改革がどのように展開されているのかを知るため、視察を行った。
◆◆条例の特徴◆◆
など11項目にわたる。
視察には私たち千葉市の4名を含め、熊本県、大分県、兵庫県、広島県、埼玉県、愛知県、福井県の各県の市議・村議またNPOの計84名の参加があった。それだけ議会改革を一歩進めた栗山町への関心は高い。
町議会議長の橋場氏はじめ4人の議員が説明をしてくださったが、行政と緊張関係を持ち、開かれた議会を作っていくという熱意をひしひしと感じることができた。ただあまりに多くの視察者への一括対応なので、十分な質問などができなかったのが残念であった。また13人の議員のうち女性が一人という点や若い世代の参加が見られなかったが、これらの層の政治参加の状況をもう少し聞きたかった。
報告: 長谷川弘美