

日 程 | 2004年4月22日、23日 |
参加者 | 小西由希子、高野はるみ、常賀かづ子、長谷川ひろ美、福谷章子、山口晴美、湯浅美和子、川本幸立(会派政策アドバイザー)、竹内悦子(市民ネットワークちば政策室) |
場 所 | 22日 名古屋市役所(生ごみ収集現場及び堆肥化センター見学含む) 23日 愛知県愛知郡長久手町「愛知たいようの杜」 |
「埋め立てゼロ」を目指して、さまざまな取り組みを展開する名古屋市の清掃行政、ことに3月末より開始した生ゴミ分別収集、生ゴミ処理の現場見学と担当課との意見交換によりその実態を把握し、千葉市の今後の清掃行政の施策に生かすため。
名古屋市では99年1月に決定された「西1区(藤前干潟)埋め立て事業中止」を受けた「ごみ非常事態宣言」以来、紙製・プラスチック製容器包装の資源収集をはじめ、指定袋制の導入、あるいはレジ袋の削減運動に取り組んできています。その結果、98年度102万トンに達していた「ごみ量」は、2002年度には75万トンと26%の減少となり、市民一人1日あたりのごみ量は907g(2002年度)となっています。(ちなみに千葉市は02年度1058gで、2011年度958gを目指し 一人1日150gの減量を提唱中。) また資源回収量は、15万トン→36万トン(2.4倍)、埋め立て量は28万トン→12万トン(57%の減少)となっています。
しかしここ3年ほどを見ると、ごみ量は横ばい(79万トン、76万トン、75万トン)、総排出量(ごみと資源の合計)は増加傾向にあるとのこと(108万トン、110万トン、111万トン)。そのため、今後は資源回収率をもう1段向上させることと、また「ごみ」も「資源」も元から減らす「発生抑制」の取り組みを課題として掲げています。「発生抑制」にかかわるものとして「グリーンコンシューマー」や「グリーンカンパニー」運動を進めたり、また昨年からは「エコクーぴょん」といった「脱レジ袋」を目指した施策も取り入れられています。
そして、さらなる資源回収率アップとして新たに取り組みを始めているのが「生ごみの資源化」。『新しい課題は「生ごみにあり」!』です。古紙や容器包装は着々と資源化が進んでいますが、市民一人1日198g排出される生ごみのうち資源化されているのは3g、と生ごみの資源化はほとんど手がつけられていません。「生ごみの処理」、ことに都市部での生ごみの処理は千葉市でもこれからの「脱焼却」を目指すうえで重要な課題であるため、名古屋市で15年3月より始められた「生ごみ分別収集」の実態を見学にいきました。
名古屋市では、現在進められている「生ごみの分別収集」に先行して「地域型生ごみ処理設備設置モデル事業」が平成10年から12年の3ヵ年のモデル事業として行われていた。そのモデル事業終了後、平成13年、14年は「生ごみ資源化モデル事業」に取り組み、15年度より本格実施となった。事業をはじめるにあたり、市民の合意形成を図るため、15年3月に、対象地域の学区役職者への説明会、その後、地元住民を対象とした説明会を町内会単位で行い、20回以上の説明会の実施、さらに、町内会未加入者や独自の意見を持つ市民へも個別に訪問し、説明したとのこと。
生ごみの分別収集のコストの概算は1トン当たり約13万円。ごみ処理費用(可燃・不燃・粗大服含む)がトン当たり約6万円なので約2倍。事業拡大の中で、経費削減努力を含め、コスト差は少なくなっていくと認識しているとのこと。
今年度予算と内訳
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蓋つきバケツ | 160万円 |
生ごみ回収用指定袋
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870万円 |
資源化委託料 | 6100万円 |
車両借用料 | 3400万円 |
計1億600万円 |
視察は、まず、名古屋市の生ごみの回収風景から始まった。これが驚くなかれ戸別回収。各家庭の玄関前にぽつんぽつんとおかれた生ごみの入ったビニール袋を回収車の両側から作業の職員が拾い上げて、ぽんと投げ込む。これを道々繰り返す。今日は生ごみだけど、一般家庭ごみもおそらくこの調子で毎日集められているのだろう。
ごみの回収作業は多くが直営で行われているというから、人件費も馬鹿にならない。千葉市なら午後もごみを回収しているなんてことはないのに、ここは午後もゆったり作業を継続している。ちなみにこの日は真夏日で、日中の気温が30度。「朝から置かれた生ごみが腐りませんか?堆肥にするのに腐ってもいいんですか?」と聞くと「そうですね。これまでは気温が低かったので大丈夫だったですが〜、これからは腐るかもしれませんね」と平然とお答えになった。これが、一時が万事。バスに乗って、「市役所も県庁も昭和の初期ぐらいの建造ですか?戦災には遭わなかったのですね?」と聞いたところ「残っているということは、そうじゃないでしょうか」と悠然としたお返事。「容器リサイクルで集めた資源物はどこでどう処理されているのでしょうか?」には「・・・」。
「生ごみの水分吸収剤として一緒に入れるおがくずに添加物や化学物質などは含まれていないのでしょうか?調べているのですか?」には「いいえ」。
ちなみに、この生ごみの回収の影の仕事人は自治会長さん。毎月市から届けられる回収袋とおがくずを各戸に分配するのだという。容器包装リサイクルによるかなり細かい分別も含めて、市民の日々の生活の中でごみの排出にかかわる手間と負担は馬鹿にならない。それなのに、税金を多く使ってまでも埋め立てるごみの量を減らそうと素直にあらゆる施策を展開する行政とそれに不満も言わず取り組む市民。千葉市からきた私の目には非効率さが目についてしかたなかったけれど、もしかして名古屋の人達って気持ちのやさしい、のんびりした人たちが多いのかも知れない。ただ、それによって着実にごみ量は3/4に減っているのですから、たいしたものです。〔山口晴美)
名古屋駅から地下鉄東山線30分で藤ヶ丘駅。そこからタクシーで10分ほど。
100ヘクタールという広大な土地区画整理が進められているすぐ傍に里山が残る。そこに、自然に溶け込んだ福祉ゾーンを形成。
「もりのようちえん」、「特別養護老人ホーム」、「コロボックル」(託児所)、「ゴジカラ村・雑木林物語」(ケアハウス)、「在宅介護支援センター」、「訪問看護事業所」、「訪問介護事業所」、ケアプラン室(居宅介護支援事業所、喫茶店・駄菓子屋併設、豚を飼育)、「デイサービス」、福祉専門学校など。
この施設は、吉田一平さん抜きには語れません。商社勤務の猛烈サラリーマンだった吉田さんがなぜ福祉にかかわるようになったのでしょうか。それは土地区画整理によって雑木林が切り倒されていくことを食い止めたかったからなのです。
まず幼稚園をつくろうと、申請しようとすると学校法人を作らなければならないといわれびっくり。里山の自然をいかした計画を持っていくと、40人が手をつなげるスペース、30mの直線がフラットな地面で取れることなどが必要で補助金が出ないなかでのスタートだったそうです。その後、補助金は出ることになったと楽しそうに話してくれる吉田さんは本当に人や自然が好きなんです。それが17年前。その3年後に特別養護老人ホームをつくりました。
町中には介護を受けるお年寄りと、福祉には無縁なOLとが同じアパートに同居する、多世代同居の介護型アパート「ぼちぼち長屋」をつくり注目を浴びています。OL募集には多くの応募があったとのことでした。若い女性の存在はお年寄りを元気にしてくれるからと部屋代の内3万円は「チャボよりまし代」として返しているそうです。
吉田さんの理想は共汗共酔のまち。敷地内に7ヶ所の露天風呂があり、ビールを飲める場所も確保しています。
反対に学校、病院、企業、軍隊等、働く人のいる仕事の場は時間に追われる国。人生60年代の教育は時間に追われる国に行くための教育。人生80年代の教育は時間に終われない国へ帰ってからも暮らせる教育なのだと伺いました。
☆ 数値化するような第三者評価はいらない。いろいろな人が入れば評価は必要ない。
☆ 自然は原理原則を外れない。目の前の知識より大切。知識は感動のカス。
☆ 今を楽しむ
☆ 雑木林のような暮らし。
☆ 物事は解決しないー困ったと言っておく。
☆ 皆が生きることが楽になる世の中でありたい。多様な人を認め、ゆっくりと優しく生きる。ひとは何千年経過しても同じように悩む、常に未完成であっていい、そんなものなんです。ひとを責める気持ちが起きたときは、ちょっと自分のペースが速すぎると思ってみよう。
土地区画整理事業で整地された土地に植林をし、雑木林を再現します。せせらぎをつくり、家を建てます。その家は未完成のまま売って、完成させる過程で協働を体験。150年前の建物を移築して公民館をつくります。こうした事業をするためにゴジカラ村役場(株)を立ち上げ入村する人は入会金(村税)を払って村に住みます。村に仕事をつくり、それぞれ役割を担ってもらうという話に参加者一同イイナーと聞きほれました。これからは小規模多機能サテライト型の施設が主流になりますが、企業も関心が高く乗り出してきているそうです。太陽の杜だったら実現間違いなしですね。
幼稚園、ケアハウスなど写真でお楽しみください。自然を大切にしている様子がよくわかります。
もりのようちえんの教室は里山の中にログハウスが点在し、一つ一つに名前がついています。雨が降ると泥んこになるので長靴は必需品。お邪魔しましたのがお帰り前の時間で、木に登る子、山を走り回る子、とにかく元気。
ケアハウスは新しい施設。木材を使い、自然の樹木を切らずに建物を樹木に合わせてカットしている部分がたくさんあります。まわりは緑。幼稚園の隣です。
特別養護老人ホームができた頃は、個室という発想はなかったため2人、4人部屋が多い。現在の入居者70名。 〔報告:福谷章子、竹内悦子)
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